C05犬種・猫種別ケア

ターキッシュアンゴラと暮らすなら知っておきたい、毛のもつれの話

公開日 2023年3月14日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの入る部屋で、白く長い毛の猫が床に座っている
同じ一頭の毛でも、もつれの芯にあるものは一種類ではありません。芯が変われば、手の入れ方も変わります。写真:Mehmet Çağlar/Pexels

ターキッシュアンゴラの胸元にできた小さな塊を、明るいところで開いてみると、中から白っぽい糸くずが出てきた——という経験はありませんか。毛布の繊維、服の糸、床のほこり。指でつまめる大きさのものが、毛の根元に絡んだまま残っています。ターキッシュアンゴラのもつれは、この「外から入ったもの」を芯にして始まることが多い猫種です。細くて長い、絹のような毛が一種類だけ体を覆っていて、下毛がほとんどありません。二層の被毛を持つ猫で起きる「抜けた下毛が内側に溜まって芯になる」という道筋が、この子たちではあまり起きないのです。そのかわり、外から入ったものが毛のあいだに留まると、まわりの毛がそこへ巻きついていきます。この記事では、内側からできるもつれと、外から入ってできるもつれを並べて、いま指でつまんでいる塊の芯がどちらなのかを見分けるところから書きます。

下毛がほとんどない絹の一枚|ターキッシュアンゴラのもつれが始まる条件

ターキッシュアンゴラの毛を指ではさんで送ると、抵抗がほとんどなく毛先まで抜けていきます。細く、長く、表面がなめらかで、絹の糸に近い手ざわりの毛が一種類だけ生えています。多くの猫が持っている、外側の上毛と内側の綿のような下毛という二層の作りではありません。下毛にあたる毛が、あってもごく薄い。ここがターキッシュアンゴラのもつれを考えるときの出発点になります。

この作りは、この猫が育った場所から来ています。トルコの中央、アンカラのあたりは標高のある高地で、冬は冷えこみ、夏は乾きます。冬に首まわりと尾の毛が増え、暖かくなるとその分が薄くなるという変わり方をする子が多く、一年じゅう同じ厚みの毛をまとっているわけではありません。厚みで寒さをしのぐのではなく、長さと、生え変わりで季節に合わせている被毛だと考えると分かりやすくなります。

二層の被毛を持つ猫では、もつれの芯になるのはたいてい抜けた下毛です。綿のような毛が外へ出られずに上毛の内側へ留まり、そこへ皮脂が回って面のまま固まります。ターキッシュアンゴラでは、その芯になるものが少ない。毛は指で通るのに、それでも塊ができるとしたら、芯は毛以外のものです。開いてみると、糸くず、綿ぼこり、猫砂の粉、乾いた食べかす、人の髪の毛が出てくることがあります。

細い毛は、乾いた時期にもうひとつ性質を見せます。静電気が起きると、毛先が広がって、細かいものを引き寄せます。広がった毛先のあいだに繊維が1本入りこむと、それが軸になって、まわりの毛が少しずつ巻きついていく。ターキッシュアンゴラの被毛は表面がなめらかなので、入ってきたものは滑って根元の側へ落ちます。落ちた先で止まったところが、もつれの中心になります。

Note毛が絡みやすい猫、という話ではありません

ターキッシュアンゴラの被毛は、指で通るぶんだけ手をかけやすい作りです。問題になるのは絡みやすさではなく、芯になるものの出どころが他の猫種と違うことのほうです。出どころが違えば、手の入れ方も変わります。ブラッシングの回数を増やす前に、いま指でつまんでいる塊の中身を一度見てみてください。回数の話にしてしまうと、外から入り続けているものはそのまま残ります。

内側からできるもつれと、外から入ってできるもつれ|猫のターキッシュアンゴラで比較する

2つのもつれを、同じ項目で並べます。比べるのは大きさや硬さではなく、芯に何があるか、どこから始まるか、いつ増えるかの3つです。この3つが分かると、その塊に今日手を入れるべきか、明日でいいかまで決まります。ターキッシュアンゴラでは、片方が起きにくく、もう片方が起きやすい、という偏りがあります。

