C05犬種・猫種別ケア

パグはなぜ体のにおいが起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2023年12月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、短い毛の小さな犬が淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せている
毛が短いことと、毛のあいだに空気が通ることは、別の話です。

洗って2日目の夕方、膝に乗せたパグの背中に顔を近づけると、毛の表面よりも下のあたりからにおいが上がってきました。手ざわりはさらさらしています。毛は短く、指で押せば地肌まですぐ届きそうに見える。ところが実際に指を入れると、途中で細かい毛に押し返されて止まります。パグの体臭がつかまえにくいのは、この見た目と手ざわりの差から始まります。短い毛だからにおいは抜けていくはずだ、という前提が、ここで一度崩れます。パグの被毛は短いのに、上毛の下にもう一層あります。短いことと、風が通ることは、同じではありません。この記事は、その一層をどう扱うかという読みものです。

毛が短いのに、鼻を近づけると奥からにおう|パグの体臭の背景

パグと暮らしていると、体臭についてよく似た経験をします。洗った日はにおいません。翌日もそれほどでもない。ところが2日目か3日目に、抱き上げたときや、膝に乗せて顔を近づけたときに、毛の表面ではなく、その下から上がってくるにおいに気づきます。背中の毛はさらさらしていて、見た目は洗った日と変わりません。

そこで多くの方が最初にすることは、洗う間隔を短くすることです。実際、洗えばにおいは一度消えます。けれど数日たつと同じところへ戻る。次にやることは、拭き取りを毎日にすることです。これも一度は効きます。それでも、同じ日数がたてば、同じにおいが同じ場所から戻ってきます。手をかけているのに、周期だけが変わらない。パグの体臭で行きづまるのは、たいていこの段階です。

行きづまる背景には、パグの被毛についての思い込みがあります。短い毛は、においを抱えこまない。これは半分あたっていて、半分外れています。長い毛のように、においのついた空気を毛の中へ長く引きとめることはたしかにありません。けれど、においが抜けていくかどうかを決めているのは毛の長さではなく、毛と毛のあいだに空気が通るかどうかのほうです。

パグの背中に指を1本立てて、まっすぐ沈めてみてください。毛は短いので、爪が地肌に届いてもおかしくない距離です。それなのに、指の腹が細かい毛に押し返されて、途中で止まります。短い毛が、地肌の上で密に立っている。この手ざわりが、パグの体臭を考えるときの出発点になります。

Note「短毛だから手がかからない」の中身を、一度ほどきます

短い毛は、たしかにもつれません。毛玉にもなりません。ブラッシングにかかる時間も短くて済みます。ただ、それは毛どうしが絡まないという話であって、空気が通るという話ではありません。2つはよく混ざります。パグの体臭を考えるときは、この2つをいったん切り離してください。手入れの手間が少ないことと、においが抜けやすいことは、別の条件で決まっています。

短毛なのに下毛がある|パグの体臭が毛の中に留まる理由

パグの被毛は、短いのに二重です。外側に張りのある上毛があり、その内側に、細くて柔らかい下毛が入っています。長さは短いまま、層だけが2つあるという作りです。これは、寒い季節に体温を保つための構造で、パグにかぎった珍しいものではありません。珍しいのは、その二重が短い毛のまま成立している点のほうです。

毛が短いと、1本ずつのあいだは近くなります。長い毛なら、根元で密でも毛先へ行くほど広がって、そこに空気の通り道ができます。短い毛は、広がる前に終わります。上毛の毛先まで、根元と同じくらいの密度のまま立っている。だから、外から見れば毛の層は薄いのに、中の空気はほとんど動いていません。パグの体臭が抜けずに留まるのは、この密度のためです。

皮脂の回り方も、ここで変わります。皮脂は毛の根元から出て、毛の表面を伝って毛先へ運ばれます。長い毛なら、根元から毛先までのあいだに広く散ります。パグの短い毛では、運ばれる距離が短いので、根元のあたりに厚く残ります。においのもとになるのは、この根元に残った皮脂と、そこに混ざった汚れのほうです。表面を拭いてもにおいが変わらないのは、拭いている場所と、残っている場所がずれているからです。

