C05犬種・猫種別ケア

トンキニーズと暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話

公開日 2023年4月11日|文=mofuwa編集部

明るいやわらかな光の中で、うすいベージュの布の上に短毛の猫が落ち着いて寝ている
短い毛の下に、もう一層あります。表面をなでる手だけでは、そこまで届きません。写真:cat823/Pixabay

トンキニーズの背中を手のひらでなでると、毛が短いのに、指がわずかに沈みます。表面の毛は寝ていて、その下に、押すと押し返してくる層があります。短毛の猫なのに抜け毛が終わらない、という感覚は、この二層目から来ています。短毛イコール一層と考えて、表面をなでる道具だけで済ませると、上毛は片づいても下毛が残ります。そして残った下毛は、その子自身が毛づくろいでなめて持ち出すことになります。この記事では、同じ短毛でも一層の猫と二層の猫で何が変わるのかを並べ、うちの子がどちらなのかを見分ける方法と、道具の使い分けまで書きます。

短毛なのに、指が沈む|トンキニーズの抜け毛が最後まで出きらない理由

トンキニーズの被毛は、外から見るかぎり一枚の面に見えます。毛は短く、体に沿って寝ていて、光の当たり方でつやが動く。ところが手のひらを置いて軽く押すと、指が地肌に当たる前に、わずかに押し返されます。上毛の下に、上毛よりさらに短くて細い毛が詰まっているからです。トンキニーズの抜け毛の話は、まずこの手ざわりから始まります。

毛が二層になっている猫は、長毛の子だけではありません。短毛でも、上毛と下毛の二層を持つ子がいます。トンキニーズはそちらに入る子が多い猫です。ただ、寒い土地の犬猫のように下毛が長く伸びるわけではありません。上毛も下毛も短いまま重なっているので、外から見ると層があるようには見えないのです。「二層に見えない二層」だと考えると分かりやすくなります。

抜け毛の中心になるのは、下毛のほうです。上毛は寿命が長く、抜ける本数はそれほど多くありません。下毛は入れ替わりが早く、まとまって抜けます。そして抜けた下毛は、上毛が寝てつくった面の下に、そのまま残ります。上毛の丈が短いので外へ出るまでの距離は短いのですが、寝ている毛が屋根のようにふたをします。

残った下毛を外へ出しているのは、多くの場合その子自身です。猫は一日に何度も毛づくろいをして、抜けた毛を舌ですくい、そのまま飲み込みます。人が手を入れるというのは、その子の毛づくろいが届かない場所と、届いても飲み込む形になってしまう分を代わる、ということです。とくに背中の中ほどから腰にかけては、猫の舌が届きにくい場所です。

Note毛が短い猫ほど、抜け毛の量が少ないとはかぎりません

毛の長さと、抜ける本数は別の話です。長さが短いぶん、床に落ちた1本が目につきにくいだけ、ということがあります。トンキニーズでは、抜け毛の量そのものより「抜けた毛がどこに留まっているか」を見てください。留まっている場所が根元の側なら、毛先を整えるやり方をいくら続けても数は動きません。手を入れる深さのほうを変える必要があります。

一層の短毛と二層の短毛|トンキニーズの抜け毛に出る違い

短毛の猫を2つに分けます。上毛だけの一層の子と、上毛の下に短い下毛を持つ二層の子です。同じ「短毛」でも、この2つは抜け毛の出方も、ブラッシングで届く深さも変わります。市販の解説や道具の説明が「短毛用」とひとくくりにしていることが多いのは、外から見るかぎり両者の差が分かりにくいからです。

一層の子では、抜けた毛は生えている毛のあいだをまっすぐ外へ向かいます。手でなでるだけでも面から離れますし、表面をなでる道具を1〜2往復させれば、たいてい終わります。この子たちに必要なのは、深さではなく回数です。毛先まですっと通れば、そこで完了になります。

