C12Q&A・豆知識

鼻涙管とは?涙が鼻へ抜ける通り道

公開日 2023年7月21日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のソファに静かに伏せている白い毛の犬
目のふちを涙が越えているかどうかは、正面よりも、少し上から見たほうが分かります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

目頭のいちばん内側、まぶたのふちに、針の先ほどの小さな穴が上下に1つずつ開いています。ここが鼻涙管へ続く入口です。穴の名前は涙点と呼ばれています。鼻涙管とは、目から鼻へ涙が抜けていく細い管のことをいいます。涙は目から出るもの、という言い方をふだんしますが、作られた涙のほとんどは、この管を通って鼻の奥へ抜けていくとされています。つまり涙には、出る側と、抜ける側の2つがあります。抜ける側が細かったり、通りが悪かったりすると、行き場をなくした涙が目のふちを越えてあふれます。この記事は、涙やけの話が目の話ではなく通り道の話だった、という読みものです。

涙が通る道すじを、順番に並べます|鼻涙管という言葉に出会った経験から

目の下の毛が、いつも少しだけ湿っている。朝に押さえても、夕方には同じところがまた濡れている。この状態を人に話すと、たいてい「涙が多い子なんですね」という言い方が返ってきます。間違ってはいないのですが、その一言だけを持って帰ると、そこから先へ進めません。涙の量を減らす方法を家で探しても、見つからないからです。そもそも涙が多いとは何と比べて多いことなのか、そこも決まっていません。行き止まったところで出てくるのが、鼻涙管という耳慣れない言葉です。

涙には、作られてから出ていくまでの道すじがあります。まず涙腺で作られ、まばたきによって目の表面へ薄く広げられ、目頭の側へ集まります。目頭のいちばん内側、上下のまぶたのふちには、涙点と呼ばれる小さな穴が1つずつ開いています。集まった涙はここから吸い込まれ、涙小管と呼ばれる細い管を通って涙嚢というふくらみに入り、そこから鼻涙管を下って鼻の奥へ抜けていくとされています。

この道すじは、人の体にも同じ形で通っていると言われています。泣いたときに鼻水が出るのは、涙が鼻へ抜ける道が通っているからです。目薬をさしたあとに喉の奥で味を感じることがあるのも、同じ道で説明されます。鼻涙管とは、その道すじのうち、涙嚢から鼻の奥までを下っていく部分の呼び名です。自分の顔で心当たりがあると、この管が特別な器官ではなく、毎日ふつうに使われている通り道なのだと分かります。

涙が作られてから、鼻の奥へ抜けるまでの道すじ
場所呼び名そこで起きていること
目のふちの上のほう涙腺涙が作られるとされている場所です
目の表面涙の膜まばたきで薄く広げられ、目頭へ集まります
目頭の上下涙点針の先ほどの穴。涙の入口にあたります
目頭の奥涙小管・涙嚢入った涙が集まって、下へ送られます
鼻へ下る管鼻涙管涙が鼻の奥へ抜けていく細い管です

表を並べると、はっきりすることが1つあります。5つのうち、家から見えるのは上の3つまでで、鼻涙管そのものは外から見えません。見えないところを通っているので、そこで何が起きているのかを家で確かめる方法もありません。この記事で「〜とされています」「〜と呼ばれています」という書き方が続くのは、そのためです。断定できるところと、できないところの線を、先に引いておきます。

Noteこの記事は、目の状態を判断するためのものではありません

書いているのは、鼻涙管とは何かという言葉の説明と、その言葉を知ると目のまわりの見え方がどう変わるかの2つだけです。涙があふれている理由がどれにあたるのかは、家では決められません。急に始まった、片方だけ、目を気にしてこすっている、まぶたのふちが赤い。こうした変化があるときは、この先を読む前に動物病院へご相談ください。

作られる量と抜ける量の釣り合いで考える|犬の鼻涙管をめぐる理由の置き場所

涙の量が多いのか少ないのかを、家で数える方法はありません。そのかわりに使えるのが、釣り合いという見方です。作られる量と、抜けていく量。この2つが釣り合っているあいだ、涙は目のふちを越えません。どちらかが動いたときに、越えます。越えたぶんが毛につき、そこにとどまります。

