C12Q&A・豆知識
夏のアスファルトは何度になる?
夏の夕方、日が沈んで空の色が変わったころにアスファルトへしゃがんで手のひらをかざすと、下から熱が上がってきているのが分かります。アスファルトの温度は、よく晴れた日の日中に、素手で長く触っていられないほどまで上がることがあるとされています。ただ、この記事では数字のほうを主役にしません。夏のアスファルトについて出かける前にいちばん使えるのは、何度になるかではなく、いつ下がるかという答えだからです。短く言うと、日が落ちてもすぐには下がりません。しかも、下がるまでの遅れは日によって違います。犬と歩く時刻を決めるときに、この遅れが入っていないと判断がずれます。この記事では、その遅れの中身を8つの問いに分けて開きます。
夏のアスファルトの温度とは、何度のことを指しているのですか
先に、この言葉が何を指しているかを決めておきます。アスファルトの温度とは、舗装そのものの表面の温度のことです。空気の温度とは別に動きます。天気予報で読み上げられる数字は空気のほうなので、足元の面の話をしたいときには、そのまま持ってこられません。
では何度になるのか。よく晴れた夏の日中には、素手で長く触っていられないくらいまで上がることがあるとされています。幅のある言い方をしているのは、ぼかしているからではありません。同じ日の同じ道でも時刻で変わり、同じ時刻でも日によって変わり、同じ通りでも数メートル先で変わるからです。1つの数字を覚えて出かけると、その数字が当てはまらない日のほうが多くなります。
そこで、この記事では問いのほうを1つ変えます。夏のアスファルトは何度になるか、ではなく、いつ下がるか。答えは、日が落ちてもすぐには下がりません、です。空気は日が沈むと下がっていきますが、舗装は抱えた熱を手放すのに時間がかかります。この時間差のことを、この記事では遅れと呼びます。犬と歩く時刻を決めるときに効いてくるのは、日中の高さよりも、この遅れのほうです。
並べれば読みやすくはなりますが、その数字がそのまま自分の家の前の道に当てはまるとは限りません。舗装の色と厚み、下の地盤、まわりの建物、風、前の日からの天気。条件が変われば別の数字になります。数字を覚えるより、遅れがどういう条件で大きくなるかを持ち帰ったほうが、目の前の道について判断できます。危ないと脅すための記事ではなく、確かめる場所を1つに決めるための記事です。
なぜ日が落ちても、アスファルトの温度は下がりきらないのですか
理由は、舗装に厚みがあるからだと説明されます。日中に受けた熱は、表面にとどまらず、厚みの中へ少しずつ入っていくとされています。朝から夕方まで日が当たり続けると、表面だけでなく、その下にも熱がたまっていきます。ここが、薄いものと違うところです。
日が落ちると、まず空気が冷えます。次に、舗装の表面が空気に触れている側から冷え始めます。ところが、厚みの中に入った熱は、こんどは表面へ戻る向きに動きます。上からは冷やされ、下からは温められる。この2つが同時に起きているので、表面の温度は空気ほど急には下がりません。火を止めたあとの土鍋が、しばらく熱いままなのと同じ形です。
つまり、下がらないのではなく、下がるのに順番と時間がかかります。日没は、下がり始める合図ではあっても、下がり終わった合図ではありません。合図と結果のあいだにある時間が、遅れです。
| 変わるもの | 変わる速さ | 人が気づけるか |
|---|---|---|
| 明るさ | いちばん速い | 見ればすぐ分かります |
| 顔に当たる空気 | 速い | 涼しくなったと感じます |
| 舗装の表面 | 遅い | しゃがんで手をかざすと分かります |
| 舗装の内部 | いちばん遅い | 外からは分かりません |
| まわりの建物や壁 | 遅い | 近づくと熱が残っているのが分かります |
表の上の2つだけを見て判断しているのが、いつもの夕方です。明るさと空気は、日が傾くとほぼ同時に変わります。だから、その2つで判断すると、変化が早く来たように見えます。下の3つは、同じ合図では動いていません。アスファルトの温度の話が分かりにくいのは、速いものと遅いものが同じ「夕方」という言葉の中に入っているからです。
夕方まで待てば涼しい、という疑問に答えます|犬が歩く面はまだ動いていません
夕方まで待てば大丈夫ではないか。これはとても自然な疑問で、実際に人にとっては正しい判断です。問題は、その判断に使っている材料が、足元の面とつながっていないことです。人が涼しくなったと感じるとき、使っている手がかりは3つあります。
- 明るさが落ちたこと:日が傾いたことは分かりますが、面の温度は教えてくれません
- 顔に当たる風:地面から1メートル以上上の空気の話です
- 日差しが直接当たらなくなったこと:これから入ってくる熱が減った合図で、すでに入った熱の話ではありません
- まわりの人が薄着で歩いていること:靴を履いた人の体感です
- 時刻そのもの:何時になったかは、その日の天気を含んでいません
5つとも、間違った手がかりではありません。ただ、どれも空気と光の側の情報で、舗装の側の情報が1つも入っていません。犬と歩くときに足が触れているのは舗装の側です。人の判断材料と、その子の足が受け取る条件のあいだに、遅れのぶんだけずれが残ります。
