C05犬種・猫種別ケア

シーズーと暮らすなら知っておきたい、耳の汚れの話

公開日 2023年11月21日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の床で、長い毛と垂れた耳の犬が落ち着いて休んでいる
耳の輪郭は、頭から垂れる毛の中に消えています。点検は、耳を見つけるところから始まります。

シーズーの頭を正面から見ても、耳がどこにあるのかは分かりません。頭の毛と耳に生えた飾り毛が同じ向きに垂れて混ざり、耳の輪郭が毛の中に溶けているからです。手のひらを頭の丸みに当てて外へ滑らせていくと、ある場所で、薄い板のようなものが指の下を通ります。それが耳です。シーズーの耳の汚れは、汚れをどう落とすかの前に、耳がどこにあるかから始まります。耳が外から見えている犬なら、汚れのほうから目に飛び込んできます。見えない犬には、その入口がありません。この記事では、耳が見える状態と見えない状態で点検の入口がどう変わるかを比べたうえで、覆っている毛を残すか短くするかの選び方までを書きます。

耳の輪郭が毛に消える|シーズーの耳がどこにあるか分からなくなる作り

シーズーの被毛は、頭から顔にかけても伸び続けます。頭頂部の毛も、頬の毛も、切らなければ長くなっていきます。そして耳そのものにも、長い飾り毛が生えます。頭から垂れる毛と、耳から垂れる毛が、同じ向きにそろって重なります。そのため外から見たとき、どこまでが頭でどこからが耳なのか、境目が分からなくなります。

耳の位置は、目尻より少し後ろ、頭骨の側面です。手のひらを頭のてっぺんに置いて、そのまま横へ滑らせてください。頭の丸みが下がったところで、指の下に薄くて平らなものが当たります。それが耳介で、シーズーではその全体が毛の下に隠れています。大きさも、手で触ると外から想像していたより広いことが分かります。

この作りには理由があります。シーズーはもともとチベットから中国の宮廷へ渡り、室内で人と過ごしてきた犬です。長く伸びる被毛は、この犬種がずっと持ってきた特徴で、耳の飾り毛もその一部です。耳が隠れているのは手入れ不足の結果ではなく、この犬種の毛の作りがそうなっているということです。だから「見えるようにする」ことが正解とは限りません。

隠れていることで、耳のまわりの条件はいくつか変わります。垂れ耳なので耳介が入口にふたをしていて、そのうえに毛の層がかぶさります。耳のまわりの空気が入れ替わる時間も、洗ったあとに乾く時間も、そのぶん長くかかります。シーズーの耳の汚れを考えるときは、この「覆われている」という条件を先に頭に入れておいてください。

Note「見えない」は、汚れやすいという意味ではありません

覆われていること自体が、シーズーの耳を汚すわけではありません。変わるのは気づくまでの時間のほうです。同じだけ汚れが出ていても、見えている犬なら数日で気づき、見えない犬では何週間か気づかないことがあります。だからシーズーでは、汚れの落とし方より先に、点検のしかたを決めておくほうが効きます。

目で気づくか、手で探すか|シーズーの耳の汚れに気づく入口の違い

耳が外から見えている犬では、飼い主は特に何もしなくても耳の中を見ています。抱き上げたとき、名前を呼んで振り向いたとき、並んで座っているとき。視界に入るということは、点検の予定を立てなくても点検が済んでいるということです。汚れが出はじめれば、そのうちのどこかで目に入ります。

シーズーでは、この入口がありません。毎日顔を見ていても、耳の中は一度も視界に入らないまま何週間も過ぎます。そのぶん、たよれる入口は手・におい・その子の仕草の3つになります。どれも、目とは決定的に違う性質を持っています。目は勝手に入ってきますが、手とにおいと仕草は、飼い主が「見に行こう」と決めた日にしか入りません。

仕草は、3つの中では唯一、向こうから知らせてくれる入口です。頭を振る回数が増える、後ろ足で耳のあたりをかく、床や家具の角に頭をこすりつける、なでようとすると耳の側だけ避ける。シーズーでは、こうした仕草が最初の合図になることがよくあります。ただし仕草が出るのは、汚れが出てからしばらくたったあとです。仕草だけに頼ると、気づくのが遅くなります。

耳が見える犬と、耳が見えない犬の入口 耳が外から見えている犬では、視界がそのまま点検になります。シーズーのように毛に覆われている犬では、その入口がないので、手とにおいで探しに行く必要があります。 同じ汚れでも、気づき方が変わります 耳が見える犬 入口は目。視界に勝手に入る 予定を立てなくても済む 汚れが出れば数日で気づく 毛をどける手間がない 耳が見えないシーズー 入口は手・におい・仕草 見に行くと決めた日だけ 気づくまでに時間がかかる 毛を分ける手順が先に要る だから点検は、予定に入れておくほうが続きます
入口が変わると、気づくまでの時間も変わります。

においという入口は、シーズーでは扱いやすいほうです。耳の付け根に鼻を近づけて、いつもと違うにおいがしないかを確かめるだけで済みます。毛を分ける必要も、耳をめくる必要もありません。抱き上げたついでに、耳の付け根で一度だけ息を吸う。これなら毎日でも続きます。手で探すのは週に一度でも、においだけは毎日、という組み合わせにすると無理がありません。

