C09シーン別・暮らし
保護犬・保護猫を迎えた、シニア猫と暮らす人はどうしている?
保護犬・保護猫の譲渡が決まって、ケージとトイレの置き場所を決めた日、部屋の中でいちばん位置が変わったのは、15歳の老猫が毎日午後に使っていた窓辺の椅子でした。新しい子のための場所をつくるとき、人は「空いている場所」から順に使います。空いて見えて、実際には決まった時刻に決まった子が使っていた場所が、そこに混ざります。保護犬・保護猫を迎えるとき、生活が丸ごと入れ替わるのは新入りの側だけではありません。老猫のほうも、何年もかけて組み上げた一日を、その日から作り直すことになります。この記事では、なぜ老猫の側が先に動くのかを書いてから、新しい子ではなく老猫の側を先に戻しておく順番を書きます。
新しい子より先に、老猫の一日のほうが動きます|保護犬・保護猫を迎える前に決める順番
老猫は、家の中を時刻で歩いています。朝はこの窓、昼はこの椅子、夕方はこの棚の下、夜はこの布の上。若いころのように気分で場所を選ぶのではなく、その時刻にいちばん条件のいい場所へ、決まった経路で移動しています。暖かさ、風の当たらなさ、人の動線から外れていること。条件が合う場所は、年をとるほど数が減ります。だから同じ場所に戻ります。
保護犬・保護猫を迎えると決めたとき、家の側で最初に動くのは物です。ケージ、トイレ、食器、しきり。置ける面積は決まっているので、人は「使われていないように見える場所」から埋めていきます。ところが、老猫が午後にだけ使う椅子は、見に行った時間帯によっては空いています。日中に家にいない人ほど、その場所が使われていることに気づけません。
もうひとつ動くのは、人の手です。老猫は自分でできる量が減っています。毛づくろいの届く範囲が狭くなり、腰から後ろや、あごの下に手が回らなくなる。そのぶんを人が代わっていますが、この「代わっている手」には名前がついていないので、忙しくなると真っ先に消えます。新しい子を迎える週は、譲渡のやりとり、通院、書類、来客と、家の予定が一度に増えます。
| 動くもの | 迎える前 | 迎えたあとに起きやすいこと |
|---|---|---|
| 昼寝の場所 | 時刻ごとに決まった3〜4か所 | 1か所が新しい子の物に置き換わる |
| 移動の経路 | 壁ぎわを通って短く動く | しきりやケージで経路が長くなる |
| 食器と水皿 | 同じ高さ、同じ位置 | 上げ下げの時刻がずれる |
| 室温と風 | 座る場所で自分で調整している | 扉の開閉が増えて風の通りが変わる |
| 人の手 | 毎日どこかで数分、体に触れている | 名前のない手なので最初に止まる |
| 音 | 生活音の種類が固定されている | 初日から知らない音が増える |
新しく来る子については、迎える側は情報を多く持っていません。以前どう暮らしていたのかは分からない、という前提から始まります。だから、その子については「まだ分からない」を認めたうえで進むことになります。いっぽう老猫については、何年ぶんも分かっています。分かっているほうを先に固定しておくと、迎えたあとに何が変わったのかを比べられます。順番はここで決まります。
保護犬・保護猫を迎える家で目標になりやすいのが、2頭が早く一緒に過ごせるようになることです。ただ、それは結果として起きることで、手順にはできません。手順にできるのは、老猫の一日をどれだけ元のまま残せるかのほうです。元が残っているほど、新しい子が来たことで起きた変化だけを見分けられます。急がなくて構いません。
迎える2週間前から、老猫の側を5つ戻しておく|保護犬・保護猫を迎える家の手順
ここからが具体的な手順です。5つとも、新しい子のためではなく老猫のためにやります。順番があるので、上から順に進めてください。迎える日が決まってから2週間あれば足ります。決まるのが急だった場合は、1と2だけでも先にやっておくと、あとから戻す作業が短くなります。
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手順1|老猫の一日を、時刻と場所で1枚に書き出す
紙1枚で足ります。朝起きたとき、昼、夕方、夜、深夜。その時刻に、その子がどこにいたかだけを書きます。3日ぶん書くと、動かない場所と、日によって変わる場所に分かれます。保護犬・保護猫を迎えるまでの準備で、いちばん先にやる価値があるのがこれです。書いたものがないと、迎えたあとに「前はどうだったか」を思い出せません。
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手順2|動かさない場所を3か所だけ決める
書き出した中から、3日とも同じ時刻に使っていた場所を3か所選びます。この3か所には、新しい子の物を一切置きません。ケージも、トイレも、しきりも置かない。3か所と決めるのは、家じゅうを守ろうとすると置き場所がなくなるからです。逆に、選ばなかった場所は動かして構いません。老猫は、3か所が残っていれば一日を組み直せます。
