C08季節・行事
アンダーコートが増える子と、増えないままの子
同じ空き容器を1つ用意して、ブラッシングでとれた下毛をその日のぶんだけ入れていくと、3週目で高さが2倍を超える子と、1週目とほとんど変わらない子に分かれます。どちらもダブルコートで、どちらも10月です。毛が二層になっていれば秋にアンダーコートが増えるはずだ、という前提で道具をそろえると、増えないままの子では上の毛だけが減っていきます。分かれ目は毛の種類ではなく、その子が外の気温にどれだけ触れているかのほうにあります。この記事では、増える子と増えないままの子を、同じ容器の高さという1つのものさしで分けて、そのあとで道具と手順をどちらに合わせるかを決めていきます。
とれた下毛を同じ容器に入れて比べる|アンダーコートが増える時期をダブルコートの子で測る
用意するのは、ふたのある空き容器を1つだけです。ブラッシングのあとにブラシから外した毛を、その容器へ入れます。押し込まず、指でほぐして落とすだけ。1日の終わりに、前の日の高さと見比べます。量りに乗せる必要はありません。見たいのは重さではなく、3週間のあいだに高さが動いたかどうかです。
季節のほうの説明は1段落にします。10月に入ると、朝晩の気温が日中より10度近く低い日が出てきます。日中の室温は暖房の有無でほとんど動かないので、外に出る子ほど、1日のあいだに大きな気温差を受け取ります。季節の変わり目という言葉では、この差の大きさが家ごとに違うことが落ちてしまいます。容器の高さは、その差を毛の側から測り直す道具です。
- 容器は1つ:日ごとに分けません。3週間ぶんを同じ容器に足していきます
- 入れるのは下毛だけ:ブラシの根元に溜まった細かいほうを入れ、長い上の毛は外します
- 週末に線を引く:容器の外側に、その週の高さのところへ油性ペンで線を1本引きます
- 同じ場所を梳かす:首から腰のラインと、脇の下・内ももを毎回同じ順番で通します
- 湿度も1行:容器の線の横に、その週の湿度の数字を書いておきます
| 容器の線の動き方 | アンダーコートの側で起きていること | この記事のどちらの軸で読むか |
|---|---|---|
| 1週目から3週目で2倍を超えた | 下毛が入れ替わりながら増えている | 軸1・増える子 |
| ゆるやかに上がって、3週目で止まった | 入れ替えは進んだが、量は据え置き | 軸1と軸2のあいだ |
| 3本の線がほぼ重なっている | 下毛の量が季節で動いていない | 軸2・増えないままの子 |
| 2週目だけ跳ねて、3週目で戻った | たまった毛を一度に外しただけ | もう1週ぶん足して見直す |
| 上の毛ばかりで下毛が入らない | ブラシが下毛の層まで届いていない | 軸2の手順へ |
3本の線が引けるまで、道具は替えないでください。途中で替えると、高さが動いた理由が道具なのか毛なのか分からなくなります。換毛期は毎年くり返しますが、その家のその子で何倍動くのかは、線を3本引いてはじめて分かります。犬種の名前で決めてしまうと、混血の子や、同じ犬種でも室内で過ごす時間が長い子で外れます。
軸1・容器の高さが3週で2倍を超える子|外の気温に触れる時間が下毛を厚くする
高さがはっきり動く子は、1日のうちに外の気温に触れる時間が長い子です。朝と夕方の散歩がそれぞれ30分以上、庭やベランダへ出る時間がそこに足される。窓際が定位置の猫も、この側に入ることがあります。ガラス1枚を隔てていても、明け方の冷えは部屋の真ん中より強く届きます。外気と室温の差を毎日受け取っている面から、下毛は厚くなっていきます。
この側の子で毎日変わるのは、毛の量そのものより、抜けた下毛が体の上に残る時間です。抜けた毛は上の毛に引っかかったまま体の上にとどまり、そこで湿気を抱えます。脇の下と内ももは、下毛がいちばん遅く動く場所であると同時に、いちばん風が通らない場所でもあります。容器の高さが動きはじめた週から、この2か所を最後に1回通す順番にしておくと、残る時間が短くなります。
- 首から腰のラインを先に通し、脇の下と内ももを最後に回す
- 1往復を手のひら1つぶんに区切る。長く通すほど、外れた毛が上の毛へ移る
- 終わったらブラシの根元をほぐして、下毛だけを容器へ落とす
- 室温を上げた日は湿度が下がるので、静電気で毛が寄りやすくなる
- 取りきれなかった下毛は、寝床のカバーに移って、そこで固まる
