C05犬種・猫種別ケア

ウェルシュコーギーと暮らすなら知っておきたい、脇や内股の蒸れの話

公開日 2024年1月16日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の中、淡い色の木の床に立っているコーギーを後ろから見たところ
脇と内股は歩くたびに面が離れます。腰から尻にかけての毛は、その厚みの中で空気が止まります。写真:3194556/Pixabay

ウェルシュコーギーの脇に指を入れて、内股まで滑らせてみると、思ったより乾いています。そのまま手を腰へ移して、尻の毛を指で分けると、途中で指が止まります。分けても分けても毛が出てきて、地肌までなかなか届きません。この犬種で蒸れがいちばん長く残るのは、毛が厚くて空気が入れ替わらない場所です。脇と内股は、脚が動くたびに面が離れて風が通ります。腰から尻にかけての毛は、体の中でいちばん厚く、長さもあります。この記事では、空気が抜ける場所と抜けない場所を並べて、どちらに手を入れるかを書きます。

脇と内股は乾いていて、腰から尻の毛だけ指が止まる|ウェルシュコーギーの蒸れの出どころ

ウェルシュコーギーの被毛は二層です。外側に硬めの上毛があり、その内側に細くて密な下毛があります。ウェールズの牧場で、天候の変わる屋外を一日じゅう歩いて牛を追う。雨と風を上毛が受け、下毛が空気をためて体温を保つ。その作りが、いまの被毛にそのまま残っています。蒸れの話をするときも、出発点はここです。

ただし、この二層は体じゅうで同じ厚さではありません。腰から尻、そして後ろ脚のうしろにかけての毛は、体の中でいちばん厚く、長さもあります。手のひらを背中に置いて、そのまま腰へ、尻へと移していくと、同じ子の毛とは思えないほど手が沈みます。指で分けようとしても、下から次の毛が出てきて、地肌の線がなかなか出ません。

いっぽう脇と内股は、その逆です。毛は短めで、密度も背中側ほどではありません。そして何より、この2か所は歩くたびに開いたり閉じたりします。前脚が前に出れば脇が開き、後ろ脚が動けば内股が離れます。1日に何千回も面が離れるので、そのたびに新しい空気が入ります。蒸れやすい場所として脇や内股が挙がるのは、閉じている姿の印象が強いからです。

確かめ方は簡単です。散歩から戻ったあと、脇に指を1本入れて内股まで滑らせ、そのあと同じ指を腰から尻へ移します。脇と内股の指はすっと抜けるのに、尻では毛の中で止まる。ウェルシュコーギーで蒸れの出どころを探すときは、この差がそのまま答えになります。指が止まった深さが、空気の動いていない層の厚みです。

Note濡れているかどうかではなく、空気が動いているかどうか

蒸れを「濡れ」の話にすると、答えは「よく拭く」だけになります。けれど、ウェルシュコーギーの腰から尻は、拭ける面が毛の表面までしかありません。厚みの中に残っているのは水そのものより、動かない空気のほうです。湿った空気が入れ替わらないかぎり、表面をどれだけ拭いても層の奥の条件は変わりません。見るのは水気ではなく、風が入る隙間があるかどうかです。

脚が動くたびに面が開く|ウェルシュコーギーの脇と内股で空気が抜ける仕組み

先に、空気が抜ける側から見ます。脇は前脚の付け根と胸の側面がつくる面、内股は後ろ脚の内側と腹がつくる面です。どちらも、立っているときは閉じています。閉じている時間だけを見れば、確かに湿った空気がたまる形をしています。体温で温められ、外の風も届かない。蒸れやすい場所として名前が挙がる理由は、この見え方にあります。

けれど、ウェルシュコーギーは歩き方に特徴のある犬種です。牛を追う仕事のために、低い姿勢で小刻みに脚を出します。1回の歩幅は小さいぶん、同じ距離を歩くのに脚の動く回数が多くなります。脚が動くということは、脇と内股の面が離れるということです。散歩の30分で、この2か所は数えきれない回数の開閉をくり返しています。

