C12Q&A・豆知識

かゆみで受診する犬の季節分布

公開日 2023年5月5日|文=mofuwa編集部

明るい窓のそばで、片づいた部屋の床にくつろいで横たわっている淡いクリーム色の犬
かゆみが増える時期は年に一度とは限りません。湿度が上がる側と下がる側の、両方に寄ります。写真:Solé Gomez/Pexels

6月の長雨が続いたあと、後ろ足で脇腹をかく回数が増える。同じかゆみが、12月に暖房を入れた最初の週にも戻ってきます。犬がかゆみで動物病院にかかる時期には偏りがあるとされますが、比べる相手はほかの季節であって、山が1つに決まっているわけではありません。湿度が上がっていく時期と、下がっていく時期の両方に、かゆみは寄ります。「夏に多い」とだけ覚えていると、冬に起きているほうの変化を見落とします。この記事では、具体的な割合を覚えるのではなく、湿度が高い時期と低い時期で何が入れ替わるのかを並べて、最後に、自分の家の1年を書き出すところまで進みます。

かゆみで受診が増える時期は、1年に2か所あるとされています

先に、この記事が扱う範囲を書きます。犬のかゆみで動物病院にかかる時期は、季節によって偏る傾向があるとされています。ただ、その偏りを「夏の1つの山」として覚えてしまうと、実際の家の中で起きていることと合わなくなります。湿度が上がっていく時期と、下がっていく時期。かゆみが寄るのは、この両方です。

ここで、具体的な割合を書かないことにしています。理由は2つあります。1つは、季節ごとの分布が、何をかゆみに数えるかで動くからです。皮膚をかく行動だけを数えるのか、耳をかく行動も入れるのか、初めての受診だけを数えるのか、通院中の再診も入れるのか。数え方の線を1本動かすだけで、山の高さも位置も変わります。もう1つは、地域によって湿度の動き方そのものが違うからです。同じ月でも、住んでいる場所で条件が入れ替わります。

かゆみが寄るとされる2つの時期と、そのとき動いている条件
時期の呼び方湿度の動き先に動く条件
湿度が高い時期上がっていく。梅雨から夏へ乾ききらない時間が長くなる
湿度が低い時期下がっていく。晩秋から冬へ地肌からうるおいが抜けていく
どちらでもない時期上下の途中。春と、秋の前半変化の途中なので、遅れて出る

3行目を入れたのは、季節が変わったその週にかゆみが出るわけではないからです。湿度が動いてから皮膚と被毛に出てくるまでには、いつも少し遅れがあります。「先月まで何ともなかったのに」と感じるのは、この遅れのせいです。カレンダーの季節と、その子の地肌が受け取っている季節は、いつも数週間ずれています。

Noteこの記事に割合の数字が出てこない理由

季節の分布についての数字は、調査ごとに数え方が違います。出どころを確かめられない割合をここに書くと、それが一人歩きします。この記事で書けるのは、「2つの時期に寄るとされている」という形と、その2つで何が入れ替わるのかという構造までです。覚えて役に立つのは、割合ではなく、自分の家の記録のほうです。最後のセクションで、その作り方を書きます。

湿度が高い時期と低い時期では、かゆみを起こしている条件が入れ替わります

同じ「かゆみ」という言葉で呼んでいても、時期によって中身は入れ替わります。湿度が高い時期は、水分が抜けきらないことが条件になります。湿度が低い時期は、水分が抜けていくことが条件になります。方向が正反対なので、家でやることも入れ替わります。順に見ていきます。

湿度が高い時期。空気が水分を持っているので、洗ったあとも、雨に濡れたあとも、地肌までが乾ききるまでに時間がかかります。乾ききらない時間が長いほど、被毛の下は温度も湿度も高いままになります。皮脂も流れずに残りやすくなります。この時期にかゆみが出やすいのは、脇の下、内もも、指のあいだ、耳の内側、尾のつけ根。どれも、空気が入れ替わりにくい場所です。散歩から帰ったあとに草や土がついたまま乾く、というのも重なります。

湿度が低い時期。外の空気が乾き、暖房を入れた室内はさらに乾きます。こちらは、地肌の側から水分が空気へ出ていく方向です。うるおいが抜けると、被毛をかき分けたときに白い粉のようなものが目につくようになります。静電気で毛が立ち、ブラシが引っかかりやすくもなります。この時期にかゆみが出やすいのは、背中の真ん中、腰から尾のつけ根、首の後ろ。空気に触れている面が広い場所です。

