C05犬種・猫種別ケア
ヨーロピアンバーミーズはなぜあごの黒ずみが起きやすいのか。短毛から考える
ヨーロピアンバーミーズが水を飲んでいるところを、真横から見てください。舌が水面に届くより先に、あごの先のほうが水に触れています。この猫種は頭がくさび形で、マズルが前へ少し長く伸びています。そのぶん、顔を下げたときに口が器へ深く入ります。飲み終わって顔を上げても、ついているのは水なので、色も跡も残りません。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビで見る場所は、食べたあとの口のまわりではなく、飲んだあとのあごの下です。この記事では、なぜそこに残るのかを先に書き、そのあとで飲んだあと30秒の手順を並べます。
あごの先が水面に届いています|猫のヨーロピアンバーミーズで、あごニキビの見方を変えるやり方
あごニキビというと、多くの方はまずフードを疑います。器を替えた、脂の多いおやつをやめた、そういう話から入るのが一般的です。ヨーロピアンバーミーズでは、その前に見るものが1つあります。水です。この猫種のあごニキビを考えるやり方として、いちばん最初に変えたいのは、食べる場面ではなく飲む場面を観察するという順番です。
ヨーロピアンバーミーズは、頭が上から見るとくさび形をしていて、目から鼻先へ向かう線がゆるやかに前へ伸びています。丸顔の猫と比べると、あごの先が、口の位置より前へ出ています。顔を下げて水を飲むとき、猫は舌を細く丸めて水面をたたきます。このとき、あごの先だけが水面より下に入る角度になります。器が浅ければ、あごの先は器の底にも当たります。
被毛の条件も重なります。ヨーロピアンバーミーズは非常に短い毛で、下毛がほとんどありません。毛が短いぶん、あごの下では毛が水をせき止めず、そのまま地肌まで届きます。長毛の猫なら毛の途中で止まる水分が、この猫種では皮膚に触れます。艶のある短い被毛は乾きが速いように見えますが、あごの下は口の下に隠れて風が通らないので、そこだけ湿った時間が長く残ります。
そして、いちばん厄介なのが水そのものの性質です。水は無色なので、ついても跡になりません。フードなら口のまわりに色が残り、飼い主が気づきます。水は乾けば何も残らないように見えます。けれど実際には、器のふちに触れたもの、猫の口から戻ったもの、空気中のほこりが、水と一緒にあごの下へ運ばれています。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビは、この「気づけない」という条件の上に積み上がっていきます。
- マズルが前へ長い:口より先にあごが水に触れます
- 器が浅い:水面だけでなく、器の底にもあごが当たります
- 毛が短く、下毛がない:水が毛で止まらず、地肌まで届きます
- あごの下は口の影になる:風が通らず、湿った時間が長くなります
- 水は無色:ついたことも、乾いたことも、外から見えません
- 猫の舌が届かない:あごの下は、その子が自分で毛づくろいできない数少ない場所です
あごの下には皮脂を出す部分が集まっていて、猫はそこを家具や飼い主の手にこすりつけます。皮脂が出ること自体は正常な働きです。問題は、出た皮脂に湿りとほこりが重なって、そのまま長い時間その場に留まることのほうです。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビを考えるときも、皮脂を減らそうとするのではなく、留まっている時間を短くする方向で組んでください。皮脂を落としきろうとすると、うるおいのほうが先になくなります。
飲んだあとの30秒|ヨーロピアンバーミーズのあごニキビに手を入れる手順
手順の中心は、飲み終わって顔を上げた直後の30秒です。ここを外すと、あとから何をしても後追いになります。水が乾いてしまえば、どこが濡れていたのか分からなくなるからです。1日に何度も水を飲む猫なので、すべての回に付き合う必要はありません。朝と夜、飼い主が同じ部屋にいる回だけで足ります。次の順で進めてください。
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顔を上げた直後に、あごの下を横から見る
触る前に見ます。ヨーロピアンバーミーズは毛が短いので、濡れていれば地肌の色が濃く見えます。濡れている範囲がどこまで広がっているかを、この30秒のうちに確かめてください。器のふちに当たっている子は左右に広く、底に当たっている子は中心が濃くなります。乾いてからでは、この差が読めません。
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乾いた布を1枚、あごの下に当てて押さえる
こすらずに押さえます。短毛の猫であごを横にこするのは、毛の流れと直角に力をかけることになります。ガーゼでもコットンでも構いません。あごの先から首のほうへ向けて、3〜4秒当てて離す。これを場所を少しずつずらして3回。水分を吸い取るだけで、この段階は終わりです。
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毛の流れに沿って、あごの下を指の腹でなでる
布のあとに、指の腹で1〜2回なでます。目的は汚れを落とすことではなく、あごの下の毛を寝かせて、風が通る形に戻すことです。毛が起きたままだと、そこに湿りがこもります。指でなでると、その日の地肌の感触も一緒に分かります。ざらつき、ぽつぽつ、熱を持っている感じがないかを、指で覚えてください。