開閉には、もうひとつ働きがあります。面が離れるとき、そこにあった湿った空気は外へ押し出されます。閉じるときには、外の乾いた空気が引き込まれます。ふいごと同じで、動きそのものが空気を入れ替えています。だから脇と内股の湿りは、体の中では引くのが早い部類です。散歩から戻って1時間もすれば、指を入れても湿り気を感じないことが多くなります。

問題になるのは、この開閉が止まったときです。長い時間寝ている日、雨で散歩に出なかった日、留守番で動きの少なかった日。脇と内股の湿りは、動く量とそのまま結びついています。逆に言えば、動きが戻れば条件も戻ります。ウェルシュコーギーの脇と内股は、手を入れる場所というより、その日の過ごし方で説明のつく場所です。

Point脇と内股は、乾かす順番のいちばん最後で構いません

洗ったあとに乾かす順番を考えるとき、脇と内股を先に念入りにする方が多くいます。けれど、この2か所はあとから自力で空気が入れ替わります。先に時間をかけるべきなのは、動きでは入れ替わらない場所のほうです。順番を入れ替えるだけで、同じ時間で乾ききる範囲が広がります。ドライヤーの風を当てる時間は有限なので、どこに配るかを決めておいてください。

毛の厚みの中では風が動かない|ウェルシュコーギーの腰から尻で蒸れが残る違い

次が、空気の抜けない側です。ウェルシュコーギーの腰から尻、そして後ろ脚のうしろにかけての毛は、長さがあり、下毛が密に詰まっています。ここは体の面が広く、しかも脚の動きから遠い場所です。脇や内股と違って、動いても面が離れません。厚みの中の空気は、押し出されることも引き込まれることもなく、そのまま留まります。

ここに水気が入ると、抜けるまでに時間がかかります。雨の日の散歩、洗ったあと、湿度の高い日の寝床。表面の毛は乾いているのに、指を沈めた先だけが湿っている、という状態が続きます。外から見ても分かりません。上毛が表面をそろえるので、厚みの中の条件は、指を入れるまで見えないままです。

座る姿勢も関わります。ウェルシュコーギーが床に座ると、尻の厚い毛は体の重みで下から押しつぶされます。押しつぶされた毛は、空気の入る隙間をさらに減らします。寝ているあいだ、同じ面が何時間も押さえられていることもあります。動きで入れ替わらないうえ、押されて隙間が減る。腰から尻は、この2つが重なる場所です。

ウェルシュコーギーの2か所で、蒸れの条件がどう分かれるか
脇と内股腰から尻にかけて
毛の厚み短めで、層は薄い体の中でいちばん厚く、長い
空気の入れ替え脚が動くたびに開閉する面が離れないので、ほぼ止まる
湿りが引くまで動きが戻れば、比較的早い厚みの奥は、時間がかかる
外から見えるか持ち上げれば地肌まで見える上毛がそろうので見えない
姿勢の影響座ると開く方向へ動く座ると体の重みで押しつぶされる
何で確かめるか指を1本、滑らせる指を沈めて、止まる深さを見る
手の入れ方その日の動きの量で決まる毛を分けて、風の通る隙間をつくる
空気が抜ける場所と、抜けない場所 ウェルシュコーギーの脇と内股は、脚が動くたびに面が離れて空気が入れ替わります。腰から尻にかけての毛は厚く、面が離れないので空気が止まったままになります。手を入れる場所は、この差で決まります。 同じ一頭の中で、条件が2つに分かれます 脇と内股 毛は短めで、層が薄い 歩くたびに面が離れる 動きが戻れば湿りも引く 乾かす順番は最後で足りる 腰から尻 体でいちばん厚く長い毛 面が離れず風が動かない 座ると重みで押しつぶされる 毛を分けて隙間をつくる 厚みの中の条件は、指を沈めるまで見えません
蒸れの残り方を決めているのは湿りの量ではなく、空気が入れ替わる回数のほうです。