作られる量が動く条件は、想像しやすいほうです。目にごみが入った、風の強い日だった、乾いた部屋に長くいた、においの強いものが近くにあった。どれも、その日のうちに心当たりが浮かびます。いっぽう、抜けていく量のほうは、心当たりの浮かびようがない場所にあります。通り道が細い、通りが悪い、途中の角度が急である。犬の鼻涙管をめぐる理由の多くは、この抜ける側の話です。心当たりが浮かばないのは、そこが見えないところにあるからで、何もないからではありません。

あふれやすさに関わるとされる条件を、顔の作りの側から並べておきます。どれも「あふれやすさ」の条件であって、いま目のふちが濡れている理由の答えではありません。条件が1つも当てはまらない子で涙があふれることもありますし、全部当てはまっていて何も起きない子もいます。

5つのうち、下の2つは涙の量にも通り道にも関係していません。毛の長さと色は、あふれた涙がどのくらい見えるかを決めているだけです。同じだけあふれていても、毛が短く色が濃ければ目立ちません。目立つ子と目立たない子の差が、そのまま涙の量の差だとは限らない、ということになります。ここも、鼻涙管という言葉を知る前と後で読み方が変わるところです。

涙がふちを越えているとき、どちらの側が動いた可能性があるか
動いた側家で気づける手がかり扱い
出る側(作られる量)目を細める、まぶしがる、片目だけ急に濡れた目に入ったものが関わることもあります。当日のうちに動物病院へご相談ください
抜ける側(通り道)いつのまにか始まり、毎日同じように続いている通り道の中は見えません。家で決めずに相談してください
どちらとも言えない濡れる範囲が日によって違う数日ぶんを記録してから相談すると、話が早く進みます

涙やけと呼ばれている色は、あふれた涙が毛にとどまり、時間がたって変わっていったものと言われています。つまり、色として見えているのは結果のほうで、起きているのはその手前です。拭き取りの手を強くしても、手前は動きません。家から動かせるとしたら、毛が濡れている時間の長さのほうです。

家から見えるのは入口までという、鼻涙管の考え方

鼻涙管という言葉を1つ持つと、目のまわりの見方が変わります。「涙が多い」の一言で終わっていたところに、「抜けきっていないのかもしれない」というもう1つの読み方が足されるからです。ただし、この考え方には条件がついています。どちらなのかを家で決めることはできない、という条件です。読み方が増えることと、答えが出ることは別です。考え方とは、答えの代わりになるものではなく、見る場所を決めるためのものです。

涙が作られてから、鼻の奥へ抜けるまで 涙腺で作られた涙は、まばたきで目の表面へ広げられ、目頭の涙点から入って、鼻涙管を下り、鼻の奥へ抜けていくとされています。 涙腺 作る 涙点 入口 鼻の奥 抜ける 目の表面へ 鼻涙管を下る 釣り合っているとき 作られた分が同じだけ抜ける 目のふちは越えません 抜けきらないとき 行き場をなくした涙がふちを越える 毛が濡れている時間が延びます
家から見えるのは入口までです。管の中で何が起きているかは、外からは分かりません。

家からできるのは、理由を当てにいくことではありません。見えている範囲を、同じやり方で記録することです。記録は、動物病院で話すときにそのまま材料になります。数日ぶんあれば十分で、毎日きれいに書く必要もありません。

  1. 片方か、両方かを見る

    同じ明るさの場所で、左右を続けて見ます。片方だけというのは、家で様子を見る材料にはなりません。気づいた日を書いて、早めに動物病院へご相談ください。

  2. いつからかを、日付で書く

    「最近」ではなく日付にします。急に始まったのか、ずっと同じなのかで、話の進み方が変わります。正確でなくてかまいません。今月なのか、去年からなのかが分かれば足ります。

