C02技術・エビデンス

被毛の構造|キューティクルが開くとき

公開日 2023年12月31日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の中、淡い麻のシーツの上で横になっている淡い金色の犬の、やわらかく光る毛のクローズアップ
表面が平らに見えるのは、うろこの重なりが寝ているあいだだけです。写真:Zachtleven/Pixabay

和室の引き戸が最後の数センチで止まるのは梅雨のあいだだけで、キューティクルが開くのも、これと同じ順番で起きています。木が空気中の水を吸ってふくらみ、戸の厚みが溝の幅を超える。雨が上がって数日たつと、また同じ場所まで閉まります。被毛の表面をおおううろこ状の層も、水が入って毛が太くなったときに端が持ち上がります。開くきっかけは、濡れることそのものよりも、水が毛の内側まで入って体積が増えることのほうにあります。そして水が抜けて元の太さに戻るまで、その層は寝ません。この記事は、被毛のキューティクルが開いてから閉じるまでの時間だけを追いかけます。

半乾きの30分に指が引っかかる|被毛のキューティクルが開くときの経験

洗ってから30分ほどたった背中に手を入れると、乾いた日より指が引っかかります。濡れた直後に触ったときは、水が指と毛のあいだをすべるので、この引っかかりは出ません。乾き切ったあとも出ません。出るのは、その中間の時間だけです。犬でも猫でも、半乾きの背中を毛先から根元へなでると、乾いた日には返ってこなかった細かい抵抗が手に返ってきます。被毛の表面で起きていることが、この30分だけ変わっているということです。

同じ経験は、ブラシの通り方にも出ます。乾いた被毛では毛束がほぐれる感触で進むブラシが、半乾きの時間には一本ずつに引っかかる感触に変わります。同じ道具、同じ手の力で、返ってくる感触だけが変わります。変わったのは道具でも力でもなく、毛の表面の形です。キューティクルという層が、この時間だけ端を立てています。

洗った日の時間帯ごとに、手に返ってくるもの
時間帯手ざわり毛の側で起きていること
濡れた直後水がすべって抵抗が出ない水が表面をおおっていて、まだ内側へ入り切っていない
15分後から1時間毛先から根元へなでると引っかかる内側に水が入って太くなり、うろこの端が立っている
風を当てているあいだ少しずつ抵抗が減っていく水が抜けはじめ、太さが戻る途中
乾き切ったあとすべりが戻る重なりが寝て、表面が平らに近づく

この表の順番は、犬と猫で入れ替わりません。毛の太さや量で、引っかかる時間の長さは変わります。下毛のある被毛では、上毛が乾いたあとも内側に水が残るので、表面が乾いて見えても引っかかりが残ります。手ざわりで分かるのは、乾いたかどうかではなく、水がまだ内側にいるかどうかです。この違いを1回覚えると、乾かす作業の終わりを手で決められるようになります。

水は表面ではなく内側へ入る|被毛のキューティクルが持ち上がる背景

1本の毛は、外側のうろこ状の層と、その内側にある太い芯の部分に分かれています。外側の層がキューティクルで、根元から毛先へ向かって屋根瓦のように重なっています。内側の芯はケラチンというたんぱく質の束で、ここが水を抱えます。水が入るのは内側です。外側の層は、入ってきた水の量に合わせて形を変える側に回ります。

内側が水を抱えて体積を増やすと、毛の直径が増えます。外側の重なりは、もとの直径に合わせて寝ていたので、内側が太くなったぶんだけ端が押し上げられます。開くという言い方をしますが、うろこ自身が動く力を持っているのではありません。内側がふくらんだ結果として、重なりの端が持ち上がっています。梅雨の引き戸が閉まらなくなるのと同じで、木そのものが動いたのではなく、吸った水のぶんだけ厚みが増しています。

水が入る場所と、形が変わる場所は別 水は外側のうろこの重なりを通って、内側の芯に入ります。芯が水を抱えて体積を増やすと、外側の重なりの端が押し上げられます。形が変わって見えるのは外側ですが、水が入っているのは内側です。 濡れる 表面 吸う 内側 太くなる 体積 すきまから入る 内側で水を抱える 水が入っているあいだ 毛が太くなって端が立つ こすれに弱い時間が続く 水が抜けたあと 元の太さに戻る 重なりが寝て表面が平ら
うろこが自分で開いているのではなく、内側の太さに合わせて端が立っています。

この順番が分かると、被毛のケアで言われてきたことの背景が変わって見えます。ブラシを毛の流れに沿わせるように言われるのは、艶を出すためというより、立っている端に逆から力を当てないためです。端が立っているあいだは、逆向きの力がそのまま端に乗ります。乾いた被毛なら同じ力で何も起きないのに、半乾きの時間だけ引っかかるのは、力の受け手の形が変わっているからです。

