C12Q&A・豆知識

ディートは犬に使っていい?

公開日 2023年10月27日|文=mofuwa編集部

明るい公園の芝生の上に、落ち着いて立っている淡い色の犬
選ぶときに見るのは成分の名前より先に、その製品が誰に使うものとして作られているかです。写真:Sadettin Dogan/Pexels

散歩に出る前、人用の虫よけスプレーを手に取って、そのまま犬にかけていいものか分からず、玄関で止まりました。ディートを含む製品も含まない製品も、犬に使うのは「犬に使うものとして作られ、そう表示されているもの」だけにしてください。人用のディート製品を、そのまま犬に転用しないのが基本です。理由は、成分の濃度が高いか低いかではありません。人用の製品は、なめられることを前提にして作られていないからです。この記事では、ディートと犬をめぐる疑問を七つに分けて、成分の話ではなく、その製品が誰の何を想定して作られているか、という側から書きます。

ディートは犬に使っていいですか

答えは一行です。犬に使うものとして作られ、そう表示されている製品を、表示のとおりに使ってください。それが人用のディート製品であれば、犬への転用はしない、ということになります。ディートという成分の名前で決めるのではなく、その製品が誰に使うものとして作られているかで決める、という順番です。

犬に使うものとして売られている虫よけには、ディートを含むものも、含まないものもあります。区分も一つではありません。動物用医薬部外品として承認を受けているものもあれば、雑貨や化粧品の区分で作られているものもあります。区分が違えば、表示に書かれることも、書けることも変わります。だから比べるときは、成分名の欄より先に、使用対象の欄を見ることになります。

この記事では、ディートという成分そのものを良い・悪いで語りません。人が長く使ってきた成分ですし、人用の製品としては使用上の注意も定められています。ここで書くのは、成分の評価ではなく、用途の話です。人に使う前提で作られた製品を、なめる動物に使うと、注意書きの前提が合わなくなる。ディートと犬の話でつまずくところは、ほとんどここに集まっています。

Noteこの記事で書かないこと

虫が運ぶ病気の話には踏み込みません。何を防げるか、どのくらい防げるかという話も書きません。それは製品の説明ではなく、獣医療の判断に関わる領域だからです。これを使えば虫に刺されませんのような言い方も出てきません。書けるのは、製品がどういう前提で作られているか、表示のどこを見るか、そして迷ったらどこに相談するか、までです。皮膚の状態や体調が関わる判断は、かかりつけの動物病院にご相談ください。

人用のディート製品を犬に転用しないほうがいいのは、なぜですか

理由は一つで、人用の製品は、塗ったところをなめられることを前提にして作られていないからです。人は、腕に塗った虫よけをなめません。だから人用の製品の使用上の注意には、なめたときにどうするか、という項目がそもそも要りません。要らないので、書かれていません。書かれていないものは、確かめられてもいません。

犬はどうかというと、塗った場所に届きます。前足で顔をこすり、そのあと前足をなめます。体をなめ、同居している子がいれば、おたがいをなめ合います。人に使う前提で書かれた注意書きは、この行動を計算に入れていません。成分が同じでも、前提が違えば、注意書きは使い回せません。ディートと犬の話を濃度から始めると、この一点が抜け落ちます。

前提の違いは、なめること以外にもあります。並べておきます。

この六つは、どれも成分の性質の話ではありません。使う相手が違うと、同じ製品でも確かめられていることが変わる、という話です。だから転用しない、という結論になります。人用の製品が良くない、という意味ではありません。人に使うものとして、人向けに整えられている、というだけのことです。

濃度の低いディート製品なら、犬に使っても大丈夫ですか

濃度の話から入ると、答えがずれます。人用の製品に書かれている濃度は、主に「どのくらいの時間もつか」の目安として説明されることが多い数字です。高いほど強く効く、という単純な読み方をしないよう、人向けの説明でも注意が添えられています。持続時間の目安と、使用対象の欄は、別々の情報です。

そして、濃度を下げても変わらないことがあります。なめる前提が入っていない、という点は、濃度をいくら下げても変わりません。使用対象の欄に犬と書かれていないことも、濃度では変わりません。だから「低濃度だから大丈夫」という判断のしかたは、確かめたい欄そのものを見ていないことになります。

濃度の欄と、使用対象の欄は別のことを示している
表示の欄そこに書かれていることこの問いに答えられるか
濃度(%)成分がどれだけ入っているかと、持続の目安犬に使えるかどうかは分かりません
使用対象誰に使う製品として作られたかここで決まります
使用部位体のどこに使い、どこを避けるかここも一緒に見ます
使用回数・間隔一日に何回まで、何時間あけるか対象が違えば数字も変わります
使用上の注意避ける条件、異常時の対応なめる前提の有無がここに出ます
区分の表示医薬部外品か、雑貨・化粧品か表示のルールが変わります