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水の器を、その場で少しずらす
毎回、器の位置を数センチずらします。同じ角度で飲み続けると、あごの同じ場所ばかりが当たります。器を替えるのではなく、位置と向きを動かすほうが早く試せます。あわせて、水の量を器の8分目まで入れてください。水位が低いほど、猫は顔を深く入れることになります。
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週に1回、器そのものを洗って乾かしきる
ここだけは30秒では終わりません。器のふちの内側には、水と一緒に運ばれたものが薄く積もります。洗ったあとに拭いて終わりにせず、完全に乾かしてから水を入れてください。濡れたまま水を足すと、前の日のぶんがそのまま残ります。ヨーロピアンバーミーズはあごが器のふちに触れる猫なので、ふちの状態がそのままあごに移ります。
| 経過 | やること | 見るもの |
|---|---|---|
| 0〜5秒 | あごの下を横から見る | 濡れている範囲が左右に広いか、中心か |
| 5〜15秒 | 乾いた布を当てて押さえる | 布に色が移るか。移れば汚れも一緒に出ています |
| 15〜25秒 | 毛の流れに沿って指の腹でなでる | 地肌のざらつき、ぽつぽつ、熱っぽさ |
| 25〜30秒 | 器の位置を数センチずらす | 次に飲むときの顔の角度が変わるか |
この手順で扱っているのは、湿った時間の長さだけです。あごニキビそのものをどうにかしようとする手順ではありません。すでに黒いぽつぽつが集まっている場所を、こすって落とそうとしないでください。短い被毛の下にある地肌は薄く、こすった刺激のほうが後に残ります。落とすのではなく、今日ぶんの湿りを持ち越さない。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビに家庭で手を入れられるのは、この一点です。
布で押さえて水気を取ったあと、器のふちから移ったものはあごの下に残ったままです。水は無色なので、残っているのかどうかを、見た目では確かめられません。mofuwa 猫あごクリーナーは、水ではなくジェルの形をとったアルカリ電解水です。あごの下にとどまるので、こぼれたぶんを追いかけずに済みます。二度拭きもすすぎも要らないので、猫を水場へ連れていかずに、あごだけを切り出して終われます。飲んだ直後はあごの下がすでに湿っているので、コットンにジェルをとって、そのままなでるように回すだけです。離したコットンに色が移っていれば、そこまでが今日ぶんです。ヨーロピアンバーミーズは目より指のほうが正確な記録装置になる猫なので、このコットンの面が、指の感触を裏づける2つめの目盛りになります。回数は朝と夜の2回まで。ぽつぽつのある場所へ押し当てず、表面をなでる強さで足ります。地肌が赤い、じくじくしている、出血しているときは、この手順ごと止めて獣医師にご相談ください。
気になると、1日に何度も拭きたくなります。けれど、あごの下は皮脂を出す働きを持っている場所です。拭く回数を増やすほど、その働きは追いつこうとして強く出ます。ヨーロピアンバーミーズは短毛で下毛がないぶん、地肌のうるおいが逃げやすい猫でもあります。回数は朝と夜の2回まで。回数ではなく、飲んだ直後に入れられているかどうかのほうを見てください。
毎日のうちに崩れる3つ|ヨーロピアンバーミーズのあごニキビで手が止まるところ
手順そのものは短いのに、毎日続けようとすると3日目くらいで止まります。止まる場所はだいたい決まっていて、猫の側ではなく、人と部屋の側にあります。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビで続かなくなる3つを、先に潰しておいてください。
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崩れる1:飲む場面に、飼い主が居合わせていない
いちばん多いのがこれです。水の器がキッチンの隅にあると、猫が飲む時間と飼い主がそこにいる時間が重なりません。器を、飼い主が朝と夜に必ず立つ場所へ移してください。猫の動線を変える必要はありません。移すのは器のほうです。器を移せない事情があるなら、朝と夜に器の前へ猫を呼ぶ習慣に置き換えます。飲む場面に立ち会えない日は、この手順そのものが成立しません。
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崩れる2:布を取りに行っているあいだに、乾いてしまう
30秒しかない手順なので、道具を取りに行った時点で終わります。乾いた布を、水の器のすぐ横に置いておいてください。1回に1枚、まとめて10枚ほど。使ったものはその場でかごに落とし、洗濯のときにまとめます。取りに行く動作をなくすだけで、続く日数が変わります。ヨーロピアンバーミーズは人のそばにいたがる猫なので、器のそばに人が立つこと自体は嫌がりません。
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崩れる3:見た目が良くなると、やめてしまう
2週間ほどで、あごの下のぽつぽつは目立たなくなることがあります。そこで手順を止めると、同じ間隔でまた戻ります。条件が変わったのではなく、持ち越す湿りが減っていただけだからです。器の位置も、マズルの長さも、被毛の短さも、何一つ変わっていません。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビは、良くなったところで手順を減らすのではなく、回数を朝だけに落として続けるほうが崩れません。
