C09シーン別・暮らし

保護犬・保護猫を迎えた、シニア猫と暮らす人はどうしている?

公開日 2023年8月12日|文=mofuwa編集部

明るい窓辺で、淡い色をした年老いた猫が、うすい色の敷物の上で落ち着いて休んでいる
新しい子が来る日にいちばん動くのは、この場所を何年も使ってきた子の一日のほうです。写真:大 董/Pexels

保護犬・保護猫の譲渡が決まって、ケージとトイレの置き場所を決めた日、部屋の中でいちばん位置が変わったのは、15歳の老猫が毎日午後に使っていた窓辺の椅子でした。新しい子のための場所をつくるとき、人は「空いている場所」から順に使います。空いて見えて、実際には決まった時刻に決まった子が使っていた場所が、そこに混ざります。保護犬・保護猫を迎えるとき、生活が丸ごと入れ替わるのは新入りの側だけではありません。老猫のほうも、何年もかけて組み上げた一日を、その日から作り直すことになります。この記事では、なぜ老猫の側が先に動くのかを書いてから、新しい子ではなく老猫の側を先に戻しておく順番を書きます。

新しい子より先に、老猫の一日のほうが動きます|保護犬・保護猫を迎える前に決める順番

老猫は、家の中を時刻で歩いています。朝はこの窓、昼はこの椅子、夕方はこの棚の下、夜はこの布の上。若いころのように気分で場所を選ぶのではなく、その時刻にいちばん条件のいい場所へ、決まった経路で移動しています。暖かさ、風の当たらなさ、人の動線から外れていること。条件が合う場所は、年をとるほど数が減ります。だから同じ場所に戻ります。

保護犬・保護猫を迎えると決めたとき、家の側で最初に動くのは物です。ケージ、トイレ、食器、しきり。置ける面積は決まっているので、人は「使われていないように見える場所」から埋めていきます。ところが、老猫が午後にだけ使う椅子は、見に行った時間帯によっては空いています。日中に家にいない人ほど、その場所が使われていることに気づけません。

もうひとつ動くのは、人の手です。老猫は自分でできる量が減っています。毛づくろいの届く範囲が狭くなり、腰から後ろや、あごの下に手が回らなくなる。そのぶんを人が代わっていますが、この「代わっている手」には名前がついていないので、忙しくなると真っ先に消えます。新しい子を迎える週は、譲渡のやりとり、通院、書類、来客と、家の予定が一度に増えます。

保護犬・保護猫を迎える前後で、老猫の側が動くところ
動くもの迎える前迎えたあとに起きやすいこと
昼寝の場所時刻ごとに決まった3〜4か所1か所が新しい子の物に置き換わる
移動の経路壁ぎわを通って短く動くしきりやケージで経路が長くなる
食器と水皿同じ高さ、同じ位置上げ下げの時刻がずれる
室温と風座る場所で自分で調整している扉の開閉が増えて風の通りが変わる
人の手毎日どこかで数分、体に触れている名前のない手なので最初に止まる
音生活音の種類が固定されている初日から知らない音が増える

新しく来る子については、迎える側は情報を多く持っていません。以前どう暮らしていたのかは分からない、という前提から始まります。だから、その子については「まだ分からない」を認めたうえで進むことになります。いっぽう老猫については、何年ぶんも分かっています。分かっているほうを先に固定しておくと、迎えたあとに何が変わったのかを比べられます。順番はここで決まります。

Note「早く慣れさせる」を目標に置かないでください

保護犬・保護猫を迎える家で目標になりやすいのが、2頭が早く一緒に過ごせるようになることです。ただ、それは結果として起きることで、手順にはできません。手順にできるのは、老猫の一日をどれだけ元のまま残せるかのほうです。元が残っているほど、新しい子が来たことで起きた変化だけを見分けられます。急がなくて構いません。

迎える2週間前から、老猫の側を5つ戻しておく|保護犬・保護猫を迎える家の手順

ここからが具体的な手順です。5つとも、新しい子のためではなく老猫のためにやります。順番があるので、上から順に進めてください。迎える日が決まってから2週間あれば足ります。決まるのが急だった場合は、1と2だけでも先にやっておくと、あとから戻す作業が短くなります。

  1. 手順1|老猫の一日を、時刻と場所で1枚に書き出す

    紙1枚で足ります。朝起きたとき、昼、夕方、夜、深夜。その時刻に、その子がどこにいたかだけを書きます。3日ぶん書くと、動かない場所と、日によって変わる場所に分かれます。保護犬・保護猫を迎えるまでの準備で、いちばん先にやる価値があるのがこれです。書いたものがないと、迎えたあとに「前はどうだったか」を思い出せません。