念のため書いておきます。夕方が危ない、という話ではありません。夕方という時刻が、確かめなくてよい理由にはならない、という話です。実際、夕方でも下がっている日はあります。下がっている日と、まだ残っている日が、同じ「夕方」という言葉で呼ばれていることが問題なので、時刻の側を疑うのではなく、面の側を1回見れば済みます。
同じ夕方でも、日によってアスファルトの温度の残り方が違うのはどうしてですか
遅れの大きさは、毎日同じではありません。同じ午後7時でも、昨日と今日では別の面です。何時間で下がる、という数え方ができないのは、遅れを決めている条件がいくつもあって、その組み合わせが日ごとに変わるからです。条件を並べておきます。
| 条件 | 遅れが大きくなる側 | 遅れが小さくなる側 |
|---|---|---|
| 日が当たっていた時間 | 朝から夕方まで晴れ続けた | 途中で雲が出て日が陰った |
| 風 | 弱い、または無風 | 風が通り抜けている |
| 夜の空 | 雲が広がっている | よく晴れて空が開けている |
| まわりの様子 | 建物や壁に囲まれている | 広い場所で、空が見える |
| 舗装の色と厚み | 色が濃く、厚い | 色が明るく、薄い |
| 前の日からの流れ | 暑い日が続いている | 前日に雨が降った |
表の右の列がそろった日は、日が落ちてしばらくすれば下がっています。左の列がそろった日は、同じ時刻でもまだ残っています。そして、多くの日はその中間にあります。だから、遅れを時間の数字で言い切ることができません。「日没から◯時間」という覚え方をつくると、条件が違う日に外れます。
もう1つ、同じ日の中でも場所によって違います。建物の北側でずっと影になっていた区間と、西日を受け続けた区間は、同じ通りの中でも別の面です。行きに通った道と、帰りに通る道でも変わります。アスファルトの温度は、日付と時刻の2つでは決まらず、場所がもう1つ要る、ということになります。
何時に出れば安全なのか知りたいです|時刻で答えられない理由
はっきり答えます。時刻では決められません。これは答えを濁しているのではなく、前の項で並べた条件が理由です。時刻という目盛りには、その日の日照時間も、風も、雲も、前日の天気も入っていません。入っていないものは、時刻を見ても分かりません。
ただし、方向だけなら言えます。日が落ちてから時間が経つほど、アスファルトの温度は下がっていく方向にあります。明け方がいちばん低いことが多いとされています。言えるのは方向で、言えないのは点です。「7時なら大丈夫」という点は出せませんが、「7時より9時のほうが下がっている」という向きは出せます。
だから、時刻を捨てる必要はありません。時刻は、確かめる回数を減らすために使います。日中に出るなら確かめる回数は増え、明け方に出るなら減る。時刻は判断そのものではなく、判断の手間の目安として置いておくと、ちょうどよく働きます。
| 出かける時刻 | 遅れの効き方 | 確かめる回数の目安 |
|---|---|---|
| 日中 | これから熱が入り続けます | 出る前と、道が変わるたびに |
| 夕方 | 遅れがいちばん効く時間帯です | 出る前と、帰り道でもう一度 |
| 日没から数時間 | 下がっている日と、残っている日が混じります | 出る前に1回 |
| 夜おそく | 下がっていることが多くなります | 出る前に1回 |
| 明け方 | いちばん低いことが多いとされます | 連日暑い日が続いたときだけ |
時刻の代わりに、犬と歩く道のどこを確かめればいいのですか
確かめ方そのものは単純で、これから歩く面に、手の甲を当てるだけです。手のひらより手の甲のほうが熱を感じ取りやすいので、甲の面を使います。この記事で決めておきたいのは、当て方ではなく、どこで、何回当てるかのほうです。遅れは場所ごとに違うので、1か所だけ触っても、その1か所のことしか分かりません。
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玄関の前ではなく、実際に歩く区間で当てる
建物の陰になっている玄関先は、その日いちばん遅れの小さい場所です。角を曲がった先の、西日が当たっていた区間まで出てから当ててください。家の前だけで判断すると、いちばん条件のいい面で全体を決めることになります。
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3か所で当てる
日なただった区間、影だった区間、その境目。遅れは面ごとに違うので、3か所そろえば、その日の道の幅が分かります。3か所とも下がっていれば、途中で判断し直す必要はほとんどありません。
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色の違う面は、別に当てる
横断歩道の白い部分と、そのまわりの黒い舗装は、同じ場所にあっても別の面です。色が明るいほうが早く下がる傾向にあるとされます。マンホールや側溝のふたも、まわりと分けて当ててください。
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帰り道で、もう一度当てる
行きに確かめた結果は、帰りには使えません。日はさらに落ちていますが、遅れのぶんだけ、面はまだ動いている途中です。行きと帰りで、下がっている場所と残っている場所が入れ替わることもあります。
