C05犬種・猫種別ケア
コラットはなぜ静電気が起きやすいのか。短毛から考える
コラットの背中に手をのせて、そのまま毛の流れに沿って引くと、指先が通ったあとの毛が持ち上がったまま戻らないことがあります。空気が乾いた日の夕方、暖房を切ってしばらくたった部屋で起きやすい変化です。パチッという音が鳴らなくても、静電気はもう毛の上に残っています。コラットの被毛には下毛がなく、1本ずつが独立して立っています。隣の毛と束にならないぶん、たまった電気を毛どうしで分け合う相手がいません。この記事では、なぜ1本ずつが帯電したまま残るのかを先に書いて、そのあとに、触れる前に逃がす場所をつくる手順を並べます。
毛が1本ずつ独立して立つ|コラットの静電気に逃げ場がない条件
コラットはタイの高温多湿な土地で長く飼われてきた猫です。体を寒さから守る必要がなかったので、綿のような下毛を持たない、一層だけの被毛という作りをしています。毛は短く、細く、体に沿って生えていますが、外側の一枚がそのまま地肌の上に乗っているだけで、その下に何も詰まっていません。動いたときに背中の毛の流れが左右に割れて見えるのは、この一層だけの被毛の特徴です。
ここからが静電気の話につながります。下毛のある猫では、上毛と下毛がびっしり触れ合っていて、毛と毛のあいだに隙間がありません。触れ合っている毛のあいだでは、たまった電気が隣へ移り、体じゅうの広い面へ散っていきます。コラットには、その受け渡しの相手になる下毛がありません。1本の毛にたまったものは、その1本に残ったままになります。
コラットの静電気が、パチパチという音より先に見た目へ出るのはそのためです。毛先どうしが反発して、隣の毛と離れたまま立ち上がります。ブラシを離しても毛がついてくる、なでたところだけ毛の向きが変わって戻らない、ラグの上を歩いたあとに背中の一帯だけがふわっと浮く。どれも、1本ずつが帯電したまま残っている状態です。毛の量が増えたのではなく、隣どうしの間隔が開いています。
- 下毛がない:電気を渡す相手の毛が、地肌の側にありません
- 1本が細く、短い:根元から毛先までの距離が短く、逃がす道も短くなります
- 毛が体に沿って生えている:束にならず、面ではなく線のまま並んでいます
- 地肌との間に空気の層がある:うるおいが下がると、この層が乾いたままになります
- 自分で舐められる場所と、届かない場所がある:湿っている面と乾いた面が、同じ背中の上で分かれます
コラットの被毛は薄く見えますが、1平方センチあたりに生えている本数が少ないわけではありません。静電気を決めているのは本数ではなく、その本数がどうつながっているかのほうです。本数の話にすると、答えは「ブラッシングの回数を増やす」になります。つながり方の話にすると、答えは「触る前に、逃がす場所をつくっておく」に変わります。回数より、手を入れる前の数分のほうを見てください。
換毛期についても触れておきます。下毛を持たないコラットでは、春と秋に綿のような毛がごっそり抜けるという動き方をしない子が多くいます。そのかわり、抜けた毛は束の中に留まらず、帯電したまま毛の上に乗って移動します。抜け毛が服につく、床に線を引いたように残る、というのは量が増えたからではなく、行き場を失った毛が浮いているからです。掃除の回数を増やす前に、毛が浮かない条件のほうを整えたほうが、結果として手間が減ります。
触れる前に逃がす場所をつくる|コラットの静電気を減らす手順
順番の考え方を先に書きます。多くのケアは「触る → 起きたら対処する」という並びになっていますが、コラットではこれが逆になります。1本ずつ独立した毛は、いったん帯電すると、その場で逃がす先がありません。だから手を入れるより先に、電気が移っていける湿った面を、その子のまわりに用意しておきます。次の5つを、上から順に回してください。
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手順1:ブラッシングの15分前に、部屋の湿度を上げておく
加湿器でも、濡れたバスマットを1枚干すだけでも構いません。目安は40〜60%です。大事なのは数字より時間のほうで、スイッチを入れた直後の部屋では、空気はまだ乾いています。15分あれば、床に近いところまで湿りが回ります。コラットは体が小さく、床から30センチほどの高さで暮らしているので、部屋の真ん中で測った数字より、床に近い側の空気のほうが効きます。
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手順2:その子が最初に触れるものを、先に湿らせておく
寝床の布、キャットタワーの登り口、通り道のラグ。よく絞った布で1回なでておくだけで、そこがその日の逃がす場所になります。コラットは決まった経路を通る子が多いので、経路の入口を1か所湿らせておけば、体に乗ったぶんはそこで抜けていきます。びしょびしょにする必要はありません。手で触って、ひんやりするかどうかで足ります。
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手順3:自分の手を、乾いたまま毛につけない