  2. 手順2|動かさない場所を3か所だけ決める

    書き出した中から、3日とも同じ時刻に使っていた場所を3か所選びます。この3か所には、新しい子の物を一切置きません。ケージも、トイレも、しきりも置かない。3か所と決めるのは、家じゅうを守ろうとすると置き場所がなくなるからです。逆に、選ばなかった場所は動かして構いません。老猫は、3か所が残っていれば一日を組み直せます。

  3. 手順3|人の手が触れる時刻を、1つだけ固定する

    老猫のケアの時刻を決めます。長さは3分で足ります。大事なのは長さではなく、迎えたあとも同じ時刻に残ることです。朝の支度の途中や、夜の消灯前など、新しい子の世話とぶつからない時刻を選んでください。ここで選んだ時刻が、迎えたあとに老猫の変化を拾う定点になります。

  4. 手順4|新しい子の物は、1週間前から1日1つずつ置く

    当日にまとめて置くと、老猫にとっては部屋が一晩で入れ替わったことになります。ケージを先に置いて、翌日にトイレ、その翌日に食器、というように1日1つだけ増やします。保護犬・保護猫を迎える日には、部屋のほうはもう出来上がっている状態にしておく。当日に動くのは、新しい子だけになります。

  5. 手順5|迎える当日は、老猫の側を先にすませる

    当日は予定が詰まります。だからこそ、手順3で決めた3分を、新しい子が家に入る前にすませてください。順番が後ろになると、その日は流れます。1日流れると、翌日も流れます。老猫の側を先に置くのは、老猫を優先するという意味ではなく、後ろに置いたものは消えるからです。

動かさない3か所を選ぶときの見分け方
候補選ぶ/選ばない理由
3日とも同じ時刻にいた場所選ぶ時刻とセットになっている場所は代わりがききません
水皿から2歩以内の休み場所選ぶ水を飲む回数に直結します
高い棚の上その子が今も登るなら選ぶ登らなくなっているなら、他の場所を優先します
人の通り道の途中選ばないもともと落ち着ける場所ではありません
日によって使ったり使わなかったりする場所選ばない3か所の枠は、固定されている場所に使います

毎日のケアについても、この時期に形を決めておきます。手順3の3分は、増やせない時間です。回数を増やさないと決めた以上、その3分のあいだに腰から後ろとあごの下まで一度で回れるかどうかで、続くかどうかが決まります。体に置くものを選べる幅は、年齢が上がるほど狭くなります。病院で出るのは、たいてい飲むものか塗るもののどちらかで、飲むものは肝臓のことが気になるという声をよく聞きますし、塗るものは、その子が舐めれば朝のぶんが昼には残っていません。mofuwa スキンケアミストは中身が電解水100%なので、そのどちらとも別の置き方ができます。手順3で決めた時刻に、背中から腰へ一方向。あごの下は、器から顔を上げた直後だと嫌がりにくくなります。保護犬・保護猫を迎える週は予定が詰まるので、この形にしておくと3分に収まります。嫌がる日は、その日はやめてください。

手を増やすほど、老猫のほうが先に降ります|保護犬・保護猫を迎えたあとのやり方

迎えたあとにつまずくところは、だいたい3つに集まります。3つとも、悪気ではなく善意から起きます。先に知っておくと、途中で気づいて戻せます。

1つ目は、2頭を同時に見ようとすることです。新しい子が落ち着かないので目を離せない。そのあいだ老猫にも声をかけて、片手でなでる。片手で同時にやったケアは、記録に残りません。やった気になって、実際には何分触れたのかも、どこを触ったのかも思い出せない。手順3で時刻を固定したのは、これを避けるためです。同時にやらないでください。

2つ目は、埋め合わせにケアの回数を増やすことです。かまってやれていない気がして、1日3回に増やす。老猫にとっては、生活が変わったうえに触られる回数まで増えたことになります。年をとった子は、触られる時間が長くなること自体を負担にします。回数を増やすのではなく、決めた時刻に必ずあること。増やすなら、迎えて2週間たって落ち着いてからにしてください。

3つ目は、同じ週に条件を2つ以上変えることです。食器の位置を変えて、同じ週にフードも変える。ケージの場所を動かして、同じ日に来客がある。どちらが効いたのか、あとから分けられなくなります。変えるのは週に1つまで。保護犬・保護猫を迎える時期は、そもそも変えなければならないことが多いので、家の側から足す変更はできるだけ後ろに送ってください。

