C05犬種・猫種別ケア
ポメラニアンのダブルコート|静電気を毎日のケアで防ぐ
ポメラニアンを腕から下ろした直後、毛先だけがふわりと持ち上がって、しばらく戻らないことがあります。下ろす前は落ち着いていた毛で、加湿器もつけています。それでも毛が動くなら、その静電気は部屋の空気ではなく、いま離したばかりの服の側から来ています。ポメラニアンは体が小さく、1日に何度も抱き上げられる犬です。被毛が人の服とこすれる回数も、そのぶん多くなります。この記事では、空気の乾燥で起きる静電気と、人の服との摩擦で起きる静電気を並べて、いま出ているのがどっちなのかを見分けるところから書きます。
1日に何度、腕の中にいるか|ポメラニアンの静電気が人の服から始まる条件
ポメラニアンは、寒い土地でそりを引いていた大型のスピッツ系の犬から小さくなった犬種です。体は小さくなりましたが、二層の被毛はそのまま残りました。密な下毛の上に、長い上毛が体から立ち上がるように生えています。あの丸いシルエットは、毛が体に沿って寝ているのではなく、立っていることでできています。ポメラニアンの静電気を考えるとき、この立った毛が最初の条件です。
もう一つの条件は、体重のほうにあります。片手で持ち上げられる重さなので、この犬種は1日のうちに何度も腕の中に入ります。抱き上げる、膝に乗せる、抱いたまま歩く、抱いたまま座る。そのすべてで、被毛は人の服とこすれています。回数を数えたことのある方は少ないと思いますが、朝から夜までで両手の指では足りない家庭が多いはずです。
静電気は、性質の違うものがこすれて離れるときに起きます。犬の毛と、セーターやフリースやコートの繊維は、まさにその関係です。ポメラニアンの場合、立った上毛が服の面に広く当たるので、こすれる面積そのものが大きくなります。体の小さい犬なのに静電気が目立つのは、毛の量というより、服と接している時間と面積のほうが効いているからです。
部屋の空気が乾いていることも、もちろん関係します。ただ、空気の乾燥だけが原因なら、床で寝ている時間にも同じように毛が立つはずです。下ろした直後にだけ毛先が持ち上がるなら、その静電気は空気ではなく、いま離れた服の側から来ています。ポメラニアンでは、この2つが同じ日の中で入れ替わります。だから、まずどちらなのかを分けるところから始めます。
- 体が小さい:片手で持ち上がるので、抱き上げられる回数が多くなります
- 上毛が立っている:服の面に当たる被毛の面積が、寝た毛より大きくなります
- 下毛が密:根元に空気を含むので、毛先だけが動きやすい状態になります
- 抱いている時間が長い:こすれるのは一瞬ではなく、抱いているあいだずっとです
- 服の素材が季節で変わる:静電気が出る時期と、服が替わる時期は重なります
服とこすれる回数が多いと書きましたが、抱き上げるのをやめてくださいという意味ではありません。ポメラニアンと暮らすうえで、腕の中にいる時間はその子との関係そのものです。減らすのは回数ではなく、1回あたりにたまる量のほうです。触れている素材を替える、抱く前にひと手間を入れる、下ろしたあとに毛先だけ整える。手を入れられる場所は、回数の外側にいくつもあります。
空気の乾燥と、服との摩擦|ポメラニアンの静電気を起こす2つを比較する
2つを並べます。比べるのは強さではなく、どこで起きて、いつ出て、どこの毛が動くかです。ポメラニアンの静電気は、この3つで見分けがつきます。同じ「毛が立つ」という見え方をしていても、手をつける場所がまったく別になります。
空気の乾燥で起きるほうは、部屋にいるあいだじゅう、じわじわと続きます。特定の場面に結びつかず、朝から夜まで同じように出ます。動くのは毛先だけでなく、根元の側も一緒にぱさついてきます。手のひらを毛から数センチ離してかざすと、体のどこでも同じように毛が寄ってきます。暖房を入れた日の午後から強くなるのが、この型の特徴です。
服との摩擦で起きるほうは、場面にはっきり結びつきます。抱き上げて下ろした直後、膝から降りた直後、抱っこ紐から出した直後。出る場所も、服が当たっていた面に偏ります。胸、脇、前脚のつけね、背中の片側。全身ではありません。しばらくすると自然に落ち着き、また抱き上げると戻ります。ポメラニアンでいちばん多いのは、この型です。
| 空気の乾燥で起きる | 服との摩擦で起きる | |
