C12Q&A・豆知識

体のにおいが強く出る部位の順位

公開日 2023年7月7日|文=mofuwa編集部

明るく風通しのよい部屋で、淡い色の毛布の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
においの強い場所は、皮脂の出る場所と、乾きにくい場所の2つに分かれます。写真:https://kaboompics.com//Pexels

犬の体を鼻で追っていくと、においが強く出る場所は、たいてい5か所に集まります。耳、口のまわり、脇の下、指のあいだ、尾のつけ根。この5つの部位に共通しているのは、皮脂腺が多いことと、乾きにくいことの2つだけです。そして、この5か所の順位は固定ではありません。湿度の高い時期には乾きにくい部位が上がり、暑い時期には皮脂の出る部位が上がります。ここでいう順位とは、よその家の犬と比べたものではなく、同じ日の、同じ子の体の中で並べたものです。この記事では、なぜその5か所なのか、順位が季節でどう入れ替わるのか、自分の家で順位をつくるにはどうするかを、8つの問答に分けて書きます。

犬のにおいが強く出る部位はどこですか|5か所と、そこに共通する2つの条件

答えから書きます。耳、口のまわり、脇の下、指のあいだ、尾のつけ根。この5つの部位です。犬でも猫でも、体全体を同じ強さで嗅いでいくと、この5か所だけが手前に出てきます。背中や胸の真ん中は、同じ日に嗅いでも、たいてい弱いままです。においが体じゅうから均等に出ているわけではない、というのがこの記事の出発点になります。

5か所に共通しているのは、たった2つの条件です。1つは皮脂腺が多いこと。もう1つは乾きにくいことです。どちらか一方が当てはまる部位もあれば、両方が重なる部位もあります。両方が重なっているところは、季節に関係なく上位に居座ります。片方だけの部位は、条件が動いた季節にだけ順位を上げます。順位が入れ替わるのは、この2つの条件が別々のタイミングで動くからです。

5つの部位が、どちらの条件で上位に来るか
部位皮脂腺の多さ乾きにくさ
耳の入り口まわり多い毛と形で風が通りにくい
口のまわり・あごの下多い水を飲むたびに濡れる
脇の下ふつう皮膚どうしが合わさって乾かない
指のあいだふつう毛が重なって、いちばん風が届かない
尾のつけ根多い座る姿勢で圧がかかり、こもる
背中・胸の真ん中少なめ風が通る

この表は、犬のにおいの強さを測ったものではありません。その部位が、どちらの理由で上位に来るのかを分けただけの表です。皮脂の側で上がる部位と、乾きの側で上がる部位を分けておくと、季節が変わったときに「今どこが上がっているか」が読めるようになります。順位を覚えるのではなく、順位が動く理由のほうを持っておいてください。

なぜその5か所なのですか|皮脂腺が多い部位と、乾きにくい部位

においのもとになるのは、皮脂そのものではありません。出てきた皮脂に、皮膚の表面にいる菌が働いて、そこで初めてにおいのある物質に変わっていくとされています。だから、においが強くなる条件は2つに分かれます。皮脂が多く出ること、そして菌が働きやすい湿った状態が続くこと。皮脂腺が多い部位と、乾きにくい部位が上位に来るのは、この2つがそれぞれ別の入口から同じ結果に届くからです。

湿りのほうを、もう少し具体的に書きます。脇の下と指のあいだは、皮膚と皮膚、毛と毛が合わさっていて、風が入りません。体を拭いたあと、この2か所だけが乾ききらずに残ります。雑菌という言い方をされる皮膚の表面の菌は、乾いた場所より湿った場所のほうが働きやすいとされています。においが遅れて出てくる部位は、たいてい乾くのが遅い部位です。

犬のにおいの話が「洗う回数」に寄りやすいのは、皮脂の側だけを見ているからです。洗ってすぐの日でも指のあいだがにおうのは、洗ったことと乾いたことが別の話だからです。皮脂の側は洗えば減りますが、乾きの側は洗っても変わりません。むしろ、洗ったあとに乾かしきれていなければ、湿っている時間が延びるぶんだけ条件は逆に整います。

