C12Q&A・豆知識

汚れが残りやすい5か所

公開日 2023年7月28日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、落ち着いて立っている淡い色の毛の犬
外から見えている面と、布を当てたときに色が出る面は、同じではありません。写真:Leohoho/Pexels

散歩から帰った犬の体を、前足の先から尾のつけ根まで順に白い布で拭いていくと、色が濃く出るのは5か所に集まります。指のあいだ、脇の下、内もも、耳の内側、尾のつけ根です。この5という数は、汚れやすい部位を数えたものではありません。1回拭いて終わらなかった部位、つまり汚れが残った部位を数えた数です。背中も頭も同じように汚れますが、そちらは一往復で布に色が出なくなります。残る5か所には、共通する条件が2つありました。人の手が届きにくいことと、目で見えにくいこと。この記事では、犬の汚れをこの2つの軸で並べ直して、どちらの軸から先に手をつけるかまで決めます。

犬の汚れが残る部位は5か所|この5という数は、何を数えた数字か

先に答えを置きます。犬の体で汚れが残りやすい部位は、指のあいだ、脇の下、内もも、耳の内側、尾のつけ根の5か所です。順位はつけていません。つけられないからです。どこがいちばん残るかは、その子の体格と毛の量、そして前の1時間にどこを歩いたかで入れ替わります。

5という数の出どころも、先に書いておきます。これは「汚れやすい部位」を数えた数ではありません。汚れがつくだけなら、地面に近い面はどこでもつきます。数えているのは、白い布で一往復させたあと、同じ場所にもう一度布を当てて、また色が出た部位です。つまり、1回の手で終わらなかった部位の数が5だった、という数え方をしています。比べている相手は、一往復で終わった部位のほうです。

この数え方には条件がつきます。体の大きさで手の入りやすさが変わりますし、毛が長いほど布に出る色は薄くなります。雨のあとと乾いた日でも変わります。ですから、5か所という数え方は「多くの家で共通して最後まで残る場所」の目安であって、その子の順位表ではありません。自分の家の数字は、布1枚で出せます。出し方はあとの項に書きます。

犬の汚れが残る5つの部位と、そこに残るもの
部位残りやすいもの1回で終わらない理由
指のあいだ砂、細かい土、草の切れはし、水分隙間が狭く、布の面が奥まで入りません
脇の下皮脂と汚れが混ざったもの前足を上げないと、面そのものが出てきません
内もも地面からの跳ね返り、水分立った姿勢では上から見えず、手も回りません
耳の内側ほこり、皮脂折り返しの内側にあり、触られるのを嫌がられます
尾のつけ根皮脂、寝床の繊維体の向きを変えないと正面から見られません

表の右の列を眺めると、理由の書かれ方が2種類に分かれているのが見えます。「布が入らない」「面が出てこない」「手が回らない」は、手の側の話です。「上から見えない」「正面から見られない」は、目の側の話です。5か所はどれも、この2つのどちらか、または両方を抱えています。次の2つの項で、軸を1本ずつ開きます。

Note順位を覚えるより、軸を2本持つほうが長く使えます

部位の順位は、その子の生活で入れ替わります。散歩の道が土か舗装か、寝床が布か板か、体が地面からどれくらい離れているか。順位は毎回変わりますが、「手が届きにくい」と「見えにくい」という2本の軸は変わりません。軸を持っていれば、この記事に出てこない部位が気になったときにも、自分で当てはめて判断できます。犬の汚れの話は、場所の暗記ではなく、条件の当てはめで済みます。

1つめの軸は、手が届きにくいこと|犬の汚れが残る部位の見分け方

軸の1本目は、手が届きにくいことです。ここでいう手は、拭く人の手のことです。その子自身の口や舌が届くかどうかは別の軸になるので、この記事では扱いません。念のため書いておくと、背中の真ん中や首の後ろは、その子自身にとっては届かない場所ですが、人の手からはいちばん届きやすい場所です。だから、この記事の5か所には入っていません。

届きにくさは、ひとまとまりの性質ではありません。形が3つあります。どの形の届きにくさなのかが分かると、対処が変わります。隙間が狭いのなら布の使い方を変えますし、面が出てこないのなら姿勢を変えます。同じ「届きにくい」でも、やることが違います。

下の2つは体の作りの話ではなく、続けられるかどうかの話です。それでも、届きにくさとしては同じように効きます。手が止まる場所は、結果として汚れが残る部位になります。1か所に5秒、同じ手つきを続けられるかどうか。5秒続けられない場所があったら、そこはこの軸で高い側に置いてください。時間ではなく、続けられるかで測ります。

見分け方は簡単です。白い布を1枚持って、体を一往復させてください。手を止めずに一往復できた場所と、途中で持ち替えたり姿勢を変えたりした場所を分けるだけです。止まった場所が、その子にとって手が届きにくい部位です。順位は要りません。止まったか、止まらなかったかの2つに分ければ足ります。毎日のケアの中で1回やれば、その日のうちに分かります。