犬と猫で構造そのものは変わりません。変わるのは、水が抜けるまでの時間です。細い毛が密に生えている被毛では、毛と毛のあいだに水が残りやすく、抜けるまでの時間が長くなります。猫は自分で毛づくろいをして毛の向きをそろえるので、乾いたあとに表面が平らに戻る速さが、犬より早く見えることがあります。同じ構造でも、開いている時間の長さはその子の被毛の密度で変わります。

乾くまで閉じない理由|被毛のキューティクルが開いている時間の長さ

開いている時間の終わりを決めているのは、水が抜けるまでの時間です。内側に水があるかぎり毛は太いままで、重なりの端は寝ません。だから「早く閉じさせる」という手はなく、あるのは「水が抜ける時間を短くする」という手だけです。ここが、被毛のキューティクルをめぐる話でいちばん取り違えられやすいところです。表面に何かを乗せて端を押さえても、内側の水はそのまま残ります。

水が抜ける速さを決めているのは、風と、毛と毛のあいだの空間です。風が通る面では水が空気へ移り、通らない面では水が残ります。下毛のある被毛で背中の表面だけ先に乾くのは、風が上毛の表面までしか届いていないからです。指を毛の中へ入れて根元の湿りを確かめるのは、内側にまだ水があるかどうかを見ているということです。表面の手ざわりだけで終わりを決めると、開いている時間がそのあと数十分続きます。

水が毛や皮膚へ入る速さは、水の側の性質でも変わります。当社の特許電解水は、水分浸透力が精製水と比べて35倍という数字が出ています(※自社調べ)。ただしこれは水が入る速さを測った数字で、被毛のキューティクルの開き方や閉じ方を測った試験ではありません。当社の電解水について公開されているのは、試験条件と検査機関を添えた生菌の試験や、この浸透の数字です。毛の表面の形を測ったデータではないので、そこを結んで読まないようにしてください。

Caution端が立っているあいだに力を加えると、その力は端に乗る

半乾きの時間に強くこする、毛の流れに逆らって何度も往復させる、毛先から根元へ向かってブラシを入れる。どれも乾いた被毛なら問題にならない動きですが、端が立っているあいだは、力の受け手が平らな面ではなく立った端になります。この時間にやることを減らすほど、被毛の表面はもとの重なりを保ちます。乾かす順番を変えるより、こすらないほうが先に効きます。

時間と力で組み直す|被毛のキューティクルをめぐる考え方

家で動かせるのは2つだけです。水が抜けるまでの時間と、そのあいだに被毛へ加える力の大きさです。キューティクルそのものを閉じに行くことはできませんが、この2つはどちらも手元にあります。時間のほうは風の当て方で短くなり、力のほうは道具を持つ順番で小さくなります。開いている時間を短くして、その時間に何もしない。この2つを並べるだけで、洗った日の手順は組み直せます。

  1. 根元から風を入れる

    表面に当てても、内側の水は残ります。毛をかき分けて、風の出口を根元の側につくります。ここで短くなるのは、開いている時間そのものです。

  2. 指で根元の湿りを確かめる

    表面の手ざわりは終わりの合図になりません。指を入れて、根元が冷たくないかどうかで決めます。

  3. 半乾きの時間はブラシを置く

    端が立っているあいだの往復は、そのまま端に乗ります。ほぐしたい毛束があっても、乾いてからにします。

  4. 乾いたあとに毛の流れへ沿わせる

    重なりが寝てから沿わせれば、同じ道具で返ってくる抵抗が変わります。ここでようやく表面が平らに近づきます。

洗う日と洗う日のあいだにできることもあります。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、三室ダブルイン型の電気分解(特許5253483)でつくった水そのものです。油分や成分を足していないので、毛の表面に膜を重ねることになりません。立った端の上に何かを乗せて押さえるという働き方をしないぶん、使う場面を乾いた日の地肌の側に置けます。なめる場所にそのまま使えるので、口のまわりや耳の内側のように、猫が毛づくろいで通る場所でも手を止めずに済みます。

毎日の手が届く範囲では、被毛の表面よりも地肌の側に変化が出ます。mofuwa スキンケアミストを地肌へなじませてからブラシを入れると、指が毛の中へ入りやすくなり、根元の湿りを確かめる動作が短くなります。乾かす作業の終わりを手で決められるようになると、開いている時間そのものが短くなります。

被毛のキューティクルの話は、艶の話として語られることが多いですが、追いかけているのは時間です。水が入って太くなり、抜けて細くなる。その往復のあいだだけ、表面の形が変わっています。家で見るのは毛の光り方ではなく、根元がまだ湿っているかどうかの1点です。

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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。