Note耳の中は、この記事の範囲に入れません

耳の入り口まわりと、耳の中は別の場所として扱ってください。ここで書いているのは、外から見えて、指が届く入り口まわりだけです。耳の中のにおいは、家で嗅ぎ分けられる範囲を出ています。耳を振る回数が増えた、片方だけをかく、頭を傾けている、耳の中の色が変わった、においが急に強くなった。こうしたときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。入り口まわりのケアと、耳の中の相談は、別々に持っておくほうが安全です。

順位とは、何と比べた順位ですか|同じ日の、同じ犬の中で並べたもの

ここが、この記事でいちばん書いておきたいところです。においの順位とは、同じ日に、同じ子の体の中で並べたものです。よその家の犬と比べたものでも、犬という種の平均でもありません。比べる相手を体の外に置いた瞬間に、この数字は使えなくなります。鼻の感じ方は人によって違いますし、部屋の温度でも変わるからです。

順位を%で示した表を見かけることがありますが、何をにおいと数えるか、いつ嗅ぐか、何人で嗅ぐかで結果は動きます。だからこの記事では、割合の数字を置きません。置けるのは、5つの部位を、同じ日の同じ鼻で並べる手順のほうです。自分の家で出した順位は、平均より粗いように見えて、その子については確実に当たります。

順位を、何と比べるかで意味が変わる
比べる相手分かること使えないところ
同じ日・同じ子の5部位今日はどこが上位かほかの子と強さは比べられません
先週の同じ子・同じ部位その部位が上がったか下がったか原因までは分かりません
洗う前と洗ったあと洗って動く部位と、動かない部位乾きの条件は別に見る必要があります
朝と夜時刻で動く部位その日の天気に左右されます
よその家の犬ほとんど何も鼻も部屋も条件がそろいません
どこかの平均値話の枕にはなります自分の家の順番は決められません

この置き方にすると、犬のにおいの話が「強いか弱いか」から「どこが1位か」へ変わります。強さは人によってものさしが違いますが、順番なら同じ鼻の中で決まるので、ぶれません。そして順番が分かれば、次にやることも決まります。1位の部位から手をつければいいだけです。

梅雨と暑い時期で、においの順位は入れ替わります

順位が動くのは、2つの条件が別々の季節に動くからです。湿度が高い時期には、乾きにくい部位が上がります。気温が上がって皮脂が動く時期には、皮脂腺の多い部位が上がります。梅雨のころに指のあいだと脇の下が上位へ来て、真夏には口のまわりと尾のつけ根が上位へ来る。同じ犬の同じ体でも、順位はこうして入れ替わります。

湿度が高い時期と、気温が高い時期で上位に来る部位 においの強い5つの部位のうち、乾きにくさで上がるものと、皮脂の多さで上がるものを分けています。同じ体でも、季節によって上位が入れ替わります。 どちらの時期も、耳の入り口まわりは上位に残りやすい部位です 湿度が高い時期 指のあいだが上位へ来ます 脇の下が乾ききりません 耳の入り口まわりも上がる 拭いたあとの乾かしが効く 換気で順位が下がります 気温が高い時期 口のまわりが上位へ来ます 尾のつけ根が上がります 耳の入り口まわりも上がる 洗う間隔のほうが効く 食器と寝床が絡んできます 上位に来る部位が違うので、同じ手順を続けると片方だけ取り残されます
順位を覚えるより、いまどちらの条件が動いているかを見るほうが早く決まります。

この入れ替わりを知っていると、ケアの手順を季節ごとに組み替えられます。湿度が高い時期に効くのは、洗う回数ではなく、乾かす時間と換気です。指のあいだと脇の下は、洗っても乾かなければ順位が下がりません。逆に、気温が高い時期に指のあいだだけ念入りにしても、上位に来ている口のまわりと尾のつけ根は手つかずのままです。順位が動いているのに手順が動かないと、毎年同じ場所で取りこぼします。