つまり、季節が変わったからかゆくなったのではなく、季節ごとに別の条件が地肌から手を出しているということです。湿度の高い側と低い側は、まったく別の相手です。相手が違うのに同じ手を出すと、どちらの時期でも空振りになります。犬のかゆみを季節の話として扱うなら、覚えるべきは月ではなく、この入れ替わりのほうです。

湿度が高い時期と低い時期を並べる|起きやすいことと、家で見る場所の違い

2つの時期を、条件ごとに並べます。見分けるときに見るのは、かゆみの強さではありません。かいたあとに何が残るかと、どこをかいているかです。この2つで、たいてい分かれます。

かゆみが寄る2つの時期の違い|条件・場所・家でできること
湿度が高い時期湿度が低い時期
起きやすいこと乾ききらない時間が長く残る地肌からうるおいが抜けていく
家で見る場所脇の下・内もも・指のあいだ・耳の内側背中の真ん中・腰・首の後ろ
かいたあとに残るもの湿った毛と、こもったにおい細かい粉と、静電気で立つ毛
地肌の手ざわり生温かく、しっとりしているかさついて、張りがない
被毛の様子毛先が束になって固まる毛が広がって、ブラシが引っかかる
洗う回数の落とし穴回数が増えて、乾かす時間が足りなくなる洗いすぎで、残っているうるおいまで落ちる
ブラッシングの向き空気を入れるために持ち上げる静電気を避けて、湿らせてから通す
条件が動いてから出るまで2〜3週間ほど遅れる同じく2〜3週間ほど遅れる

表の6行目が、いちばん見落とされるところだと思います。どちらの時期にも、洗いすぎという落とし穴があります。ただし、落ちるものが違います。湿度が高い時期は、洗った回数のわりに乾かす時間が足りず、濡れている時間の合計が増えます。湿度が低い時期は、洗うたびに、もともと少なくなっているうるおいをさらに落とします。同じ「洗いすぎ」でも、困り方が逆です。

  1. 明るいところで、被毛をかき分ける

    背中の真ん中と、脇の下の2か所を選びます。窓のそばで、毛を左右に分けて地肌を出してください。暗い場所では、赤みも粉も見えません。写真を撮るなら、毎回同じ2か所を同じ角度で撮ります。

  2. 指の腹で、地肌を10秒さわる

    しっとりしているか、かさついているか。生温かければ湿度が高い側、ひんやりして粉が指につけば低い側です。手のひら全体ではなく、指の腹で確かめてください。

  3. かいたあとに何が落ちるかを見る

    その子がかいた直後の床を見ます。細かい粉が落ちていれば乾いている側、何も落ちずに毛だけが湿っていれば高い側です。かいた回数ではなく、落ちたものを見ます。

  4. かいている場所を、体の地図に置く

    空気が入れ替わりにくい場所(脇・内もも・指のあいだ)に寄っているか、空気に触れている面(背中・腰・首の後ろ)に寄っているか。場所が寄っている側が、いまの時期の相手です。両方に散らばっているときは、次のセクションの使い分けを両方やります。

いま自分の家がどちら側にいるかで、手を使い分ける

時期が決まったら、やることは入れ替えます。湿度が高い側では、濡れている時間を短くする。低い側では、うるおいを落とす回数を減らす。方向が逆なので、片方でうまくいった手を、そのまま反対の時期に持ち込まないでください。

湿度が高い時期にやること。相手は、乾ききらない時間です。

湿度が低い時期にやること。相手は、抜けていくうるおいです。

Cautionかゆみが気になる時期ほど、洗う回数が増えていきます

かゆがっているのを見ると、洗って落としたくなります。ただ、洗う回数が増えるほど、地肌に残っているうるおいは減ります。湿度が低い時期は、それがそのままかゆみの条件を強めます。湿度が高い時期でも、乾かす時間が足りなければ、濡れている時間の合計が増えるだけです。回数を増やす前に、いまの時期がどちら側かを決めてください。洗うか洗わないかより、洗ったあとに地肌まで乾かしきれるかどうかが先です。