2つめの軸は、見えにくいこと|明るさと毛の色で、犬の汚れは部位ごとに隠れます

軸の2本目は、見えにくいことです。これは体の作りだけでは決まりません。明るさと、見る角度と、毛の色の3つで動きます。同じ部位でも、部屋の明るさが変われば見え方が変わります。汚れの量が変わったわけではないのに、判断だけが変わってしまいます。

立っている姿勢の犬を上から見ると、光は上から当たっています。体の下側と内側は、その子自身の体の影に入ります。内もも、脇の下、指のあいだは、この影の中にあります。耳の内側は折り返しの裏、尾のつけ根は背中の陰。5か所のすべてが、立ち姿では影の側に置かれています。これは偶然ではなく、影になる面は地面や物に近い面でもあるので、汚れがつく面と重なるからです。

毛の色も効きます。淡い色の毛では、同じ量の汚れでも輪郭が見えます。濃い色の毛では、同じ量でも見えません。見えないほうの子で汚れが少ないわけではありません。見えにくさは、汚れの量の話ではなく、確認できるかどうかの話です。だから、毛の色が濃い子ほど、目で判断するのをやめて、布に出た色で判断するほうが確かになります。

  1. 光を足す

    部屋の明かりだけでは、体の下側に光が回りません。スマートフォンのライトを、床の側から体へ向けて当てます。上から照らしても影は消えません。影を消すには、影のできている側から当てます。

  2. 姿勢を変える

    立たせたままでは、内ももと脇の下は最後まで出てきません。横向きに寝かせるか、前足を1本持ち上げます。姿勢を変えると、見えにくさと届きにくさが同時に下がります。2本の軸に同時に効く手は、これだけです。

  3. 白い布で受ける

    目で見るのをやめて、布に出た色で見ます。白か、それに近い淡い色の布を使ってください。毛の色に関係なく、同じ基準で比べられます。使った布は、そのまま並べておくと部位ごとの差が見えます。

  4. 同じ順番で回る

    見る順番を毎回変えると、前と比べられません。前足の先、脇の下、内もも、耳の内側、尾のつけ根。順番を固定すると、その子の中での変化が拾えます。他の家と比べる必要はありません。

見えにくい部位でいちばん起きやすいのは、汚れが残ることそのものよりも、やったつもりになることです。手は動かしています。時間も使っています。ただ、確認の工程が入っていません。見えない場所には確認が入らないので、終わったかどうかを判断する材料がないまま次へ進みます。犬の汚れが同じ部位に積み上がっていくのは、この一点が理由になっていることがあります。

2つの軸で並べた比較|犬の汚れが最後まで残る部位はどこか

2本の軸がそろったので、並べます。見るのは、どちらか一方が高い部位ではなく、両方が高い部位です。片方だけなら、手か目のどちらかを足せば終わります。両方が重なっている場所だけが、最後まで残ります。

犬の汚れが残る部位を、2本の軸で分ける 左は人の手が届きにくい理由、右は目で見えにくい理由です。同じ部位が両方の列に出てくるとき、その部位が最後まで残ります。 軸は「人の手」と「目」の2本です 手が届きにくい理由 隙間が狭くて布の面が入らない 前足を上げないと面が出ない 後ろへ回らないと届かない 触られるのを嫌がって手が止まる しゃがむ姿勢が続かない 目で見えにくい理由 立ち姿では体の影に入る 上からの光が回り込まない 折り返しの裏にあって隠れる 毛の色が濃いと輪郭が出ない 確認の工程がそもそも無い 姿勢を変える手だけが、左右の両方に同時に効きます
片方だけなら、足りないほうを1つ足せば終わります。重なったところだけが残ります。

この2本を、5つの部位に当てはめます。高い・中くらい・低いの3段階で置きました。段階は測定値ではなく、前の2つの項で挙げた条件がいくつ当てはまるかの数え方です。比較の相手として、残らない部位も3つ入れてあります。

犬の汚れが残る部位を、2つの軸で比較する
部位手が届きにくい見えにくい重なり最後に残るか
指のあいだ高い高い両方残ります
尾のつけ根高い高い両方残ります
内もも中くらい高い両方残ります
脇の下高い中くらい両方残ります
耳の内側高い高い両方残ります(奥は触りません)
背中の真ん中低い低いなし一往復で終わります
頭のてっぺん低い低いなし一往復で終わります
胸元低い中くらい片方光を足せば終わります

表の下の3行が、比較の相手です。背中の真ん中と頭のてっぺんは、人の手からいちばん届きやすく、いちばん明るく見える面です。だから、同じだけ汚れがついても残りません。胸元は影に入りますが、手は届きます。片方だけなので、光を足せば終わります。残るかどうかを決めているのは汚れの量ではなく、2本の軸が重なっているかどうかでした。

Point耳の内側は、見える範囲までで止めます

耳の内側は2本の軸が両方とも高い部位ですが、他の4か所とは扱いが違います。拭くのは、めくって見える折り返しの内側までです。奥は触りません。見えない先へ布を入れると、汚れを奥へ押し込むことになります。奥が気になるとき、耳をよく振っている、においが変わった、赤いといったときは、家で拭く回数を増やさずに動物病院へご相談ください。ここだけは、軸の当てはめより先に相談が来ます。