内側からできるもつれは、抜けた毛が外へ出られずに残ることから始まります。根元の側で綿のようにまとまり、そこへ皮脂が回って、指で押すと弾力のある面になります。換毛期に数が増え、体の面が広いところ——背中、腰、脇の下——に出ます。ターキッシュアンゴラでもまったく起きないわけではありませんが、抱えている下毛の量が少ないぶん、面のまま広がることは多くありません。

外から入ってできるもつれは、始まる場所が違います。芯になった繊維やほこりの周りに毛が巻きつくので、毛の中ほどから毛先寄りに、小さくて硬い粒のような塊ができます。指でつまむと、綿のような弾力ではなく、中に固いものが入っている手ざわりがあります。数が増える時期も換毛期とは一致せず、寝床の布や敷きものが変わったあとに、まとめて出てくることがあります。

ターキッシュアンゴラで、2つのもつれがどう違うか
内側からできるもつれ外から入ってできるもつれ
芯にあるもの抜けて残った自分の毛布の繊維・ほこり・砂の粉
始まる場所根元の側。皮膚に近いところ毛の中ほどから毛先寄り
手ざわり綿をまとめたような弾力中に硬いものが入った粒
出る場所背中・腰・脇の下など面の広いところ胸元・前足のうしろ・尾の付け根
増える時期換毛期。季節の変わり目寝床や敷きものが替わったあと
ほどき方毛を層で分けて、外へ出す芯を先に取り出してから、毛をほどく
そのままにすると面が広がって、地肌をおおう同じ点が硬くなり、毛が根元で切れる
芯の出どころで分かれる2つのもつれ 内側からできるもつれは抜けた毛が芯になり、外から入ってできるもつれは布の繊維やほこりが芯になります。始まる場所も、増える時期も違います。 同じ「もつれ」でも、中に入っているものが違います 内側からできるもつれ 芯は、抜けて残った毛 根元の側から始まる 換毛期に数が増える 手ざわりは綿のよう 外から入ってできるもつれ 芯は、ほこりや布の繊維 毛の中ほどから始まる 家の布が替わると増える 中に硬い粒がある 右のもつれは、芯を出さないまま毛だけほどいても戻ります
ターキッシュアンゴラで多いのは右側です。手を入れる順番が左右で入れ替わります。

手の入れ方は、この2つで逆になります。内側からできたもつれは「溜まったものを外へ出す」作業、外から入ってできたもつれは「入ってきたものを取り出して、入ってこない条件をつくる」作業です。前者はブラッシングの回数と深さの話になり、後者は触れている布の話になります。ターキッシュアンゴラで「毎日とかしているのに、同じところに戻る」と感じるときは、後者を前者のやり方で扱っていることがあります。

もうひとつ違うのは、猫自身がどう反応するかです。外から入ったものは違和感として残るので、その子は同じ場所をなめて取ろうとします。舌のざらつきは毛を一方向へ寄せるので、なめるほどに芯のまわりは締まっていきます。気にしている場所ほど早く硬くなるのは、この順番が回っているからです。ターキッシュアンゴラのように毛が細い被毛では、締まるまでの時間が短くなります。

芯にあるのはどっちか|ターキッシュアンゴラのもつれをほどく前の見分け方

塊を見つけたら、道具を持つ前に1分だけ確かめます。見るのは表面ではなく、中身です。ターキッシュアンゴラの毛は白っぽい子が多く、暗いところでは芯の色が沈んで見えません。窓のそばか、明かりの下でやってください。猫を抱き上げる必要はなく、その子が横になっているあいだで足ります。

  1. 塊の根元側を、指2本でそっと左右に開く

    毛を引っぱるのではなく、塊の下の地肌に向かって指を差し入れ、毛の束を左右に押し広げます。皮膚が持ち上がるようなら、そこで手を止めてください。もう締まっている合図です。開いたときに地肌が見えるなら、まだ表面だけの絡みです。

  2. 開いたすきまをのぞいて、色の違うものがないか見る

    白い毛のあいだに、灰色、茶色、黒っぽい線が走っていないか。1本でも毛以外のものが見えたら、それが芯です。猫砂の粉や乾いた食べかすは、粒として見えます。何も見えなければ、内側からできたもつれとして扱ってかまいません。