犬に使う虫よけを選ぶときは、上から二番目の欄を最初に見ることになります。濃度の欄は、対象が合っていることを確かめたあとで見る欄です。順番を入れ替えると、成分表だけを見比べて、いちばん肝心なところを見ないまま決めてしまいます。ディートと犬の話でいちばん多いつまずきが、この順番の入れ替わりだと思います。

犬に使えるかどうかを知りたいとき、表示のどこを見ればいいですか

見る場所は、パッケージの裏の四か所です。使用対象、使用部位、使用回数と間隔、そして使用上の注意。成分表はそのあとで構いません。四か所とも、たいてい小さな字で並んでいます。買う前にその場で読むのは面倒ですが、読む欄が四つに決まっていれば、一分もかかりません。

  1. 使用対象に、犬と書かれているかを見る

    「犬用」「ペット用」「犬・猫に使えます」といった書き方になっています。ここに書かれていないものは、犬に使うことを想定して作られていません。人用と書いてある製品は、人に使うものとして整えられています。

  2. 使用部位と、避ける場所を読む

    顔まわり、目や口の近く、傷のあるところ。避ける場所の書かれ方が、その製品の前提を教えてくれます。犬に使う製品ほど、口が届く場所についての記載が具体的になります。ここを読むと、なめる前提が入っているかどうかが見えてきます。

  3. 回数と間隔を確かめる

    一日に何回まで、次まで何時間あけるか。散歩が朝と夕方の二回なら、その二回で足りる書き方になっているかを見ます。足りないからといって、こちらの判断で回数を増やさないでください。間隔は、対象に合わせて決められた数字です。

  4. 使えない条件を先に読んでおく

    子犬、妊娠中や授乳中、皮膚に異常があるとき、体調がすぐれないとき。こうした条件が書かれていることがあります。当てはまるかどうか迷ったら、買う前に動物病院にご相談ください。使ってから迷うより、先に聞くほうが早く終わります。

四か所を読むときに、覚えておくと迷わなくなる読み方が一つあります。表示に犬と書かれていないものは、「犬に使ってはいけない」と書いてあるのではなく、「犬に使うことを確かめていない」という意味です。禁止の表示ではなく、対象外という表示です。この二つは、読んだときの手ざわりが違いますが、家での結論は同じになります。確かめられていないものは、使わない側に置きます。

「ディート不使用」と書かれていれば、犬に使えるということですか

ここが、この記事でいちばん取り違えられているところだと思います。「ディート不使用」は成分の話であって、使用対象の話ではありません。ディートを含まない人用の製品も、たくさんあります。含まないからといって、犬に使うものとして作られているわけではありません。

成分名で選ぼうとすると、この取り違えが起きます。ディートが入っていないなら安心、という読み方をしてしまうと、確かめたかった欄を飛ばすことになります。見るのは、入っていない成分の名前ではなく、その製品が誰に使うものとして作られたかです。成分の欄と使用対象の欄は、隣に並んでいても、別のことを言っています。

「ディート不使用」と「犬に使える」は、別の情報です
表示分かること分からないこと
ディート不使用その成分が入っていないこと誰に使う製品なのか
低濃度持続の目安が短めであること犬に使えるかどうか
天然由来原料の出どころの説明犬に使うものとして作られたか
無香料香りを付けていないこと使用対象と使用部位
犬用・ペット用犬に使うものとして作られたことその子に合うかどうかは別の話です
動物用医薬部外品その区分で承認を受けていること使い方は表示のとおりに従います

表の下から二行目に、小さな但し書きを付けました。犬用と書かれていても、その子に合うかどうかは別の話です。皮膚の状態はその子ごとに違いますし、その日の体調でも変わります。新しいものを使いはじめる日は、使ったあとの数時間、いつもより被毛と皮膚をよく見ておいてください。毎日のケアでその子の平常を知っておくと、変化に気づく速さが変わります。

人が自分にディートを使った日、犬に触れても問題はありませんか

この問いにも、製品ごとの答えがあります。まず、その製品の使用上の注意を読んでください。人用の製品には、塗ったあとの扱いについての記載があるのがふつうです。手に取って塗る場合は塗ったあとに手を洗う、といった案内が書かれていることもあります。一般論より、手元の製品の記載のほうが優先です。

そのうえで、家の中で意識しておくと迷いにくくなる場所があります。犬が顔を寄せる高さです。人の手、ふくらはぎ、足首。犬の口がいちばん近づくのは、この三か所です。抱き上げる家なら、腕も入ります。塗った場所が犬の口の高さに来るかどうかで、気をつける場面が決まります。これは成分の危険性の話ではなく、口が届く高さの話です。

実際の順番としては、外へ出る支度をするときに、人が先に使い、乾いてから犬の支度に入る。犬に触れる前に手を洗う。これだけで、迷いはかなり減ります。それでも気になることがあれば、そのまま様子を見るのではなく、獣医師にご相談ください。製品名と、いつ・どこに使ったかを言えるようにしておくと、話が早くなります。