どっちから手を入れるか|犬の汚れの部位ごとの選び方

2本の軸のうち、先に手を入れるならどちらか。結論から書くと、時間がない日は「見えにくい」ほうから、時間がある日は「手が届きにくい」ほうからです。理由は、片づく速さが違うからです。見えにくさは、その場で足せるもので下がります。届きにくさは、姿勢と慣れが要るので、日をまたぎます。

どっちの軸から入るか、選び方の目安
その日の条件先に入る軸最初の一手かかる時間
帰宅が遅く、時間がない見えにくい床の側からライトを当てて、5か所を見る1分
雨や雪のあとで、足元が濡れている見えにくい白い布を1枚当てて、色が出た部位だけ拭く2分
休みの日で、時間がある手が届きにくい横向きに寝かせて、脇の下と内ももを開く5分
触られるのを嫌がる子手が届きにくい1日1か所だけ。触る練習を先に進めます1か所30秒
毛の色が濃い子見えにくい目で見るのをやめて、布に出た色で判断します1分
体が大きく、しゃがむのがつらい手が届きにくい立たせたまま届く部位と、寝かせて届く部位を分けます3分

毎日ぜんぶを回す必要はありません。5か所を1日1か所ずつ、5日で一巡させる形にすると続きます。散歩から帰った日は指のあいだだけ、寝床のカバーを替えた日は尾のつけ根だけ、というふうに、その日にいちばん条件が動いた部位を選びます。犬の汚れは、毎日全身を追いかけるより、部位を1つに絞ったほうが最後まで手が届きます。

5か所のうち、指のあいだ、内もも、尾のつけ根の3つは、人の手が止まる部位であると同時に、その子の舌が真っ先に届く場所でもあります。拭いた直後にそこを舐めにいく子は珍しくありません。mofuwa スキンケアミストの中身は、清涼飲料水の規格基準をクリアした電解水100%です。犬猫の皮膚はヒトの3分の1ほどの薄さとされていて、しかも自分で舐める。その2つを同時に置いたときに残る形が、水そのものでした。白い布に含ませて、その日の1か所を一往復。色が出たら、面を替えてもう一度。色を見るための布と、含ませる布を1枚で兼ねておくと、5日で一巡させる形が途切れません。耳の内側だけは、めくって見える範囲までです。奥へは入れないでください。

最後に、手を入れる前に立ち止まってほしい変化を書きます。地肌が赤い、皮膚が湿ったままになっている、同じ部位をなめ続けている、腫れている、においが前と変わった、触ると嫌がり方が急に強くなった。これらは、拭き取りの回数を増やす場面ではありません。犬の汚れが残る部位は、皮膚が重なったり閉じたりしている場所と重なります。気づいた時点で、動物病院へご相談ください。いつから、どの部位か、布に出た色はどうだったか。この3つを伝えられると、話が早く進みます。

まとめます。犬の汚れが残りやすい部位は、指のあいだ、脇の下、内もも、耳の内側、尾のつけ根の5か所でした。この5か所が残るのは、汚れが多いからではなく、人の手が届きにくいことと、目で見えにくいことが重なっているからです。2本の軸のうち、見えにくさはその場で下げられます。届きにくさは、姿勢を変えることで下がります。順位を覚える必要はありません。白い布を1枚持って、止まった場所と、色が出た場所を数えれば、その子の5か所がその日のうちに出ます。

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よくある質問

汚れが残る5か所は、どの犬でも同じですか?
同じ順位にはなりません。体の大きさで手の入りやすさが変わり、毛の量で布に出る色の濃さが変わり、歩く道が土か舗装かでも中身が変わります。5か所という並びは、多くの家で共通して最後まで残る部位の目安です。その子の部位は、白い布を1枚持って前足の先から尾のつけ根まで一往復させ、もう一度当てても色が出た場所を数えれば出せます。数えるのは1回の手で終わらなかった部位だけです。順位より、手が届きにくいことと見えにくいことの2本の軸を当てはめるほうが長く使えます。
5か所を毎日ぜんぶ拭いたほうがいいですか?
毎日ぜんぶは要りません。1日1か所ずつ、5日で一巡させる形をおすすめします。全身を毎日追いかけると、続かなくなったときに5か所すべてが止まります。1か所ずつなら、その日にいちばん条件が動いた部位を選べます。散歩から帰った日は指のあいだ、寝床の布を替えた日は尾のつけ根、というふうにです。触られるのを嫌がる部位は、拭く時間を延ばすより、1回30秒で切り上げて日数を重ねるほうが結果として届きます。
見えにくい部位は、どうやって確かめればいいですか?
3つを足します。1つめは光で、部屋の明かりではなく、床の側からライトを体へ向けて当てます。上から照らしても影は消えません。2つめは姿勢で、横向きに寝かせるか前足を1本持ち上げると、脇の下と内ももの面が出てきます。3つめは白い布で、目で見るのをやめて布に出た色で判断します。毛の色が濃い子でも、布なら同じ基準で比べられます。この3つのうち、姿勢だけが見えにくさと届きにくさの両方に同時に効きます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。