  3. 芯らしきものを、毛と一緒に軽く動かしてみる

    毛だけがずれて芯がその場に残るなら、外から入ったものです。芯と毛が一体で動くなら、芯も毛です。ここで引き抜こうとしないでください。巻きついた毛が根元で切れます。動きを確かめるだけで止めます。

  4. 見つけた場所を、体の左右まで含めて覚えておく

    胸元の左、前足のうしろの右、というところまで残します。同じ側にばかり出るなら、その子が寄りかかっている布が特定できます。ソファの決まった角、寝床の縁、飼い主の膝。芯の出どころは、たいてい体の同じ側にあります。

開いて見えたものと、その日にやること
開いたときに見えたものどちらのもつれかその日の手
毛以外の色の線や粒が入っている外から入ってできたもの芯を先に取り出す。毛は後回し
綿のような毛が根元にまとまっている内側からできたもの層を1枚だけ分けて、外へ出す
地肌が見えて、毛はただ寄っているだけまだもつれていない毛の流れに沿ってなでるだけ
指を入れると皮膚が持ち上がるどちらでも、締まっているその日は触らず、明るい時間に相談する

芯が外から入ったものだと分かった塊は、ほどく順番が決まります。まず芯そのものを、毛を切らずに取り出す。塊の外側の毛を数本ずつ根元から毛先へ向けて指で送り、芯を包んでいる毛の数を減らしていきます。包みが薄くなると、芯は自分の重さで外へ落ちます。落ちてしまえば、残っているのは寄った毛だけなので、指で分けるだけで戻ることが多いのです。

Pointその子がなめて取ろうとしているあいだは、手を入れない

ターキッシュアンゴラは自分の毛を丁寧に整える子が多く、違和感のある場所は自分で処理しようとします。なめている最中に人の手が入ると、その場所を触られること自体を嫌がるようになります。毛づくろいが一段落して、体を伸ばして休んでいるときに、あごの下や胸元から手を入れてください。その子の舌が届かないのは、あごの下、首の後ろ、肩の上の3か所です。そこだけは人が代わることになります。

もつれが増える時期は、猫より先に家の布が替わります|ターキッシュアンゴラの一年

芯が外から入ったものなら、増える時期を決めているのは猫ではありません。家の中で、その子が触れている布が入れ替わる時期です。寝床のカバー、ソファの上のひざかけ、季節でしまったり出したりする敷きもの、飼い主が着ているもの。ターキッシュアンゴラのもつれは、これらが替わった週から2週間ほど遅れて増えることがあります。

冬は条件が重なります。毛布やニットのように繊維が抜けやすいものが増え、暖房で室内が乾き、静電気が起きやすくなります。乾いた毛先が広がったところへ、抜けやすい繊維が近づく。しかも冬は首まわりと尾の毛が増える時期でもあるので、留まる場所そのものが厚くなっています。胸元と前足のうしろに小さな粒が並ぶのは、たいていこの季節です。

春と秋は、内側からできるもつれのほうが動きます。換毛期に抜けた毛が、まだ体に残っているうちに外からのものと混ざると、芯が二重になります。綿のような毛の中に繊維が1本通っている塊は、いちばんほどきにくい形です。この時期だけは、外から入ったものを探す前に、抜けた毛を先に外へ出しておくほうが早く終わります。

時期ごとに、家の中で入れ替わるものと、もつれの出かた
時期家で替わるもの出やすい場所その時期にやること
11〜2月毛布・ニット・ひざかけ胸元・前足のうしろ寝床のカバーを1枚に固定する
3〜5月抜けた毛が増える。窓を開ける首まわり・脇の下抜けた毛を先に出す。うるおいを保つ
6〜8月薄手の敷きもの・冷房の風尾の付け根・背中の中ほど風が当たる面に毛先を寄せない
9〜10月しまっていた布を出す胸元・あごの下出した布は一度洗ってから使う

替えるものは、多くなくてかまいません。その子がいちばん長く触れている1枚を決めて、そこだけ繊維の抜けにくいものに替える。毛足の長い起毛のものは避けて、目の詰まった平らな織りのものにします。1枚替えたら2週間おいて、胸元の粒が減ったかどうかを見てください。減っていれば出どころは当たりで、変わらなければ別の1枚が残っています。順番に1枚ずつ替えるほうが、家じゅうを一度に替えるより確実です。

