C08季節・行事
湯温を1度下げるか、時間を5分短くするか
浴室の温度計は38度を指していて、シャワーを止めるまでに12分かかっていました。寒くなってくると湯温は上がり、シャワーの時間も延びます。どちらも、その子を冷やしたくないという同じ理由から起きます。ただ、38度の湯を12分当てた日の翌朝は、背中に白い粉が出ていました。この記事で並べるのは、湯温を1度下げるか、シャワーの時間を5分短くするか、という2つです。数えるのは、湯温の度数と、浴室にいた分数の2つだけです。
湯温を1度下げると、浴室で何が動くか|ぬるめのシャワーが合う条件
人が手で触って「少しぬるい」と感じる湯温は、犬や猫の体温より低い温度です。犬の平熱は38度台、猫も38度前後にあります。38度の湯は、その子にとって体温と同じくらいで、人の感覚では少しぬるい湯です。寒い時期に湯温を上げたくなるのは人の側の感覚で、湯温を1度下げても、その子が冷たいと感じているとはかぎりません。ぬるめに寄せるという判断は、ここから始まります。
- 皮脂の落ち方が穏やかになります:湯温が高いほど脂は溶けやすくなります。1度下げると、地肌に残るぶんが増えます
- 地肌の乾燥が出にくくなります:室内の湿度が下がる時期は、洗ったあとの乾燥がそのまま翌朝のフケにつながります
- その子が動かなくなります:熱い湯を嫌がって身をよじる子は、ぬるめにすると立っている時間が延びます
- 洗う時間は延びやすくなります:脂が落ちにくいぶん、同じ場所を2回流すことになります
- 濡れた体は冷えます:ぬるめの湯で時間が延びると、体表から熱が逃げる時間も一緒に延びます
最後の2つが、ぬるめのシャワーにしたときに出てくる問題です。湯温を下げると、たいてい時間のほうが延びます。1度下げたぶんを、5分延ばして取り戻している状態になっていないか。ここを見ないまま湯温だけを下げると、体が冷える時間が増えて、翌日に震えが出ることがあります。
ぬるめの湯温が合うのは、脂が多くて、洗う時間を延ばしても立っていられる子です。季節の変わり目に地肌の乾燥が出やすい子、洗ったあとにかゆがる子、換毛期で下毛が抜けている最中の子も、湯温を1度下げる側に寄せられます。逆に、短毛で体の小さい子や、浴室で震える子は、ぬるめにしても時間が延びれば意味が減ります。
シャワーの時間を5分短くすると、どこが残るか|洗い残しの見分け方
時間を削ると、削れるのはすすぎのほうです。泡をつける工程は目に見えるので短くなりにくく、無意識に短くなるのはシャワーで流す時間です。12分を7分にした日に何が残るかは、乾かしたあとの毛と地肌に出ます。湯温はそのままでも、この残り方は起きます。
| 出るもの | どこに出るか | 何が残っていたか |
|---|---|---|
| 白い粉が毛の上に浮く | 背中、腰のあたり | すすぎ残し。乾いて粉になる |
| 毛がぺたっと寝る | 背中の下側、脇 | 洗浄成分が残って毛が重くなる |
| 乾かしても、におう | 内もも、しっぽの付け根 | 泡が届かず、汚れが残っている |
| 同じ場所をなめる | 内もも、前足の付け根 | 地肌に残ったものが気になる |
| 乾きが遅い | 首まわり、耳のうしろ | 水が抜けきっていない |
見分け方は、翌朝に毛の上を手のひらで1往復させることです。粉が手につけば、すすぎのほうが足りていません。手のひらがぬるっとすれば、洗いのほうが届いていません。粉もぬめりも出ないのに、においだけが残っている場合は、泡が地肌まで行っていない場所があります。出るものが3つに分かれるので、どこを足すかも3つに分かれます。
この見分けをしないまま時間だけを戻すと、12分がそのまま15分になります。時間が延びれば、その子が浴室で立っている時間も延びます。削った5分をどこに戻すかを決めてから、時間を動かしてください。すすぎに戻すのか、地肌に届かせる工程に戻すのか、で、翌朝の出かたが変わります。
背中を首から腰まで、手のひらで1往復。粉、ぬめり、におい。この3つのうちどれが出たかを、その日のうちに書いておきます。毎回やる必要はありません。シャワーの時間を短くした日の翌朝にだけやれば、その子にとって何分が下限なのかが、3回か4回で見えてきます。
