C05犬種・猫種別ケア
柴犬と暮らすなら知っておきたい、かゆがるしぐさの話
柴犬が後ろ足で首のあたりを掻くとき、足の先が毛の中へ入っていかず、表面をすべって終わることがあります。音は立つし、体もゆれる。それなのに掻き終わったあとで毛を分けてみると、地肌には何の跡も残っていません。柴犬のかゆみでいちばんつまずくのは、掻いている場所と、その子が触れてほしい場所がずれることです。下毛が厚いぶん、後ろ足の先も、飼い主の指も、地肌の手前で止まります。この記事では、毛の上を掻いている状態と、地肌まで届いている状態を並べて、いま出ているのがどっちなのかを確かめるところから書きます。
後ろ足が毛の上で止まる|柴犬のかゆみで、掻く場所と届く場所がずれる条件
柴犬の被毛は二層です。外側にあるのがまっすぐで硬い上毛、その内側にあるのが細かく密な下毛。この下毛が、地肌と外の世界のあいだに1枚の層をつくっています。日本の山地で、雨と気温差のなかを人と一緒に歩いてきた犬種なので、この層は薄くありません。柴犬のかゆみを考えるとき、最初に置きたいのはこの厚みの話です。
厚い層があると、外から届く力はそこで止まります。止まるのは、飼い主の指だけではありません。その子自身の後ろ足の先も、下毛の上ですべって、地肌まで入っていかないことがあります。掻いているのに届かないので、同じ動作がくり返されます。柴犬が長い時間掻き続けているように見えるとき、そのうちのいくらかは、届いていないぶんをやり直している時間です。
困るのは、飼い主の側からも状態が見えないことです。上毛はまっすぐで流れがそろっているので、上から見ると被毛は整って見えます。地肌が赤いのか、乾いているのか、何もないのか。柴犬では、見ただけでは分かりません。短毛の犬種なら目に入る変化が、この犬種では毛を分けないと出てきません。かゆみの記事によくある「赤くなっていたら」という書き方が、そのままでは使えない理由がここにあります。
そのうえ、掻いている場所と、実際に触れてほしい場所がずれます。届かないので、その子は届く場所を掻きます。首、耳のうしろ、腰。後ろ足が回しやすい場所ばかりです。ずれたまま観察していると、何もない場所を見て「大丈夫そうだ」と判断してしまいます。柴犬のかゆみで手を打つ前に、まず掻いている場所を信じないところから始めてください。
- 下毛が厚い:外から加わる力も、外からの視線も、地肌の手前で止まります
- 上毛がまっすぐ:毛の流れがそろうので、上から見たときに変化が出ません
- 後ろ足で掻く動作:足の先が届く範囲は、体のうち限られた場所だけです
- 換毛期に下毛が動く:抜けた下毛が層の中に留まると、厚みがさらに増します
- 皮膚は毛に覆われている:柴犬では、地肌を出す手順を踏まないと状態が分かりません
かゆみの記録というと、1日に何回掻いたかを数える方法を思い浮かべる方が多いのですが、柴犬ではこれがあまり役に立ちません。届いていない掻き方は、1回で終わらずに何度もくり返されるからです。回数が多いのは、かゆみが強いからかもしれないし、届いていないからかもしれない。この2つを回数だけで分けることはできません。数えるなら、回数ではなく場所と時間帯にしてください。
毛の上を掻いているか、地肌に届いているか|柴犬のかゆみの比較
ここから2つの状態を並べます。比べるのは「強いか弱いか」ではなく、その動作が地肌まで届いているかどうかです。同じように見える掻くしぐさが、この線を境に別のものに分かれます。柴犬のかゆみで手の入れ方が変わるのも、この線のところです。
毛の上を掻いている状態では、後ろ足の先が下毛の層に乗ったまま前後します。上毛の流れが乱れるので、掻いたあとは毛が逆立って見えます。けれど毛を分けて地肌を出すと、そこには何もありません。赤みも、傷も、乾いた粉のようなものも出てきません。かゆいのは地肌の側なのに、力が加わっているのは毛の側だけ、という状態です。
地肌に届いている状態では、後ろ足の先が層のあいだに入ります。動きは小さくなり、体は逆に止まります。掻いたあとに毛を分けると、地肌に線状の跡や、うっすらとした赤みが出ています。この場合、その場所で起きていることを見ているので、観察したものをそのまま手がかりにできます。柴犬でこちらの状態が確認できたときは、見る場所を間違えていません。
