C12Q&A・豆知識

ハーブの虫よけは安全?

公開日 2023年11月17日|文=mofuwa編集部

明るいリビングで、淡い色のラグの上に落ち着いて寝そべっている白っぽい毛の犬
ハーブの虫除けを選ぶときに見るのは、原料の出どころより、濃度がどう書かれているかのほうです。写真:Iza Ponchie/Pexels

ハーブの虫除けのラベルには、シトロネラ、ゼラニウム、ユーカリといった植物の名前が並んでいます。植物からとった精油は、もとの葉や花より濃い状態で、そこに入っています。だから「天然だから犬に使っても平気」という結び方は、そのままでは成り立ちません。天然という言葉が説明しているのは原料の出どころで、濃さについては何も言っていないからです。ハーブの虫除けで実際に読むところは、その成分がどれくらいに薄められているか、という一点になります。そしてもう一つ、犬と猫では体の側の事情が違うとされています。この記事では、ハーブの虫除けをめぐる疑問を、濃度とラベルという2つの物差しに置き換えて、8つの問答に分けて書きます。

ハーブの虫除けは、天然だから犬に使っても平気ですか

答えは条件で割れます。「天然だから平気」という結び方は、そのままでは成り立ちません。天然という言葉が指しているのは、原料をどこから持ってきたかという出どころの話です。そこに入っている成分がどれくらいの濃さで入っているかは、まったく別の物差しになります。ハーブの虫除けを犬に使うかどうかを決めるときに要るのは、後者のほうです。

植物そのものと、植物からとった精油は、同じ名前で呼ばれていても状態が違います。庭に生えているレモングラスの葉と、その葉を大量に集めて取り出した数ミリリットルの液。名前は同じでも、含まれている成分の濃さが違います。ハーブの虫除けに入っているのは、たいてい後者のほうです。だから「もとは植物だから薄い」とは読めません。抽出という工程は、そもそも中身を集めるための工程です。

Note「天然」「植物由来」は、濃さについて何も言っていません

表示としての「天然」「植物由来」は、原料の出どころを説明する言葉です。天然由来なので犬にも安心です、植物成分だから薄めずに使えます。この2つは、出どころの話から濃さの話へ、途中を飛ばして進んでいます。出どころが分かっても、何倍に薄めてあるかは分かりません。逆に、化学的に合成された成分でも、薄めてあれば薄い状態になります。天然かどうかという線と、濃いか薄いかという線は、最初から別の線です。

この記事では、ハーブや精油そのものを良い悪いで分けません。分けられるのは、濃度が書いてあるかどうかと、その動物向けに作られているかどうかの2つだけです。この2つはラベルを見れば家で確かめられます。逆に、そこに書かれていないことを家で推測しても当たりません。以降の問答は、すべてこの2つに戻ってきます。

精油が「濃い」というのは、何と比べて濃いのですか

比べている相手は、その植物そのものです。水蒸気を通したり、圧をかけたりして中身を取り出すと、量は大きく減り、残ったものには成分が集まります。何キログラムの葉から何ミリリットル取れるかは植物によって違いますが、方向は同じで、量が減って中身が集まる向きに進みます。ハーブの虫除けの原料になっている精油は、その状態のものです。

同じ植物でも、状態が変わると濃さの意味が変わる
状態何を指しているかそのまま体につけるものか
生えている葉・花植物そのもの。水分を多く含んでいるそもそも製品ではありません
乾燥させた葉水分が抜けたぶん、重さあたりの中身が増えるお茶や香り袋として使われる形です
取り出した精油(原液)中身を集めた液。もとの植物より濃い薄めて使うことが前提とされています
薄めたもの(製品)原液を何倍かに薄めた状態ここで初めて、使う濃度が決まります
空気中に広がった状態香りとして部屋に出ている分つける場所を決められません

この表でいちばん大事なのは、3行目と4行目のあいだです。原液と製品では、同じ名前の成分でも濃さが違います。そして製品の側には、何倍に薄めたかという情報が入っています。ハーブの虫除けを読むというのは、ほとんどこの倍率を読むことです。倍率が書かれていない製品は、濃いのか薄いのかを家では決められません。

濃度が変わる場所は、実は3つあります。ここを分けておくと、同じ「濃い・薄い」という言葉が指しているものがずれなくなります。

ハーブの虫除けについて「濃度が高い」「濃度が低い」と言うときは、この5つのどれを指しているのかを分けて考えてください。原液が濃いことと、その製品が濃いことは、同じ意味ではありません。製品として薄めてあれば、原液がどれだけ濃くても、体につく濃さは薄めた側で決まります。逆に、薄めてあると書いていない製品は、この計算そのものができません。