水で手を洗って、水気を拭いたくらいの状態がちょうどいい湿り具合です。乾いた手で最初に触れると、その1回で毛が持ち上がります。ハンドクリームを塗った直後の手は、油の膜で滑るぶん、かえって毛が動きます。触れる場所も決めておいてください。いきなり背中ではなく、あごの下や胸など、その子が自分で舐めて湿らせている場所からです。
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手順4:ブラシを入れる前に、湿らせた布で1回なでる
よく絞った布を手のひらに広げ、根元から毛先へ、毛の流れに沿って一方向だけ動かします。往復させると、行きで寝た毛が帰りで起きます。1か所につき2〜3回で十分です。この1回で、毛の表面にごく薄い湿りが乗り、道具を入れたときに毛が持ち上がりにくくなります。すでに毛が浮いている日は、ここで浮きが落ち着くのを待ってから次へ進んでください。
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手順5:ブラッシングは、1か所ずつ短く区切る
全身を続けて回さず、1か所につき10往復ほどで手を止め、次の場所へ移ります。同じ場所を長く擦るほど、そこにたまる量が増えます。道具はコラットの短い毛に合わせて、歯の先が丸く、間隔の詰まっていないものを選んでください。終わったら、もう一度だけ湿らせた布で毛の流れをそろえます。始めと終わりを同じ動作にすると、その日にどれだけ浮いたかを手ざわりで比べられます。
| 手順 | 用意しているもの | 逃げる先 |
|---|---|---|
| 1. 15分前に湿度を上げる | 空気の中の水分 | 毛から空気へ、少しずつ |
| 2. 最初に触れるものを湿らせる | 湿った面 | 歩いたときに、その面へ |
| 3. 手を湿らせてから触る | 人の手 | 触れた瞬間に、人の側へ |
| 4. 湿らせた布で1回なでる | 毛の表面の薄い湿り | 毛の上を伝って、布へ |
| 5. 1か所ずつ短く区切る | たまる時間そのもの | たまる前に手を止める |
5つ並べましたが、乾いていない季節には1と3だけで足ります。順番が意味を持つのは、空気が乾いている時期です。逆に言えば、湿度が下がってきた週は、1を飛ばして4だけやってもうまくいきません。逃がす先がない場所で布をあてても、毛の上を湿りが移動するだけで、行き先がないからです。手順の1と2は、その日の土台をつくる作業だと考えてください。
毎日きれいにしておきたい日は、手順4を mofuwa の毛玉予防ジェルに置き換えてください。指先にごく少量とって手のひらで伸ばし、湿らせた布と同じ動きで、毛の流れに沿ってなでるように広げます。継続して使うとトリートメント成分が被毛1本1本をコーティングするので、毛先の滑りがそろい、毛どうしが反発したまま立ち上がりにくい状態が続きます。毛玉予防ジェルは、絡まった毛をはさみで切るしかなくなる前に、絡まりにくい状態を保っておくための道具です。目安は2〜3日に1回で、毎日塗り重ねる必要はありません。コラットは短毛なので大きな毛玉まで進むことは少ないのですが、毛が浮いている時期は、浮いた1本が抜け毛をつかんで留めます。つけすぎると毛が束になって重くなるので、手のひらに残った量で足ります。
どこから手を入れるかで変わる|コラットの静電気とブラッシングの順番
手順がそろったら、次は体のどこから始めるかです。ここで犬とは前提が変わります。猫は自分で毛づくろいをするので、体の上に、その子の舌が届いている面と、届いていない面が同時にあります。舐めたばかりの場所はまだ湿っていて、毛が寝ています。届かない場所は乾いたまま、毛が立っています。コラットの静電気は、この乾いた面のほうに残ります。
猫が自分で舐められないのは、首の後ろ、肩甲骨のあいだ、背中の中央から腰にかけての帯です。前足で顔をぬぐい、体を折って脇腹や前脚は舐められても、背中の中央だけは、口も後ろ足も届きません。人が手を入れるのは、その届かない場所を代わるためです。そして順番は、湿っている場所から乾いている場所へ進みます。湿った面を先に通ることで、手も道具も湿りを持った状態で乾いた帯に入れます。
| 順番 | 場所 | その子が届くか | 手の入れ方 |
|---|---|---|---|
| 1 | あごの下・胸 | 前足でぬぐって湿っている | 湿らせた手で触れて、様子を見る |
| 2 | 脇腹・前脚のつけ根 | 舌が届く。毛が寝ている | 布で1回。ここで手に湿りを移す |
| 3 | 首の後ろ | 届かない。乾き始める境目 | 布 → 道具。短く区切って |
| 4 | 肩甲骨のあいだ | 届かない。いちばん立つ場所 | 道具を短く。力を足さない |
| 5 | 背中の中央から腰 | 届かない。面がいちばん広い | 3つに割って、1日1つでも構いません |
| 6 | 尾のつけ根 | 届く子と届かない子がいます | 嫌がる子が多い場所。最後に、短く |
この順番を守っても静電気が減らないときに、見直すところが3つあります。1つめは道具です。プラスチックの柄と細い金属の歯という組み合わせは、コラットの細い毛に対して、こする面積のわりに逃がす先を持ちません。木の柄、獣毛の列、目の粗いコームなど、手持ちのものを1つだけ入れ替えて、同じ場所で比べてみてください。全部を一度に変えると、何が効いたのか分からなくなります。