| 毛の上を掻いている | 地肌に届いている | |
|---|---|---|
| 後ろ足の先の位置 | 上毛の表面。層に乗ったまま | 下毛の内側。地肌の近くまで入る |
| 動きの大きさ | 大きく、速い。体もゆれる | 小さく、遅い。体は止まりやすい |
| 続く時間 | 長く、間をおいてくり返される | 短く区切れることが多い |
| 毛を分けたあとの地肌 | 何も出てこない | 線状の跡や、うっすらした赤みが出る |
| 掻く場所 | 後ろ足が回しやすい場所に偏る | その日ごとに場所が動く |
| 飼い主が触るべき場所 | 掻いている場所とは限らない | 掻いている場所でよい |
| 次にやること | 毛を分けて、地肌を出すところから | 出ている変化を記録する |
この2つは、日によって入れ替わります。同じ子の同じ場所でも、朝は毛の上をすべっていて、夜は地肌まで入っている、ということが起こります。だから、一度見て終わりにしないでください。柴犬のかゆみを見るときは、状態そのものではなく、いまどちらなのかを確かめる手順のほうを覚えておくと、毎回使えます。
うちの子はどっちか|柴犬の後ろ足が止まる高さと、指を沈めた深さで確かめる
見分けるのに道具は要りません。使うのは、後ろ足を見る目と、地肌まで沈める指の2つだけです。次の順で確かめてください。掻いている最中に触ると動作が止まってしまうので、掻き終わったあと、落ち着いた場面で行います。柴犬は触られる姿勢に好みが出る子が多いので、伏せているところへ横から手を入れるのが続きます。
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掻いているあいだ、後ろ足の先が止まる高さを見る
毛の表面で前後しているのか、毛の中へ沈んでいるのか。足首の角度ではなく、指先が消えているかどうかで見ます。毛の中に指先が見えなくなっていれば、層の内側に入っています。表面をなでるように動いているなら、その掻き方は地肌に届いていません。
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掻き終わったら、その場所の毛を左右に分けて地肌を出す
上からとかすのではなく、毛の流れと直角に指を入れて、左右へ開きます。柴犬では、この一手を踏まないと地肌が視野に入りません。明るい窓辺で行ってください。天井の照明では、上毛の影が地肌に落ちて、赤みが分かりにくくなります。
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出した地肌に、線状の跡や赤みがあるかを見る
何も出てこなければ、いまは毛の上を掻いていた状態です。線や赤みが出ていれば、地肌に届いていた状態です。ここで見た内容が、翌日以降の比較のもとになります。同じ場所を、同じ明るさで見るのがこつです。
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同じ場所に、指を1本まっすぐ沈めてみる
地肌まですっと届くか、途中で押し返されるか。押し返されるなら、抜けた下毛が層の中に留まっています。その場合は、かゆみの前にブラッシングの話が残っています。指が地肌まで届く場所と、届かない場所を、体の左右で比べておいてください。
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首・耳のうしろ・腰・内ももの4か所で、同じことをする
後ろ足が届きやすい場所と、届きにくい場所を両方見ます。柴犬では、後ろ足が回らない背中の中ほどや内ももに、掻いた跡が出ないまま変化が残ることがあります。掻いていない場所も1か所は見てください。4か所を1日で回す必要はありません。
| 後ろ足の高さ | 毛を分けたあとの地肌 | その日にやること |
|---|---|---|
