C05犬種・猫種別ケア

ヨークシャーテリアのケア|毛のパサつきを減らす3つの習慣

公開日 2023年11月14日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、細く長い毛の小さな犬が柔らかい敷物の上でくつろいでいる
毛先は、その子が何年も前に生やした部分です。手ざわりの差は、そこに積み上がった時間の差です。写真:https://kaboompics.com//Pexels

ヨークシャーテリアの毛を1本だけつまんで、根元から毛先まで指を送ってみてください。途中までは指がなめらかに進み、ある地点から先で、細かく引っかかる感触に変わります。同じ1本なのに、手ざわりが途中で切り替わります。ヨークシャーテリアの毛のパサつきは、今日の空気の乾燥ではなく、毛先が経てきた時間のほうから生まれています。この犬種の毛は、まとまって抜け替わることが少なく、切らずにいれば伸び続けます。つまり1本の毛が、体の上で何年も生き続けます。毛先はその子が何年も前に生やした部分で、根元はここ数か月に生えたばかりの部分です。この記事では、なぜそうなるのかを先に整理して、そのうえで毛先・中間・根元に別々の手を当てる3つの習慣をまとめます。

1本の毛が何年も生き続ける|ヨークシャーテリアの毛のパサつきを時間で読むコツ

ヨークシャーテリアの毛は、絹糸のように細く、まっすぐで、上毛と下毛に分かれていません。そしていちばんの特徴は、伸び続けることです。まとまって抜け替わる時期がはっきりせず、切らずにいれば床につく長さになります。これは、この犬種の毛が持っている作りで、手入れが足りないから伸びているのではありません。

伸び続けるということは、抜けないということです。抜けなければ、その1本は体の上に残り続けます。毛先は、その子が何年も前に生やした部分です。根元は、ここ数か月のあいだに生えたばかりの部分です。1本の毛の中に、何年ぶんもの時間の差が並んでいます。ヨークシャーテリアの毛を見るときのコツは、長さではなく、この時間の差のほうを見ることです。

毛先が経てきた時間の中身を、具体的に並べてみます。何百回ぶんのブラッシング、何十回ぶんの洗いと乾かし、窓から入る日ざし、床と家具とソファへの接触、飼い主の服との擦れ、乾いた季節と湿った季節のくり返し。そのすべてを最初から最後まで受けてきたのが、いま指に引っかかっている毛先です。根元は、そのうちのごく一部しか経験していません。

毛の表面は、うろこ状の層が屋根瓦のように重なった作りになっています。この重なりがそろっているあいだは、指が引っかからず、光もそろって返ります。何年もかけて外から力を受け続けると、重なりの端が起き上がり、そろわなくなります。指がざらつくのも、光がばらけて見えるのも、同じひとつの理由から来ています。ヨークシャーテリアの毛のパサつきは、こうして毛先の側から先に現れます。

1本の毛の中で、部位ごとに年齢が違う
いつ生えた部分か外から受けてきた回数いま家でできること
毛先何年も前いちばん多い長さの方針を決め直す
中間1年ほど前毛先の半分ほど通る回数を減らす
根元ここ数か月いちばん少ないこれから毛先になる部分を守る
Note今日の手当てで、毛先が若返ることはありません

毛は生えたあと、体の中から作り直されることがありません。だから毛先に起きたことは、あとから元に戻せません。これは家庭のケアの限界という話ではなく、毛という組織の作りの話です。手を当てて意味があるのは、これから毛先になる部分と、いま中間にある部分です。ヨークシャーテリアの毛のパサつきを考えるときは、戻すのではなく、この先に積み上がる時間を減らす、という向きで考えてください。

この見方に切り替えると、判断がひとつ楽になります。今日パサついて見える毛先は、今日の環境のせいではありません。湿度を上げても、良いものを塗っても、何年もぶんの時間は消えません。逆に言えば、いま根元にある毛が数年後にどう見えるかは、これからの毎日で決まります。ヨークシャーテリアの毛は伸び続けるので、今日の手入れの結果は、何年もあとの毛先に現れます。

毛先・中間・根元に別々の手を当てる|ヨークシャーテリアの毛で決める3つの順番

3つの習慣を挙げます。3つとも毎日やること、にはしません。相手にする部分の年齢が違うので、決め直す間隔も変わります。毛先の話は数か月に一度、中間の話は1回のブラッシングの中、根元の話は季節が変わるとき。この3つを混ぜないことが、ヨークシャーテリアの毛のパサつきに手を入れるときの順番です。