迎えたあとに起きやすい3つと、そのときのやり方
起きること見えている理由そのときのやり方
2頭を片手で同時にケアしてしまう新入りから目を離せない老猫は決めた時刻に、両手で3分だけ
ケアの回数を増やしてしまうかまえていない気がする回数は据え置き。時刻を守るほうに寄せる
同じ週に条件を2つ変える早く落ち着かせたい変更は週に1つ。家からの追加は後ろへ
新入りのにおいを気にして拭き回る老猫が嫌がっていると感じる拭く場所を通り道の1本に絞る
Caution嫌がる日に押し切らないでください

老猫が体をよじる、鳴く、その場を離れるときは、そこで止めてください。迎えたばかりの時期は、嫌がる理由が触り方なのか、部屋の変化なのか、体のほうなのかを分けられません。押し切ると、分けられないまま「触られるのが嫌な子」という結果だけが残ります。今日やめても、明日また同じ時刻に来られます。

被毛の話もここに置いておきます。生活が変わった時期は、毛づくろいの時間そのものが減ることがあります。落ち着ける場所が1つ減れば、そこで毛づくろいをしていたぶんが消えるからです。毛のもつれは、体の変化より先に、生活の変化として出ることがあります。腰から後ろがふだんより絡んでいると感じたら、手を強くするのではなく、その子が今どこで休んでいるかを見に行ってください。

同じ一日を2頭ぶんは見られません|老猫と暮らす毎日に、1行の記録を置く

最後は、迎えたあとの毎日に何を置くかです。置くのは1行だけにしてください。2頭ぶんの記録を毎日つけようとすると、2週間で止まります。止まったあとに残るものがないと、変わったかどうかも分からなくなります。1行なら、新しい子の世話で手いっぱいの週でも書けます。

この1行が効くのは、迎えて1か月ほどたってからです。「前はどうだったか」を人の記憶で比べようとすると、忙しかった時期のことは残りません。保護犬・保護猫を迎える時期は、家じゅうが変わっているので、記憶のほうが引っぱられます。紙の上に3か所のうちどこにいたかが並んでいれば、変わった日がどこかは見ればわかります。

Caution家の話では説明がつかない変化は、動物病院へ

水を飲む量や回数がはっきり変わった、食べ残しが続く、体重が落ちてきた、決めた3か所のどこにも行かなくなった、毛づくろいをまったくしなくなった、あごの下や腰の皮膚が赤い、においがある、触ると痛がる、隠れて出てこない日が続く。これらは、新しい子が来たことでは説明のつかない変わり方です。生活が変わった時期だからと様子を見ずに、動物病院にご相談ください。年齢のある子ほど、変化が出てから進む速さが違います。迷ったときは早いほうを選んでください。

相談に行くときは、書いた1行をそのまま持って行ってください。いつから、どの場所を使わなくなったか。この2つが並んでいると、家の変化で説明できる範囲かどうかを、その場で切り分けてもらえます。保護犬・保護猫を迎えた時期であることも、隠さず伝えてください。同じ家に新しい子が来たという情報は、判断の材料になります。

保護犬・保護猫を迎えることは、家に1頭増えるという話ではありません。すでにいた子の一日を、いったんほどいて組み直す作業です。だから、迎える準備の半分は新しい子のためではなく、老猫のために使います。3か所を残して、3分の時刻を残して、1行を書く。老猫の側にこの3つが残っていれば、新しい子のほうに時間をかけても、家は元に戻せます。

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よくある質問

先住の老猫と新しい子は、いつ会わせればいいですか
日数で決めないほうが進みます。老猫が、決めておいた3か所のうち2か所以上を元の時刻どおりに使えるようになってからが目安です。会わせる日を先に決めると、その日に合わせて条件を動かすことになります。最初は扉ごしに数十秒、同じ空間に入れるのはそのあとで構いません。どちらかが動かなくなったら、その日は戻してください。
迎える前に、老猫のほうを動物病院で診てもらう必要はありますか
受けておくと、そのあとの判断が楽になります。新しい子が来てからの変化を見るときに、迎える前の体重や血液の数値が残っていると、家の変化で説明できる範囲かどうかを比べられるからです。新しい子の健康診断と同じ時期に、老猫の側も一度見てもらうと考えてください。
食器と水皿は、2頭で分けたほうがいいですか
分けてください。とくに水皿は、置く数を増やすほうに寄せます。老猫は、水を飲みに行く距離が延びるとその回数が減ります。新しい子の食器が近くに来たことで、これまでの水皿へ行きにくくなることがあるので、休んでいる場所から2歩以内に1つ増やしておくと戻せます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。