C04悩み解決

季節の変わり目にシャンプー嫌いが増えるのは、なぜか

公開日 2023年10月2日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、白いマットの上に立っている犬
季節で変わるのは水の冷たさより、浴室を出た数秒の温度の落差です。写真:SLZ/Pexels

シャンプーを嫌がる回数が、10月と3月にだけ跳ね上がる家があります。季節の変わり目に増えるのは、水を怖がる気持ちよりも、浴室と部屋のあいだにできた温度の落差のほうです。冬は、濡れた体で浴室を出た数秒で体温が持っていかれます。夏は逆に、乾かす工程の熱が抜けずにこもります。どちらの落差でつまずいているかを見分けてから、洗う時間帯を選び直します。

増えているのは、浴室を出た数秒への反応

シャンプーを嫌がる回数が季節で増えるとき、多くの家で洗い方そのものは変わっていません。変わっているのは、浴室のドアを開けた瞬間から、体が乾くまでのあいだの温度です。洗剤も、湯温も、手順も去年と同じ。それでも嫌がる回数が増えるなら、動いたのは工程の外側です。

濡れた体は、乾いた体より速く熱を失います。水が蒸発するとき、体の表面から熱が持っていかれるからです。同じ室温でも、濡れているかどうかで体感はまったく違います。だから、部屋の温度計が去年と同じ数字を示していても、季節によって浴室を出たあとの数秒は別ものになります。

猫の場合、そもそも水につかる機会が少ないぶん、1回あたりの落差が記憶に強く残ります。犬でも猫でも、嫌がる記憶がつくのは、いちばん体感が動いた場面です。その場面が季節で入れ替わるから、嫌がる回数も季節で増えたり減ったりします。

Note嫌がる場面は、水に触れた瞬間と同じとは限りません

浴室に入る前から足を踏ん張る子は、前回いちばんつらかった場面を先に思い出しています。それが濡れた瞬間なのか、出たあとの数秒なのかで、手を入れる場所が変わります。

冬と夏で、落差が出る場所の比較

季節で増える嫌がり方を比較するとき、見るのは気温そのものより、1回のシャンプーのあいだに体が通過する温度の段差です。工程を5つに割って、冬と夏を並べます。

冬と夏で、落差ができる場所の比較
工程冬に起きること夏に起きること
脱衣所で待つ床が冷たく、待っている時点で体が冷える室温が高く、待つこと自体は苦にならない
浴室に入る浴室のほうが暖かく、段差は小さい湿気がこもり、入った時点で息が上がる
お湯をかける湯温との差が大きく、最初の一杯で体が驚く湯温を下げすぎると、逆に冷たく感じる
浴室を出る濡れた体で冷たい空気に出る。ここが最大の落差外に出ても涼しくならず、体温が下がらない
乾かす熱風が心地よく、じっとしていられる熱がこもり、途中で逃げ出す

表を縦に見ると、冬の山は「浴室を出る」に、夏の山は「乾かす」に立ちます。シャンプーを嫌がる回数が増える季節が家によって違うのは、この山の場所が家の作りで動くからです。同じ犬種でも、住んでいる家が違えば嫌がる季節は入れ替わります。

Point気温より、段差の数

12月と8月を比べて、どちらがつらいかという話ではありません。同じ1回のうちに、体が何度の段差を何回またぐかで考えてください。段差が3つある家は、気温にかかわらず嫌がる回数が増えます。

うちの子は、どっちでつまずいているか

どっちの季節で強く出るかは、家の作りでかなり決まります。その子の性格を考える前に、次の3つを確かめてください。

どっち寄りかの目安
家の条件冬型に寄る夏型に寄る
脱衣所の空調何も入れていない冷房が届く
乾かす場所までの距離3メートル以上運ぶ浴室のすぐ外
洗っているあいだの換気回し続けている湿気がこもったまま
ドライヤーの当て方近づけて短時間で終える距離をとって長い時間かける

両方に丸がつく家もあります。その場合、シャンプーを嫌がる回数が増えるのは春と秋の両方になります。季節の変わり目にだけ嫌がる、という家は、たいていこの型です。冬の山と夏の山が、切り替わる途中で同時に立っています。

冬型と夏型の、嫌がり方の見分け方

見分け方は、その子の体に出ます。冬の落差でつまずいている子と、夏の熱でつまずいている子では、嫌がり方の見た目が違います。次にシャンプーをする日に、5か所だけ見てください。