犬と猫で事情が違うと聞きました。どこが違うのですか

違うとされているのは、体に入ったあとの処理のしかたです。猫は、人や犬が持っている処理の経路の一部について、働きが弱いとされています。だから同じ成分が同じ量だけ入ったとしても、体の中に残る時間が変わるとされます。ここは家で確かめられる話ではなく、扱いの前提として置いておく話です。

この違いは、量が多いか少ないかという話ではありません。犬の体に合わせて濃度を決めた虫除けを、そのまま猫に置き換えられない、という前提の話です。量を半分にすれば猫にも使える、という組み替え方ができないところが、この違いの厄介なところになります。ハーブの虫除けにかぎらず、犬向けに作られたものを猫に流用しない、という線はここから来ています。

「犬向け」「猫向け」と書かれている表示が、何を引き受けているか
表示決めている人家で読み替えられるか
犬向けと書かれている犬の体に合わせて濃度を決めた側猫向けには読み替えられません
猫向けと書かれている猫の体に合わせて濃度を決めた側犬に使えないという意味ではありません
ペット用とだけ書かれているどの動物を想定したかが読めません問い合わせるまで決められません
人用と書かれている人の体に合わせて濃度を決めた側犬にも猫にも読み替えられません
対象の記載がない想定した動物が示されていません使うかどうかの判断材料がありません

3行目と5行目は、実際によく出てきます。「ペット用」という言葉は、犬と猫をまとめて1語にしてしまうので、どちらに合わせて濃度を決めたのかが読めません。ハーブの虫除けを選ぶときは、この1語で止まらずに、犬なのか猫なのかが書かれているところまで探してください。書かれていなければ、そこで止めるのがいちばん短い判断になります。

Caution犬と猫が同じ家で暮らしているときは、共用しないでください

犬につけたものは、体をこすり合わせたり、同じ寝床を使ったりするうちに、猫の体にも移ることがあります。犬向けに濃度を決めたハーブの虫除けを、犬にだけ使っているつもりでも、家の中では分けきれません。多頭飼いの家では、犬と猫の両方に使えると書かれているものを選ぶか、使う場所と時間を分けるかのどちらかになります。判断に迷うときは、使う前にかかりつけの動物病院にご相談ください。

体の大きさは、ハーブの虫除けの濃さとどう関わりますか

同じ1回分をつけても、体が小さいほど、体に対する量の比は大きくなります。ここが、人用に作られたものを犬に流用したときに、いちばん静かにずれるところです。人が自分の腕に使う量をそのまま小型犬に使えば、体重あたりで見た量は大きく変わります。ラベルに書かれている「適量」は、想定した体の大きさとセットになっている言葉です。

同じ量をつけても、比が変わる
誰につけるか同じ1回分が持つ意味読み替えられるか
人の腕人用として想定された量そのまま犬に読み替えられません
大型の犬面積が広いぶん、薄く広がります小型の犬には読み替えられません
小型の犬同じ量でも、体に対する比が大きくなります大型の犬の分量では多すぎます
子犬・高齢の犬体の側の条件が変わるとされています成犬の分量をそのまま使えません
猫処理のしかたが違うとされています犬の分量からは決められません

この表は、量の目安を作るためのものではありません。「適量」という言葉が、誰の体を基準にした量なのかを分けるための表です。ハーブの虫除けについて、家で計算して量を決めるのはおすすめしません。書かれている対象と体格に自分の犬が当てはまるかどうかを見て、当てはまらなければ使わない、という決め方のほうが早く、外れません。

もう1つ、面積の話をしておきます。虫除けをつける場所は、背中のように広い面ばかりではありません。耳のまわり、口のまわり、足先。狭い場所ほど、同じ量でも1か所に集まります。そして口のまわりと足先は、そのあとその子が自分でなめる場所でもあります。ハーブの虫除けを犬に使うときは、量より先に、どこにつけるかで条件が変わることを見ておいてください。

ラベルのどこを見れば、犬向けに作られた虫除けだと分かりますか

見るところは2か所です。1つめは、濃度が書いてあるか。2つめは、どの動物向けに作られたかが書いてあるか。この2つがそろっていれば、そのハーブの虫除けが誰の体を基準に作られたものかが読めます。どちらか一方でも欠けていると、残りは推測になります。推測は当たらないので、そこで止めるのがいちばん安全な扱いになります。