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手順3|人の手が触れる時刻を、1つだけ固定する
老猫のケアの時刻を決めます。長さは3分で足ります。大事なのは長さではなく、迎えたあとも同じ時刻に残ることです。朝の支度の途中や、夜の消灯前など、新しい子の世話とぶつからない時刻を選んでください。ここで選んだ時刻が、迎えたあとに老猫の変化を拾う定点になります。
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手順4|新しい子の物は、1週間前から1日1つずつ置く
当日にまとめて置くと、老猫にとっては部屋が一晩で入れ替わったことになります。ケージを先に置いて、翌日にトイレ、その翌日に食器、というように1日1つだけ増やします。保護犬・保護猫を迎える日には、部屋のほうはもう出来上がっている状態にしておく。当日に動くのは、新しい子だけになります。
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手順5|迎える当日は、老猫の側を先にすませる
当日は予定が詰まります。だからこそ、手順3で決めた3分を、新しい子が家に入る前にすませてください。順番が後ろになると、その日は流れます。1日流れると、翌日も流れます。老猫の側を先に置くのは、老猫を優先するという意味ではなく、後ろに置いたものは消えるからです。
| 候補 | 選ぶ/選ばない | 理由 |
|---|---|---|
| 3日とも同じ時刻にいた場所 | 選ぶ | 時刻とセットになっている場所は代わりがききません |
| 水皿から2歩以内の休み場所 | 選ぶ | 水を飲む回数に直結します |
| 高い棚の上 | その子が今も登るなら選ぶ | 登らなくなっているなら、他の場所を優先します |
| 人の通り道の途中 | 選ばない | もともと落ち着ける場所ではありません |
| 日によって使ったり使わなかったりする場所 | 選ばない | 3か所の枠は、固定されている場所に使います |
毎日のケアについても、この時期に形を決めておきます。手順3の3分は、増やせない時間です。回数を増やさないと決めた以上、その3分のあいだに腰から後ろとあごの下まで一度で回れるかどうかで、続くかどうかが決まります。体に置くものを選べる幅は、年齢が上がるほど狭くなります。病院で出るのは、たいてい飲むものか塗るもののどちらかで、飲むものは肝臓のことが気になるという声をよく聞きますし、塗るものは、その子が舐めれば朝のぶんが昼には残っていません。mofuwa スキンケアミストは中身が電解水100%なので、そのどちらとも別の置き方ができます。手順3で決めた時刻に、背中から腰へ一方向。あごの下は、器から顔を上げた直後だと嫌がりにくくなります。保護犬・保護猫を迎える週は予定が詰まるので、この形にしておくと3分に収まります。嫌がる日は、その日はやめてください。
手を増やすほど、老猫のほうが先に降ります|保護犬・保護猫を迎えたあとのやり方
迎えたあとにつまずくところは、だいたい3つに集まります。3つとも、悪気ではなく善意から起きます。先に知っておくと、途中で気づいて戻せます。
1つ目は、2頭を同時に見ようとすることです。新しい子が落ち着かないので目を離せない。そのあいだ老猫にも声をかけて、片手でなでる。片手で同時にやったケアは、記録に残りません。やった気になって、実際には何分触れたのかも、どこを触ったのかも思い出せない。手順3で時刻を固定したのは、これを避けるためです。同時にやらないでください。
2つ目は、埋め合わせにケアの回数を増やすことです。かまってやれていない気がして、1日3回に増やす。老猫にとっては、生活が変わったうえに触られる回数まで増えたことになります。年をとった子は、触られる時間が長くなること自体を負担にします。回数を増やすのではなく、決めた時刻に必ずあること。増やすなら、迎えて2週間たって落ち着いてからにしてください。
3つ目は、同じ週に条件を2つ以上変えることです。食器の位置を変えて、同じ週にフードも変える。ケージの場所を動かして、同じ日に来客がある。どちらが効いたのか、あとから分けられなくなります。変えるのは週に1つまで。保護犬・保護猫を迎える時期は、そもそも変えなければならないことが多いので、家の側から足す変更はできるだけ後ろに送ってください。
| 起きること | 見えている理由 | そのときのやり方 |
|---|---|---|
| 2頭を片手で同時にケアしてしまう | 新入りから目を離せない | 老猫は決めた時刻に、両手で3分だけ |
| ケアの回数を増やしてしまう | かまえていない気がする | 回数は据え置き。時刻を守るほうに寄せる |