|---|---|---|
| 起きる場所 | 部屋のどこにいても同じ | 服が当たっていた面だけ |
| 出る時刻 | 暖房を入れた日の午後から夜 | 抱き上げて下ろした直後 |
| 動く毛 | 毛先も根元も一緒にぱさつく | 毛先だけがふわりと持ち上がる |
| 続く時間 | その日はずっと続く | 数分で落ち着き、また抱くと戻る |
| 左右の差 | 左右で同じように出る | 抱く腕の側に偏ることがある |
| 季節との関係 | 湿度が下がる時期に重なる | 服の素材が替わる時期に重なる |
| 先に手をつける場所 | 部屋の湿度と、寝ている場所 | 服の素材と、抱き上げる前のひと手間 |
この2つは排他ではありません。乾いた部屋で、フリースを着た腕に抱かれていれば、両方が同時に起きます。ただ、同時に手をつけようとすると、どちらが効いたのかが分からなくなります。ポメラニアンの静電気で先に切り分けるのは、そのためです。片方だけ動かして、翌日どう変わったかを見る。この進め方が、いちばん短い道になります。
うちの子はどっちか|ポメラニアンの静電気が出る時刻と、毛先か根元か
見分けるのに道具は要りません。見るのは時刻と、動いている毛が毛先か根元かの2つだけです。次の順で3日ほど見てください。ポメラニアンは毛が長いので、根元の状態は指を沈めないと分かりません。目だけで済ませないのがこつです。
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抱き上げて下ろした直後に、毛先だけを見る
下ろしてから10秒のあいだに、毛先がふわりと持ち上がるかを見ます。持ち上がるのが毛先だけで、根元は寝たままなら、服との摩擦の側です。持ち上がった毛が数分で落ち着くかどうかも一緒に見てください。落ち着くなら、その日の起点は腕の中にあります。
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抱いていない時間に、手のひらを毛から数センチ離してかざす
床で寝ているときや、離れて座っているときにやります。かざした手のほうへ毛が寄ってくるなら、抱いていなくても静電気が乗っています。これは空気の乾燥の側の合図です。体のどこでも同じように寄ってくるかどうかまで見ておくと、範囲が分かります。
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指を毛の中に沈めて、根元がぱさついているかを確かめる
毛の流れと直角に指を入れて、根元まで届かせます。根元の毛が指にまとわりつく、乾いた手ざわりがするなら、うるおいの側が動いています。毛先だけが立っていて根元は落ち着いているなら、摩擦の型です。ポメラニアンは下毛が密なので、根元は毛先より遅れて変わります。
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出た時刻と、抱いていた人の服の素材を3日分書く
紙でもスマートフォンのメモでも構いません。時刻・場面・服の素材の3つだけで足ります。3日書くと、暖房を入れた時間帯に寄っているのか、特定の服の日に寄っているのかが見えてきます。ポメラニアンの静電気は日によって入れ替わるので、1日の観察では決められません。
| 下ろした直後 | 手をかざしたとき | 根元の手ざわり | どっちの型か |
|---|---|---|---|
| 毛先が立つ | 何も起きない | 落ち着いている | 服との摩擦。服の素材から手をつける |
| 毛先が立つ | 毛が寄ってくる | 乾いている | 両方。まず部屋の湿度を動かす |
| 何も起きない | 毛が寄ってくる | 乾いている | 空気の乾燥。寝ている場所も一緒に見る |
| 毛先が立つ | 何も起きない | 乾いている | 摩擦が続いて、うるおいが追いついていない状態 |
毛が立つと体が一回り大きく見えるので、その日の量で判断したくなります。けれど、見え方が変わるのは毛先の角度が変わったからで、根元で何が起きているかとは別の話です。大きく見えた日に根元が落ち着いていることも、いつもどおりに見える日に根元が乾いていることもあります。ポメラニアンの静電気は、目で測るより、指を沈めて手ざわりで測るほうが当たります。