二層の子では、抜けるのが下毛なので、出発点が根元の側になります。上に寝ている上毛を通り抜けないと外へ出られません。表面をなでる道具は、この上毛の面を整えるところで仕事を終えます。つまり、道具が悪いのではなく、届く深さが違うだけです。トンキニーズの抜け毛で「毎日やっているのに減らない」と感じるときは、たいていこの一段ぶんが残っています。

短毛だが一層の猫と、短毛だが二層の猫で変わること
短毛・一層短毛・二層(トンキニーズ)
指を沈めたとき地肌まですっと届く途中で押し返される
抜ける毛の中心上毛下毛
抜けた毛が留まる場所ほとんど留まらない上毛の面の下、根元の側
表面をなでる道具これで足りる上毛を整えて終わる
手を入れる方向毛の流れに沿って、長く毛を起こしてから、短く
換毛期の動き方ゆるやかに増える下毛がまとめて動く
猫自身が飲み込む量大きくは変わらない換毛期に増えます
短毛だが一層の猫と、短毛だが二層の猫 同じ短毛でも、上毛だけの子と、上毛の下に短い下毛を持つ子がいます。トンキニーズは後者にあたる子が多く、表面をなでる道具では下毛の層が残ります。 指を沈めたときの押し返しが、いちばん分かりやすい差です 短毛・一層 指が地肌まですっと届く 抜けるのは上毛が中心 表面をなでる道具で足りる 換毛期の増え方はゆるやか 短毛・二層(トンキニーズ) 指が途中で押し返される 抜けるのは下毛が中心 表面の道具は層をよけて通る 換毛期に下毛がまとめて動く 残った下毛は、その子自身が毛づくろいで持ち出すことになります
短毛かどうかではなく、層がいくつあるかで手の入れ方が変わります。

この違いは、季節にも出ます。一層の子は換毛期でも増え方がゆるやかですが、二層の子は下毛がまとまって入れ替わるので、短い期間に集中します。トンキニーズと暮らしていて、春と秋の一時期だけ抜け毛が急に増えるように感じるなら、それは下毛の側が動いているということです。上毛の面はその間もあまり変わらないので、見た目では気づきにくくなります。

抜けた毛を1本つまむ|うちの子がどちらかを決めるトンキニーズの見分け方

ここからは、うちの子が二層の側かどうかを自分で確かめます。特別な道具は要りません。手と、抜けた毛が1本あれば足ります。血統や見た目の分類で決めるのではなく、いま体に生えているもので決めてください。同じ猫種でも、その子ごとに毛の詰まり方は違います。次の順で回します。

  1. 背中の中ほどに、手のひらを置いて軽く押す

    なでるのではなく、置いて押します。指の腹が地肌に当たるまでの距離を覚えてください。すっと届くなら一層寄り、途中でやわらかく押し返されるなら二層寄りです。首の後ろ、背中の中ほど、腰の3か所でやると、場所による差も分かります。トンキニーズでは腰の側で押し返しが強い子が多く見られます。

  2. 毛の流れと直角に、指を1本入れて毛を起こす

    上毛を左右へ分けるのではなく、下から持ち上げるように入れます。起こした毛の根元に、上毛より短くて色のうすい毛が見えたら、それが下毛です。上毛と同じ長さの毛しか見えないなら、その場所は一層に近い作りをしています。明るい窓辺でやると見えやすくなります。

  3. 抜けた毛を1本つまんで、根元と毛先を見比べる

    服やソファについた毛でかまいません。まっすぐで張りがあり、根元から毛先まで太さが変わらないのが上毛。細く、やわらかく、指の中でつぶれるのが下毛です。落ちている毛の多くが後者なら、いま動いているのは下毛の側です。トンキニーズの抜け毛では、この1本が判断のいちばん早い材料になります。

  4. 同じことを、月をまたいで2回やる

    1回では、その日にたまたま動いていた分しか見えません。1か月あけて同じ3か所で押し返しを確かめると、換毛期に入ったかどうかが分かります。押し返しが強くなっていれば、下毛が入れ替わりはじめています。カレンダーに2行書いておくだけで足ります。