| 表面ですべっている | 何も出てこない | 毛を分けて地肌を出す。掻いた場所には触らない |
| 表面ですべっている | 赤みが出ている | 掻いた場所とかゆい場所がずれています。周囲も見る |
| 毛の中に入っている | 線や赤みが出ている | 場所と日付を記録する。こすらない |
| 毛の中に入っている | 何も出てこない | 指を沈めて、下毛が留まっていないかを確かめる |
上毛はまっすぐで流れがそろうので、地肌で何が起きていても、外からは整って見えます。被毛がきれいなことは、地肌が落ち着いている証明にはなりません。逆に、掻いたあとに毛が逆立っていることも、地肌に何かある証明にはなりません。柴犬のかゆみは、毛を分けて地肌を出すという一手を踏んだ先にしか、判断材料がありません。抱き寄せたついでに首のうしろだけ開く、と決めてしまうと続きます。
見分けがついたあとの手|柴犬の地肌に、湿度と洗いすぎを重ねない
どちらの状態かが分かったら、次は毎日の側です。ここで動かすのは、掻いている場所ではなく、地肌が置かれている条件のほうです。柴犬の場合、条件は3つに絞れます。空気の湿度、洗う回数、そしてブラッシングで層の厚みをどこまで戻せているか。順に見ていきます。
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湿度:地肌のうるおいは、部屋の空気と釣り合います
厚い下毛は外の乾燥から地肌を守りますが、部屋の空気そのものが乾いていれば、層の内側も乾きます。暖房を使う時期は、湿度計を犬の高さに置いてください。人の顔の高さと、床から40センチの高さでは、数字が違います。柴犬は床の上で過ごす時間が長いので、見るべきなのは低いほうの数字です。
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洗いすぎ:回数を増やしても、層の中は変わりません
かゆがっていると、洗ってしまいたくなります。ただ、柴犬の下毛は密なので、洗ってもすすいでも、層の内側までは水も洗浄成分も入りにくい。入らないまま回数だけ増えると、届く場所の皮脂とうるおいだけが減ります。洗いすぎで動くのは、地肌の乾き方のほうです。回数を増やす前に、乾かす時間が足りているかを見てください。
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ブラッシング:留まった下毛を出すと、層が薄くなります
換毛期に抜けた下毛が層の中に残ると、厚みが増して、指も後ろ足もますます届かなくなります。毛の流れと直角に分けて、層を1枚ずつ出してください。1回で全部を出そうとせず、1か所につき層1枚ぶんで止めます。強くかき出すと、地肌のほうがこすれます。
| 条件 | 見る場所 | 動かす目安 |
|---|---|---|
| 湿度 | 床から40センチの高さの湿度計 | 暖房を使う時期は、朝と夜の2回見る |
| 洗う回数 | 洗ったあと、地肌まで乾ききるまでの時間 | 乾ききらない日が続くなら、回数より乾かし方 |
| 下毛の厚み | 指を沈めて、地肌に届くかどうか | 届かない場所だけ、層1枚ぶんを出す |
| 寝ている場所 | 床の材質と、寝床が接している面 | 同じ場所ばかりで掻くなら、面のほうを替える |
毛を分けて地肌を出したところまでは、指が届いています。困るのは、手を離した瞬間に上毛が戻って、その面がまた層の内側へ隠れることです。開いているあいだにしか、そこへは何も置けません。層が閉じたあとに何が残るかを考えなくてよいのは、mofuwa スキンケアミストの中身が電解水100%で、飲みものと同じ規格基準で測られているからです。柴犬は、毛を分けた首や腰をそのあとで自分でなめに行く子が多い犬種です。上から吹きかけても上毛で止まるので、分けた面へ直接なじませて、指の腹で一度押さえてから離してください。地肌が乾いた状態のまま置かれる時間を、毎日そのぶんずつ短くしていく形です。
