C12Q&A・豆知識
猫が自分で届かない場所
猫が自分の舌で触れられないのは、背中の真ん中と、首の後ろ。この2か所だけです。顔もあごも前足も、猫は自分で毛づくろいの手を回しています。だから猫が届かない場所を数えると2か所で止まり、これは犬と並べたときに少ない側の数字になります。犬では、口も後ろ足も回らない帯がもっと広く残ります。届く範囲が広いぶん、残った場所のほうがかえって目立つ。少ないから軽い、という話にはなりません。2か所という数え方は、若くて関節に不安がなく、太りすぎていない子を前提にしたものです。年齢や体格によって、この数は増えます。この記事では犬と猫を同じ項目で並べて、届く範囲・届かない場所の数・届かせ方の3つを比べます。そのうえで、家での見分け方と、人の手の使い分けまで書きます。
猫が届かない場所は2か所|犬と比べて少ない、という数え方です
先に答えを置きます。猫が自分で届かない場所は、背中の真ん中と、首の後ろの2か所です。この数字は、それだけを裸で覚えても使えません。何を「届く」と数えたかで、簡単に前後するからです。だからまず、数え方の条件から並べます。
- 舌が直接触れる場所:届くと数えます。前足、お腹、後ろ足、脇、内もも、尾のつけ根まで
- 前足に唾液をつけて顔へ運ぶ場所:届くと数えます。顔、あご、耳のまわりがここに入ります
- 後ろ足で掻ける場所:届くと数えます。首の横、耳のうしろ、あごの下
- 床やものに体をこすりつける場所:届くとは数えません。毛の流れを整える動きではないためです
- 前提になる条件:若くて関節に不安がなく、太りすぎていない子。年齢と体格でこの数は増えます
この数え方でいくと、残るのが背中の真ん中と首の後ろの2か所です。首の後ろは、後ろ足を持ち上げても爪が入らず、前足を回しても届かない位置にあります。背中の真ん中は、口が回るのが肩までと腰までで、そのあいだに帯が残ります。猫の場合、この帯が犬よりずっと細いのですが、細いから見つけやすいかというと、そうでもありません。細いぶん、毛の流れの中に紛れます。
そして、2か所という数字は何かと比べてはじめて意味を持ちます。比べる相手は犬です。犬では、口が回る範囲と後ろ足が届く範囲のあいだに、もっと幅のある帯が残ります。猫が2か所で済むのは体が特別だからではなく、届かせるやり方を三段持っているからです。次の見出しで、その三段を開きます。
この記事では、届かない場所の数について具体的な調査名や機関名を挙げません。数え方が変われば数も変わる種類の数字で、家庭で確かめられるものだからです。ここでは上に並べた数え方の条件つきで「2か所」として扱い、その代わりに、自分の家の猫で確かめる方法のほうを詳しく書きます。年齢が上がると、後ろ足の上がる高さや体の折りたたみ方が変わるので、届かない場所は増えていきます。数を覚えるより、その子で数え直せるようにしておくほうが役に立ちます。
2か所で止まる理由|猫は舌・後ろ足・前足の三段で届かせています
猫の毛づくろいを見ていると、同じ「舐める」に見えて、実際には道具を持ち替えています。舌が直接届く場所、後ろ足で掻く場所、前足に移してから運ぶ場所。この三段があるので、届かない場所が2か所まで減ります。犬にあるのは、このうち二段目までです。
- 一段目・舌:体を折りたたんで、口を体の側面まで持っていきます。背骨が長く、胸のあたりで止まりにくいのが猫の側の条件です
- 二段目・後ろ足:頭の横、耳のうしろ、あごの下まで足が上がります。爪の先で掻く動きなので、毛の奥まで入ります
- 三段目・前足:前足を舐めて湿らせ、それを顔とあごに当てます。舌が直接届かない場所へ、水分と毛づくろいの動きを運んでいます
- 仕上げ:舐めた前足でもう一度顔をなで、毛の流れをそろえます。ここまでが一続きの動きです
三段目が効いているところが大きいと思います。顔とあごは、舌が届かない場所です。それでも猫の顔が整っているのは、前足という中継を挟んでいるからです。つまり猫の届く範囲は、体が曲がる範囲そのものではありません。中継を1つ持っているぶん、広がっています。
では、なぜ背中の真ん中と首の後ろだけが残るのか。この2か所は、三段のどれからも外れます。首の後ろは、後ろ足を上げても爪の届く高さより上にあり、前足を回しても肩から先へは行きません。背中の真ん中は、口を向けるには体を折りすぎることになり、後ろ足の届く高さより高い位置にあります。前足で運ぶには、そもそも前足が背中側へ回りません。三段すべての外側にある帯が、この2か所です。