確かめた結果と、その日にやること
確かめて分かったことその日にやること
指がすっと地肌に届く表面をなでる道具だけで足ります
途中で押し返され、根元に短い毛が見える毛を起こしてから、層を1枚ぶん外へ出す
落ちている毛が、細くてつぶれる毛ばかり下毛が動いています。回数を少し増やす
落ちている毛が、張りのある長めの毛ばかり上毛の側です。深く入れる必要はありません
Point見分けは、猫が寝そべっているときにやってください

立っている猫の背中は、毛が張って層の差が分かりにくくなります。横になって力の抜けている状態なら、指を置いただけで押し返しが分かります。膝の上でも、寝床でもかまいません。触られるのが苦手な子では、この確認だけを何日かに分けても構いません。トンキニーズは人のそばにいる時間が長い子が多いので、機会そのものは作りやすいはずです。

表面をなでる道具と、層を起こす手|トンキニーズの抜け毛での使い分け

二層だと分かったら、次は手の入れ方です。道具を増やす前に、順番を決めてください。表面をなでる道具と、層を起こしてから短く動かす手。この2つは、どちらが優れているという関係ではなく、届く深さが違うだけです。トンキニーズの抜け毛では、順番を間違えると片方の仕事が無駄になります。

  1. 1つめ|表面をなでる道具で、上毛の面をそろえる

    毛の流れに沿って、首から腰へ長く動かします。ここでやっているのは、抜け毛を出すことではなく、上毛の向きをそろえて、次の手が入りやすい状態を作ることです。ここで大量に取れなくても、失敗ではありません。乾いた季節はブラッシングで静電気が起きて毛が寄ることがあるので、その日は往復の回数を減らしてください。

  2. 2つめ|指で毛を起こして、層を1枚ぶんだけ外へ出す

    上毛を下から持ち上げるように起こし、起きているあいだに、その一帯だけを短く動かします。面の全部を一度にやろうとしないでください。手のひらほどの範囲を3〜4か所ぶん進めれば、その日は足ります。ここが、トンキニーズの抜け毛で表面の道具と使い分ける中心になります。

  3. 3つめ|最後にもう一度、毛の流れに沿ってなでて終える

    起こしたままにせず、流れに戻して終わります。毛先までそろえておくと、次の日に指を入れたときの押し返しが比べやすくなります。この最後のひとなでは、猫にとっても区切りになります。終わりの合図を毎回同じにしておくと、続けやすくなります。

力の入れ方についても書いておきます。二層だからといって、強く引く必要はありません。下毛はもともと抜けかけている毛なので、起こして通せば外へ出ます。引っぱって抜けてくる毛は、まだ抜ける番が来ていない毛です。猫は皮膚が薄く、強い力に敏感です。嫌がったらその日はそこで止めて、翌日に別の場所を進めるほうが結果として早く終わります。

毎日きれいにしておきたい日は、布やコットンにグルーミングスプレーを含ませて、毛の流れに沿ってなでてください。猫に直接吹きかけず、布に含ませてから当てます。上毛の向きがそろうので、次に指を入れたときに層を起こしやすくなります。舐めても問題のない基準でつくられているので、毛づくろいの回数が多い猫でも量を気にせずに使えます。猫は音に敏感なので、噴射音を体の近くで出さないほうが続きます。

Caution洗う日と、その間の日で手を分ける

抜け毛が気になると、シャンプーの回数を増やしたくなります。洗う日はモイストシャンプーで地肌まで洗い、その間の日は層を起こす手とグルーミングスプレーで進める、と役割を分けてください。トンキニーズは短毛で乾きが早いぶん、洗う手間そのものは軽い猫です。下毛の層を1枚ぶん外へ出す仕事は、間の日の手が受け持ちます。同じ日に両方を詰め込まないほうが、どちらも続きます。