地肌に届いている状態だと分かると、そこを触ってやりたくなります。けれど、すでに力が加わっている場所に、さらに指でこすりを重ねることになります。触るなら、こするのではなく手のひらで押さえる。冷たいタオルを当てるのも、濡れたまま置くと状態が分からなくなるので、当てたあとは必ず乾かしてください。柴犬は掻いた跡が毛に隠れるので、こすった跡なのか、もとの変化なのかが後から見分けられなくなります。
毛を分けても地肌が見えない日が続くとき
ここまでは、下毛の厚みで説明のつく範囲の話でした。毎日の条件を整えていても変わらないとき、あるいは毛を分けても地肌の様子が読み取れないときは、家で待つ時間を延ばさないでください。柴犬は変化が毛に隠れるので、気づいた時点ですでに日数が経っていることがあります。
- 毛を分けても、地肌が毛やフケのようなものに覆われて見えない:層の中で何かが起きています
- 同じ場所を掻き続けて、毛が薄くなってきた:掻く動作そのものが変化をつくり始めています
- においが変わった:地肌の状態は、においのほうが先に動くことがあります
- 左右で地肌の色が違う:片側だけ変わるのは、条件ではなく別の要因のことがあります
- 掻く場所が日ごとに増えている:範囲が広がる速さは、家では止められません
- 夜間に長く掻いて、眠れていない:睡眠が削られているなら、待つ理由がありません
地肌が赤い、じくじくしている、においが強くなった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が薄くなって地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、洗う回数やブラッシングを見直す前に、動物病院にご相談ください。柴犬のかゆみは、家で見える範囲が下毛の厚みで区切られています。見えないまま過ぎた日数は、あとから毛を分けても取り戻せません。
動物病院へ行く前に、掻いている場所、いつからか、毛を分けたときに地肌に何が出ていたかの3つをメモしてください。この3つがあると、掻いている場所と変化のある場所がずれているかどうかを、その場で確かめてもらえます。前日に念入りにブラッシングをしたり洗ったりすると、留まっていた下毛も地肌の跡も一緒に消えます。気づいたままの状態で連れて行くほうが、話が早く進みます。
柴犬と暮らすうえで、下毛が厚いという条件はなくなりません。二層の被毛は、この犬種が日本の気候の中で過ごしてきた作りだからです。変えられるのは、地肌が見えないまま日数が過ぎていく時間のほうです。掻いている場所を信じない。毛を分けて地肌を出す。届いているかどうかで線を引く。柴犬のかゆみで家からできることは、この3つにまとまります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 柴犬がよく掻いていますが、地肌に何も出ていません。放っておいてよいですか?
- そのまま様子を見るのではなく、掻いている場所以外も毛を分けて見てください。後ろ足が届く場所は限られているので、変化のある場所と掻いている場所がずれていることがあります。首、耳のうしろ、腰、内ももの4か所を、日を分けて確かめると範囲が拾えます。それでも何も出ず、掻く時間が長くなっているなら、動物病院で相談してください。
- 柴犬の地肌を見るのに、いい時間帯はありますか?
- 明るい窓辺で見られる日中が向いています。天井の照明だと、まっすぐな上毛の影が地肌に落ちて、うっすらした赤みが読み取れません。時間帯そのものより、毎回同じ明るさで見ることのほうが大事です。同じ場所を同じ光で見ておくと、前回との差が分かります。
- 換毛期になると掻く時間が長くなります。これはかゆみですか?
- 抜けた下毛が層の中に留まると厚みが増して、後ろ足の先が地肌まで届きにくくなります。届かないぶんをやり直すので、掻いている時間が長く見えることがあります。まず毛の流れと直角に分けて、層を1枚ずつ出してみてください。留まった下毛が減ったあとも時間が変わらないなら、換毛期とは別に見たほうがよい変化です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