換毛期という時期だけ手を増やす|ポメラニアンの静電気と毎日のケアの順番
型が分かったら、順番を決めます。手をつけるのは、服・抱き方・ブラッシングの順です。いちばん外側にあって、いちばん替えやすいものから動かします。ポメラニアンの毎日のケアに新しい工程を足すのではなく、すでにやっていることの中身を入れ替えるだけで足ります。
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1|抱くときの服を、1枚だけ替えてみる
静電気が出た日の服を3日分メモしてあれば、いちばん多いものが分かります。その1枚だけを、綿の多いものに替えて3日見てください。全部を替えないのは、どれが効いたのかを分かるようにするためです。ポメラニアンを抱くとき体に当たるのは、上着ではなく中に着ているもののほうです。上着だけ替えても変わらないことがあります。
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2|抱き上げる前に、手のひらで胸から背中へ1回なでる
抱く直前に、毛の流れに沿って手のひらを1回滑らせます。時間にして2秒です。立っている毛先を寝かせてから抱くと、服に当たる面が減ります。下ろしたあとにも同じ一手を入れると、持ち上がった毛先がそのまま戻ります。ブラシを取りに行かなくてよいので、この一手はいちばん続きます。
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3|ブラッシングは、毛先ではなく根元から流れを作る
静電気が出ているときに毛先だけをとかすと、毛どうしがさらにこすれます。毛を分けて根元に道具を当て、根元から毛先へ一方向に抜くようにしてください。往復させないのがこつです。ポメラニアンは下毛が密なので、根元に道具が入っていない状態で毛先だけ動かしても、被毛の流れはそろいません。
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4|換毛期の時期だけ、2と3の回数を増やす
春と秋、下毛がまとまって動く時期は、抜けた毛が層の中に留まって毛先が乱れやすくなります。この時期だけ、抱く前のひと手間を1日2回に、ブラッシングを1か所ずつ短く分けて増やしてください。時期が終わったら、回数も元に戻します。1年じゅう増やしたままにしないほうが、続きます。
| 順番 | やること | ふだん | 換毛期の時期 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抱くときの服を替える | 季節の変わり目に1枚ずつ | 同じ |
| 2 | 抱く前後に手のひらで1回なでる | 1日1回 | 1日2回 |
| 3 | 根元から毛先へ一方向にとかす | 2日に1回 | 毎日、1か所ずつ短く |
| 4 | 部屋の湿度を犬の高さで見る | 暖房を使う時期だけ | 同じ |
3つ目の工程で、道具がうまく入らない日があります。毛が立っていると歯が毛先につかまって、根元まで下りてきません。ここで手に取るのがmofuwa 毛玉予防ジェルです。5プッシュほどを手のひらに広げてから、毛先ではなく根元の側へ入れて、そのままブラッシングでなじませてください。2〜3日に1回で足ります。被毛が1本ずつコーティングされるので、こすれたあとも毛先が散らばりにくい状態が続き、歯も根元まで下りるようになります。毛先に直接つけると束になって、かえって流れが乱れます。毛玉予防ジェルを出すのはブラシを持つ前、と決めてしまうと迷いません。
毛先が立ったまま日が過ぎると、寄った毛どうしがそのまま絡んで、胸や脇に小さな塊が残ることがあります。ポメラニアンは下毛が密なので、塊は地肌の手前で止まり、外から見ると毛が立っているだけに見えます。毛玉予防ジェルの出番は、ここにもあります。この1本は、絡まった毛にはさみを入れるしかない状態を減らすためにつくられたものなので、できてしまった塊に直接なじませて使えます。塊がしっとり濡れる程度までもみこんで、毛が動くようになってからブラシを外周に置いてください。それでも塊が動かないときは、mofuwa グルーミングスプレーを重ねてもみこんで、水分を足してから少し待ってください。ポメラニアンは毛が立って伸びるぶん、切った跡はそこだけくぼんで何か月も残ります。
