C05犬種・猫種別ケア

パピヨンのシルキーコート|耳の汚れを毎日のケアで防ぐ

公開日 2024年1月23日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の部屋で、耳に長い飾り毛のある小さな犬が淡い色のラグの上でくつろいでいる
耳の飾り毛は耳のふちで終わらず、頬から首の毛へそのまま続いています。汚れも同じ道を通ります。

パピヨンの耳のふちを指でつまんで、そのまま下へ滑らせてみてください。指は耳で止まらず、頬の毛へ、そして首の付け根まで続けて滑ります。耳の飾り毛と顔の毛は、途中で切れていません。1本の道になっています。耳の汚れが耳の中だけで終わらないのは、この続き方のためです。耳のふちで浮いた皮脂や砂は、毛づたいに下流の顔へ移ります。目の下、口の横、首の付け根。パピヨンで「耳は拭いているのに、顔のほうが黒くなる」ということが起きるのは、ここです。この記事では、耳だけを見る見方と、耳から続く道を見る見方を並べます。

耳のふちから首まで、毛が1本の道になっている|パピヨンの耳の汚れが顔へ移る作り

パピヨンの被毛は、下毛のほとんどない一層の毛です。1本1本が細く、まっすぐで、絹のような手ざわりをしています。シルキーコートと呼ばれるのは、この質感からです。体には短めの毛が寝ていて、耳・胸元・後ろ脚・しっぽにだけ、長い飾り毛が伸びます。フランスとベルギーで愛玩犬として過ごしてきた歴史の中で、この毛の付き方が残りました。

そのうち、いちばん長く、いちばん高い位置にあるのが耳の飾り毛です。大きな立ち耳のふちから、下へ向かって垂れます。ここで見ておきたいのが、垂れた先です。耳のふちの毛は、耳の下で終わらず、そのまま頬の毛と重なって、首の付け根まで続きます。耳と顔のあいだに、毛の切れ目がありません。1本の道が、耳から首まで通っています。

汚れは、この道を通ります。耳のふちや耳の入口についた皮脂、散歩で拾った砂、乾いた耳あか。それらは耳の中に留まらず、飾り毛の1本1本を伝って下流へ移ります。パピヨンの毛は細くてまっすぐなので、引っかかりが少なく、移動の距離が長くなります。耳の汚れを拭き取ったつもりでも、実際には道の途中まで運んだだけ、ということが起こります。

移った先は決まっています。目の下、口の横、首の付け根。耳の汚れを気にしている飼い主が、なぜか顔の毛の色を先に気づくのは、下流のほうが目に入りやすいからです。白い毛の子なら、色の変化として見えます。逆向きの移動もあります。食器に顔を入れたときの水や食べ物が、頬の毛から耳の飾り毛へ、道を逆にたどることもあります。

Note耳の汚れの量ではなく、道の長さの話です

パピヨンの耳の汚れを量で考えると、答えは「もっとこまめに耳を拭く」に寄ります。けれど、耳を拭く回数を増やしても、道そのものは残ります。回数ではなく、拭いたものをどこへ運び出しているかを見てください。道の途中で手を離せば、そこから先はまた毛が運びます。毎日のケアで見る範囲を、耳から首までの一続きに広げるだけで、置きどころが変わります。

耳だけを見る|パピヨンの耳の汚れで見えるものと、見落とすもの

まず、耳だけを見る見方から整理します。これは間違った見方ではありません。耳の入口とふちは、汚れがいちばん濃く出る場所です。色も、においも、手ざわりの変化も、ここでいちばん早く分かります。毎日のケアの起点として、耳を見ることには理由があります。見落としが出るのは、耳で終わらせたときです。

耳だけを見ると、判断の材料は「今日の耳が汚れているかどうか」だけになります。汚れていれば拭き、きれいなら何もしない。この見方では、拭いた汚れが道のどこまで運ばれたかが視界に入りません。拭き取った量は分かるのに、拭き残しがどこへ行ったかは分からない。パピヨンでは、この差が翌日の顔に出ます。