ラベルの2か所を、書かれている場合と書かれていない場合で読む
見るところ書かれていれば書かれていなければ
濃度・希釈の倍率体につく濃さがどこで決まったかが追える濃いのか薄いのかを家では決められません
対象の動物(犬・猫)誰の体に合わせて濃度を決めたかが分かるその子に当てはまるかどうかが読めません
使う量と間隔重ねてよい回数の上限が示されている重ねたときの条件が示されていません
つけない場所口や目のまわりの扱いが示されているつける場所を家で決めることになります
試験条件と検査機関誰が、どんな条件で確かめたかが追えるその一行がどこまでを指すのか決められません

5行目について、もう少し書きます。試験条件と検査機関の名前が併記されている資料は、むしろ正直な資料です。条件を決めた人と、確かめた人が別だと分かるからです。逆に、確かめた条件が書かれないまま結果だけが言い切りの形になっているときは、どこかで一段、言葉が飛んでいます。ハーブの虫除けにかぎらず、犬に使うものはこの3か所を同じ順で読めば足ります。

  1. 対象の動物を探す

    「犬用」「猫用」と書かれているところを先に探します。「ペット用」で止まっているときは、まだ読めていません。製造元の問い合わせ先が書かれていれば、そこで確かめられます。

  2. 濃度か、希釈の倍率を探す

    何倍に薄めてあるか、あるいは配合の割合が書かれているかを見ます。ここが書かれていないハーブの虫除けは、濃さの側から評価できません。

  3. 使う量・間隔・つけない場所を確かめる

    1回の量、次に使うまでの間隔、口や目のまわりの扱い。この3つが書かれていれば、家でやることはそこに書かれた範囲だけになります。

  4. 確かめられた条件が併記されているかを見る

    試験条件と検査機関の名前が書かれているかどうかです。書かれていれば、その一行がどこまでを指しているのかを自分で追えます。

  5. 2か所が欠けていたら、その製品はそこで置く

    濃度と対象の動物。この2つが読めない製品を、家の側の工夫で使いこなそうとしないでください。読めないものは、読めないという理由だけで外せます。

ハーブの虫除けは、どうやって虫を遠ざけているとされているのですか

説明されている仕組みは、においで寄りにくい状態をつくる、という形です。だから香りが要ります。そして香りが要るということは、成分が空気中に出続けている、ということでもあります。ハーブの虫除けの設計は、ここに折り合いを持っています。香りを強くするほど寄りにくさの側は上がりますが、そのぶん犬の鼻には強く届きます。

犬の嗅覚は、人よりかなり鋭いとされています。どれくらい鋭いかは調べ方によって幅がありますが、方向としては人より上、という言い方までは一般にされています。ここで数字を出さないのは、出典を確かめられない倍率が世の中に何種類も流れているためです。数字がなくても、この記事で必要なことは言えます。人にとってちょうどよい香りの強さが、その子にとって同じ強さとはかぎらない、ということです。

この5つは、どれかが正解というものではありません。どれを取っても、別のどこかが動くという構造になっています。ハーブの虫除けを比べるときに「入っている・入っていない」だけを見ていると、この折り合いが見えなくなります。成分表は、何を選んだかではなく、何と何を引き換えにしたかを読むところです。

犬の側の事情も1つ書いておきます。その子は、香りのついた部屋から自分で出ていけるとはかぎりません。ケージの中、キャリーの中、車の中。逃げ場のない場所で香りを足すと、強さを調整しているのは人の側だけになります。ハーブの虫除けを使う場面を決めるときは、その子が離れられる場所があるかどうかを、量より先に見てください。

「ディート不使用」と書いてあれば、ハーブの虫除けと同じものですか

同じではありません。「◯◯不使用」という表示は、入っていないものを1つ挙げているだけです。何が入っているかは、そこからは読めません。ディート不使用と書かれたハーブの虫除けもあれば、ディート不使用で香りもつけていないものもあります。不使用の表示は、成分表を読まなくてよくなる合図ではなく、成分表のうち1行だけを先に教えてくれているものです。

「不使用」の表示が答えていることと、答えていないこと
表示答えていること答えていないこと
ディート不使用その成分が入っていないこと代わりに何が入っているか
アルコール不使用その成分が入っていないことほかの成分の濃さ
香料不使用香りをつける成分を足していないこと原料そのものの香りがあるかどうか
無香料香りをつけていないことにおいで遠ざける設計かどうか
植物由来原料の出どころ何倍に薄めてあるか