  1. 習慣1|毛先:数か月に一度、長さの方針を決め直す

    いちばん古い部分は、切って手放すことができます。全体を短くする必要はなく、毛先の何センチかだけ落とすという判断でも、体の上に残っている時間の最長値が下がります。床につく長さで暮らしている子ほど、毛先は床や家具に触れ続けているので、間隔は短めになります。トリミングに出しているご家庭なら、次の予約のときに「毛先の古い部分を整えたい」と伝えれば通じます。自分で決めるときは、指を送って引っかかり始める地点を探し、そこより先を落とす、という決め方が分かりやすいはずです。

  2. 習慣2|中間:1回のブラッシングの中で、通る回数を減らす

    1回のブラッシングで根元から毛先まで通すと、道具は中間を必ず1回通過します。全身を10回通せば、中間も10回通ります。まず毛先の側だけを短く通してほどき、それから少し上に移って、また短く通す。この「下から短く」を積み上げると、同じ場所を何度も通さずに全体が終わります。ヨークシャーテリアの毛は細いので、引っかかったまま長く引くと、その1回で中間に傷が残ります。回数ではなく、1回あたりの移動距離を短くしてください。

  3. 習慣3|根元:季節ごとに、乾かし方と触れる素材を決め直す

    根元にあるのは、これから何年もかけて毛先になっていく部分です。ここで積み上がる条件を減らすのが3つめです。乾いた季節は、寝床とクッションの布を毛が広がりにくい素材に替える。湿った季節は、洗ったあとに毛を体に貼りつけたまま乾かさない。根元から風を入れて浮かせながら乾かすと、毛どうしが張りついたまま固まりません。季節が変わるたびに、この2つだけ決め直せば足ります。

3つを並べたときに気づいてほしいのは、手が届く範囲が部分ごとに違うということです。毛先に対してできるのは、手放すか残すかの判断だけです。中間に対してできるのは、これ以上の回数を足さないことだけです。根元に対してだけ、これからの条件を作る、という前向きな手が残っています。ヨークシャーテリアの毛のパサつきに毎日向き合うなら、いちばん時間をかける価値があるのは根元の側です。

古い部分にできることと、新しい部分にできること ヨークシャーテリアの毛は伸び続けるので、毛先と根元では体の上で過ごした時間が何年も違います。時間の差がそのまま、家でできることの差になります。 同じ1本の毛でも、できることが2つに分かれます 毛先(何年も前に生えた) 受けてきた回数がいちばん多い あとから元には戻せません できるのは長さの判断だけ 決め直す間隔は数か月 根元(ここ数か月に生えた) 受けてきた回数がいちばん少ない これからの条件を作れます 乾かし方と触れる素材が効きます 決め直す間隔は季節ごと 今日の手入れの結果は、何年もあとの毛先に出ます
手が届くのは、これから毛先になる部分のほうです。

3つめの習慣が向き合っているのは、これから毛先になっていく根元の側です。mofuwa グルーミングスプレーは、その根元へ毎日手を届けるための道具です。布や手のひらにとってから、根元から中間にかけてなでるようになじませてください。通す前に毛の滑りがそろっていれば、中間で引っかかって毛先を引く回数がそのまま減ります。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめてしまう子でも量を気にせず使えます。ブラッシングスプレーとしても使えるので、乾いた季節に毛が広がる日は、梳かす前にグルーミングスプレーで静電気の起きにくい状態にしてから通してください。毛先にだけ集中して使うと、いちばん弱っている部分に手が当たる回数が増えます。

Pointヨークシャーテリアの毛は、長さで判断できません

同じ長さでも、伸ばし続けて3年たった毛と、去年整えてから伸ばした毛では、経てきた時間がまったく違います。見た目の長さではなく、指を送って引っかかり始める地点を探してください。その地点が根元に近づいてきたら、長さの方針を決め直す時期です。地点が毛先の近くにとどまっているなら、いまのやり方は続けて大丈夫です。

いちばん古い毛先に手が集まる|ヨークシャーテリアの毛でつまずきやすいやり方

3つの習慣を分けても、実際にやってみると同じところでつまずきます。共通しているのは、いちばん古くていちばん弱っている毛先に、いちばん多く手が当たってしまうという点です。よくある3つを、順番に見ていきます。

1つめは、根元から毛先へ一気に通すやり方です。中間に引っかかりがあると、道具はそこで止まります。止まったまま手を進めると、動くのは道具ではなく、その先につながっている毛先の側です。引っかかりを越えようとする力は、そのまま毛先を引っぱる力になります。ヨークシャーテリアの毛は細いので、この1回で毛先が切れることがあります。下から短く区切って通せば、この力はかかりません。

2つめは、パサついて見える場所ばかり触ってしまうやり方です。気になるのは毛先なので、自然と手が毛先に集まります。けれど毛先は、いちばん多くの回数を受けてきた部分です。気になる場所に手を集めるほど、その場所が受ける回数はさらに増えます。触りたくなったら、代わりに根元の側へ手を当ててください。効くのはそちらです。

