C12Q&A・豆知識

耳道とは?L字に曲がった犬の耳の構造

公開日 2024年1月5日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
耳道という言葉が指しているのは、穴そのものではなく、鼓膜までの通り道のほうです。写真:https://kaboompics.com//Pexels

耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までの通り道のことです。犬の耳を横から見ると、この通り道は途中で一度向きを変えます。縦に下りていく部分と、そこから内側へ水平に進む部分。この形がL字と呼ばれています。そしてL字が効いてくるのは、何かが入るときより、入ったものが出るときです。入るものは上から下へ落ちていきますが、出るものは水平の部分から曲がり角を上がらなければなりません。だから、耳道という言葉を知ったあとに家でできることは、入れないことと乾かすことの2つに絞られます。この記事は、その2つがどうして2つなのかを、形の側からたどっていく読みものです。

耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までの通り道|縦と横がつながっている

定義をもう一度置きます。耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までの通り道のことです。穴そのものを指す言葉ではありませんし、耳のひらひらした部分を指す言葉でもありません。入口から鼓膜までのあいだにある、空洞の道。それが耳道と呼ばれている範囲です。

犬の耳道は、その道が途中で一度向きを変えるとされています。入口からしばらくは、頭の側面を縦に下りていきます。そこで向きが変わり、今度は頭の内側へ向かって、ほぼ水平に進みます。その先に鼓膜があります。縦の部分と横の部分がつながった形なので、L字と呼ばれています。人の耳道はほぼまっすぐな道とされているので、同じ「耳道」という言葉でも、指している形がだいぶ違います。

耳のまわりの言葉が、それぞれどこを指しているか
言葉指している範囲外から見えるか
耳のひらひらした部分顔の外側にある、立ったり垂れたりする部分見えます
耳道の入口穴の始まり。縦の部分の上端見えます
耳道の縦の部分入口から曲がり角までの、下りていく道入口の近くだけ見えます
曲がり角縦から横へ向きが変わるところ見えません
耳道の横の部分曲がり角から鼓膜までの、内側へ進む道見えません
鼓膜より奥耳道の外にあたる範囲見えません

この表でいちばん大事なのは、右の列です。家から見えているのは、いちばん上の2つだけです。耳道という言葉が指している範囲のうち、目に入るのは入口の近くだけで、残りは見えません。犬の耳を「のぞく」と言うとき、実際にのぞけているのは、縦の部分のごく手前までということになります。

耳道が何をしているかも、書いておきます。音を鼓膜まで届ける通り道です。それと同時に、通り道の壁からは分泌物が出ていて、入ってきた細かいものはそれに乗って、外へ向かって運ばれていくとされています。つまり耳道は、ただの空洞ではなく、外へ向かう流れがある通り道だということになります。

この「外へ向かう流れ」が、L字という形と組み合わさったときにどうなるか。そこが、この記事のいちばん書きたかったところです。犬の耳道は、外へ出す仕事を、上り坂の上でやっていることになります。

Noteこの記事は、耳道という言葉の意味だけを扱います

耳の中で何かが起きているかどうかは、耳道の形の話とは別のところにあります。ここで書くのは、耳道という言葉が何を指す呼び名か、というところまでです。耳の中の状態を判断したり、名前を付けたりすることは、家からは見えない範囲の話になります。形を知ることの値打ちは、診断に近づくことではなく、毎日のケアで手を止める場所が決まることのほうにあります。

L字が効いてくるのは、入るときより出るとき|重力の向きで読み直す耳道

L字という形は、よく「守りの形」として説明されます。曲がっているから、外のものが奥まで届きにくい、という読み方です。ただ、重力の向きを一緒に見ると、読み方が変わります。耳道の縦の部分は、上から下へ下りていく道です。入口に落ちたものは、そのまま下へ進みます。入るほうには、坂が味方しています。

出るほうは逆になります。曲がり角の先まで進んだものが外へ出るには、水平の部分を戻り、曲がり角を越え、縦の部分を上がらなければなりません。重力と反対の向きです。壁から外へ向かう流れがあるとされていても、その流れは上り坂を進むことになります。同じL字が、入るときは下り坂で、出るときは上り坂になる。これがこの記事の核にあたるところです。