増える子では、下毛が入れ替わっているあいだ、地肌に届く空気の量がふだんより減ります。乾燥が進む時期と重なるので、地肌側の手当ても同じ週に必要になります。ただし、順番は毛が先です。面を開いてからでないと、うるおいを足しても上の毛で止まります。
軸2・高さがほとんど動かない子|ダブルコートでもアンダーコートが増えない違い
同じダブルコートでも、3本の線がほぼ重なる子がいます。一日じゅう室温がほとんど動かない家で、外に出るのが1回15分ほど。そういう暮らし方では、体が冬の側の毛を用意する合図を受け取りにくくなります。毛が二層であることと、その二層目が季節で増えることは、別の話です。増えないままでも、その子の体は困っていません。困るのは、増える前提で道具を当ててしまう飼い主のほうです。
| 見るところ | アンダーコートが増える子 | 増えないままの子 |
|---|---|---|
| 外の気温に触れる時間 | 1日に1時間以上 | 1日15分ほど、あるいは室内だけ |
| 3週目の容器の高さ | 1週目の2倍を超える | 1週目とほぼ同じ |
| 脇の下と内ももの手ざわり | 指が入るとふわりと厚い | 先週と変わらない |
| ブラシに残るもの | 細かい下毛が根元に溜まる | 長い上の毛が多い |
| 道具に求めるもの | 下毛の層まで届くこと | 上の毛を減らしすぎないこと |
| やりすぎたときに出るもの | 地肌の乾きと静電気 | 毛が薄く見えて地肌が透ける |
| 3週目にすること | 脇の下と内ももを最後に回す | 通す回数を半分に戻す |
表のいちばん下から2行目が、増えないままの子でいちばん起きやすい取り違えです。下毛が増えていない体に、下毛をかき出すための道具を当てると、外れてくるのは上の毛のほうになります。ブラシには毛が残るので、たくさん取れたという手ごたえは同じように返ってきます。容器に入れたときにだけ、細かい下毛ではなく長い毛ばかりだと分かります。容器を使う理由は、この手ごたえと中身のずれを見えるようにするためです。
増えないままの子でも、季節の変わり目に変わるものはあります。室温と湿度です。暖房を入れた部屋は湿度が下がり、乾燥した空気の中で毛が静電気を持ちます。毛の量は動いていないのに、梳かしたときの引っかかり方だけが変わる。この場合に見直すのは道具ではなく、梳かす前の状態のほうです。
とれる量が違う2つの子で、道具と手順をどう分けるか|アンダーコートとダブルコートの使い分け
使い分けの軸は、道具の名前ではなく、通す回数と、どの層で止めるかです。増える子では下毛の層まで届かせて、外れた毛を体の上に残さない。増えないままの子では、上の毛の流れを整えるところで止める。同じブラシでも、当てる角度と1回の距離を変えれば、この2つは分けられます。道具を買い足す前に、回数のほうを先に動かします。
| 決めること | 増える子 | 増えないままの子 |
|---|---|---|
| 1日の回数 | 朝と夜の2回、短く区切る | 1日1回、短く1回だけ |
| 最後に通す場所 | 脇の下と内もも | 背中の真ん中で終える |
| 当てる角度 | 毛の流れに沿わせて、根元の手前まで | 上の毛の上を滑らせる |
| 終わりの合図 | 容器に入る毛が細かくなくなったら | 上の毛が寝たら |
| 梳かす前にすること | 乾いた毛のまま入らない | 静電気を持たせない |
| 3週目に見直すもの | 外れた毛が残っていないか | 地肌が透けていないか |
どちらの側でも共通して効くのが、梳かす前に毛を湿らせておくことです。犬も猫も体から脂を出しますし、毎日散歩に行く子ほど外の細かい汚れが毛のあいだに入ります。昨日きれいにしても、今日また汚れます。それでも毎日シャンプーはできませんし、サロンに毎日通うこともできません。そこで、ブラッシングの前に mofuwa グルーミングスプレーを首から腰のラインへ吹きかけて、そのままブラシを入れます。
この1本が換毛期に合うのは、電解水と油がなじんで乳化するので、汚れのもとになっている余分な脂は落ちて、地肌に要る皮脂は残るからです。下毛が入れ替わって空気の通りが悪くなる時期に、落とす側と残す側を毎日自分で選び直さずに済みます。舐めても問題のない基準でつくられているため、量を気にせず、脇の下や内ももまでかけられます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気が起きにくい状態にしてから梳かす、という順番が作れます。増えないままの子で起きていた「毛の量は同じなのに引っかかる」も、この順番で変わります。
