C12Q&A・豆知識
無香料と無臭は違う?
ラベルに「無香料」と書かれた1本を開けて鼻を近づけると、かすかに何かのにおいがしました。無香料と無臭は、指しているものが違います。無香料は「香りを足していない」という作り方についての言葉で、無臭は「においがない」という嗅いだ結果についての言葉です。この違いを知っていると、開けた瞬間に少しにおったことの意味が変わります。無香料の製品にも、原料そのもののにおいは残ります。少しにおうのは不良ではなく、設計どおりの状態です。そしてもう1つ、家で見るときの手がかりがあります。その言葉が成分表示の側に書かれているのか、うたい文句の側に書かれているのか。この記事では、無香料と無臭の違いを8つの問答に分けて書きます。
無香料と無臭の違いは、どこにありますか
違います。無香料は、作り手が自分のしたことについて述べた言葉です。無臭は、嗅いだ人がその場の状態について述べた言葉です。片方は「足していない」と言っていて、もう片方は「ない」と言っています。同じ「においがしない」ように見える2つの言葉ですが、言っている人が違います。
この違いは、2つの言葉をいったん文の形に戻すとはっきりします。言葉のままだと似て見えるものが、文にすると主語が別々になります。主語が違うということは、確かめる相手も、確かめられる範囲も違うということです。
| 言葉 | 文に戻すと | その文の主語 | あとから確かめられるか |
|---|---|---|---|
| 無香料 | 香料を足していません | 作った人 | 成分表示に残る |
| 無臭 | においがありません | 嗅いだ人 | その場かぎり |
| 微香 | 香りを弱く足しています | 作った人 | 成分表示に残る |
| 消臭 | においを感じにくくします | 製品の働き | 試験の条件しだい |
| 香りつき | 香りを足しています | 作った人 | 成分表示に残る |
表の3行目までを見比べてください。無香料・微香・香りつきの3つは、どれも「作った人が香料をどう扱ったか」という同じ物差しの上に並んでいます。無臭だけが、その列から外れます。無臭は作り方の言葉ではなく、嗅いだ結果の言葉だからです。だから無香料と無臭は、強い弱いの関係にもなりません。並べて比べられる相手ではない、というのが2つの違いの中身です。
無香料は「足していない」という宣言で、無臭は「ない」という断定です。宣言は作った人が言い切れますが、断定は嗅いだ人しか言えません。この一点だけ持っていれば、ラベルの読み方も、開けたときのにおいの受け取り方も変わります。以降の7つの問答は、この1行をほどいていくものです。
無香料は、何をしていないと言っている言葉ですか
香りを足していない、と言っています。それだけです。香料というのは、製品の中で香りをつけるために足される成分のことを指します。天然由来のものも、合成のものもあります。無香料という表示は、その成分を入れなかった、という一点を伝えています。
だから無香料は、引き算についての言葉になります。引き算をしたという事実は言っていますが、引き算した結果どういう状態になったかまでは言っていません。ここが、無香料という言葉のいちばん誤解されやすいところです。何を言っていて、何を言っていないのかを、分けて並べておきます。
- 言っていること:香りをつける目的の成分を入れていない
- 言っていること:香りの設計をしていない、という作り方の方針
- 言っていること:成分表示を見れば、その裏づけをたどれる
- 言っていないこと:においがまったくないという状態
- 言っていないこと:においの元を減らす働きがあるということ
- 言っていないこと:犬や猫にとって何も感じない状態だということ
上の3つと下の3つは、確かめ方がまるごと違います。上の3つは、パッケージの裏を返して成分の並びを見れば確かめられます。香料にあたる記載があるかどうか、という形で残っているからです。下の3つは、どこを見ても書いてありません。書いていないというより、書ける場所がありません。
無香料の言葉としての性格を1つにまとめるなら、あとから検算できる言葉、ということになります。作った人の行いについての言葉なので、記録が残ります。この性格が、次に出てくる無臭とちょうど反対になります。
無臭を言い切れる人が、どこにもいないのはなぜですか