もうひとつ、耳だけを見る見方では、汚れが増えたのか移ってきたのかを分けられません。今日の耳が昨日より汚れているとき、外から新しく入ったのか、頬の毛から戻ってきたのかで、手を入れる場所が変わります。耳だけを見ていると、原因はいつも「耳」になります。そして毎日のケアは、耳を拭く回数を増やす方向へ進みます。

回数を増やすこと自体に問題はありませんが、パピヨンの耳の飾り毛は細く、こする回数が増えるほど毛のほうが傷みます。傷んで毛先が割れた毛は、汚れをよく引っかけるようになります。道の入口が粗くなり、次からは汚れがそこで留まります。耳だけを見ていると、この循環に気づけません。回数が増えているのに、耳の汚れが軽くならない。そういうときは、見る範囲のほうを疑ってください。

Point耳を見る時刻を、1日1回に固定する

耳だけを見る見方にも、活かし方があります。見る時刻を毎日そろえると、その日の変化が量として比べられます。朝の食事の前でも、散歩から戻った直後でもかまいません。同じ時刻に見れば、増えたのか変わらないのかが分かります。パピヨンの耳の汚れは日ごとの差が小さいので、時刻をそろえないと変化が読めません。

耳から続く道を見る|パピヨンの耳の汚れで2つの見方が分かれる違い

もう一方が、耳から続く道を見る見方です。見る単位を「耳」から「耳のふち・頬・首の付け根の3点」に広げます。手を当てるのは3点ですが、確かめているのは点ではなく、そのあいだの毛の続き方です。耳のふちから指を下ろして、どこで指が止まるか。止まった場所が、汚れが留まっている地点です。

この見方に切り替えると、拭く場所が変わります。耳が汚れていても、手を入れるのは耳だけではありません。道の下流にあたる頬や首の付け根から先に拭き、そのあと上流の耳へ戻ります。下流を先に空けておかないと、耳から運び出した汚れの行き先がないからです。上から拭き下ろすと、道の途中に溜まっていたものまで一緒に下流へ押し出します。

順番を変えるだけで、翌日の顔の色が変わります。耳の汚れが同じ量でも、下流に溜まっていなければ、目の下や口の横に色が出るまでの時間が延びます。パピヨンは体格が小さいので、耳から首までの距離が短く、移るのが早い犬種です。そのぶん、道を空けておく効き方も早く出ます。

2つの見方で、パピヨンの耳の汚れの扱いがどう変わるか
耳だけを見る耳から続く道を見る
見る範囲耳の入口とふち耳のふち・頬・首の付け根の3点
判断の材料今日の耳が汚れているかどうか指がどこで止まるか、その位置
拭く順番汚れている耳から下流の首と頬を先に、耳を後に
増えたか移ったか分けられない止まる位置の変化で分けられる
手が増える方向耳を拭く回数が増える拭く範囲が首まで広がる
飾り毛への負担同じ場所をこする回数が増える1回ずつ、道に沿って動かす
翌日に出る差耳は同じ、顔の色が濃くなる顔の色が出るまでの時間が延びる
耳だけを見る見方と、耳から続く道を見る見方 パピヨンの耳の飾り毛は、頬から首の付け根まで切れ目なく続いています。見る単位を耳だけにするか、道の一続きにするかで、拭く順番も、翌日に出る差も変わります。 同じ汚れを、どこまでの範囲で扱うか 耳だけを見る 見るのは耳の入口とふち 汚れていれば拭く 拭いた先の行き先は見えない 手は回数を増やす方向へ 続く道を見る 耳・頬・首の3点を見る 下流を先に、耳を後に拭く 指が止まる位置で分かる 手は範囲を広げる方向へ パピヨンは体格が小さく、道が短いぶん移るのが早い
耳の汚れは耳で発生し、毛の道を通って顔の下流へ移ります。見る範囲がその道より短いと、行き先が視界に入りません。

どちらか一方を選ぶ話ではありません。毎日のケアでは耳だけを見て時刻をそろえ、週に一度は道を通して見る。この組み合わせが、パピヨンの耳の汚れではいちばん続きます。毎日3点を全部見ようとすると手が止まりますし、道を一度も見ないと、耳を拭く回数だけが増えていきます。粒度を分けて持っておいてください。