寒い時期についても、ひとこと書いておきます。冬は部位の順位より、部屋の空気のほうが先に変わります。窓を開ける回数が減り、においが部屋にとどまるので、体の順位は変わっていないのに「においが強くなった」と感じやすくなります。この場合、犬の体を洗っても感じ方は変わりません。順位を確かめるのは、窓を開けて空気を入れ替えたあとにしてください。

自分の家の順位を知りたい|嗅ぐ順番と、鼻を戻す時間

順位を知りたいときは、5分で足ります。大事なのは、嗅ぐ順番と、1か所ごとに鼻を戻す時間の2つだけです。人の鼻は、強いにおいを嗅いだあとしばらく感度が落ちます。いきなり1位を嗅いでしまうと、そのあとの4か所が全部弱く感じられて、順位が作れません。だから弱いと思う部位から順に嗅いでいきます。

  1. 窓を開けて、5分待ってから始める

    部屋の空気に慣れた鼻では、体の順位が読めません。先に部屋のにおいを外へ出してから、体に戻ります。換気を先にするだけで、判定がぶれにくくなります。

  2. 背中の真ん中から始める

    ここがその子の「弱いほうの基準」になります。1位を先に嗅がず、基準を先に作るのがコツです。この時点の感じ方を覚えておいてください。

  3. 脇の下、尾のつけ根、口のまわり、指のあいだ、耳の入り口の順で嗅ぐ

    1か所ごとに、顔を上げて10秒ほど別の空気を吸ってから次へ移ります。続けて嗅ぐと、2か所目からは差が分からなくなります。

  4. 強かった順に、5つを並べて紙に書く

    順位は覚えようとせず、書いてください。次に測ったときに、入れ替わったかどうかが分かるのは、書いてあるときだけです。日付と、その日の天気も1行だけ添えます。

  5. 季節が変わったら、同じ順番でもう一度

    梅雨の入りと、真夏と、冬。年に3回で十分です。順位が入れ替わっていたら、ケアの順番もそこで組み替えます。

この5分でできるのは、犬のにおいを弱くすることではなく、どこから手をつけるかを決めることです。体じゅうを毎日ケアするのは続きません。1位と2位の部位だけを毎日、残りは週に1回。そう決められるようになるだけで、かかる時間が半分以下になります。順位は、手を抜く場所を決めるためにあります。

1日の中でも順位は動きますか、という疑問|時刻で入れ替わる部位

動きます。朝と夜では、上位に来る部位が違います。これは季節の入れ替わりより短い周期で起きていて、順位を測るときにいちばんぶれる原因になります。だから、測る時刻を決めておく必要があります。犬の体は、寝ている時間と動いている時間で、湿る場所が変わるからです。

時刻ごとに、上位へ来やすい部位が変わる
時刻上がりやすい部位理由
起きた直後寝床に接していた面、脇の下夜のあいだ、風が当たっていません
食後口のまわり、あごの下食器に触れた毛が濡れています
散歩から帰った直後指のあいだ外の湿りと汚れが、毛の奥に残ります
昼寝のあと腹の下、尾のつけ根床に接していた面が乾いていません
夜耳の入り口まわり1日ぶんの皮脂が積み上がっています
洗った直後指のあいだ、脇の下乾ききっていない部位だけが残ります

この疑問に答えを出しておくと、順位の測り方が安定します。おすすめは、起きて換気をしたあと、朝いちばんに測ることです。1日の活動が入る前なので、その子の体そのものの条件に近くなります。夕方に測ると、その日の散歩と食事が乗ってしまって、季節どうしの比較ができません。

そして、時刻で動くということは、ケアを入れる時刻を変えるだけで順位が下がる部位があるということでもあります。散歩のあとに指のあいだ、食後に口のまわり。においの出た部位を探して回るより、上がる時刻の直後に1か所だけ触るほうが、手数が少なくて済みます。

毎日のケアでは、においの強い部位からどう手をつけるか

毎日洗うわけにはいかないので、実際の手当ては「水を使わない日に、上位2つだけ触る」という形になります。5か所を全部やろうとすると続きません。順位を作った意味は、ここで削るためにあります。1位と2位を毎日、3位以下は週に1回。それで十分です。