布を1枚替えるのと同じ日に、毎日の側から動かせるものがもう1つあります。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて、胸元や前足のうしろを毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。ブラシを入れる前に毛の滑りをそろえておくと、外から入った糸くずが根元まで下りる前に、毛の面を移動して外へ出ます。ターキッシュアンゴラの毛は指で通るぶん、滑りがそろっているかどうかで、その日の1回で外へ出る量が変わります。

グルーミングスプレーは、舐めても問題のない基準でつくられています。胸元や前足のうしろは、その子が自分で毛づくろいをする場所なので、量を気にせず使えることが、そのまま毎日続けられる条件になります。乾いた時期は静電気で毛が立ち、外から入ったものが根元へ入りやすくなります。その時期ほど、ブラシを持つ前のこの一手が先に届きます。

Cautionはさみで切って取ろうとしないでください

外から入った芯は、毛と一緒に固まって見えるので、根元から切れば早く済むように見えます。ターキッシュアンゴラの毛は細く、塊の下の皮膚は思っているより持ち上がっています。切ろうとした先に地肌があることが多く、実際に切ってしまう事故が起きています。取れない塊は、その日は残してかまいません。芯を包む毛を数本ずつ減らすやり方に戻すか、トリミングや動物病院で見てもらってください。

芯が見つからないのに締まるとき|ターキッシュアンゴラのもつれで手を止める目安

ここまでは、芯にあるものが分かる塊の話でした。開いても何も入っておらず、抜けた毛も見あたらないのに、同じ場所が短い間隔で締まっていくときは、被毛の作りの外に理由があります。次のような変わり方に気づいたら、ブラッシングの回数を増やすより先に、その場所そのものを見てください。

Caution塊ではなく、塊の下を見てほしいとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、もつれをほどこうとする前に動物病院にご相談ください。ターキッシュアンゴラは毛が白っぽい子が多く、地肌の色の変化には気づきやすい反面、長い毛が上からおおうので、見ようとしなければ見えません。3日から4日で戻る場所が1つあれば、その週のうちに予約を取ってください。

相談やトリミングに行くときは、塊の場所、いつからか、開いたときに芯が見えたかどうかの3つをメモしていってください。この3つがあると、被毛の条件で説明のつくもつれなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に無理にほどこうとしないでください。ほどきかけの状態は、もとの形が分からなくなります。取れた芯があれば、そのまま持っていくと話が早くなります。

ターキッシュアンゴラと暮らすうえで、外から入ってくるものをゼロにすることはできません。布のある部屋で暮らしていて、その子は毎日そこに体を寄せているからです。減らせるのは入ってくる量ではなく、入ったものが毛の中に留まっている時間のほうです。芯にあるものを見てから道具を選ぶ、触れている布を1枚ずつ替える、時期に合わせて手を入れる場所を移す。この3つで、ターキッシュアンゴラのもつれは扱える範囲に収まります。

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よくある質問

ターキッシュアンゴラは、毎日ブラッシングしたほうがいいですか?
毎日でも構いませんが、全身を一度に通す必要はありません。この被毛は指で通りやすいので、時間をかけるより、胸元・前足のうしろ・尾の付け根という留まりやすい場所を短く確かめるほうが向いています。冬は毛が増えるので回数を上げ、暖かくなって薄くなったら戻してください。
もつれの中から出てきた糸くずは、どこから来たものですか?
その子が長く体を預けている布から来ていることがほとんどです。寝床のカバー、ソファのひざかけ、飼い主の服。体の同じ側にばかり出るなら、寄りかかっている面を探してみてください。1枚替えて2週間ようすを見ると、出どころかどうかが分かります。
猫が自分でなめて取ろうとしているときは、任せてよいですか?
取れないまま続くと、舌のざらつきで毛が一方向に寄って、かえって締まります。なめている最中に手を出すと嫌がるので、休んでいるときに人が代わってください。あごの下、首の後ろ、肩の上は、その子の舌が届かない場所です。ここだけは自分では終わりません。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。