3つめは、今の見た目を変えようとして頻度を上げるやり方です。ブラッシングの回数を増やす、洗う間隔を短くする。どちらも、毛先が経てきた時間を減らす方向には働きません。増えるのは、これから積み上がる回数のほうです。とくに洗う間隔を短くすると、皮脂と一緒に地肌のうるおいまで減り、乾かす時間もそのぶん増えます。ヨークシャーテリアの毛のパサつきが気になるときほど、頻度は据え置いて、1回あたりのやり方を見直してください。

つまずきやすい3つと、代わりに置く手
つまずくやり方何が起きているか代わりに置く手
根元から毛先へ一気に通す引っかかりの先の毛先を引っぱっている毛先の側から短く区切って通す
気になる毛先ばかり触るいちばん弱い部分に回数が集まる手を当てる場所を根元へ移す
回数と洗う頻度を上げるこれから積み上がる回数が増える頻度は据え置き、1回のやり方を変える
うるおいを毛先だけに足す中間と根元が乾いたまま残る根元から中間へ、順になじませる
Caution引っかかったところで、力を足さないでください

道具が止まったとき、そのまま押し通すと、動くのは毛先と皮膚です。止まったら、そこで一度手を離してください。引っかかりより下に道具を入れ直して、毛先の側へ短く抜く。それを何回かくり返せば、力を足さずに通ります。嫌がる、体をよじる、声を出すというときは、その日はそこで止めて、翌日に続きから始めるほうが、結局は早く終わります。

毛先の時間では説明がつかないとき|ヨークシャーテリアの毛で見直す手順

ここまでは、毛が何年も体の上に残ることで説明のつく話でした。やり方を変えて何週間か続けても様子が変わらないとき、あるいは次のような変わり方をしたときは、時間の話として片づけないでください。ヨークシャーテリアの毛のパサつきという枠の外にある変化です。

Caution毛先の時間ではなく、地肌の話になっているとき

地肌が赤い、かさぶたやじくじくした場所がある、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングのやり方を工夫する前に、動物病院にご相談ください。引っかかり始める地点が急に根元へ寄ったときも、日にちを置かずに相談してください。

相談やトリミングの前に、指を送って引っかかり始める地点、いつからそう感じるようになったか、最後に長さを整えた時期の3つをメモしておいてください。この3つがあると、毛の年齢で説明のつく変化なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りに手を入れると、もとの状態が分からなくなるので、そのまま連れて行ってください。

最後に、見直す手順をまとめておきます。1つめは長さの方針で、これは数か月に一度。2つめは通し方で、これは今日から変えられます。3つめは根元まわりの環境で、これは季節が変わるときに決め直します。3つを同時に変えないでください。同時に動かすと、何が効いたのか分からなくなります。ヨークシャーテリアの毛は伸び続けるので、結果が出るまでの時間も長くかかります。

ヨークシャーテリアと暮らすうえで、毛が抜け替わらずに伸び続けることは変えられません。毛先が何年も前に生やした部分であることも変えられません。変えられるのは、これから毛先になっていく部分が、どれだけの回数を受けて育つかのほうです。今日の手入れの答えは、何年もあとの毛先に出ます。だから、今日いちばん丁寧に触るべきなのは、いちばん気になる毛先ではなく、まだ何も起きていない根元です。

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よくある質問

短くカットすると、毛のパサつきは減りますか?
体の上に残っている毛の最長の年齢が下がるので、指を送ったときに引っかかり始める地点は毛先の側へ移ります。ただし、切ることで根元の毛が変わるわけではありません。短くしたあとも、通し方と乾かし方をそのままにしていれば、新しく伸びた部分が同じ時間の積み上がり方をします。長さの判断は3つの習慣のうちのひとつで、それだけで完結する話ではありません。
子犬のころと毛の手ざわりが変わったのですが、これもパサつきですか?
ヨークシャーテリアは、幼いころの毛から成犬の毛へ入れ替わる時期があり、そのあいだは太さも色も手ざわりも変わります。この入れ替わりは体の作りとしての変化で、毛先が長い時間を受けてきたことによる変化とは別のものです。全身がゆっくり同じように変わっているなら入れ替わりの時期、一か所だけが急に変わったなら別の見方が要る、と分けて考えてください。
ブラッシングは毎日したほうがいいですか?
毎日でも構いませんが、大事なのは回数ではなく1回あたりの通し方です。根元から毛先まで一気に通すやり方を毎日続けると、中間と毛先が受ける回数だけが増えます。毛先の側から短く区切って、少しずつ上へ移る通し方であれば、毎日でも同じ場所を何度も通さずに済みます。時間がとれない日は、全身をやろうとせず、今日は前脚まわりだけ、と区切ってください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。