毛が立っている状態でブラシを毛先に当てて往復させると、毛どうしがこすれて、立ち方はむしろ強くなります。そのまま続けると、上毛が裂けて毛先がぱさついて見えるようになります。うるおいが減ったように見えるこの状態は、乾燥ではなく、とかし方でつくられていることがあります。手が止まる場所があるときは、力を足すのではなく、毛を分けて根元に道具を入れ直してください。
毛先ではなく根元が変わったとき、ポメラニアンの静電気とは切り離して見る
ここまでは、こすれて離れるときに起きる静電気の話でした。服を替えても、湿度を戻しても、根元の側の手ざわりだけが変わらないときは、別の見方に切り替えてください。ポメラニアンは毛が長く量もあるので、根元の変化は毛先の動きに隠れます。指を沈めなければ気づけない場所です。
- 抱いていない日でも、根元の毛が指にまとわりつく:摩擦では説明がつきません
- 湿度を戻して2週間たっても、根元の手ざわりが変わらない:空気の側の話ではなくなっています
- 毛が抜けて、地肌が見える場所ができた:換毛期の抜け方とは別の変わり方です
- 根元にフケのようなものがついている:静電気で毛が立つことと、これは別です
- その場所を気にして掻く、なめる:毛の立ち方より先に、皮膚のほうを見てください
- 地肌が赤い、においが変わった:色とにおいは、とかし方では戻りません
地肌が赤い、じくじくしている、においが強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。この並びが1つでも出ているなら、ブラシや道具を替える前に、動物病院で地肌を見てもらってください。ポメラニアンは毛の量が多いぶん、地肌の変化が外から見えません。毛を分けて根元を見る手だけは、静電気の出ていない日にも入れておいてください。
相談の前には、指を沈めて分かった根元の手ざわり、いつからか、その3日間で抱いていた服の素材をメモしておいてください。この3つがあると、静電気の話として扱える範囲なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りにブラッシングをすると、根元に留まっていたものも一緒に消えます。気づいたままの状態で連れて行くほうが、話が早く進みます。
ポメラニアンと暮らすうえで、腕の中にいる時間も、体から立ち上がる被毛も、なくすものではありません。二層の毛は、この犬種が寒い土地から受け継いだ作りです。動かせるのは、こすれた直後の毛先がそのまま放っておかれる時間のほうです。服を1枚替える。抱く前に手のひらで1回なでる。根元から一方向にとかす。ポメラニアンの静電気で家からできることは、この3つに収まります。
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よくある質問
- 加湿器をつけているのに、ポメラニアンの毛が立ちます。なぜですか?
- 抱き上げて下ろした直後にだけ毛先が立つなら、起点は部屋の空気ではなく、いま離れた服の側です。加湿器で動かせるのは、部屋のどこにいても続くほうの静電気だけになります。手のひらを毛から数センチ離してかざしてみて、抱いていない時間に毛が寄ってこないようなら、先に見るのは服の素材のほうです。
- ポメラニアンの静電気は、毛を短くカットすれば減りますか?
- 毛の長さを変えると、服に当たる面積は変わります。ただ、ポメラニアンの被毛は下毛が密で、上毛が体から立ち上がる作りになっています。短くすると毛先の動きは目立たなくなりますが、根元でこすれる条件は残ります。長さを変える前に、抱くときの服と、抱く前後のひと手間を先に試すほうが、戻せる範囲で確かめられます。
- 静電気が出た日は、ブラッシングをやめたほうがいいですか?
- やめる必要はありませんが、当てる場所を変えてください。毛先だけを往復させると毛どうしがこすれて、立ち方が強くなります。毛を分けて根元に道具を入れ、根元から毛先へ一方向に抜くようにすると、同じ回数でも被毛の流れがそろいます。うまく入らない日は、手のひらでなでるだけで終えて構いません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