手という入口は、いちばん確かで、いちばん手間がかかります。毛を分けて、耳を持ち上げて、明るいところで見る。この順番を通してはじめて、シーズーの耳の汚れは目で確かめられる状態になります。手順は後ろのセクションにまとめますが、ここで押さえておきたいのは、シーズーでは点検が「作業」だということです。作業なら、間隔を決めておかないと抜け落ちます。

覆っている毛を残すか、短くするか|シーズーの耳まわりの選び方

同じシーズーでも、耳まわりの毛の扱いは家庭ごとに違います。飾り毛を伸ばしたままにしている子もいれば、耳の付け根から先を短くしている子もいます。どちらが正しいという話ではなく、選んだほうによって毎日のケアの中身が変わる、という話です。2つを同じ項目で並べます。

耳まわりの毛を残す場合と、短くする場合の比較
覆う毛を残す耳まわりを短くする
耳の見え方外からは輪郭が分かりません耳の位置と付け根が見えます
気づく入口手・におい・仕草目が使えるようになります
点検にかかる手間毛を分ける手順が毎回必要めくればすぐ見えます
汚れの出方飾り毛に絡んで留まります耳の面に出たままになります
洗ったあと乾くまでの時間が長くなります乾く時間が短くなります
毎日のケア付け根を拭き、飾り毛を通します耳の面を拭くだけで済みます
向いている暮らし室内中心。点検を予定に組める水辺や草むらに行く機会が多い
気をつけること点検の間隔があくと気づきが遅れます短くしても中は見えません

表の最後の行は、選び方を考えるうえで大事な点です。耳まわりを短くしても、耳の穴の奥が見えるようになるわけではありません。見えるようになるのは、耳の付け根と、めくったときの耳の内側の面までです。短くする選択は「点検の入口を1つ増やす」ことであって、点検そのものを省ける選択ではありません。ここを取り違えると、短くしたから大丈夫、と点検の間隔があいてしまいます。

選び方の軸は、見た目の好みだけではなく、その家庭で点検を予定に組めるかどうかに置いてください。週に一度、毛を分けて耳を見る時間がとれるなら、飾り毛を残す選択は十分に成り立ちます。その時間がとりにくい時期なら、耳の付け根まわりだけ短くしておくと、においと目の2つの入口が同時に使えます。全身の長さの方針を変える必要はありません。

Point全身の方針と、耳まわりの方針は分けて決められます

シーズーの毛を長く伸ばしていたいご家庭は多く、それ自体は無理に変えるものではありません。耳の付け根のまわりだけ、指2本ぶんほど整えてもらう。この頼み方なら、見た目の印象をほとんど変えずに、点検の入口だけ増やせます。トリミングに出すときは「耳の中を見やすくしたい」と目的で伝えると、その子の毛量に合わせて調整してもらえます。

毛を分けて、耳を見つけてから触る|シーズーの耳の汚れに使う道具の使い分け

点検の手順です。飾り毛を残している子を前提に書きますが、短くしている子でも前半は同じです。いちばん大事なのは、耳を触る前に耳の位置を確かめることです。位置を確かめずに毛の上から手を動かすと、耳をつかんだつもりで頬の毛を引っぱっていた、ということが起きます。

  1. 頭のてっぺんに手のひらを置き、そのまま横へ滑らせる

    毛をかき分けず、手のひらを毛の上から当てたまま進めます。頭の丸みが下がったところで、薄い板のようなものが手の下を通ります。そこが耳介の上端です。左右で同じことをして、位置と大きさを手で覚えてください。この一手間があると、あとの手順で迷いません。

  2. 耳の付け根の線に、指を1本入れて毛を前後に分ける

    つまんで引っぱるのではなく、指を差し込んで左右へ開きます。頭から垂れている毛と、耳から垂れている毛の境目が、ここではじめて分かれます。分けた毛は、片手で押さえたままにしておきます。飾り毛が多い子は、この段階で小さなクリップを使うと両手が空きます。

  3. 耳の先を持って、内側の面を上に向ける

    持つのは先のほうで、付け根を折り曲げないでください。めくると、それまで一度も見えていなかった耳の内側の面が出ます。明るい場所か、明かりを当てられる場所でやってください。シーズーの耳の汚れは、この面と、耳の穴の入口までを見れば分かります。

  4. 見えている範囲だけを、やわらかい布かコットンで拭く

    布は指に巻きつけて、面をなでるように動かします。綿棒を耳の穴に入れないでください。入れれば、入口にあったものを奥へ運ぶことになります。家庭で手が届いてよいのは、めくって目で見える範囲までです。それより奥は動物病院の領域として、切り分けてください。

  5. 最後に、飾り毛を毛の流れに沿って通しておく

    分けた毛をそのままにすると、絡んだまま戻ります。付け根から毛先へ、短く区切って通してください。飾り毛が絡んでいると、次の点検で毛を分ける手間がそのぶん増えます。ここまでを1回として、間隔を決めます。