同じL字が、入るときと出るときで向きが変わる 耳道の縦と横がつながった形を、入ってくるものと出ていくものの向きで左右に並べた比較カード 入口から鼓膜までの通り道を、重力の向きで読み直しています 入るとき 入口は上から下への下り坂 水や粉は重力で落ちていく 毛やほこりも同じ向きに進む 曲がり角の先までたまりやすい 外からは入口しか見えない 出るとき 水平の部分から上りになる 曲がり角を越える必要がある 重力の向きと逆に進んでいく 頭を振る動きがその助けになる 人が手を入れると押し込む向き 入りやすく出にくい、というのがこの形のいちばん短い説明になります
形は1つですが、通るものの向きによって、坂の意味が反対になります。
耳道に入りやすいものと、出るときにかかる手間
入ってくるものどうやって入るか出るときに必要なこと
水・お湯上から落ちて、縦の部分を下る上り坂を戻るか、蒸発するのを待つ
シャンプーの泡顔をすすぐときに入口へ乗る水と同じ道を戻ることになる
砂・土ぼこり散歩中に舞い上がって入る分泌物に乗って上がっていく
草の種・植物の切れ端草むらで直接入り込む自力では戻りにくい形のものがある
カットした毛顔まわりを切ったときに落ちる細くて軽いぶん、奥へ進みやすい
粉状のもの床の近くで舞い上がって入る湿ると固まって動きにくくなる

表を通して見ると、入る側は「落ちる」で説明がつくのに対して、出る側は毎回ひと手間かかっています。だからL字を「入りにくい構造」と呼ぶのは、半分しか合っていません。入るのは、まっすぐな道よりむしろ簡単です。難しいのは出るほうです。犬の耳道について覚えておくことを1つに絞るなら、ここになります。

頭を振る動きも、この上り坂と結びついています。耳に何かが入ったときに犬が頭を振るのは、通り道の中のものを外へ向かわせる動きとして起きるとされています。上り坂を自力で上がらせるには、勢いが要ります。水が入った日に激しく振るのは、その勢いを自分で作っているということになります。人が見て「気にしている」と読む動きは、形の側から見ると理にかなった動きです。

立ち耳と垂れ耳の違いは、この坂の形そのものを変えるものではありません。変えているのは、坂の上にふたがあるかどうかです。垂れ耳の子は、入口の上にひらひらした部分がかぶさるので、外の風が入口まで届きにくくなります。坂は同じでも、坂の上の空気の入れ替わりが違う。ここは、次の項目の「乾かす」に直接つながります。

もう1つ、形から言えることがあります。耳道の中は、外から見て確かめられない場所だということです。曲がり角より先は光が届きません。入ったものが出たかどうかも、外からは分かりません。入れなかったかどうかだけが、家で確かめられることになります。

入れないことと、乾かすこと|耳道の形から決まる、家でできる2つ

ここまでの形の話から、家でやることが自動的に決まります。入れないことと、乾かすこと。この2つです。3つめとして「出すこと」を思いつきますが、これは家の担当から外れます。出す向きは上り坂で、そこへ人が道具を入れれば、力は必ず下へ、つまり押し込む向きにかかるからです。手が届くことと、やっていいことは別の話になります。

  1. 洗う日は、耳道の入口より上から水を落とさない

    顔まわりをすすぐときに、頭の上から湯を掛けると、入口は下り坂として働きます。顔は上から流さず、下から当てて拭き取る形にすると、入る量そのものが減ります。洗う工程のうち、耳の話が出てくるのはここだけです。

  2. 顔まわりの毛を切る前に、耳をよけておく

    切った毛は細くて軽いので、入口に落ちるとそのまま下へ進みます。切る前に耳を後ろへ倒しておくだけで、落ちる先が変わります。切ったあとに払うより、落とさないほうが確実です。

  3. 草むらのあとは、耳の外側と入口のまわりを見る

    草の種や植物の切れ端は、自力では戻りにくい形のものがあります。見るのは中ではなく、入口のまわりに付いていないかどうかです。付いていたら、中に入る前に取っておきます。