そこへ湿りが加わると、条件がもうひとつ重なります。パグは顔まわりと首が短く、伏せると胸のあたりに面が重なります。散歩から帰った日、水を飲んだあと、暑い時期の寝起き。湿った状態が続けば、においのもとになる雑菌が増えやすい環境になります。雑菌そのものは、どの犬の皮膚にもいます。問題は数ではなく、湿りが引かない時間が毎日どれだけあるかのほうです。

毛の長さではなく、条件で見たときのパグの被毛
条件パグの被毛で起きていること
層の数短いまま、上毛と下毛の二重
毛先の密度広がらないので、根元と同じくらい密
空気の通り道毛のあいだに、ほとんどできない
皮脂の広がり運ばれる距離が短く、根元に残る
においの出どころ毛先ではなく、地肌に近い側
拭き取りが届く範囲何もしなければ、上毛の表面まで

この表を見ると、パグの体臭が「短毛なのに強い」のではなく、短毛だからこそ根元に集まっていることが分かります。長い毛の犬なら、においは毛の中へ広く散って、風が通れば一緒に出ていきます。パグでは、散る前に留まります。においの量が多いのではなく、出どころが1か所に寄っている。ここが、他の犬種の体臭の話をそのまま持ってこられない理由です。

においは抜けるものではなく、留まるもの|パグの体臭の考え方

出どころが根元だと分かると、家でやることが入れ替わります。これまでの手は「においを落とす」でした。ここからは「留まっている時間を短くする」に変わります。落とす手は、洗う日にしかできません。時間を短くする手は、洗う日と洗う日のあいだに毎日できます。パグの体臭で動かせるのは、後者のほうです。

4つの条件を挙げます。どれも、においそのものではなく、においが留まる側の条件です。4つを同じ日にやる必要はありません。ひとつずつ入れ替えて、2週間ごとに何が変わったかを見てください。同時に全部動かすと、何が効いたのか分からなくなります。

  1. 毛を起こしてから拭く(拭き取りの向きを変える)

    布をそのまま背中に当てると、届くのは上毛の表面までです。先に、柔らかいブラシか指の腹で毛の流れと逆へ、短く起こします。起こすと、密に立っていた毛のあいだに一瞬すき間ができます。そこへ布を当てて、今度は毛の流れに沿って拭く。起こす・拭くの2動作にするだけで、届く深さが変わります。強くこすらないでください。パグの短い毛は、力をかけると布が地肌に直接あたります。

  2. 部屋ではなく、その子のいる高さで換気する

    換気というと窓を開ける話になりますが、パグが過ごしているのは床から30センチほどの高さです。窓を開けても、床のあたりの空気は最後まで動きません。サーキュレーターを壁へ向けて弱く回す、寝床を壁からこぶし1つぶん離す、といった手のほうが、その高さの空気には届きます。においが部屋にこもると、体を拭いてもすぐ戻ったように感じます。

  3. 寝床の布を、体より先に洗う

    パグは伏せている時間が長く、胸と腹の面が寝床に密着します。根元に残った皮脂は、そこで布へ移ります。体を洗ってから同じ寝床へ戻すと、移ったにおいが戻ってきます。洗う順番を入れ替えて、寝床の布を先に、体を後にしてください。布は薄いものを2枚用意して、週の途中で入れ替えると、洗濯の周期に縛られなくなります。

  4. 食器と水皿を、毎日ぬるま湯で洗う

    パグは口まわりが短く、食べたあと、飲んだあとに口の下と首の前が濡れます。食器と水皿にぬめりがあると、それが毎回そこへ移ります。においの出どころのひとつは、体ではなく食器の側にあります。ぬるま湯でこすって、乾いた布で拭いてから戻す。水皿は水を替えるだけでなく、内側を毎日こするところまでを1セットにしてください。

洗う回数については、増やす方向へ寄せないでください。洗いすぎると、皮脂と一緒に地肌のうるおいまで減ります。減ったぶんを補おうとして皮脂が出れば、根元に残る量はかえって増えます。パグの体臭で、洗う間隔を詰めても周期が変わらなかったのは、この往復が起きているからかもしれません。間隔はそのままにして、上の4つを1つずつ動かすほうが、変化が読めます。