この違いがあるので、ウェルシュコーギーの蒸れは「どこを拭くか」ではなく「どこに風を入れるか」で考えたほうが早く進みます。脇と内股には、すでに風が入っています。腰から尻には、人が隙間をつくらないかぎり入りません。同じ時間をかけるなら、後者に配るほうが条件が動きます。ブラッシングを蒸れの話として位置づけ直すのも、ここからです。

今日はどっちに手を入れるか|ウェルシュコーギーの蒸れで分かれる見分け方と道具の選び方

2か所の条件が分かれているので、その日にどちらへ手を入れるかも分かれます。決め方は目ではなく指です。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手の人差し指だけで確かめます。10秒あれば足ります。順番は、脇から内股、そのあと腰から尻。動きで入れ替わる側を先に見て、動かない側を後に見ます。

  1. 確かめ方1:脇へ指を入れ、内股まで一気に滑らせる

    前脚の付け根から腹の下を通って、後ろ脚の内側まで。途中で指が湿りを拾わず、抜けるように滑るなら、その日は脇と内股に手を入れなくて構いません。湿りを拾ったときも、まず思い出すのはその日の動きの量です。雨で散歩に出ていない、ずっと寝ていた。心当たりがあるなら、乾いた布で押さえて、あとは動きに任せてください。

  2. 確かめ方2:腰の毛に、指を真上から沈める

    毛の流れに沿って撫でるのではなく、毛の面に対して垂直に指を差し込みます。地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返される深さが、風の動いていない層の厚みです。ウェルシュコーギーではここで指が止まることが多く、止まる深さは季節でも変わります。届くなら、その日は腰も手つかずで構いません。

  3. 確かめ方3:尻と後ろ脚のうしろで、同じことをくり返す

    腰で止まったなら、そのまま尻、後ろ脚のうしろへ移して、同じように沈めます。いちばん深く指が止まる場所が、その日に手を入れる1か所です。全部を同じ日に回そうとしないほうが続きます。ウェルシュコーギーは面が広いので、今日は腰だけ、明日は尻だけ、で十分に間に合います。

  4. 確かめ方4:止まった場所の毛を、指で左右に分けてみる

    分けた線に地肌が見えるか、見えないかを確かめます。地肌が見えないなら、まだ層が残っています。分けた線がそのまま保たれるか、すぐ閉じてしまうかも見てください。すぐ閉じる場所は、ブラッシングで層を1枚ずつ出す必要があります。ここが、道具を持つかどうかの分かれ目です。

指で確かめた結果と、その日に持つもの
指で確かめたことその日にすること
脇から内股まで、指が滑って抜ける手を入れなくて構いません
脇か内股に湿りがある/動きの少ない日だった乾いた布で押さえるだけ。あとは動きに任せる
腰か尻で指が止まる。分けても地肌が見えないその1か所だけ、層を1枚ずつ出す
分けた線がすぐ閉じる毛を分ける道具を使い、線を保ったまま風を当てる
地肌が赤い、においがあるブラッシングを足す前に、動物病院へ相談する

道具の選び方も、この差で決まります。脇と内股には、面をなでる道具で足ります。層が薄いので、深く入れる必要がありません。腰から尻には、毛を分けて層を出せる道具が要ります。先が細く、地肌へ届く長さのあるもの。ただし、押しつけて地肌をこするための道具ではありません。分けて、隙間をつくって、風を通す。ウェルシュコーギーの蒸れで道具に求めるのは、その一点です。

毛を分けて線をつくっても、その線は指を離したとたんに閉じます。腰から尻の地肌が外の空気に触れているのは、こちらが押さえているあいだの数秒だけです。その数秒に何を置くかは、こちらが決めるしかありません。mofuwa スキンケアミストは、アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つを入れていません。油の膜になるものを足していないので、線が閉じたあとの層に残るものがありません。布に取ってから、分けた線の底へ。厚みの上から吹きかけると、水気の行き先が層の中しかなくなります。分けて、当てて、また分ける。ウェルシュコーギーの蒸れでこの1本が働くのは、線が開いている数秒のあいだだけです。