季節の分布を覚えるより、自分の家の1年を書き出す

ここまで読んで、覚えておく価値があるのは1つだけです。かゆみが寄る時期は2つあり、湿度の上がる側と下がる側で相手が入れ替わる。どちらの山が高いかは、その子と、住んでいる場所と、家の中の条件で変わります。だから、他所の分布を覚えるより、自分の家の分布を作るほうが早く役に立ちます。

作り方は簡単で、書くのは3つだけです。日付、かいていた場所、そのとき部屋が乾いていたか湿っていたか。回数は数えません。数えはじめると、見た回数が多い月ほど数字が増えて、比べられなくなります。1年続けると、その子の山が何月に立っているかが、自分の手元の記録として残ります。

この記録は、動物病院でも使えます。「いつから」「どこを」「そのとき部屋はどうだったか」の3つは、その場では思い出しにくい情報です。季節の話をするために書いた記録が、そのまま相談のときの材料になります。写真があれば、明るい場所で、同じ2か所を同じ角度から撮ったものを持っていってください。

Caution季節では説明がつかないときは、動物病院にご相談ください

湿度が動いていない時期に強くなる、同じ場所だけをかき続ける、かいたあとに傷やかさぶたができる、眠っているあいだもかいている、脱毛やにおいの変化が重なっている、食欲や元気が落ちている。こうしたときは、時期の話として様子を見ずに、動物病院にご相談ください。季節で説明がつくのは、2つの時期のどちらかに寄っていて、条件が外れると落ち着いていく変化だけです。原因を家で決めようとするより、記録を持っていくほうが早く片づきます。

背中の真ん中、腰から尾のつけ根、首の後ろ。湿度が低い時期にかゆみが出やすいと並べた場所は、どれもその子の舌も後ろ足も届きにくい場所です。地肌まで手を入れるのは、人の側の仕事になります。mofuwa スキンケアミストは、清涼飲料水の規格基準をクリアした電解水100%のミストです。かいたあとの地肌は、その子が次になめにいく場所です。だから、中身が水だけであることが、ここでは先に要ります。使う場所は、時期で入れ替えてください。湿度が低い時期は、ブラッシングの前に背中と首の後ろへ。毛が立つ前に根元まで湿らせておくと、静電気で引っかからずにブラシが通ります。湿度が高い時期は、散歩から帰って指のあいだと脇の下を確かめ、地肌が乾ききってからです。洗う回数を増やさずに地肌まで届くので、この記事で書いてきた「条件を1つだけ動かす」やり方をくずさずに続けられます。

最後に、この記事の答えをもう一度置きます。かゆみで受診が増える時期は、湿度が上がる側と下がる側の2か所に寄るとされていて、山が1つとは限りません。「夏だけ」と覚えていると、冬に起きているほうの変化を見落とします。割合の数字を覚える必要はありません。自分の家の1年を書き出せば、その子の分布は自分の手元にできます。

その分布ができあがるまでのあいだ、毎日やることは1つだけです。明るいところで背中の真ん中と脇の下の毛をかき分けて、指の腹で10秒さわる。この10秒は、かゆみを減らすための時間ではなく、いまどちら側の時期にいるかを毎日確かめるための時間です。1年続けると、湿度計を見る前に、指のほうが先にどちら側かを教えるようになります。

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よくある質問

かゆみが増える季節は、犬と猫で違いますか?
どちらも、湿度が上がる時期と下がる時期の両方に寄るとされています。ただ、外に出る時間が長い子ほど湿度が高い側の条件を受けやすく、室内で暖房のそばにいる時間が長い子ほど低い側の条件を受けやすくなります。犬か猫かより、その子が一日をどこで過ごしているかで決まる部分が大きいと考えてください。
同じ家の2頭で、かゆがる時期がずれるのはなぜですか?
被毛の密度と、家の中で過ごす場所が違うからです。下毛が密な子ほど、湿度が高い時期に地肌まで乾くのが遅くなります。暖房の近くで寝ている子は、低い時期の条件を強く受けます。同じ部屋にいても、床の上と高い場所では湿度も温度も違います。2頭を同じ時期の型で扱わないでください。
季節の変わり目に、洗う回数を先に減らしてもいいですか?
減らして様子を見る形なら、家でできる範囲です。ただし、汚れた日まで洗わないという意味ではありません。泥や草がついた日は洗って、そのぶん乾かす時間を確保します。回数を減らしても2週間で変化がない、あるいはかき方が強くなっているときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。