C05犬種・猫種別ケア
ネベロングの長毛|毛のもつれを毎日のケアで防ぐ
夕方、窓を背にしたネベロングを見ていると、体の輪郭が毛の外側でぼやけて、どこまでが体なのか分からなくなります。毛先が細く、その部分だけ銀色に光を返すからです。ふわりと広がって見えているのは、毛の量ではなく、光の散り方のほうです。ところがこの見え方は、毛が根元まで通っているときと、内側で毛が寄り始めたときで、ほとんど変わりません。ネベロングのもつれは、指で触って気づくより先に、このふわりの高さのほうが変わります。この記事は、光が抜ける毛の作りから始めて、目で気づけないぶんを毎日のどこに置き換えるか、という話です。
毛先まで光が抜ける|ネベロングのもつれが見つけにくいという経験
ネベロングと暮らし始めて、多くの方が最初に戸惑うのは、もつれを目で探そうとしても、探す手がかりが見つからないという経験です。他の長毛の猫なら、毛がまとまった場所は影になります。毛が寄れば密度が上がり、密度が上がった場所は暗く見えるからです。ネベロングでは、その影が出ません。肩の後ろに指を入れて、はじめて「ここで止まる」と気づきます。
理由は毛の1本の形にあります。ネベロングの毛は、根元から毛先へ向かうにつれて細くなります。毛先の1〜2センチほどは特に細く、色が抜けて銀色に見えます。細いということは、光がそこで止まらずに通り抜けるということです。通り抜けた光は毛の外へ散り、隣の毛に当たって、また散ります。体の表面から少し浮いたところに、光だけでできた薄い層があるような見え方になります。
この層が、下で起きていることを覆い隠します。内側で毛が寄って束になっても、その上を覆っている毛先が光を返すので、束の影は外まで届きません。ネベロングのもつれが見つけにくいのは、毛が多いからでも、色が濃いからでもなく、いちばん外側にある毛先が、下を見せないようにできているからです。
だから、目で確かめるという方法そのものが、この猫では成り立ちにくくなります。毎日きちんと見ているつもりでも、見ているのは光の層のほうです。ブラッシングのたびに全身を目で追っている飼い主さんほど、「昨日まで何ともなかったのに、急にもつれていた」と感じます。急にできたのではなく、見えるようになるまでに時間がかかっただけです。
- 毛先が細い:光が止まらずに通り抜けます。影の代わりに、散った光が残ります
- 毛先だけ色が抜けている:外側がいちばん明るいので、内側との差が消えます
- 毛が体に沿って寝る:立ち上がらないので、分け目のような線が出ません
- 毛の長さがそろっている:長さの差でできる段差が、輪郭に出てきません
- 下から見上げる角度がない:猫は低い位置にいるので、飼い主は上からしか見ていません
ネベロングの被毛は、量そのものは長毛の猫として特別多いほうではありません。もつれの見つけにくさを決めているのは量ではなく、毛先が光を透かすという1本ごとの形のほうです。量の話にすると、答えは「もっと長い時間ブラッシングする」になります。見え方の話にすると、答えは「目で探すのをやめて、別の合図を決める」に変わります。時間を増やす前に、何を合図にするかを決めてください。
先細りの毛先と、体に沿って寝る長さ|ネベロングのふわりが生まれる背景
ネベロングという名前は、ドイツ語で霧を意味する語から来ています。青灰色の被毛の先に銀色が乗って、体の輪郭が霧のようににじむ。その見え方そのものが、この猫の特徴として名前になりました。つまり、輪郭がぼやけるのは不具合ではなく、被毛の背景そのものです。飼い主として付き合っていくのは、この「にじむ」という性質のほうになります。
被毛はセミロングと呼ばれる長さで、床につくほどではありません。体に沿ってなだらかに寝るので、面としてはとても均一に見えます。毛が立ち上がる猫なら、指を入れなくても毛の流れが乱れている場所が分かります。ネベロングでは、流れが乱れても、上に乗っている毛がそこを埋めてしまいます。均一に見えるのは、整っているからではなく、乱れが埋まるからです。
| 毛のどこ | 太さと見え方 | そこで起きること |
|---|---|---|
| 毛先(外側1〜2cm) | いちばん細く、銀色に見える | 光が通り抜けて散る。下を隠す層になる |
| 中ほど | 太さが増し、青灰色に戻る | 隣の毛と触れ合う。もつれが始まるのはここ |
| 根元の側 | いちばん太く、密 | 皮脂とうるおいが集まる。指が止まるのもここ |
もつれが始まる場所は、いちばん外の毛先ではなく、中ほどから根元にかけての、毛と毛が触れ合っている帯です。ここは動くたびに毛どうしがこすれ、抜けた毛が引っかかったまま残ります。換毛期にはその量が増えます。そして、そこで起きたことの上に、光を透かす毛先が乗ります。もつれの現場と、飼い主が見ている面のあいだには、毛1本ぶんの距離ではなく、数センチの厚みがあります。