手の甲で確かめる利点は、目の前の面そのものを測っていることです。アスファルトの温度をめぐる知識は、出かける日を選ぶのには使えますが、いま歩こうとしている1本の道について何も言ってくれません。手の甲は、その1本の道の話をします。犬と歩く道は、たいてい毎日ほぼ同じです。同じ道なら、3か所の場所も毎日同じでかまいません。慣れると、玄関を出てから30秒で終わります。
当てて熱いと感じたときは、道を変えるか、時間をずらすかの2つです。同じ時刻に同じ道を選び直しても条件は変わりません。日陰の区間が続く道、土や草の面が混じる道、屋内の通路。どれも選べないときは、その日は距離を短くして、外で過ごす時間そのものを減らします。散歩に出ないという選択も、その日の条件では正しい判断になります。
朝の時間帯なら、アスファルトの温度は下がっていますか
朝は、遅れがこちらの味方になる時間帯です。夜のあいだに手放した熱がいちばん抜けきっていて、その日の日射はまだ入り始めたばかりだからです。だから、確かめる回数もいちばん少なくて済みます。
ただし、条件が1つあります。暑い日が何日も続くと、夜のあいだに手放しきらないことがあるとされています。前の日の熱が抜けきる前に、次の日の熱が入ってくる。この形になると、朝でも面に熱が残っている日が出てきます。連日暑い日が続いているときは、朝でも1回だけ当ててください。
もう1つ、朝は日が低いので、影の位置が日中とまったく違います。朝に影だった区間は、帰るころには日なたになっています。朝の散歩が長くなる日は、出るときの面と、帰るときの面が別だと思っておいてください。ここでも、帰り道でもう一度当てる手が効きます。
犬と歩く時刻を決めるときは、この順で考えると迷いません。1つめは、日が当たっている時間が短い時刻を選ぶこと。2つめは、選んだ時刻でも面を確かめること。1つめだけだと遅れを見落とし、2つめだけだと毎回の手間が増えます。2つそろえて、はじめて時刻が役に立ちます。
時刻ではなく順番で整理する|犬とアスファルトの温度をめぐる答えの一覧
8つの問いを、答えの側から並べ直します。覚えて帰るのは1行で足ります。答えは「何度になるか」より「いつ下がるか」で、その「いつ」は日によって違う、ということです。
| 問い | 短い答え |
|---|---|
| 夏のアスファルトの温度とは | 舗装そのものの表面の温度。空気の温度とは別に動きます |
| 何度になるのか | よく晴れた日中は素手で長く触っていられないほどになることがあるとされます |
| なぜ日が落ちても下がらないのか | 厚みの中に入った熱が、表面へ戻る向きに動くからです |
| 夕方なら大丈夫か | 下がっている日と、残っている日が混じります |
| 遅れは何時間か | 条件で変わるので、時間では言えません |
| 何時なら安全か | 時刻では決められません。方向だけが言えます |
| 代わりに何を見るか | これから歩く面に手の甲を当てます。3か所と、帰り道でもう一度 |
| 朝はどうか | いちばん低いことが多いとされますが、連日暑いときは朝も当てます |
帰ってきたあとにやることも、1つに決めておきます。足の裏と、指のあいだと、腹に近い低い面を見ることです。地面に近い面ほど、外のものを受け取っています。毎日のケアとしては、ここを一往復するだけで足ります。夏は洗う回数を増やしたくなりますが、洗う回数が増えると皮膚と被毛の側の条件も毎日動くことになります。
その一往復で最後に手が止まるのは、たいてい肉球の面です。熱を持った面を歩いた日ほど、夜になってから表面のかさつきが目につきます。ここでクリームを出したことのある方は、たいてい1週間で置き場所ごと忘れています。理由は決まっていて、塗ったあとにその子が部屋を歩き出すからです。ロウや油脂をベースにしたものはべたつきが残るので、夏に素足で暮らす家ほど、床の側に跡が伸びていきます。
mofuwa 肉球クリームに配合されているヒアルロン酸は4種類。分子量の大小で、角質層へ入る役と、表面で膜になる役に分かれています。11の成分は入れていません。べたつきが残らないので、塗ってから床へ下ろすまでの待ち時間がいりません。出かける前に手の甲で面を確かめ、帰ってきた夜に同じ手で肉球を触る。アスファルトの温度に向き合う夏の1日は、この2回の接触で挟むと形になります。塗るのは面だけで、指のあいだには入れません。
最後に、線を引いておきます。肉球の色が変わった、皮がむけている、歩き方がいつもと違う、しきりにそこをなめている、帰ってから呼吸が戻らない。こうしたときは、家で様子を見ないでください。アスファルトの上を歩いた日かどうかにかかわらず、気づいた時点で動物病院へご相談ください。歩いた時刻と、道の様子と、いつから変わったかを伝えられると、相談が早く進みます。
まとめます。夏のアスファルトの温度は、日が落ちてもすぐには下がりません。下がるまでの遅れは、日照時間・風・雲・まわりの建物・舗装の色と厚み・前の日からの流れで変わります。だから、夕方という時刻は安全の証明になりません。時刻は確かめる回数を決めるために使い、判断そのものは、これから歩く面に手の甲を当てて出します。犬と歩く道は毎日ほぼ同じなので、当てる3か所も毎日同じで足ります。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