お風呂そのものが負担になる子や、シニアになって長く立っていられない子では、湯船に入れる回数を増やさずにこの毎日の1本で面を整える、という組み方ができます。できない子として扱うのではなく、そうしないほうがいい子として手順を組みます。換毛期のあいだは毛の入れ替えだけで体力を使うので、洗う回数を増やさない選び方は、増える子にも増えないままの子にも当てはまります。
3週目の高さが1週目の3倍を超えて、そのあとも下がらない。容器には細かい下毛が入り続けているのに、脇の下や内ももの毛は薄くなって地肌が透けてきた。線が止まったのに、同じ場所だけを舐め続けている。左右で高さの動き方が明らかに違う。こうした残り方は、外の気温や道具の当て方では説明がつきません。3本の線を引いた容器と、週ごとに書いた湿度の数字をそのまま持って、動物病院へ行く日を決めてください。何週目から動き方が変わったかが残っていると、その場で確かめられる範囲が広がります。
来年の同じ月に容器を出す日|ダブルコートのアンダーコートで見るものの選び方
3本の線が引けた容器は、洗わずにそのまま来年まで置いておきます。線の位置と、横に書いた湿度の数字。この2つがあれば、来年の10月には1週目の高さを見ただけで、増える側なのか増えないままの側なのかが読めます。毎年ゼロから測り直す必要はありません。選び方の基準は、量そのものではなく、去年の線からの開き方に移ります。
| 残すもの | 中身 | 来年の使いどころ |
|---|---|---|
| 線を引いた容器 | 3週ぶんの高さと、週ごとの湿度 | 1週目の高さを去年と重ねる |
| 梳かす順番 | 首から腰、最後に脇の下と内もも | 線が動きはじめた週に戻す |
| 回数の決め方 | 増える子は2回、増えない子は1回 | 去年の線から先に決められる |
| 毎日の1本 | 梳かす前のグルーミングスプレー | 季節が変わっても中身を見直さない |
犬種の名前は、ここまで一度も要りませんでした。同じ犬種でも暮らし方で線の動き方は変わりますし、混血の子には当てはめる名前がありません。容器の高さは、その家のその子から出てきた数字です。来年もその数字で決められます。
ふたのある空き容器を1つ、台所の棚に出しておいてください。次のブラッシングで外した毛から入れはじめれば、3週間後には線が3本引けます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 容器に毛を入れていく以外に、量を測る方法はありますか。
- 台所の量りに乗せる形でも測れます。ただ、下毛は軽いので、3週間ぶんを足しても数字の動きが小さく、読み取りにくくなります。容器の高さにすると、押し込まないかぎり、ふくらんだぶんがそのまま見えます。数字が苦手な家でも、線を引くだけなら続きます。測り方を変えるより、同じ測り方を3週間続けるほうが先です。途中で方法を変えると、その週の線だけが読めなくなります。
- 猫でも同じように容器で比べられますか。
- 比べられます。猫は自分で毛づくろいをして下毛を飲み込むので、ブラシに残る量は犬より少なくなります。それでも、1週目と3週目を同じ容器で比べるぶんには影響しません。見るのは他の子との差ではなく、同じ子のあいだの開き方だからです。窓際が定位置の猫は、部屋の中でも外気に近い側にいます。増える側に入ることがあるので、室内だけだからと決めずに線を引いてみてください。
- 3週目まで待たずに、道具を先にそろえておくことはできませんか。
- そろえること自体は止めませんが、当てるのは3本目の線を引いてからにしてください。増えないままの子に下毛をかき出す道具を当てると、外れるのは上の毛のほうです。手ごたえは同じように返ってくるので、当てているあいだは気づけません。3週間待つと、その子がどちらの側かが自分の容器で分かります。待っているあいだも、毎日のブラッシングと、梳かす前の1本はそのまま続けられます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
