C05犬種・猫種別ケア

バーマンはなぜ毛のもつれが起きやすいのか。長毛から考える

公開日 2023年3月28日|文=mofuwa編集部

明るい室内で、首まわりの毛がふさふさとした淡い色の長毛の猫が落ち着いて座っている
同じ一頭でも、コームが通る場所と止まる場所が分かれます。時間はその差に合わせて配ります。

バーマンの背中にコームを入れると、肩から腰まで一度で通ってしまうことがあります。手ごたえがなさすぎて、ちゃんととかせているのか不安になるほどです。ところが同じ日に、あごの下から胸元へ手を回すと、指が途中で止まる。尾を根元から握って先へ送ると、真ん中あたりで引っかかる。バーマンのもつれは、体じゅうに散らばらずに、決まった場所へ集まります。下毛が少なく、毛どうしが密に噛み合わないので、面の広いところはそのまま通る。かわりに、毛が長く集まる場所と、その子の舌が届かない場所が重なったところだけが締まっていきます。だから「全身をとかす」という組み立てが、この猫にはいちばん合いません。この記事では、なぜ3か所に寄るのかを先に整理して、そのあとで全身に配っていた時間を3か所へ配り直す手順を書きます。

体はコームが通るのに、3か所だけ止まる|バーマンのもつれが偏る理由

バーマンの毛を根元から指で送ると、途中でつかまることなく毛先まで抜けます。絹のような手ざわりの中〜長毛で、下毛にあたる毛がとても少ない被毛です。綿のような下毛をたっぷり抱えた猫では、抜けた下毛が外へ出られずに内側へ溜まり、面のまま固まります。バーマンでは、その溜まる材料そのものが少ない。背中や腰にコームが通ってしまうのは、被毛の作りから見ればあたりまえのことです。

それでも、もつれる場所はあります。毛の長さが急に増える場所と、その子の舌が届かない場所。この2つが重なったところだけが締まります。バーマンでその条件がそろうのは、首まわりのラフ、尾、後ろ脚の内側の3か所です。順に見ていくと、それぞれ理由が違うことが分かります。同じ「もつれ」でも、できかたが同じではありません。

1つ目は首まわりのラフです。バーマンは首から胸にかけて毛が長くなり、体の毛より厚みが出ます。しかも、毛の流れが上下左右から集まってくる場所なので、向きのそろわない毛が同じところに集まります。そこへ、猫が直接なめられない場所という条件が重なります。あごの下と首の前側は、自分の舌が入りません。前足でぬぐうしかない場所なので、毛の向きは整いません。

2つ目は尾です。バーマンの尾は毛が長く、房のようにまとまります。寝るときに体の下へ入れる、床に置いたまま引きずる、狭いところを通るときに壁をこする。尾は体の中でいちばん外のものに触れる部位で、しかも動きが大きい。外から力がかかった毛は、かかった向きのまま隣の毛と組みます。付け根から先へ向かって送ると、真ん中あたりで引っかかるのは、ここに力が集まるからです。

3つ目は後ろ脚の内側です。左右の脚の毛が向かい合っていて、歩くたびにこすれ合います。こすれる面は、毛の向きが一定に保たれません。加えて、この場所をなめるには体をひねった姿勢が要ります。若いうちは問題なく届きますが、体が重くなったり、関節が硬くなったりすると、まずここから毛づくろいが減ります。バーマンで後ろ脚の内側にもつれが出はじめたときは、姿勢の変化のほうを先に見てください。

バーマンで、3か所それぞれに何が起きているか
場所毛の側の条件その子の舌の届き方
首まわりのラフ毛が長く、流れが集まるあごの下と前側には入らない
尾房になり、外のものに触れる毛先は届くが、根元は届きにくい
後ろ脚の内側左右がこすれ合う姿勢を変えないと届かない
背中・腰・脇腹毛が寝ていて、下毛が少ない届く。日に何度も整えている
前足毛が短めで、動きが多い届く。いちばんよくなめる場所
Noteもつれにくい猫、で終わらせないでください

背中にコームが通ることから、「バーマンは手のかからない被毛」と説明されることがあります。全身が均一にもつれにくいのではなく、もつれる場所が3か所に絞られている、というのが実際に起きていることです。絞られているぶん、そこに集中します。全身をひととおり触って安心していると、ラフの奥と尾の真ん中だけが進んでいく、ということが起こります。触る面積を広げるより、止まる場所へ確実に届くほうを選んでください。

全身をとかすのをやめる|猫のバーマンのもつれに家でできる手順

ここからが手順です。いちばん大きく変えるのは、体からブラシを入れるという順番をやめることです。体は通ってしまうので、そこで時間を使うと、止まる場所に着くころには猫の集中が切れています。バーマンは人にそばにいることを許す子が多いぶん、こちらが長引かせると、次から場所を離れるようになります。5分で終わる組み立てにしてください。