2つめは時間帯です。暖房を切った直後や、洗濯物を取り込んだあとの部屋は、体感より空気が乾いています。同じ手順でも、朝と夜で結果が変わることがあります。3つめは、ブラッシングを続けた長さです。コラットの被毛は短いので、5分あれば全身を一度回せます。それ以上続けると、逃がした量より、こすってためた量のほうが増えます。うまくいかない日は、道具でも湿度でもなく、単純に長すぎることがあります。
立ったまま戻らない毛を、手のひらで押さえつけて寝かせようとすると、押している時間のあいだ、ずっと手と毛がこすれ続けます。離した瞬間に、前より高く浮くことになります。毛が浮いている日は、押さえるのではなく、湿らせた布を軽くあてて、そのまま数秒とめてください。嫌がる、体をよじる、耳を伏せるといった様子が出たら、その日はそこで手を引きます。翌日にもう一度、湿度を先に上げてから入るほうが早く済みます。
やり方を変えても毛が寝ないとき、コラットで見るのは静電気ではありません
ここまでは、1本ずつ独立した被毛という条件で説明のつく話でした。湿度を上げ、順番を変え、道具を替えても、同じ場所の毛が立ったまま戻らないときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、静電気のやり方の問題として片づけないほうが安全です。乾いた季節が終わっても続く、というのがいちばん分かりやすい目印になります。
- 湿度が上がった週になっても、同じ一帯だけ毛が立っている:空気の条件と合わない変わり方です
- 毛の根元が白っぽく粉をふいている:浮いているのが毛ではなく、地肌の側かもしれません
- 左右で手ざわりが違う:寝る向きや、体を寄せている面が関係していることがあります
- その場所を気にして舐め続けている:立ち方より先に、皮膚のほうを見てください
- 毛が抜けて、地肌が見える範囲が広がってきた:抜け毛の量ではなく、生えてこないかどうかで見ます
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、粉のようなものが増えた、においがある、触ると痛がる、同じ場所を舐め続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数や湿度をいじる前に、動物病院にご相談ください。コラットは被毛が一層で地肌が近いぶん、皮膚の変化が早く見た目に出ます。気づいた日を1行だけ控えておくと、何日続いているかがその場で伝わります。
相談に行くときは、いつから立ったままなのか、体のどこか、その日の部屋の湿度の3つをメモしていってください。この3つがそろっていると、被毛の条件で説明のつく静電気なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りにブラッシングしてから行くと、もとの状態が分からなくなります。気になっている場所は、触らずそのまま連れて行くほうが伝わります。
コラットと暮らすうえで、静電気が起きること自体はなくなりません。下毛を持たない一層の被毛は、暖かい土地で体温をこもらせないための作りだからです。動かせるのは、起きる量ではなく、たまったものが逃げていく先があるかどうかのほうです。触れる前に湿った面を用意して、その子が自分で湿らせている場所から入り、届かない帯で短く手を止める。コラットの静電気で、毎日のケアとして手を入れられるのは、そこまでです。
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よくある質問
- コラットがブラッシングを嫌がります。静電気が起きているせいでしょうか?
- その可能性はあります。乾いた道具をいきなり毛に当てると、最初の1回で毛が持ち上がり、そこから先はこすれる感触が続きます。嫌がる子には、道具を持たずに湿らせた手だけで1週間ほど触れる日を作ってみてください。手で触れる日を挟むと、道具を出した日の受け入れ方が変わることがあります。それでも体をよじる、逃げるという反応が続くなら、その場所自体に触られたくない理由があるかもしれません。
- 加湿器は、一日じゅうつけておいたほうがいいですか?
- つけっぱなしにする必要はありません。コラットの静電気で意味を持つのは、手を入れる前の15分と、その子が長くいる場所の湿り具合です。部屋全体の数字を一日じゅう保つより、寝床とキャットタワーのまわりだけを湿らせておくほうが、手間のわりに変わります。窓の結露が増えるほど上げると、今度は別の困りごとが出るので、40〜60%を上限の目安にしてください。
- 子猫のうちから、ブラシに慣らしておいたほうがいいですか?
- 道具に慣らすより先に、触られることに慣らすほうが順番として無理がありません。コラットは被毛が短いので、毛玉をほどくためのブラッシングを毎日する必要がありません。あごの下や胸など、その子が自分で舐めている場所を、湿らせた手で数秒なでる。これを毎日の流れに入れておくと、背中の中央に手を入れる必要が出てきたときに、そこから続けられます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