Point支度の順番を決めておくと、毎回考えなくてよくなります

虫よけの支度でつまずくのは、たいてい玄関で急いでいるときです。人が先、犬があと。犬に触る前に手を洗う。この二行だけ、玄関に貼っておく。順番が決まっていれば、その日の判断が要りません。毎日の散歩のように回数の多いことほど、考えなくていい形にしておくほうが続きます。犬の支度に使うものは、人のものとは別の場所にまとめておくと、取り違えも起きません。

犬に使うものとして作られた虫よけは、どこが違うのですか

違うのは、想定です。犬に使うものとして作られた製品は、犬が塗った場所をなめること、被毛の上から使うこと、顔を前足でこすることを織り込んだうえで、使用部位と回数が書かれています。成分が何であっても、この前提の有無が製品の設計を分けます。ディートと犬の話を、成分ではなく用途の話だと書いてきたのは、ここに戻ってくるためです。

選ぶときに見るところも、そのぶん増えます。においが強いものは、嗅覚の鋭い相手にとっては情報量が多すぎることがあります。被毛の上に膜が残るタイプは、そのあとのブラッシングとの相性を見ておきたい。虫よけは、その日一回で終わるものではなく、毎日のケアの列に並ぶものです。だから、使ったあとに何が増えるかまで含めて選ぶことになります。

そのうえで、書かれていることの読み方にも限界があります。どの製品であっても、これを使えば虫に刺されませんとは書けません。表示から分かるのは、何を使わずに作ったか、どこにどう使うか、そして使ったあとに何を見ておくか、までです。書かれていない使い方を、こちらの判断で足さないでください。回数も部位も、表示のとおりが上限になります。

散歩から帰ったあとのことも、一緒に決めておくと楽になります。帰ってきた犬の足のまわりと腹の下には、外のものが乗っています。玄関で拭いたその場所へ、いちばん早く口が来るのも同じ足先です。拭き取りのほうに回しているのが mofuwa スキンケアミストです。この記事でずっと見てきた使用部位の欄でいえば、口の届くところを避けるという条件が、はじめから要らない側に作られています。虫よけとは役割が別で、出る前の支度ではなく、帰ったあとの拭き取りのほうに置きます。玄関に一本置いて、柔らかい布へ薄く移し、足の裏から順に一往復。前足と後ろ足で布の面を折り替えてください。虫よけと拭き取りを別々の日課にすると、どちらかが抜けます。出る前と、帰ったあと。二つで一組にしておくほうが続きます。

七つの答えを「誰が使う前提で作られたか」で並べ直す|最後に残る疑問

ここまでの答えを、一つの軸で並べ直します。軸は、成分でも濃度でもありません。その製品が、誰の、どんな使い方を前提にして作られたか、です。この軸で並べると、七つの答えが全部同じ方向を向きます。

ディートと犬をめぐる七つの問いを、前提の軸で並べ直す
問い前提の軸で読むと家での結論
犬に使っていいか犬に使う前提で作られたものかどうか表示に犬とあるものだけを使います
人用を転用していいか人用は、なめられる前提が入っていません転用しません
低濃度なら使えるか濃度は持続の目安で、対象の欄とは別です濃度では決めません
どこを見ればいいか使用対象・部位・回数・注意の四か所買う前に裏面を読みます
ディート不使用なら使えるか成分の情報であって、対象の情報ではありません対象の欄を見ます
人が使った日に触れていいかその製品の注意書きが先にあります人が先、犬があと。触る前に手を洗います
犬用は何が違うかなめること・被毛の上から使うことが前提に入りますその前提のもとで、表示どおりに使います

並べてみると、七つとも同じ一行に戻ります。ディートを犬に使っていいかという疑問の答えは、成分の側ではなく、その製品が誰に向けて作られたかの側にありました。ディートが入っているかどうかは、そのあとで見る情報です。順番を守るだけで、玄関で止まる時間はなくなります。

最後に、この記事では答えを出さない部分をはっきりさせておきます。その子にとって何が向いているか、いつから使うか、皮膚の状態で使ってよいかどうか。ここは、家では決められません。持病があるとき、皮膚に異常があるとき、子犬や高齢の子、妊娠中や授乳中の子は、とくにそうです。使いはじめる前に、かかりつけの動物病院にご相談ください。

Caution使ったあとに変化が出たときは、続けずに動物病院にご相談ください

使った場所を気にしてなめ続ける、皮膚が赤くなっている、同じ場所をかき続ける、被毛が抜けてきた、元気や食欲が落ちている。こうした変化が出たときは、量を減らして続けるのではなく、いったん使うのをやめて、自己判断せず動物病院にご相談ください。伝えるときは、製品名、使った場所、使った回数と時刻、いつから変化が出たかの四つを言えるようにしておくと話が早くなります。パッケージをそのまま持っていくのがいちばん確実です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。