  1. 手のひらで体をひと通りなでて、その日の状態だけ確かめる

    コームは持ちません。背中から腰、脇腹へ手のひらを滑らせて、引っかかるところがないかだけを見ます。引っかからなければ、体は今日はこれで終わりです。バーマンではここが数十秒で済みます。引っかかる場所があった日だけ、あとでコームを戻してください。体に時間を使わないと決めることが、3か所へ配る時間を作ります。

  2. あごの下から胸元へ、下から上へ向かって毛を起こす

    ラフは上からとかすと、表面だけが整って中が残ります。あごの下に指を入れて毛を起こしてから、下から上へコームを通してください。猫はあごを触られると上を向くので、そのまま首の前側まで手が入ります。ここで束になっている場所を見つけたら、コームは使わず、指で左右に分けて2つに割ってください。割ってから改めて通します。

  3. 首の後ろから肩へ、分け目を作って層で通す

    ラフの後ろ側は毛が厚いので、上から通すと道具が表面を滑ります。片手で毛を持ち上げて分け目を作り、出てきた層の分だけコームを通す。終わったら分け目を1センチずつ上へ移して、同じことを3回ほどくり返します。バーマンの首まわりは、この層に分けるやり方でほとんど終わります。力はまったく要りません。

  4. 尾は付け根を軽く握って固定してから、先へ向かって送る

    尾を持ち上げずに、床や膝に置いたままやります。付け根を手で軽く包んで固定し、コームは真ん中から先へ、次に付け根から真ん中へ、と2回に分けて通してください。付け根から一気に先へ通すと、途中の引っかかりに力が集まって、毛が根元で切れます。嫌がる子が多い場所なので、1日1回、10秒で切り上げて構いません。

  5. 後ろ脚の内側は、横になっているときに手を入れる

    立っている姿勢では届きません。その子が横向きに寝そべって、後ろ脚が開いているときが唯一のタイミングです。上になっているほうの脚の内側だけを、毛の流れに沿って数回通します。反対側は次の機会に回してください。1日で左右そろえようとすると、無理な姿勢を取らせることになります。ここは週に2〜3回で足ります。

この5つを通してやると、実際にかかるのは4〜5分です。体に配っていた時間を、ラフと尾と後ろ脚に移しただけで、道具も回数も増えていません。バーマンのもつれが3か所に集まるなら、手を入れる場所も3か所に集まるべきだ、というだけの組み立てです。全身を均等に回していたときより、指が止まる場所は確実に減ります。

Point束になっている場所は、割ってから通す

指が止まったところへ、そのままコームを入れないでください。止まっているのは、毛の向きがそろっていない小さな束です。ここに歯を入れると、束ごと引くことになります。やることは、束の下に指を入れて皮膚から浮かせ、束を左右へ2つに割ること。割れたら、それぞれをさらに割る。3回割れば、コームが通る太さになります。バーマンの毛は細くてなめらかなので、割るだけでほどけることが多い被毛です。道具を持つのは、割ったあとです。

1回5分をどう割るか|バーマンのもつれで毎日やることと頻度

手順が決まったら、次は配分です。3か所は、必要な頻度がそれぞれ違います。毎日必ず入る場所、2〜3日に1回でいい場所、その子の姿勢を待つ場所。同じ頻度で回そうとすると、いちばん手のかかる場所に合わせることになって、続かなくなります。バーマンでは、次のように分けると無理がありません。

5分の配分と、場所ごとの頻度
場所1回あたり頻度何を見て決めるか
体(手のひらで確認)30秒毎日引っかかりがあった日だけコームを戻す
首まわりのラフ2分毎日あごの下に指が入るかどうか
尾1分毎日か1日おき真ん中で送りが止まるかどうか
後ろ脚の内側1分週に2〜3回横になって脚が開いているとき
脇の下・前足のうしろ30秒週に1回前足をたたんだときに触れる面

毎日入るのは、ラフだけで構いません。ここは毛が長く、向きが集まり、しかも猫自身が届かない。3つの条件がそろっている唯一の場所です。2日空けると、あごの下に指が入りにくくなる子がいます。逆に言えば、忙しい日にラフの2分だけ確保できていれば、バーマンのもつれの大半はそこで止まります。他の場所は、その週のうちに回れば足ります。

頻度を上げるのは、毛が入れ替わる時期です。バーマンも換毛期には抜ける毛が増え、その毛はラフと尾の房のあいだに残ります。下毛が少ない被毛でも、抜けた毛が長い毛のあいだに引っかかるという道筋は同じです。この時期だけ、尾を毎日に上げ、後ろ脚の内側を週3〜4回に上げてください。時期が終われば戻します。回数を年じゅう上げたままにすると、触られること自体を避けるようになります。