換毛期に増えるのは下毛のほう|トンキニーズの抜け毛で決める回数の選び方

最後に、1年のなかでの回数の決め方です。二層の猫では、換毛期に動くのは下毛の側です。上毛の面は大きく変わらないので、見た目では気づきにくく、床に落ちる毛の量で気づくことになります。回数を先に増やすのではなく、指の押し返しが強くなった時期から増やすほうが、その子の周期に合います。

指の押し返しで決める、トンキニーズの回数の選び方
背中に指を置いたとき1週間の回数の目安
すっと地肌に届く表面をなでる道具で、週に2〜3回
わずかに押し返される層を起こす手を、週に2回足す
はっきり押し返され、根元に短い毛が多い層を起こす手を、2日に1回まで増やす
押し返しが弱くなってきた回数を戻す。増やしたままにしない

室内で暮らす猫では、換毛期の輪郭が外の季節ほどはっきりしないことがあります。暖房や冷房で室温が一定に保たれていると、下毛の入れ替わりが年に何度も小さく起きることもあります。カレンダーの季節ではなく、その子の押し返しで決めてください。月に1度、同じ3か所を押すだけの記録で足ります。トンキニーズの抜け毛は、そうやって自分の家の周期を持つことになります。

ここまでは、二層の被毛という条件で説明のつく話でした。層を起こす手を続けていても、次のような変わり方をするときは、被毛の作りの話として片づけないでください。抜け毛の量ではなく、抜け方と、その子の様子のほうを見ます。

Caution押し返しでは説明のつかない抜け方

地肌が見えるほど薄い場所がある、地肌が赤い、じくじくしている、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、時期と関係なくまとまって抜けた、元気や食欲が落ちている。どれか1つでも当てはまるときは、押し返しで決めた回数を増やすより先に、動物病院にご相談ください。家で毎日動かせるのは、抜けた毛が体に留まる時間のほうです。薄くなった場所と、押し返しを記録していた3か所を一緒に伝えると、切り分けが早く済みます。

見てもらう日は、薄くなった場所、気づいた日、その週にやったブラッシングの回数の3つをメモしてください。この3つがあると、換毛期の動きなのか、それとも別の変化なのかを、その場で切り分けてもらえます。前の日に念入りに手を入れてしまうと、どこがどれだけ薄いのかが見てもらえなくなります。手を加えず、そのままの状態で見てもらってください。

トンキニーズと暮らしていると、短毛なのに手が足りない、という感じ方をすることがあります。それは手入れが足りないからではなく、短毛向けのやり方が上毛の面までしか届いていないからです。層がいくつあるかを指で確かめて、表面をなでる道具と層を起こす手を順番に使い、換毛期だけ回数を増やす。トンキニーズの抜け毛で家から動かせるのは、抜ける量ではなく、抜けた毛が体に留まっている時間のほうです。

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よくある質問

トンキニーズの抜け毛は、フードを変えると減りますか?
被毛は食べたものから作られるので、食事の内容は被毛の状態に関わります。ただ、抜ける本数そのものは毛の生えかわりの周期で決まるため、フードを変えたから抜け毛が止まる、という考え方はしないでください。食事を見直すなら、いま与えているものと量を書き出したうえで、かかりつけの動物病院で相談されるほうが確実です。
掃除の手間を減らすには、どこを先に手入れすればいいですか?
背中の中ほどから腰にかけてを先にしてください。猫の舌が届きにくく、抜けた下毛がいちばん長く留まる場所です。ここに手が入っていると、家じゅうに散る前の段階で毛を回収できます。逆に、頭や首の前側はその子自身の毛づくろいがよく届くので、後回しで構いません。
子猫のうちから、層を起こす手入れをしたほうがいいですか?
子猫のうちは下毛がまだ薄く、押し返しもほとんどありません。深く入れる必要はありませんが、触られること自体に慣れてもらう時間としては良い時期です。背中に手のひらを置く、毛の流れに沿ってなでる、というところまでで十分です。押し返しを感じるようになってから、層を起こす手を足してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。