この読み方を持っておくと、年齢が上がったときの見方も決まります。増えるのは、三段のどれかが使えなくなった順です。後ろ足が上がらなくなれば耳のうしろが残り、体を折りたたみにくくなれば脇や内ももが残り、前足を長く持ち上げていられなくなれば顔とあごが残ります。届かない場所が増えたという話は、体のどこが動きにくくなったかの話とほとんど同じ意味になります。
犬と猫を同じ項目で並べる|届く範囲と届かせ方の違い
ここで、犬と猫を同じ項目に並べます。比べたいのは「どちらが器用か」ではなく、届く範囲の広さと、届かない場所の残り方の違いです。人の手を入れる場所は、この違いからそのまま決まります。
| 犬 | 猫 | |
|---|---|---|
| 自分で届く範囲 | 前足・お腹・後ろ足・脇のあたりまで | 顔とあごを含め、体のほとんど |
| 届かない場所の数 | 肩から腰までのあいだに、幅のある帯で残る | 背中の真ん中と首の後ろの2か所 |
| 届かせ方 | 舌と後ろ足の二段。届かない先は床やものにこすりつける | 舌・後ろ足・前足の三段。前足で顔まで運ぶ |
| 体の曲がり方 | 胸のあたりで止まりやすい | 背骨が長く、体を折りたたみやすい |
| 毛づくろいに使う時間 | 遊びや散歩のあとに、部分的に | 起きている時間のかなりを使うとされる |
| 人の手の入れ方 | 残る範囲が広いので、面で入る | 残る場所が絞れるので、点で入る |
表と図を見比べると、いちばん大きい違いが「残る数」ではないことが分かります。違いは届かせ方の段数のほうにあって、残る数はその結果です。犬は二段しかないので、届かない場所が面で残ります。猫は三段あるので、残るのが点になります。そして、点で残るということは、そこだけ毛の状態が周りとそろわない、ということでもあります。
だから、猫の届かない場所は見つけやすいはずなのに、実際には見落とされます。面で残る犬の背中は「全体をやろう」と思えますが、点で残る猫の2か所は、全体をとかしているつもりのブラシが通り過ぎてしまいます。数が少ないことは、手を入れなくてよい理由にはなりません。むしろ、意識して指を置かないと届かない場所のままになります。
自分の家の猫はどちらに近いか|届かない場所の見分け方と、手の使い分け
ここからは、その子で数え直す番です。見分け方は毛のほうから入ります。届いている場所と届かない場所では、毛の状態が違うからです。猫がその日どこまで毛づくろいをしたかを、毛の側が覚えています。
- 毛の流れ:届いている場所は毛先まで向きがそろいます。届かない場所は根元の向きがばらつきます
- 手ざわり:指を滑らせたときに、一か所だけ引っかかる感じがあれば、そこが届かない場所です
- 毛を分けたときの地肌:届いている場所は地肌まで指が入ります。届かない場所は毛が寝たまま抜けません
- 抜けた毛の残り方:換毛の時期に、そこだけ抜けた毛が残っていれば届いていません
- 触ったときの反応:届かない場所を触ると、気持ちよさそうにする子が多いところです。自分では手が回らないためです
5つのうち、いちばん早いのは2つ目です。背中を首から尾へ、指の腹で一往復させるだけで、引っかかる場所がどこかは分かります。そこが背中の真ん中なら、標準的な2か所どおりです。肩の手前や腰の側でも引っかかるなら、その子は届く範囲が狭くなってきているということになります。年齢の高い子では、この範囲が少しずつ前後に広がります。
見分けがついたら、次は使い分けです。猫が届いている場所まで人が毎日やると、猫の側の毛づくろいと重なって、触られる時間だけが長くなります。猫は毛づくろいの時間が長い動物なので、人が入る場所は絞ったほうが、その子の1日に収まります。
| 場所 | 誰が届いているか | 人がやること |
|---|---|---|
| 顔とあご | 前足を使って猫が届かせている | 食器に当たる面だけ、様子を見る |
| 前足と後ろ足 | 舌が直接届く | ふだんは任せる |
| 脇と内もも | 体を折りたためば届く | 毛のもつれだけ確かめる |
| 耳のうしろ | 後ろ足で掻ける | 掻いた跡が残っていないか見る |
| 背中の真ん中 | 届かない | 毛の流れに沿って、人の手で一往復 |
| 首の後ろ | 届かない | 指の腹で毛を分け、地肌まで見る |
この表の下2行が、毎日のケアで人が受け持つ場所です。6行のうち2行だけなので、1回にかかる時間は1分もありません。その代わり、この2行は誰もやらなければ誰もやらない場所です。猫が届かない場所というのは、そういう意味の言葉です。
毎日のケアの選び方|残る場所が2か所だから、1回が短くて済みます