乾いた季節には、もうひとつ条件が加わります。静電気が起きると、細い毛の毛先が広がって隣の毛と組みやすくなります。ラフと尾は毛が長いぶん、この影響がいちばん出る場所です。部屋のうるおいを保つ、寝床の布を起毛のものから平らな織りのものに替える。毛の側ではなく部屋の側を1つ変えるだけで、同じ手順でも指の止まり方が変わります。冬にもつれが増えると感じるときは、この線から見てください。

猫も体から脂を出すので、ラフの奥は昨日ととのえても、今日また同じところから重くなります。毎日シャンプーをするわけにはいきませんし、バーマンにとって風呂そのものが負担になることもあります。毎日きれいにしておきたいという側から使うのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませて、ラフと尾の毛先を毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。舐めても差し支えない基準(清涼飲料水の規格基準)をクリアしているので、自分でなめる面にも量を加減せずに使えます。コームを入れる前に毛の滑りがそろっていると、同じ場所へ通す回数そのものが減ります。グルーミングスプレーは猫の顔の近くで直接吹きかけると驚くので、必ず布に含ませてから手に持ってください。

Point5分を1回より、2分を2回のほうが続きます

バーマンは人のそばにいることを好む子が多く、1日のうちに手の届くタイミングが何度もあります。朝にラフの2分、夜に尾と後ろ脚の2分、と分けてしまうほうが、まとまった5分を作るより現実的です。猫の側も、短いほうが最後まで座っていてくれます。時間の合計は同じでも、途中で逃げられて中断した日と、2回とも終わった日とでは、残る束の数が変わります。長さより、終わりまで届いたかどうかで数えてください。

3か所の外にもつれが出たときは、毛の作りの話ではありません

ここまでは、バーマンの被毛の作りで説明のつくもつれの話でした。手順どおりに回していても、3か所の外に出はじめたときは、見方を切り替えてください。背中や脇腹は、下毛が少なく毛も寝ているので、本来もつれる条件がそろっていません。そこに出るということは、被毛以外の何かが変わったということです。次のような変わり方は、ブラッシングの話として片づけないほうが安全です。

Caution早めに動物病院で相談してほしいとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、毛づくろいをしなくなった、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、もつれをほどこうとする前に動物病院にご相談ください。バーマンはもともと体にもつれが出にくい被毛なので、出ていない場所に出たという事実そのものが、いちばん早い手がかりになります。背中や脇腹の1か所が、ほどいて3日で戻るようなら、次の週を待たずに電話をしてください。

相談やトリミングに行くときは、もつれの場所、いつからか、その週に何回手を入れたかの3つをメモしていってください。バーマンでは場所そのものが情報になるので、「ラフと尾には出ていないのに背中にある」という書き方が役に立ちます。前の晩に無理にほどこうとしないでください。ほどきかけの状態は、もとの広がり方が分からなくなります。

バーマンと暮らすうえで、ラフと尾に毛が集まること自体は変わりません。首から胸にかけての厚みと、房になった尾は、この猫の作りそのものだからです。動かせるのは、そこに手が届いている頻度のほうです。体に配っていた時間を3か所へ移して、ラフは毎日、尾は1日おき、後ろ脚は週に2〜3回。この配分に落とし込めたら、バーマンのもつれで慌てることはほとんどなくなります。全身を回そうとしていたころより、かかる時間はむしろ短くなるはずです。

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よくある質問

バーマンは、毎日ブラッシングが必要ですか?
全身を毎日とかす必要はありません。背中や腰は下毛が少なく、コームが通ってしまう場所です。毎日入るのは首まわりのラフだけで足り、尾は1日おき、後ろ脚の内側は週に2〜3回で回ります。毛が入れ替わる時期だけ、尾と後ろ脚の回数を上げてください。
ラフの奥に指が入りにくいときは、どうすればいいですか?
あごの下に手を入れて毛を起こしてから、下から上へ通してください。上からとかすと表面だけが整います。束になっている場所は、コームを入れる前に指で左右に割ります。3回割ればコームが通る太さになります。皮膚が持ち上がるほど締まっている場合は、その日は触らずに相談してください。
尾を触ると逃げてしまいます。無理にやったほうがいいですか?
無理にやらないでください。尾は嫌がる子が多い場所なので、1日10秒で切り上げて構いません。持ち上げず、床や膝に置いたまま付け根を軽く包んで固定し、真ん中から先、次に付け根から真ん中の順に通します。逃げた日は、翌日にもう一度10秒だけ試すほうが続きます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。