パグは口吻が短く、背中や脚の付け根には自分の舌が届きません。根元に残った皮脂を地肌の側から動かせるのは、洗う日に人がやる1回だけです。アミノ酸系の洗浄成分だけを、量も抑えて使えば、本来なら泡は立ちにくくなります。mofuwa モイストシャンプーが、それでも泡の立つようにつくられているのは、原料の水そのものを電解水にして、泡立ちを水の側から補っているからです。上毛の下にもう一層ある被毛では、泡がどう立つかが、そのままどこまで届くかになります。落としすぎないので、洗い上がりを別の剤で戻す必要もありません。毛を起こしてから拭く、という2動作は、洗う日にもそのまま使えます。密に立った短い毛のあいだに泡が入るかどうかで、届く深さが変わります。そして工程が1つ少ないぶん、濡れている時間がそこで短くなります。パグは伏せると胸のあたりに面が重なるので、乾ききる前に伏せた時間が、そのまま湿りの残る時間になります。

Pointパグの体臭は、量ではなく周期で見ます

「今日は強い・弱い」で見ていると、その日の気温や運動量に振り回されます。見るのは、洗ってから何日目で戻ったかです。ふだんが3日目なら、条件をひとつ動かした2週間で、4日目・5日目に伸びたかどうかを比べる。数字にすると、手ごたえのない日でも続けられます。伸びなければ、その条件は今回のパグには関係がなかった、というだけです。

拭いた布のにおいで確かめる|パグの体臭で追いかけたい変化

最後に、家で確かめるやり方を書いておきます。用意するのは白い布1枚だけです。鼻を体に近づけて嗅ぐのをやめて、布に移してから嗅ぎます。体に鼻を近づけると、その周りの空気ごと嗅ぐことになるので、場所が絞れません。布に移すと、どこのにおいなのかがはっきりします。

順番はこうです。布を4つに折って、首の前・胸・背中・脚の付け根の4か所を、面を替えながら1か所ずつ拭きます。毛を起こしてから拭くのは同じです。拭き終わったら、4つの面を順番に嗅いで、いちばん強い面を決めます。色も見てください。においが強い面は、たいてい色もついています。これで、その日のパグの体臭の出どころが1か所に決まります。

布に移したにおいと色から、次にどこを動かすか
いちばん強かった面先に動かす条件
首の前食器と水皿。飲んだあとの濡れが移っています
胸寝床の布。伏せたときに接している面です
背中拭き取りの向き。毛を起こす動作が抜けています
脚の付け根換気。空気が動いていない高さの問題です
どの面も同じくらい洗う間隔ではなく、部屋の空気から見てください

この記録を2週間続けると、パグの体臭の変化が数字と場所で残ります。強い・弱いという印象ではなく、「何日目に、どの面が」という形で残るのが大事です。次に条件をひとつ動かしたとき、比べる相手ができます。動物病院で相談するときにも、この2週間の記録がそのまま材料になります。

ここまでは、被毛の作りと生活の条件で説明のつくにおいの話でした。4つの条件を動かしても周期が縮まっていく、拭いた数時間後には戻る、という変わり方をするときは、別の見方をしてください。地肌が赤い、じくじくしている、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、触ると痛がる、においの質が今までと変わった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭く回数を増やす前に動物病院にご相談ください。

Caution相談の前に、拭きすぎないでください

受診の前日に念入りに拭いて連れて行くと、いつもの状態が分からなくなります。においも、地肌の色も、そのままの状態で見てもらうほうが早く進みます。持って行くのは、拭いた布を入れた袋と、2週間の記録の2つで足ります。パグは顔まわりのシワや口の中からにおうこともあるので、体だけで説明がつかないときは、そちらも一緒に見てもらってください。

パグの体臭は、なくすものではありません。においのもとになる皮脂は、皮膚を守るために出ているものだからです。短い毛のあいだに空気が通らないという条件のほうは、家で動かせます。毛を起こしてから拭く。床に近い高さの空気を動かす。寝床を先に洗う。食器の内側までこする。パグと暮らすうえで手を入れられるのは、においそのものではなく、においが留まっている時間のほうです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。