無臭は状態についての断定なので、それを言うには、誰かが嗅いで確かめるしかありません。そして嗅ぐという行為は、嗅いだ人と、そのときの条件に縛られます。同じ液を、同じ日に、別の人が嗅いだら、答えがそろわないことがあります。
- 嗅ぐ人:においの感じ方には個人差があるとされています
- その日の鼻の状態:直前に何を嗅いだかで、感じ方が変わります
- 距離:容器の口に近づけるのか、腕の長さで嗅ぐのか
- 室温と湿度:温度が上がるほど、においは立ちやすくなります
- 時間:同じ部屋に居続けると、感じにくくなっていきます
- 人か、犬や猫か:嗅ぎ分けている世界がそもそも違います
この6つのどれか1つが変わるだけで、無臭という言葉の当たりはずれが変わります。作った人の側でそろえられる条件が、1つもありません。だから無臭は、製品につける言葉としては非常に扱いにくくなります。無香料が表示として使われやすいのに、無臭がそれほど使われないのは、この差からきています。
もう1つ、犬や猫と暮らす家では見落とせない行があります。人が無臭だと感じた状態が、その子にとっても同じ状態だと決まっているわけではありません。嗅ぎ分ける力の差については幅のある言い方しかできませんが、少なくとも人の鼻を基準にした無臭という判定を、そのまま持ち込めないことは確かです。無臭という言葉が製品の説明に向いていない理由が、ここでもう1つ増えます。
無香料の製品からにおいがするとき、その出どころはどこですか
原料そのもののにおいです。水を除けば、製品に入っているものはたいてい、それぞれ自前のにおいを持っています。香料を足していないということは、そのにおいを覆う手立てを持っていないということでもあります。だから無香料の製品では、原料のにおいがそのまま表に出ます。
| 出どころ | どんなふうに感じられるか | 気づくタイミング |
|---|---|---|
| 水以外の主な原料 | うっすらと素材そのもののにおい | 開けた直後、口に鼻を近づけたとき |
| 油分やうるおいの成分 | 重さのある、こもったにおい | 手のひらに広げたとき |
| 植物からとった成分 | 草や葉に近い、青いにおい | 布に含ませたとき |
| 保存にかかわる成分 | わずかに角のあるにおい | 開けた直後 |
| 容器の素材 | 樹脂やゴムに近いにおい | 新品を開けた最初の1回 |
| 置いていた場所 | まわりのにおいを吸っている | しばらく使っていなかったとき |
この表でいちばん伝えたいのは、「無香料なのに少し匂う」は不良ではない、ということです。むしろ、香りで覆う設計を選ばなかった結果として、そのまま出ているだけの状態になります。無香料と無臭の違いを知らないままだと、この状態が「おかしい」に見えてしまう。違いを1つ知っているだけで、同じにおいの受け取り方が変わります。
ただし、区別しておきたい場合が1つあります。買った当初に嗅いだにおいと、明らかに違うにおいに変わっているときです。これは無香料かどうかの話ではなく、開けてからの時間や、置いていた場所の話になります。日の当たる場所に置いていた、口を開けたままにしていた、別の容器に移し替えた。心当たりがあるなら、使う量や使い道をいったん見直してください。
無香料のものを買ったら、開けた最初の1回だけ、そのにおいを覚えておいてください。紙にひとこと書いておくのでも構いません。これが自分の基準になります。あとで「変わった気がする」と思ったときに、比べる相手ができます。無臭かどうかを人に判定してもらうより、最初のにおいを自分で記録しておくほうが、はるかに役に立ちます。
その言葉は、成分表示の側にありますか、うたい文句の側にありますか
ここが、家でできるいちばん実用的な見方です。無香料という言葉が、パッケージのどこに置かれているかを見ます。成分の並びのすぐ近くにあるのか、それとも表面のキャッチコピーの中にあるのか。置かれている場所が違えば、その言葉が背負っている根拠の重さも違います。
| 書かれている場所 | 何を根拠にしているか | 家で確かめられること |
|---|---|---|
| 裏面の成分表示のすぐ近く | 実際の処方 | 成分の並びと突き合わせられる |
| 裏面の説明文 | 作り手の設計方針 | 成分の並びを自分でたどれば確かめられる |