冬型と夏型の、嫌がり方の見分け方
見るところ冬型夏型
震え浴室を出た直後から小刻みに震える震えは出ない
息ほとんど変わらない口を開けて、浅く速い息になる
いちばん嫌がる場面タオルで包む前ドライヤーを当てている途中
体の向きこちらへ寄ってくるこちらから離れようとする
終わったあとすぐに落ち着くしばらく荒い息が続く

寄ってくるか、離れるか。これがいちばん分かりやすい見分け方です。冷えている子は熱源を求めて近づき、こもっている子は逃げ場を探して離れます。同じ「嫌がる」でも、向きが逆になります。

Caution震えと息は、寒さと暑さだけの話とは限りません

洗っているあいだの震えが止まらない、乾かし終わって10分たっても口を開けた息が収まらない、ふらつく、よだれが増える。これらは温度の話として片づけずに、動物病院にご相談ください。とくに鼻の短い子やシニア期の子では、浴室の湿気と熱がこたえることがあります。

洗う時間帯と、乾かす部屋の選び方

型が分かったら、シャンプーの選び方は単純になります。段差のいちばん大きいところを、1つだけ削ります。全部を直そうとすると続きません。

  1. 冬型:脱衣所を先に温めてから、浴室のドアを開ける

    洗い始める15分前に、脱衣所へ暖房を入れてください。浴室と脱衣所の差が小さくなるほど、出た数秒の落差が減ります。床が冷たいなら、マットを1枚足すだけでも変わります。

  2. 冬型:タオルを2枚、手の届くところに置いてから始める

    1枚目で水をとり、2枚目で包みます。タオルを探しに行く数十秒が、いちばん体温を持っていく時間です。取りに行くあいだ、その子は濡れたまま待つことになります。

  3. 夏型:乾かす場所を、浴室から離す

    湿気の残った浴室で乾かすと、熱と湿気が同時にこもります。風の通る部屋へ移してから、ドライヤーを当ててください。移動そのものが、こもった熱を抜く時間になります。

  4. 夏型:洗う時間帯を、日が落ちてからにする

    日中は、部屋そのものが暖まっています。夕方以降に洗うと、乾かす工程での熱のこもり方が変わります。冬は逆に、いちばん暖かい昼過ぎを選んでください。時間帯の選び方は、季節で反対になります。

季節が変わっても嫌がり方が戻らない、あるいは去年まで平気だった子が今年から嫌がるようになった。温度をそろえても変わらないときは、体の側で何かが起きていることがあります。触られると痛がる場所がある、抱き上げたときに鳴く、洗っていない日も同じ場所を気にしている。こうした様子があるときは、動物病院にご相談ください。

浴室で洗うとき、その子の地肌にいちばん届きにくいのは、背中の真ん中と後ろ足の内側です。どちらも、その子の毛づくろいでは届かない場所です。ここだけは人が代わるしかありません。mofuwa 入浴シャンプーは、湯に溶かした時点で全身が同じ濃さに浸るので、被毛をかき分けて擦らなくても地肌まで届きます。擦る手が要らないぶん、すすぎも軽く終わります。この記事で見てきたのは温度の落差なので、そこがそのまま使いどころになります。浴室にいる時間が短くなれば、濡れた体が落差にさらされる秒数も短くなります。冬型の子なら、脱衣所を温めておく15分と、そのまま噛み合います。夏型の子なら、乾かす工程へ移る時間が早くなります。

季節が一巡すると、その子が冬型なのか夏型なのかは、記録を見返さなくても分かるようになります。洗う時間帯と乾かす部屋は、来年また同じ月にもう一度見直してください。体格も毛の量も、去年と同じではありません。今年つけた印は、次の10月と3月に、最初の一手としてそのまま使えます。

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よくある質問

冬は、お湯の温度を上げたほうが嫌がりませんか?
上げすぎないでください。人が心地よいと感じる温度は、犬や猫の皮膚には熱すぎることがあります。減らしたいのは湯温と体の差ではなく、浴室と外の差のほうです。湯温を上げる代わりに、脱衣所を先に温めてください。
猫もシャンプーを季節で嫌がりますか?
猫は水につかる機会が少ないぶん、1回あたりの記憶が強く残ります。そのため、季節で嫌がる回数が増えるというより、前回つらかった季節の記憶が次の1回まで持ち越されます。猫は自分で毛づくろいをするので、洗う回数を増やす必要は基本的にありません。
乾かすのを途中でやめてもいいですか?
生乾きのまま終えると、シャンプーのあとも被毛の根元が湿ったまま時間が過ぎます。嫌がるのがドライヤーなら、全体の時間を短くするより、当てる場所を分けてください。1日で乾かしきる必要はありますが、一度に続けて当てる必要はありません。休みを入れながら進めてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。