湿度が動く時期と、洗いすぎに寄らないこと|ウェルシュコーギーの蒸れ

最後に、時期の話です。ウェルシュコーギーの腰から尻は、1年のうちで条件が2回大きく動きます。ひとつは湿度が上がる梅雨から夏、もうひとつは換毛のあとです。湿度が上がる時期は、外の空気そのものが乾いていないので、厚みの中の水気が抜けにくくなります。換毛のあとは、抜けた下毛が層に残り、風の通り道がさらに減ります。時期によって、手を入れる回数の使い分けが変わります。

時期ごとに、腰から尻へ手を入れる回数の使い分け
時期何が起きているか回数の目安
春と秋の換毛のあと抜けた下毛が厚みの中に残る週に2〜3回、層を1枚ずつ出す
梅雨から夏外の空気が湿り、水気が抜けにくい週に2回。雨の日のあとは足す
冬暖房で室内だけ乾く。寝床は温かい週に1回。寝床の面を見る
雨の日の散歩のあと厚みの中にだけ水気が残るその日のうちに1か所だけ

ここで寄りやすいのが、洗う回数を増やす方向です。蒸れが気になると、洗えば軽くなる気がします。けれど、洗いすぎは地肌のうるおいまで持っていきます。そのうえウェルシュコーギーの腰から尻は、乾ききるまでに時間のかかる場所です。洗う回数が増えれば、厚みの中が濡れている時間も増えます。洗えば洗うほど蒸れが軽くなりますという順序では、条件が逆に動きます。まず動かすのは、洗う回数ではなく、風の通る隙間のほうです。

ここまでは、毛の厚みと空気の動きで説明のつく蒸れの話でした。厚い場所に隙間をつくって2週間ほど続けても、同じ場所が短い間隔で戻るときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、被毛の条件の話として片づけないほうが安全です。

Caution早めに動物病院へ相談したいサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。ウェルシュコーギーの腰から尻は、上毛がそろうので外から変化が見えません。気づいたときには進んでいることがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談のときは、指が止まる場所・いつからか・その週に手を入れた回数の3つをメモしていってください。ウェルシュコーギーの蒸れは、被毛の厚みという条件と重なって出るので、この3つがあると切り分けてもらえます。前の晩に念入りにブラッシングして層を出しきってしまうと、もとの状態が分からなくなります。そのままの被毛で連れて行ってください。

ウェルシュコーギーと暮らすうえで、腰から尻の毛が厚いこと自体は変えられません。屋外で牛を追うために備えた被毛だからです。動かせるのは毛の量ではなく、その厚みの中で空気が止まっている時間のほうです。脇と内股は動きに任せる。腰から尻は、人が分けて隙間をつくる。時期で回数を使い分け、洗う回数のほうへは寄らない。ウェルシュコーギーの蒸れで手を入れられるのは、そこです。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

よくある質問

ウェルシュコーギーは脇や内股が蒸れやすいと聞きましたが、違うのですか?
脇と内股は閉じている姿の印象が強い場所です。ただ、この2か所は脚が動くたびに面が離れて空気が入れ替わります。動きの少ない日は湿りが残りますが、動きが戻れば条件も戻ります。長く残るのは、面が離れない腰から尻の厚みのほうです。両方を見て、指が止まった側に手を入れてください。
腰から尻のブラッシングは、毎日やったほうがいいですか?
毎日でなくて構いません。指を毛に沈めて、地肌まで届く場所には出番がありません。届かない場所だけ、層を1枚出すぶんだけで足ります。換毛のあとと梅雨から夏は週2〜3回、冬は週1回が目安です。回数を増やすより、指で止まった1か所へ配るほうが条件が動きます。
洗ったあと、どこから乾かせばいいですか?
腰から尻を先にしてください。脇と内股は、そのあと動くだけで空気が入れ替わります。腰から尻は、人が毛を分けて風を入れないかぎり、厚みの奥まで乾きません。分けた線に沿って風を当て、線を移しながら進めてください。表面が乾いた手ざわりでも、指を沈めて確かめてから終わりにしてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。