| 置くもの | 置く場所 | なぜそこか |
|---|---|---|
| 乾いた布 10枚 | 水の器のすぐ横 | 取りに行く動作をなくす |
| 使用済みを入れるかご | 同じ場所の足元 | 片づけを後回しにできる |
| 水の器 | 朝と夜に人が必ず立つ場所 | 飲む場面に居合わせるため |
| 記録用のメモ | 器の横か、携帯のメモ | 拭いた日と、地肌の感触を1行で |
記録については、1行で構いません。日付と、指でなでたときの感触だけ。「つるつる」「少しざらつく」「ぽつぽつが増えた気がする」。この3段階で足ります。ヨーロピアンバーミーズは被毛が短く艶があるので、写真では地肌の状態が飛んでしまいます。目より、指のほうが正確な記録装置になります。2週間ぶんたまると、増えているのか減っているのかが自分で判断できます。
ブラッシングとの関係も書いておきます。ヨーロピアンバーミーズは毛が短いので、全身のブラッシングは週に1〜2回で足ります。ただし、あごの下だけは道具を使わないでください。短い毛の下の地肌に、歯が直接当たります。あごの下は布と指だけ。道具を使うのは、首から後ろだけと決めておくと、迷わずに済みます。
家でできることは、どこで終わるか|ヨーロピアンバーミーズのあごニキビ
ここまでの手順は、すべて湿った時間を短くするためのものでした。家でできるのはそこまでです。あごの下で起きていることが、湿りと皮脂の話を越えているとき、手順を増やしても追いつきません。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビで、家と動物病院の線をどこに引くかを最後に決めておきます。
- 2週間続けても、ぽつぽつの数が増えていく:減らないのではなく、増えるかどうかで見てください
- 地肌が赤い、じくじくしている:湿った状態が長く続いた結果として起こることがあります
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
- あごの下が腫れて、輪郭が変わって見える:短毛の猫では、形の変化が外から分かります
- においがある:水と皮脂だけでは説明のつかない変化です
- あごの下を家具にこすりつける回数が急に増えた:気にしている合図として読んでください
地肌が赤い、じくじくしている、腫れている、においがある、触ると痛がる、ぽつぽつが2週間で増えている、食欲や元気が落ちている。このうち1つでも見えたら、朝と夜の2回を3回に増やす前に、動物病院にご相談ください。あごニキビと呼ばれている見た目の中には、家庭のケアの範囲を越えているものが混ざります。見分けようとせず、判断を預けてください。1行ずつつけている記録に「増えた気がする」が3日続いたら、そこが行く日です。
受診の前には、3つだけ持っていってください。いつから気づいたか、その2週間で拭いた回数、水の器の形と置き場所です。器については、写真を1枚撮っていくと話が早く進みます。ヨーロピアンバーミーズのあごが器のどこに当たっているかは、獣医師にとっても情報になります。前の晩に念入りに拭いてしまうと、もとの状態が分からなくなるので、そのまま連れて行ってください。
最後に、この記事の立ち位置をはっきりさせておきます。ここに書いた手順は、家庭で湿った時間を短くするためのものであって、あごニキビの診断や治療にあたるものではありません。治療は動物病院の領域です。家でできるのは、器の位置を動かし、飲んだ直後に押さえ、毛を寝かせて風を通すところまで。この境目をはっきりさせておくほど、家での手順は迷わず続きます。
ヨーロピアンバーミーズと暮らすうえで、マズルが前へ長いことも、被毛が短いことも変わりません。あごが水面と器の底に触れる角度は、この猫種の顔の作りから来ています。減らせるのは、ついたものがあごの下に留まっている時間のほうです。食べたあとではなく飲んだあとを見る。乾く前の30秒に入る。器の位置を毎回ずらす。ヨーロピアンバーミーズのあごニキビで動かせるのは、この3つです。
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よくある質問
- 水の器を、高さのある台に載せると変わりますか?
- 顔を下げる角度は浅くなるので、あごが器の底に当たりにくくはなります。ただし水面との距離は変わらないので、飲むときにあごの先が濡れること自体はなくなりません。高さを変えるより、飲んだあとに押さえる30秒を入れるほうが確実です。台を使うなら、猫が前脚を置ける安定した形を選んでください。
- ヨーロピアンバーミーズは、ほかの短毛の猫と何が違うのですか?
- 被毛の短さだけなら、ほかの短毛の猫種と大きくは変わりません。違うのは頭の形のほうです。上から見てくさび形で、マズルが前へ少し長い。その角度のぶん、水を飲むときにあごの先が先に水へ入ります。丸顔の猫では口が先に入るので、あごが濡れる範囲が狭くなります。
- 自動給水器にすると、あごは濡れなくなりますか?
- 流れる水を飲む形になるので、器の底にあごが当たる回数は減ります。ただし水が動くぶん、あごの下や首元に飛ぶことがあります。濡れる場所が変わるだけで、濡れること自体はなくなりません。どちらを使う場合でも、飲んだあとにあごの下を横から見る習慣は残してください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