空気が乾く季節には、これに静電気が加わります。細い毛先ほど帯電しやすく、隣の毛と反発したり引き合ったりを繰り返します。反発している時期のほうが、ふわりは高く見えます。見た目がいちばん良いときに、内側では毛が動き回っている、ということが起こります。うるおいが下がっている時期のふわりは、整っている合図として読まないでください。
見た目で判断できないと言われると身構えてしまいますが、同じ場所・同じ時刻・同じ向きで撮った1枚があると、見え方の差は後から比べられます。おすすめは、窓を背にした横向きの1枚です。逆光のほうが毛先の光がよく出るので、ふわりの高さの差が写ります。週に1枚でも、1か月分たまれば、記憶より正確な記録になります。
手より先に、ふわりの高さが変わる|ネベロングのもつれが触る前から進む理由
見た目で分からない、と書いてきましたが、正確には少し違います。変わってはいるのですが、変わり方が「輪郭の形」ではなく「光の質」のほうに出るので、形を探している目には引っかからないという理由です。探すものを形から光に切り替えると、ネベロングのもつれは触る前にも読めるようになります。
内側で毛が寄ると、その一帯だけ毛の根元が引かれます。引かれた根元は、上に乗っている毛先の角度を少しだけ変えます。角度が変わると、光の返る向きが変わります。結果として、その場所だけ、ふわりの高さが低くなります。周りより数ミリ沈んで見える、光の広がりが狭い、輪郭のにじみ幅が短い。もつれそのものは見えなくても、これらは見えます。
| 見るもの | 整っているとき | 内側で毛が寄り始めたとき |
|---|---|---|
| ふわりの高さ | 体の線から均一に浮いている | その一帯だけ沈んで、面に段差が出る |
| 光の返り方 | 毛先の銀色が広く散る | 散る幅が狭く、色が暗いほうへ寄る |
| 輪郭のにじみ | 逆光でにじみ幅が一定 | にじみが途中で途切れて、線が出る |
| 毛の流れ | 後ろへ向かって一方向 | 流れが途中で分かれ、渦のように回る |
この4つのうち、いちばん早く出るのはふわりの高さです。触ったときの「指が止まる」より、数日から1週間ほど早く出ます。逆に言えば、指が止まる状態まで進んだもつれは、すでに何日か前から見えていたということになります。ネベロングで手当てが遅れるのは、合図が出ていなかったからではなく、その合図を探していなかったからです。
確かめるときは、猫の目線より少し低い位置から、横向きに見てください。上から見下ろすと、毛先の光は真上へ返ってきてしまい、高さの差が消えます。床に座って、窓を背にした猫の背中の線を横から見る。それだけで、上から見ていたときには分からなかった段差が出てきます。1日1回、抱き上げる前の数秒で足ります。
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床に座って、猫の背中を横から見る
視線の高さを猫に近づけます。窓や照明を猫の向こう側にすると、毛先の銀色が浮き上がります。探すのはもつれの塊ではなく、ふわりの高さがそろっているかどうかです。首の後ろから腰まで、線をたどるように見てください。
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沈んで見えた場所を、指1本で確かめる
見つけた場所にだけ、毛の流れと直角に指を沈めます。全身をなでる必要はありません。指が地肌まで届けば、そこはまだ通っています。途中で押し返されるなら、そこが今日の作業場所です。押し返された深さが、そのまま寄っている毛の厚みになります。
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その場所の毛を、根元の側から少しずつ分ける
上から一気にとかすのではなく、指で毛を左右に分けて、下の層を1枚だけ出します。出した層のぶんだけブラシを通し、分ける線を少し上へ移す。ネベロングは毛が寝ているので、分けないと道具の歯が表面を滑って終わります。
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終わったら、もう一度横から見て高さを比べる
作業した場所のふわりが、周りと同じ高さに戻っているかを見ます。戻っていれば、その日はそこで終わりです。まだ沈んでいるなら、残りは翌日に回してください。1回でならしきろうとすると、根元を引くことになります。
ふわりが沈んでいる場所は、根元が引かれている場所です。そこへ上からブラシを強く入れると、寄った毛ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。猫は毛を引かれた記憶を長く覚えるので、次からブラシを見ただけで離れていきます。ほどききらなくて構いません。層を1枚出して、出せたぶんだけ通す。嫌がる、耳を伏せる、尾の先が動くというときは、その場で手を止めてください。
見えないものは、日と場所で決めて触る|ネベロングの毎日のケアの考え方