| 同じ週に条件を2つ変える | 早く落ち着かせたい | 変更は週に1つ。家からの追加は後ろへ |
| 新入りのにおいを気にして拭き回る | 老猫が嫌がっていると感じる | 拭く場所を通り道の1本に絞る |
老猫が体をよじる、鳴く、その場を離れるときは、そこで止めてください。迎えたばかりの時期は、嫌がる理由が触り方なのか、部屋の変化なのか、体のほうなのかを分けられません。押し切ると、分けられないまま「触られるのが嫌な子」という結果だけが残ります。今日やめても、明日また同じ時刻に来られます。
被毛の話もここに置いておきます。生活が変わった時期は、毛づくろいの時間そのものが減ることがあります。落ち着ける場所が1つ減れば、そこで毛づくろいをしていたぶんが消えるからです。毛のもつれは、体の変化より先に、生活の変化として出ることがあります。腰から後ろがふだんより絡んでいると感じたら、手を強くするのではなく、その子が今どこで休んでいるかを見に行ってください。
同じ一日を2頭ぶんは見られません|老猫と暮らす毎日に、1行の記録を置く
最後は、迎えたあとの毎日に何を置くかです。置くのは1行だけにしてください。2頭ぶんの記録を毎日つけようとすると、2週間で止まります。止まったあとに残るものがないと、変わったかどうかも分からなくなります。1行なら、新しい子の世話で手いっぱいの週でも書けます。
- 今日、老猫がいた場所を1つだけ書く:手順2で決めた3か所のうち、いちばん長くいた場所
- 手順3の3分をやったか、やらなかったかを丸かバツで書く:内容は書かなくて構いません
- 気づいたことがあった日だけ、単語を1つ足す:「あご」「食べ残し」「鳴く」程度で十分です
- 書けなかった日は空欄のまま次へ進む:埋めようとして遡って書かないでください
- 2週間たったら、まとめて読み返す:3か所のうち1つが消えていたら、そこに何が置かれたかを見に行きます
この1行が効くのは、迎えて1か月ほどたってからです。「前はどうだったか」を人の記憶で比べようとすると、忙しかった時期のことは残りません。保護犬・保護猫を迎える時期は、家じゅうが変わっているので、記憶のほうが引っぱられます。紙の上に3か所のうちどこにいたかが並んでいれば、変わった日がどこかは見ればわかります。
水を飲む量や回数がはっきり変わった、食べ残しが続く、体重が落ちてきた、決めた3か所のどこにも行かなくなった、毛づくろいをまったくしなくなった、あごの下や腰の皮膚が赤い、においがある、触ると痛がる、隠れて出てこない日が続く。これらは、新しい子が来たことでは説明のつかない変わり方です。生活が変わった時期だからと様子を見ずに、動物病院にご相談ください。年齢のある子ほど、変化が出てから進む速さが違います。迷ったときは早いほうを選んでください。
相談に行くときは、書いた1行をそのまま持って行ってください。いつから、どの場所を使わなくなったか。この2つが並んでいると、家の変化で説明できる範囲かどうかを、その場で切り分けてもらえます。保護犬・保護猫を迎えた時期であることも、隠さず伝えてください。同じ家に新しい子が来たという情報は、判断の材料になります。
保護犬・保護猫を迎えることは、家に1頭増えるという話ではありません。すでにいた子の一日を、いったんほどいて組み直す作業です。だから、迎える準備の半分は新しい子のためではなく、老猫のために使います。3か所を残して、3分の時刻を残して、1行を書く。老猫の側にこの3つが残っていれば、新しい子のほうに時間をかけても、家は元に戻せます。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 先住の老猫と新しい子は、いつ会わせればいいですか
- 日数で決めないほうが進みます。老猫が、決めておいた3か所のうち2か所以上を元の時刻どおりに使えるようになってからが目安です。会わせる日を先に決めると、その日に合わせて条件を動かすことになります。最初は扉ごしに数十秒、同じ空間に入れるのはそのあとで構いません。どちらかが動かなくなったら、その日は戻してください。
- 迎える前に、老猫のほうを動物病院で診てもらう必要はありますか
- 受けておくと、そのあとの判断が楽になります。新しい子が来てからの変化を見るときに、迎える前の体重や血液の数値が残っていると、家の変化で説明できる範囲かどうかを比べられるからです。新しい子の健康診断と同じ時期に、老猫の側も一度見てもらうと考えてください。
- 食器と水皿は、2頭で分けたほうがいいですか
- 分けてください。とくに水皿は、置く数を増やすほうに寄せます。老猫は、水を飲みに行く距離が延びるとその回数が減ります。新しい子の食器が近くに来たことで、これまでの水皿へ行きにくくなることがあるので、休んでいる場所から2歩以内に1つ増やしておくと戻せます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