1度と5分を並べる|湯温とシャワーの時間の比較
同じ「洗う負担を減らす」でも、湯温を動かすのと時間を動かすのでは、変わる場所が違います。湯温は地肌の側に効き、時間は体温の側に効きます。どちらを先に動かすかを決めるために、変わるものを並べておきます。
| 見るところ | 湯温を1度下げる | シャワーを5分短くする |
|---|---|---|
| 皮脂の落ち方 | 穏やかになる。地肌に残るぶんが増える | 変わらない。落とし方はそのまま |
| 地肌の乾燥 | 出にくくなる | すすぎ残しが増えると、かえって出る |
| 体の冷え | 時間が延びるぶん、増えることがある | 減る。濡れている時間そのものが短い |
| 洗い残し | 増えやすい。脂が落ちにくい | 増えやすい。届く前に終わる |
| その子の動き | 嫌がりが減り、立っていられる | 短いぶん、耐えられる |
| 季節の変わり目との相性 | 乾燥が出る時期に向く | 室温が低い浴室に向く |
| 翌朝に出るもの | においが少し早く戻る | 粉、ぬめり、におい |
この比較で分かるのは、2つが別々の問題を解いているということです。湯温は乾燥の話で、時間は冷えの話です。両方を同時に動かすと、翌朝に何が出ても原因が分かりません。1度と5分のどちらか片方だけを、2週間そのままにして見るほうが、次に動かす場所が決まります。
表の最終行にある「翌朝に出るもの」が、判定の材料です。ぬるめに寄せた週に出るのは、においが少し早く戻るという変化で、粉やぬめりは出ません。時間を削った週に出るのは、粉かぬめりです。出たものの種類で、自分がどちらを削りすぎたかが分かります。湯温と分数を同じ紙に書いておくと、この照らし合わせが1分で済みます。
その子はどっちを先に動かすか|ぬるめの湯温か、短いシャワーか
先に動かす側は、その子の毛の量と体の大きさで決まります。冷えるほうが先に出る子と、届かないほうが先に出る子がいて、打つ手が逆になります。
| その子の条件 | 先に出る問題 | 先に動かす側 |
|---|---|---|
| 短毛・体が小さい・子犬 | 冷える | シャワーの時間を5分短くする |
| 下毛が多い・長毛・換毛期の最中 | 地肌まで届かない | 湯温はそのままで、届かせ方を変える |
| 脂が多い・においが早く戻る | 洗い残し | 湯温を先に動かさない |
| 季節の変わり目に乾燥が出る | 翌朝のフケ | 湯温を1度下げる |
| シニア・長く立っていられない | 冷えと届かないが同時に出る | 洗い方そのものを変える |
表のいちばん下の行が、この二択から外れる場合です。長く立っていられない子に、ぬるめのシャワーで時間をかけるのも、短いシャワーで済ませるのも、どちらも無理が出ます。湯そのものを洗浄液にすると、この二択の外に出られます。それが mofuwa 入浴シャンプーの立っている場所です。
ふつうのシャンプーは、被毛の上に泡をのせて、手でかき分けながら地肌まで届かせます。かき分けている時間は、その子がじっと耐えている時間でもあります。お湯に溶かすと、湯そのものが洗浄液になるので、かき分けなくても浸かった場所には均一に行き渡ります。下毛の多い子や長毛の子で「届かない」が先に出るのは、泡が被毛の上で止まるからです。湯に溶かした状態なら、届かせるために湯温を上げる必要も、時間を延ばす必要もなくなります。
浴室にいる分数のほうも短くなります。擦る工程がなくなり、すすぎが軽く済むためです。湯温を下げても届き、時間を削ってもすすぎ残しが出にくい。1度と5分のどちらを削るかという話が、そこで別の形になります。保湿成分が入っているので、洗ったあとに別のものを足す工程も減らせます(mofuwa 商品資料より)。
全身を洗う日以外にも使い道があります。散歩から帰って、家に入る前に足だけ洗う。桶に入れて玄関先に置いておく飼い主もいます。寒い時期は、足だけのために浴室へ連れて行って、そこから全身が濡れて、結局ドライヤーまで必要になることがあります。足先とお尻まわりだけの部分洗いで済めば、浴室にいる分数はゼロです。入浴シャンプーは、この使い方でも湯温を高くする必要がありません。