道具の使い分けも、範囲で決まります。指と布は耳の外側と付け根、コットンはめくって見える内側の面、綿棒はどこにも使わない。この3つを決めておけば、迷って奥へ入れてしまうことがなくなります。ピンセットで飾り毛を抜く、といったことも家庭ではやらないでください。抜くかどうかの判断は、トリミングサロンか動物病院に相談する話です。

手順の4つめで使う布を、何で湿らせるかも決めておきます。めくって初めて見える耳の内側の面は、その子の手が届かない場所です。後ろ足で耳のあたりをかくことはできても、めくった内側の汚れまで届く手段を、その子は持っていません。シーズーで飼い主が代わることになるのは、ここです。mofuwa スキンケアミストは、成分が電解水100%です。清涼飲料水の規格基準をクリアしています。布かコットンに含ませてから、耳の外側と付け根の毛、それからめくって見える面をなでるように拭いてください。耳をめくったまま拭くと、頭を振った拍子に飛んだものが口のまわりへ回ります。舐めても問題のない基準でつくられていることが、めくったまま使える理由になります。耳の穴に液体が入る使い方はしないでください。

Caution嫌がるときは、その日の手順を短くしてください

耳を触られるのを嫌がる子は少なくありません。めくった瞬間に頭を振る、体をよじる、声を出すというときは、その日は位置を確かめてにおいを嗅ぐところまでで終わりにしてください。無理に押さえて全部やりきると、次から手を近づけただけで逃げるようになります。痛みがあって嫌がっている可能性もあるので、嫌がり方が急に強くなったときは、手順の問題として片づけないでください。

毛が伸びた長さで決める|シーズーの耳を見に行く時期

点検の間隔は、日数ではなく毛の状態で決めると続きます。シーズーの毛は伸び続けるので、覆っている量は放っておけば増えていきます。手のひらを横に滑らせたときに、耳の板の感触がすぐ分からなくなってきたら、覆う量が増えた合図です。そのときは、点検の間隔を短くするか、耳の付け根まわりを整えるかを決め直す時期です。

季節や暮らしの中でも、見に行く時期が動きます。湿度が高い時期は、洗ったあとに耳のまわりが乾ききるまでの時間が長くなります。水辺で遊んだ日、雨に降られた日、草むらに入った日も同じです。耳が濡れた日を数えて、濡れた日の翌日は必ず一度見る、と決めておくと抜けません。シャンプーのあとも、体を乾かすついでに耳の付け根まで風が届いているか確かめてください。

見に行く時期を決める目安
きっかけ見るタイミング
ふだんの暮らし週に一度、毛を分けて内側の面まで
においの確認抱き上げたついでに、毎日でも構いません
洗った日・雨に濡れた日翌日に一度、乾いているかも合わせて
水辺や草むらに行った日その日のうちに、耳の外側と付け根から
耳の板が手で分かりにくくなった点検の間隔か、毛の長さの方針を決め直す
頭を振る・かく仕草が増えた予定を待たず、その場で見てください

ここまでは、覆われているという条件で説明のつく話でした。点検の間隔を守っているのに気になる状態が続くとき、あるいは次のような変化があるときは、毛や手入れの話として片づけないでください。耳の中は家庭から見える範囲がもともと狭いので、迷ったら早いほうを選んで構いません。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

においが強い、汚れの量が急に増えた、耳をめくると赤い、湿っている、頭を振り続けている、耳のあたりを触ると痛がる、頭を片側に傾けている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家庭で拭く回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。拭いたものを1枚とっておくと、いつからどのくらい出ているかを伝えやすくなります。

シーズーと暮らすうえで、耳が毛に覆われていること自体は変えられません。長く伸びる被毛は、この犬種がずっと持ってきた作りだからです。変えられるのは、耳がどこにあるかを手で確かめる習慣があるかどうかと、見に行く間隔のほうです。汚れをどう落とすかは、そのあとの話になります。今日は位置を確かめるところまで、来週は毛を分けて内側の面まで。順番を守れば、それで足ります。

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よくある質問

綿棒で耳の中を掃除してもいいですか?
家庭では使わないでください。耳の穴は途中で曲がっているので、綿棒を入れると、入口にあったものを奥へ押し込む形になります。家庭で手が届いてよいのは、耳をめくって目で見える範囲までです。奥に気になるものが見えるときは、自分で取ろうとせず、その状態のまま動物病院で相談してください。
耳の飾り毛は抜いたほうがいいのでしょうか?
抜くかどうかは、その子の毛の量や皮膚の状態によって判断が分かれるところなので、家庭で決めずにトリミングサロンか動物病院に相談してください。ピンセットなどで飼い主が抜くことはおすすめしません。家庭でできるのは、絡んだ飾り毛を毛の流れに沿って通しておくところまでです。
シャンプーのあと、耳はどうしておけばいいですか?
耳の付け根まで風が届いているかを確かめてください。シーズーは頭の毛と飾り毛が重なるので、体が乾いていても耳のまわりだけ湿っていることがあります。指で毛を分けて、付け根に触れてみるのがいちばん確かです。翌日にもう一度、においを確かめておくと安心です。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。