順番も決めておきます。拭き取りは、上位の部位から先ではなく、乾きにくい部位から先にしてください。湿らせて拭くと、その場所はしばらく濡れます。最後に指のあいだを拭くと、そこが乾く時間がいちばん短くなってしまいます。乾くのに時間がかかる部位から始めて、最後は口のまわりのように風の当たる場所で終わる。この順番だけで、翌朝の順位が変わります。

5か所のうち、指のあいだと口のまわりは、その子が自分で舐めて回れます。脇の下と尾のつけ根と耳の入り口には、舌が最後まで届きません。順位の上位がいつまでも動かない家では、たいていこの届かない3か所が残っています。水を使わない日は、よく絞った柔らかい布で、毛が重なる部位を布ごと挟んで押さえるだけで足ります。そして体を洗う日に使うものも、この3か所を基準に選べます。mofuwa モイストシャンプーには、香りが足されていません。使っている洗浄成分はアミノ酸系のものだけで、量も多くありません。泡立ちのぶんは、原料の水にした電解水が受け持っています。必要なぶんまで持っていかないので、洗ったあとに手ざわりを戻す工程が続きません。香りを重ねない1本で洗えば、翌日でも5か所の順位をそのまま並べられます。香りを足すもので洗うと、どの部位が上位かを数日のあいだ読めなくなります。工程が1つ減れば犬が濡れている時間も短くなるので、洗った直後だけ脇の下が1位へ上がる、あの入れ替わりも小さく済みます。耳の中には入れないでください。

換気についても、1行だけ。拭いた直後に窓を開けると、乾く時間が短くなります。湿度の高い時期は、風を通すことのほうが拭き取りより効くことがあります。犬の体だけを見ていると、この手は出てきません。部位の順位と、部屋の空気は、別々に打てる2つの手です。

においが大丈夫かどうかの線は、順位が崩れたところにあります

最後の問いです。においが強いかどうかでは、大丈夫かどうかは決められません。強さの感じ方は人によって違いますし、季節でも変わります。決められるのは、順位のほうです。いつもの順位から外れた部位が上位へ来たとき、それは条件が動いたのではなく、その部位で何かが変わったサインとして扱えます。

たとえば、背中の真ん中や、後ろ足の外側のように、ふだんは下位にいる部位が急に1位へ来たとき。あるいは、左右で同じはずの部位が、片側だけ強くなったとき。順位の入れ替わりが、季節でも時刻でも説明できないときが、家で判断する範囲の外です。においの強さではなく、順番の崩れ方を見てください。

順位の動き方で、次にやることが変わる
起きたこと考えられること次にやること
梅雨に指のあいだが1位へ乾きにくさの条件が動いた乾かす時間と換気を増やす
暑い時期に口のまわりが1位へ皮脂の条件が動いた食後の1回を足す
洗った直後に脇の下が1位へ乾ききっていない洗う手順ではなく乾かす手順を見直す
下位の部位が急に1位へ季節では説明がつかないその部位の皮膚を見て、記録する
左右の片側だけ強い片側に理由があるかもしれないいつからかをメモして相談する
どの部位も同じだけ強い部屋の空気のほうが動いている換気してから、もう一度測る

8つの答えを、ひとつに畳みます。犬のにおいが強く出る部位は5か所。理由は皮脂腺の多さと、乾きにくさの2つ。順位は同じ日の同じ体の中でだけ意味を持ち、季節と時刻で入れ替わる。だから覚えるのは順位そのものではなく、いま動いているのがどちらの条件かということ。手をつけるのは上位2つだけで足ります。

Caution順位の話を離れて、動物病院にご相談いただきたいとき

ふだん下位の部位が急に強くなった、片側だけにおう、その部位の皮膚が赤い・ただれている・脱毛している、耳を振る回数が増えた、頭を傾けている、同じ場所を舐め続けて止まらない、拭いても半日でにおいが戻る。こうしたときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。いつから、どの部位が、左右のどちらかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。においは家で数字にしにくいものですが、順位の崩れ方なら伝えられます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。