選び方の基準を1つに絞ります。猫の届かない場所は狭いので、道具も回数も、広い面を想定したものは要りません。大きなブラシで全身をとかすより、指と、小さく当てられるものが1つあれば足ります。時間が短いほど続きますし、猫の側も長く押さえられずに済みます。
-
指で場所を決めてから、道具を持つ
先に背中を一往復して、引っかかる場所を確かめます。場所が決まってから道具を持つと、当てるのは数十秒で終わります。道具を先に持つと、全身をやることになって時間が延びます。
-
首の後ろは、毛を分けてから
首の後ろは毛が厚く重なっているので、上からとかすだけでは地肌まで届きません。指で毛を左右に分けて、地肌の色と乾き具合を見てから、そのすきまに沿って動かします。ここは週に一度でも、見ておくと変化に気づけます。
-
背中の真ん中は、毛の流れに沿って一往復
逆立てる必要はありません。首から尾へ、流れに沿って一往復。2回目からは、前回引っかかった場所だけを見ます。毎回全部を確かめ直すと、猫のほうが先に飽きます。
-
終わりを毎回同じ形にする
最後にあごの下を一度なでて終わる、というように終わり方を固定します。猫は次に何が来るかが分かると、押さえられている時間が短く感じられます。届かない場所を触らせてもらうために、いちばん確実なところです。
背中の真ん中と首の後ろは、舌も、後ろ足の爪も、前足の中継も届かない2か所です。猫が自分ではやらないと決まっている場所は、体じゅうでここだけです。だから、ここに何を置くかという問いは、全身に何を使うかを決めるより、ずっと小さくて具体的になります。
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最後に、家で決めない線を引いておきます。背中の真ん中や首の後ろの地肌が赤い、フケのようなものが続けて出る、その場所だけ毛が薄い、触ると痛がる。これは、届かない場所だから汚れているという話ではありません。いつから、どのくらいの範囲かを覚えておいて、動物病院にご相談ください。届く範囲が急に狭くなったとき、たとえば急に耳のうしろへ足が上がらなくなったようなときも、同じです。毛づくろいの届く範囲は、その子の体の動きをそのまま映しています。
まとめ直します。猫が届かない場所は背中の真ん中と首の後ろの2か所で、これは犬と比べて少ない側の数字です。少ない理由は、舌・後ろ足・前足という三段の届かせ方を持っているからでした。そして、届く範囲が広いぶん、残った2か所だけが周りと違う状態になります。数が少ないことは、手を入れなくていい理由になりません。今日は背中を一往復して、引っかかる場所を1か所だけ覚えておいてください。それが、その子の届かない場所です。
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200ml / 3,300円(税込)
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商品ページを見るよくある質問
- 猫が届かない場所は、年齢で増えますか
- 増えるとされています。増え方には順番があって、後ろ足が上がりにくくなれば耳のうしろが残り、体を折りたたみにくくなれば脇や内ももが残り、前足を持ち上げていられなくなれば顔とあごが残ります。数を覚えるより、背中と首を指の腹で一往復して、その子でいま何か所あるかを数え直せるようにしておくほうが役に立ちます。急に範囲が狭くなったときは、毛づくろいの話ではなく体の動きの話なので、動物病院にご相談ください。
- 背中の真ん中に、フケのようなものが出ていました。届かない場所だからでしょうか
- 毛づくろいが届かない場所では、抜けた毛や皮膚の表面のものが残りやすくなります。ただ、そこから先の理由を家で決めることはできません。家で見られるのは、範囲が広がっているかどうかと、地肌の色が周りと違うかどうかまでです。続くようなら、いつから、どのくらいの範囲かを言えるようにして動物病院にご相談ください。
- 猫が届かない場所だけをケアすれば足りますか
- 毎日入る場所としては、それで足ります。猫は毛づくろいに長い時間を使う動物なので、届いている場所まで人が毎日やると、押さえられている時間だけが長くなります。ただし週に一度は、脇・内もも・尾のつけ根といった「届くけれど後回しになりやすい場所」も毛を分けて確かめてください。届く場所と、実際に毎日届かせている場所は、同じとは限りません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