| 表面のキャッチコピー | 売り場で伝えたいこと | 裏を返して確かめる必要がある |
| 紹介ページの見出し | 紹介する側の要約 | 元の表示に戻らないと分からない |
| 使った人の感想 | その人が嗅いだ結果 | 確かめられない。無臭に近い言葉になる |
そして、この表を作ってはっきりしたことがあります。無臭という言葉は、成分表示の側にはほとんど出てきません。成分表示に書けるのは「入れたもの」だけだからです。「においがない」という状態は、入れたものの一覧には書きようがありません。だから無臭は、構造的にうたい文句の側にしか置けない言葉になります。
この見方を1つ持っておくと、判断の順番が固まります。無香料を見つけたら裏を返す。無臭を見つけたら、それは誰かが嗅いだ結果だと受け取る。どちらの言葉も嘘ではありませんが、確かめられる場所がそもそも違います。無香料と無臭の違いは、意味の違いであると同時に、書かれる場所の違いでもあります。
毎日のケアで使うものほど、この読み分けは効いてきます。週に1回のものなら1回分の判断で済みますが、毎日使うものは同じ判断を何百回も繰り返すことになるからです。裏を返すのは最初の1回だけで足ります。あとは、その1回の確認の上に毎日が積み上がっていきます。
犬や猫に使うとき、無香料なら大丈夫と言えますか
無香料であることは、見るべき条件のうちの1つです。香りを足していないという情報は、その製品がほかの点でどう作られているかまでは教えてくれません。だから、無香料という表示だけで決めると、確かめるべきほかの項目が抜け落ちます。
- 誰に向けて作られたものか:人用か、動物用か。ここがいちばん大きい差です
- なめる場所に使うか:口や前足のまわりは、そのあと必ず口に入ります
- 洗い流すのか、流さないのか:肌の上に残る時間がまるごと違います
- 1回に使う量:同じものでも、量が変われば条件が変わります
- 毎日か、ときどきか:毎日のケアに置くものほど、条件が積み上がります
- 使う場所の皮膚の状態:地肌が荒れているところは、その日は避けます
この6つを飛ばして、無香料だから安全ですと読んでしまうのが、いちばん起きやすい省略です。無香料は、確かめるべきことを1つ減らす表示であって、確かめなくてよくなる表示ではありません。言えるのは「香りを足していない」というところまでで、そこから先は別の項目です。
犬や猫の側から見ると、もう1つ事情が加わります。その子は、部屋に置かれた香りから自分で離れられないことがあります。ケージの中、決まった寝床、動きにくい高齢の子。人なら窓を開けるか部屋を移れますが、その選択肢がない場面があります。無香料を選ぶ理由として、この点はかなり大きいと考えています。
被毛に何かをなじませるケアでは、においがその子の体の上に長く残ります。そして犬や猫は、なじませた場所を自分でなめます。だからケアに使うものを選ぶときは、無香料かどうかだけでなく、なめることが前提に入っている作りかどうかを合わせて見てください。皮膚や被毛に変化が出ているときは、製品を選び直す前に動物病院にご相談ください。
買う前に見る順番を知りたいのですが、どこから始めますか
順番は4つです。売り場で全部やろうとせず、最初の2つだけ売り場で、あとの2つは家でやると決めておくと続きます。無香料と無臭の違いを知っていれば、この4手はすぐ終わります。
-
裏返して、成分表示の欄を探す
まず表面のコピーを読まずに、裏を返します。成分の並びが書かれた欄が、その製品でいちばん検算できる場所です。ここが見つからない、あるいは極端に短いときは、その時点で判断の材料が足りません。
-
「香料」にあたる記載があるかを見る
無香料とうたっているなら、ここに香料の記載がないはずです。表と裏で言っていることが一致しているかを、自分の目で1回だけ確かめます。これで無香料という言葉の裏づけが取れます。
-
無香料の語が、表と裏のどちらにあるかを覚えておく
裏の説明文にあるなら、作り方の話として書かれています。表のコピーだけにあるなら、売り場で伝えたいことの側に置かれています。どちらでも構いませんが、どちらだったかを覚えておくと、次に選ぶときの物差しになります。
-
家で開けて、最初の1回だけ嗅いで書き留める