  4. 粉状のものを、耳の近くで使わない

    床の近くで舞い上がるものは、入口から入ります。粉は湿ると動きにくくなるので、入ってからでは上り坂を進みにくくなります。耳道に入れないというのは、こういう積み重ねのことです。

もう一方の「乾かす」も、形の話です。耳道の中は、外の空気が入れ替わりにくい場所です。縦の部分は下りていて、その上にひらひらした部分がかぶさっていることもある。風が通り抜けていく道ではありません。だから、洗ったあとに残った湿り気は、自分から出ていくのに時間がかかります。

この2つに絞ると、毎日のケアで手を止める場所がはっきりします。触れてよいのは、耳のひらひらした部分と、入口のまわりの被毛まで。そこから先は、家では見えない範囲です。見えない場所に手を入れないというのは、遠慮ではなく、上り坂に物を落とさないための線引きです。

皮膚の側にも一行足しておきます。耳のひらひらした部分の裏は、被毛が薄く、汚れが乗っているかどうかが見やすい場所です。毎日のケアで見るなら、ここが向いています。中をのぞくより、外側の見えるところを毎日見ておくほうが、変化に気づきやすくなります。

耳道という言葉を知ると、毎日のケアの何が変わるか

耳道とは何かを知ると、明日から変わることが3つあります。どれも、耳を「穴」ではなく「上り坂のある通り道」として見るところから出てきます。言葉を覚えることの値打ちは、たいていこういう形で返ってきます。

そして、変わらないことも1つあります。耳道の中で起きていることは、家からは見えないままだということです。形を知っても、曲がり角の先は見えません。だから、気になる様子があるときに家でやることは、状態を判断することではなく、記録を作ることになります。

動物病院にそのまま渡せる、5つの記録
書くこと書き方の例
いつから何日前からか。だいたいで構いません
どちらの耳か右・左・両方。片側だけかどうかが手がかりになります
頭を振る回数1日に何回くらいか。増えているか、変わらないか
においの変化いつもと違うにおいがしたか。いつ気づいたか
直前に何があったか洗った、泳いだ、草むらに入った、顔まわりを切った

この5つは、どれも耳の中を見ずに書けます。とくに最後の1つが役に立ちます。耳道は入りやすく出にくい通り道なので、直前に何が起きたかが、そのまま手がかりになります。洗った翌日なのか、草むらのあとなのか。それを覚えているのは、家の側だけです。

毎日のケアの話に戻します。耳のひらひらした部分の裏は、その子が自分ではととのえられない場所です。後ろ足でかくことはできても、そこに乗ったものを外へ運び出す手は持っていません。耳道の中は家の担当から外れますが、その手前までは人の担当です。mofuwa スキンケアミストは、水を電気分解した電解水そのものです。油分を足していないので、拭いたあとの被毛に膜が残りません。布に含ませてから、耳のひらひらした部分の表と裏を、毛の流れに沿って一往復させます。入口より内側には向けません。拭いたら、そのまま耳を軽く持ち上げて、入口に風の通り道を作っておいてください。入れないことと乾かすことという、耳道の形から決まる2つが、そのまま毎日の順番になります。

Caution耳の様子が変わったときは、ケアの手を変える前に動物病院へ

頭を振る回数が増えた、片方の耳ばかり気にする、触られるのを嫌がるようになった、いつもと違うにおいがする、耳のまわりの皮膚が赤い、こすりつける動きが続く。こうした変化があるときは、乾かし方を変えたり、家で中を確かめようとしたりする前に、動物病院にご相談ください。耳道は入口から先が見えない通り道なので、何が起きているかを家から切り分けることはできません。上の表の5つを書いて持っていくと、その場で見てもらえます。耳道という言葉を知っておくことのいちばんの使いどころは、この受け渡しのところにあります。

最後にもう一度、短く畳んでおきます。耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までの通り道のことです。犬ではその通り道が途中で曲がっていて、入るときは下り坂、出るときは上り坂になります。だから家でやることは、入れないことと乾かすことの2つで、出すことは家の仕事から外れます。この3行が残れば、この記事は役目を果たしています。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。