  3. 濡れている範囲を、3段階で書く

    目頭だけ/目の下まで/頬まで下りている、の3つに分けます。段階にしておくと、前と比べられます。写真を1枚、同じ角度で残しておくと、比べる手間が減ります。

  4. 押さえたあと、何時間で戻るかを見る

    朝に押さえて、昼に見て、夜に見る。戻るまでの時間が短くなってきているなら、濡れている時間が延びています。量ではなく時間で見るのが、家でできる唯一の測り方です。

触り方も、考え方が変わると変わります。こすらないでください。乾いた布の面を目頭の側にあて、外へ向かってそっと押さえ、面を替えてもう一度。目的は色を落とすことではなく、毛についた水分を布へ移すことです。色のほうは、あとから毛が伸びるのを待つ話になります。毎日のケアとして続けるなら、朝と夜の2回で足ります。回数を増やすほど、皮膚をこする回数も増えます。

Caution通り道そのものに手を入れるやり方は、家で試さないでください

鼻涙管の通りをよくする、という趣旨のやり方が話題になることがあります。この記事では扱いません。押す、揉む、液体を差す、といった手は、目のまわりという場所の性質上、家で試して確かめられるものではないからです。涙があふれ続けている、急に始まった、片方だけ、目を気にしてこすっている、まぶたのふちが赤い、目やにの色や量が変わった。こうしたときは、押さえる回数を増やす前に動物病院へご相談ください。

記録できる変化と、記録では追えない変化|鼻涙管まわりで毎日のケアが届く範囲

最後に、毎日のケアの側から見ておける変化を並べます。変化として意味があるのは、その日の状態ではなく、前と比べてどうかのほうです。はじめて見た日にどれくらい濡れていたかは、比べる相手がないので判断できません。1週間続けて見て、はじめて前と後が生まれます。

家で記録できる変化と、その扱い
見えている変化見るところ扱い
片方だけ濡れている同じ明るさで左右を続けて見る早めに動物病院へご相談ください
急に始まった気づいた日を日付で書く同じく、早めにご相談ください
濡れる範囲が広がってきた目頭/目の下/頬の3段階記録を続けて、相談のときに伝えます
目を気にしてこすっている前足の内側が湿っていないか早めに動物病院へご相談ください
まぶたのふちが赤い、腫れている明るいところで正面から押さえたり拭いたりせず、そのまま連れて行きます
毎日ほぼ同じで、変わっていない押さえてから戻るまでの時間毎日のケアで見ていく範囲です

表の一番下だけが、家の側に残る行です。毎日のケアとは、この行のことです。毎日のケアとしてできるのは、毛が濡れている時間を短くすることだけで、通り道の側には手が届きません。顔まわりは、乾いた布の面を替えながら押さえる。朝と夜の2回。これ以上のことをしようとすると、皮膚をこする回数が増えて、目のまわりの被毛の負担のほうが先に出ます。

目の下から頬、あごの下にかけては、その子が自分では届かない場所です。前足で顔をこすることはできても、口は自分の顔まで回りません。体のほかの場所は毛づくろいで足りていても、目のまわりだけは、人が代わって触ることになります。mofuwa スキンケアミストは、電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。耳の内側でも口のまわりでも場所を選ばずに置けるのは、選ばなくてよいだけの基準でつくられているからです。この記事で家からできると書いたのは、毛が濡れている時間を短くすることだけでした。乾いた布で押さえて水分を移したあと、その下——目の下から頬、あごの下の毛に、布へ含ませてから面をあてます。目には入れないでください。まぶたのふちより外側の毛にとどめて、朝と夜、押さえるついでの数十秒で足ります。

ここまでを、言葉のほうへ戻して終わります。鼻涙管とは、目から鼻へ涙が抜けていく細い管のことです。この言葉を1つ知っておくと、目のふちを越えた涙が「出すぎている」だけでなく「抜けきっていない」という形でも読めるようになります。読み方が2つになるだけで、答えが手に入るわけではありません。それでも、読み方が1つしかない状態では、家でできることを探す場所すら決まりませんでした。

涙やけの話は、目の話ではなく通り道の話でした。そして、その通り道は家から見えません。見えないものについて家で判断しないこと、見えている濡れの時間だけを短くしておくこと、そして変化に気づいたら早めに動物病院へ相談すること。鼻涙管という言葉から持って帰れるのは、この3つです。数日ぶんの記録と、同じ角度で撮った写真が1枚あれば、相談の場でそのまま使えます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。