ここまでで、ネベロングのもつれは目で探すものではなく、光の質の変化として読むものだと分かりました。とはいえ、毎日その読み取りに集中していられる方は多くありません。そこで、見え方に頼らない仕組みをもう一段重ねます。考え方は単純で、気づいたときに触るのをやめて、決めた日に決めた場所を触ることです。
ネベロングも、舌が届く面は自分で毎日一巡させています。毛づくろいの回数そのものは、ほかの長毛の猫と変わりません。だから飼い主の仕事は、全身をとかすことではありません。その子の舌が届かない場所を、人が代わるだけです。猫の舌が届かないのは、首の後ろ、肩甲骨のあいだ、あごの下、脇の内側、そして後ろ脚の付け根です。ネベロングのもつれが繰り返し戻ってくるのも、たいていこの5か所になります。
| 場所 | 毛の条件 | 触る目安 |
|---|---|---|
| 首の後ろ | 毛が長く、寝ている時間が長い | 週2回。いちばん戻りやすい |
| 肩甲骨のあいだ | 左右の毛の流れがぶつかる | 週2回。流れが分かれる線を探す |
| 脇の内側 | 動くたびに毛どうしがこすれる | 週1回。短時間で終わらせる |
| 後ろ脚の付け根 | 座る姿勢でつぶれる | 週1回。立っているときに |
| あごの下 | 食器と水皿に触れる | 毎日。ここだけは目で見えます |
5か所を1日でまとめて回そうとしないでください。ネベロングは触られること自体を嫌がる猫ではありませんが、1回が長くなるほど、次の回の許容時間が短くなります。1日1か所、1回2〜3分。この形にすると、週のうちに5か所すべてが1周します。もつれが進む速さより、周る速さのほうが速ければ、指が止まる状態まで進みません。
換毛期には、周る速さのほうを上げます。抜けた毛が根元の帯に残る量が増えるので、同じ間隔では追いつきません。春と秋の数週間だけ、首の後ろと肩甲骨のあいだを週3〜4回に増やしてください。道具を増やす必要はありません。増やすのは回数だけです。時期が終わったら、元の割り振りに戻します。
乾く季節には、静電気のほうも見てください。ブラシを通すたびに毛先が反発すると、毛が浮いたまま隣の毛に絡みます。部屋の湿度を上げるほうが、道具を替えるより効きます。それでも毛先が散るときは、手のひらを軽く湿らせて、毛の流れに沿って一度なでてから道具を持つ。うるおいが戻っている状態のほうが、毛は素直に通ります。
決めた日に決めた場所を触る、その1回に合わせて使えるのがグルーミングスプレーです。布に含ませ、首の後ろや肩甲骨のあいだを毛の流れに沿ってなでていってください。毛先の滑りがそろうので、層を1枚出してから道具を通すという手順が、力を入れずに最後まで進みます。グルーミングスプレーは舐めても問題のない基準でつくられているので、濡れた場所を自分でなめにいく猫でも、量を気にせず使えます。寄って固まっている場所へ直接吹きかけて、そのまま置かないでください。
洗う日と、その間の日で、持つものを分けておくと迷いません。洗う日はモイストシャンプーで地肌まで湿らせて、根元の帯に残った抜け毛をまとめて外へ出す。間の日はグルーミングスプレーで毛先をそろえて、その日の1か所だけを通す。毎日きれいにしておきたいという願いの側から組み立てると、曜日の割り振りがそのまま回ります。ネベロングは1回を長く取るほど次の回に許してくれる時間が短くなるので、日ごとの分担を先に決めておくほうが、5か所すべてに手が届きます。
そして、被毛の条件では説明のつかない変わり方もあります。換毛期でもない時期に急にふわりが沈む、いつも同じ一か所だけが短い間隔で戻る、左右で手ざわりが違う、その場所を長くなめている、毛を分けたときの地肌が赤い、においがある、触ると嫌がる。どれか1つでも当てはまるなら、周る回数を増やすより先に、動物病院で見てもらってください。ネベロングは毛先が光を返すぶん、地肌の変化が外から見えにくい猫です。ふわりの沈みが被毛の作りによるものか地肌によるものかは、家で見分けなくて構いません。
動物病院やトリミングに行く前に、沈んで見え始めた日、その場所、その週に触った回数の3つを書き留めてください。この3つがあると、被毛の条件で説明のつく変化なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に頑張って通してしまうと、もとの状態が分からなくなります。出しきれていない場所は、そのまま連れて行ってください。
ネベロングと暮らすうえで、毛先が光を透かすという性質はなくなりません。輪郭がにじむ見え方は、この猫の名前の由来そのものだからです。変えられるのは、見えないままの時間の長さのほうです。目で探すのをやめて、ふわりの高さで気づき、それも当てにせず、日と場所を先に決めておく。ネベロングのもつれに対して手を動かせるのは、この3段だけです。そして3段目がいちばん強く、いちばん長く続きます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