湯温を1度下げて2週間たっても、背中の粉が同じ量で出る/シャワーの時間を戻したのに、内ももの赤みが引かない/洗った当日から同じ場所をなめ続けている/浴室に入る前から震えが出るようになった。こうした残り方は、湯温と分数では説明がつきません。その週の湯温と、浴室にいた分数を書いた紙を持って、動物病院へ行く日をその週のうちに決めてください。数字が2週間ぶん並んでいれば、家で何を試したかがそのまま伝わります。
浴室を出たあとの30分に残るもの
洗う時間は、シャワーを止めたところでは終わりません。濡れた体から熱が逃げるのは、むしろ浴室を出たあとです。湯温を1度下げるか、シャワーを5分短くするかという話は、この30分とセットで考えたほうが答えが出ます。室温の低い脱衣所で10分立たせていれば、ぬるめに寄せた意味も、5分削った意味も薄くなります。
| 出たあとの条件 | ぬるめに寄せた日 | シャワーを短くした日 |
|---|---|---|
| 脱衣所が寒い | 体温が下がりやすい | 濡れている量が少なく、まだ持つ |
| すぐ乾かしはじめる | 問題にならない | 問題にならない |
| 乾かすのが10分あとになる | 冷えが残る | すすぎ残しが乾いて粉になる |
| 部屋の湿度が低い | 地肌の乾燥が出る | 毛の表面だけ先に乾く |
この表を見ると、湯温と分数のどちらを動かしても、出たあとの30分で打ち消せることが分かります。先に暖めておくのは浴室ではなく、そのあとに行く部屋のほうです。順番としては、出たあとの30分を整えてから、湯温か分数のどちらかを動かします。逆にすると、何が効いたのかが分からなくなります。
紙に書くのは3つです。その日の湯温、浴室にいた分数、翌朝に手のひらへついたもの。3回ぶんたまれば、1度下げるほうが合っているのか、5分削るほうが合っているのかが、その子の体で決まります。どちらかに決めてしまえば、次の寒い時期は同じ数字から始められます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 人の手で「ぬるい」と感じる湯温でも、寒い時期に洗って大丈夫ですか。
- 手で感じるぬるさと、その子が感じるぬるさは同じではありません。犬の平熱は38度台、猫も38度前後なので、38度の湯は体温とほぼ同じ温度です。人の手は体温より低いところで温度を測っているので、同じ湯が「ぬるい」と感じられます。寒い時期に気をつけるのは湯温の数字より、濡れている時間のほうです。ぬるめの湯でも、浴室を出てすぐに乾かしはじめられるなら、体温はそれほど下がりません。湯温を上げて短時間で済ませるより、湯温はぬるめのままで、乾かしはじめるまでの分数を短くするほうが、翌朝の地肌には残りにくくなります。
- 湯温を下げると、においが落ちにくくなりませんか。
- 落ちる量は少し減ります。脂は湯温が高いほど溶けやすいので、ぬるめに寄せた週は、においが戻るのが数日早くなることがあります。ただし、においの出どころは脂だけではありません。すすぎ残した洗浄成分や、地肌まで届かずに残った汚れも、乾いたあとににおいます。湯温を上げて脂を落としきる方向に振ると、今度は地肌の乾燥が出ます。ぬるめのまま、届かせ方のほうを変えるほうが、寒い時期には収まりがよくなります。届かせ方を変えるというのは、泡をかき分けて押し込むことではなく、湯そのものに洗う働きを持たせることです。
- シャワーを使わず、湯船に入れるだけで洗えますか。
- 浸かるだけの洗い方は、被毛をかき分けなくても全身に均一に行き渡るという点で、地肌まで届きやすい方法です。立っていられない子や、シャワーの音が苦手な子には、この形のほうが浴室にいる分数も短く済みます。ただし、湯船に入れる前に、足先やお尻まわりの目立つ汚れは軽く流しておいてください。湯が汚れてしまうと、浸かっている時間のあいだじゅう、その汚れた湯に触れていることになります。順番としては、部分だけ先に流して、そのあと浸かる。すすぎは軽くて足ります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