この表の右の列が、この記事でいちばん残しておきたい部分です。不使用の表示は、引き算を1つ示しているだけで、足し算の側は示していません。だから「不使用が多いほど良い」という並べ方も成り立ちません。何を入れないかを決めることと、何を入れるかを決めることは、設計としては別の判断です。

mofuwa の虫よけも、この線の上で作られています。mofuwa においがしない虫よけスプレーは、ディート不使用の化粧品グレードです。無香料なので、香りで遠ざける設計ではありません。香りで遠ざける設計を取っていないぶん、香りの強さをめぐる折り合いが最初から起きません。これは「香りのあるものより良い」という話ではなく、s6で並べた5つのうち、どれを選んだかという話です。散歩に出る前に、この虫よけスプレーを犬の背中側から距離をとって使い、口や目のまわりは避けてください。

ついでに、mofuwa のほかのケア用品についても線を1本引いておきます。グルーミングスプレーなどに使っている特許電解水は、特許5253483(三室ダブルイン型 電解分解技術)として登録された技術でつくられた水です。特許は技術が新しいものとして登録されたことを示すもので、効果を証明したものではありません。番号があることと、何かが確かめられていることは、別々に読んでください。この読み方は、ハーブの虫除けの成分表を読むときとまったく同じです。

8つの問答を、ラベルの2か所に畳む|濃度が読めないときの止め方

ここまでを畳みます。ハーブの虫除けを犬に使うかどうかは、天然かどうかでは決まりません。決まるのは、濃度が書かれているかと、どの動物向けに作られたかの2つです。この2つが読めれば、あとはラベルに書かれた範囲でやるだけになります。読めなければ、そこで止めます。

8つの答えを、2か所に畳んだ形
問い答えが戻ってくる場所
天然だから平気か出どころの話。濃度の欄に戻ります
精油が濃いとはどういう意味か希釈の倍率の欄に戻ります
犬と猫でどこが違うか対象の動物の欄に戻ります
体の大きさはどう関わるか対象の動物と、使う量の欄に戻ります
ラベルのどこを見るか濃度と対象の動物。この2か所です
どうやって遠ざけているのか設計の折り合い。成分表の読み方に戻ります
不使用の表示は何を言っているか引き算だけ。足し算は成分表に戻ります
読めないときはどうするか使わない、という判断ができます

8つ目について、もう少し書きます。読めないものを使わない、というのは消極的な判断に見えて、実はいちばん材料が明確な判断です。濃度が書かれていない、対象の動物が書かれていない。これは家で確かめられる事実で、推測ではありません。ハーブの虫除けの世界では、この2つが書かれていない製品も実際に流通しています。書かれていないという事実だけで、その子に使わない理由になります。

Pointこの記事が線を引いていないところ

この記事では、どの植物が良い・どの成分が危ないという分け方をしていません。ハーブや精油の一つひとつについて、犬にとってどうかを断定できる材料を、私たちは持っていないからです。書けるのは、濃度という物の条件と、誰の体に合わせて作られたかという設計の条件までです。この成分は危険です、このハーブなら犬に安全です。どちらの言い方も、確かめられる範囲を超えています。判断の材料がラベルにないときは、材料を持っている人に聞くのがいちばん早い道になります。

Caution使ったあとに変化があったときは、動物病院にご相談ください

つけた場所の地肌が赤い、その場所をなめ続けている、かき続けている、よだれが増えた、ぐったりしている、いつもと歩き方が違う。こうした変化があるときは、量を減らしたり別のハーブの虫除けに替えたりする前に、動物病院にご相談ください。使った製品の容器をそのまま持っていくと、成分表と濃度をその場で見てもらえます。使った日時と、どこにどれくらいつけたかをメモしておくと、さらに早く切り分けてもらえます。持病のある子、投薬中の子、子犬、高齢の犬、そして猫がいる家では、使う前の段階で相談しておくほうが確実です。

最後に一行だけ。ハーブの虫除けについて調べているとき、いちばん役に立つのは、成分の名前を覚えることではなく、濃度が書かれているかどうかを見る癖のほうです。植物の名前は製品ごとに入れ替わりますが、この2か所は、どの製品でも同じ場所にあります。犬と暮らしていくあいだ、ずっと使える読み方になります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。