無臭かどうかを判定するためではありません。そのにおいを、自分の基準として記録しておくためです。「うっすら草のにおい」「ほとんど何もしない」くらいの粗さで足ります。半年後に比べる相手ができます。
この4手で、無香料という表示については確かめきれます。無臭のほうは、そもそも確かめる手立てがないので、確かめようとしないのが正解になります。確かめられるものだけを確かめて、確かめられないものは判断の材料から外す。これが2つの言葉の違いから出てくる、いちばん実用的な結論です。
洗う日のものでも、同じ読み分けが要ります。その日にどれだけ落ちたかを家で確かめる手がかりは、洗い上がりの手ざわりしかありません。指のあいだで毛がきしむ、乾いたあとに地肌が粉をふく。必要な皮脂まで落ちたときに出るのはこの側の合図で、香りが乗っていると、その合図が1つ隠れます。mofuwa モイストシャンプーを無香料でつくっているのは、ここに理由があります。ペットは自分のにおいを好むので、余分なにおいはそれ自体が負担になる。香りを足さない設計は、その子のためであると同時に、洗い上がりを人が読める状態にしておくための設計でもあります。開けたときに原料のにおいがうっすら残るのは、覆う工程を持っていないからです。においを消したのではなく、足していない。この記事で書いてきた無香料と無臭の違いが、そのまま1本の作り方に重なります。
毎日のケアに置く1本を選ぶときは、無香料かどうかを最初のふるいにして、そのあとに誰向けに作られたか、なめる場所に使えるか、洗い流すのかどうかを見ていくと、順番が詰まりません。無香料と無臭の違いは、この最初のふるいを正しく置くために使う知識です。
無香料と無臭の違いを、2つの問いに畳む|においが変わったと感じたとき
ここまでを畳みます。売り場でも家でも、確かめるのは2つの問いだけです。
| 問い | 無香料の場合 | 無臭の場合 |
|---|---|---|
| 誰がそう言っているか | 作った人。行いについての宣言 | 嗅いだ人。状態についての断定 |
| どこで確かめられるか | 裏面の成分表示 | 確かめる場所がない |
この2行を持っていれば、「無香料なのに少しにおう」で迷うことがなくなります。無香料は、においがないという約束をしていないからです。そして無臭という言葉を見つけたときは、それが誰かの鼻の記録だと受け取れるようになります。どちらの言葉も否定する必要はなく、置かれている場所が違うだけです。
最後に、この記事の範囲の外側に線を引いておきます。言葉の違いが分かっても、そのにおいがその子にとってどうかは、家では確かめられません。人の鼻で判定できるのは人の側の話までで、犬や猫の側の話は別のところにあります。毎日のケアで使うものほど、この線は意識しておいたほうがいい部分です。
その子の体から出るにおいが急に変わった、地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、フケが増えた、耳のにおいが変わった、被毛のべたつきが戻らない。こうした変化があるときは、無香料のものに替える、香りのあるものをやめる、といった選び直しをする前に動物病院にご相談ください。においの変化は体の側から出ていることがあり、家では切り分けられません。いつから、どこが、どう変わったかをメモして持っていくと、その場で見てもらえます。
ここから先は、毎日のほうの話です。買ったその日に開けて嗅ぐ1回と、裏を返して香料の記載を見る1回。この2回は、そのあと何百回使っても、もう繰り返しません。面倒に感じるのは最初の日だけで、あとはその2回の上に毎日が積み上がっていきます。無香料と無臭の違いを持っていれば、この2回で確かめられることと、確かめようのないことが、その場で分かれます。
書き留めたにおいは、1本を使い切るまで手元に置いておいてください。半年たって同じものを買い直したとき、前の1本と比べられるのは、その1行を残した人だけです。無香料と無臭の違いを覚えておく値打ちは、言葉を正しく使い分けられるようになることより、毎日使うものを自分の記録で選び直せるようになるところにあります。続けるのは嗅ぐことではなく、書き留めるほうです。1年ぶん残ると、そのときどきの季節や置き場所まで含めて、自分の家の基準ができあがります。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