今日はどちらで手をつけるか|パピヨンの耳の汚れの見分け方と、布の使い分け

決め方は、指1本で足ります。耳のふちの毛をつまんで、そのまま下へ滑らせ、どこで指が止まるかを見ます。止まらずに首まで抜けるなら、道は空いています。その日は耳だけを見る見方で構いません。途中で止まるなら、止まった位置から先が詰まっているので、道を見る見方に切り替えます。10秒で判断できます。

  1. 見分け方1:耳のふちの毛を、根元でつまむ

    耳の外側のふち、飾り毛が生えはじめる線を、親指と人差し指で軽くはさみます。強く握らず、毛が指のあいだを通れるくらいの力にしてください。パピヨンの毛は細いので、力を入れると滑らずに引っぱることになります。ここでの目的は汚れを取ることではなく、道の状態を確かめることです。

  2. 見分け方2:耳の下、頬、首の付け根へ、続けて指を下ろす

    はさんだまま、毛の流れに沿って下へ。指が引っかかる場所があれば、そこが汚れの溜まっている地点です。耳のすぐ下で止まるのか、頬の中ほどか、首の付け根か。止まる位置は日によって動きます。位置を覚えておくと、次の日に増えたのか下がったのかが分かります。

  3. 見分け方3:止まった位置より下から、先に拭く

    指が頬の中ほどで止まったなら、拭きはじめるのは首の付け根です。下流を空けてから、上流へ戻る。順番を逆にすると、耳から運び出した汚れが、詰まっている場所の手前で止まります。首から頬、頬から耳の下、最後に耳のふち。この4段で、道が一度通ります。

  4. 見分け方4:耳の入口は、最後にひと当てで終える

    耳の入口は、道のいちばん上流にあたります。見えている範囲を、湿らせた布でそっと当てるだけにしてください。奥へ入れない、こすらない、綿棒を差し込まない。パピヨンの耳は立っていて外から見えるぶん、つい奥まで手が伸びます。見える範囲で終わり、という線を先に決めておいてください。

指が止まった位置と、その日の手のつけ方
指が止まった位置その日にすること
止まらず、首まで抜ける耳の入口をひと当てするだけで構いません
耳のすぐ下で止まる耳の下から順に、飾り毛を毛先の側からほぐす
頬の中ほどで止まる首の付け根から拭きはじめ、上流へ戻る
首の付け根で止まる道全体が詰まっています。4段を通して1回
どこで止まるか日ごとに変わる見る時刻を固定して、1週間そろえて比べる

布の使い分けも書いておきます。道の下流ほど汚れが濃いので、1枚の布で耳から首まで拭くと、下流の色を上流へ戻すことになります。ガーゼを四つに折れば折り面が4つできます。首・頬・耳の下・耳のふちで、面を1つずつ替えてください。選び方の目安は、目の細かさより、毛に引っかからない面かどうかです。パピヨンの細い毛は、起毛した布に絡みます。

拭く順番は、首の付け根から頬、耳の下、耳のふちへ。下流から空けるために決まっている順番なので、その子の側からは動かせません。どこを先に湿らせておくかも、こちらが決めることになります。mofuwa スキンケアミストの中身は、高機能性電解酸化水そのものです。何かを配合して働かせるものではないので、拭いたあとにパピヨンの細い飾り毛へ残るものがありません。布に取って、面を替えるたびに含ませ直してください。首・頬・耳の下で3面。耳の入口へ向けて吹きかけるのは避け、見えている範囲にひと当てで終わります。ブラッシングの前に下流だけを湿らせておくと、飾り毛の滑りがそろって、毛先から順にほぐしやすくなります。

換毛期と皮脂で道の通りが変わる時期|パピヨンの耳と顔

道の通りやすさは、1年のあいだで変わります。パピヨンは下毛の少ない被毛ですが、飾り毛は季節で量が動きます。春と秋の換毛期には、抜けた毛が飾り毛のあいだに残り、道の途中に引っかかりをつくります。この時期は、指が止まる位置が上のほうへ移ります。ブラッシングで抜けた毛を先に外へ出しておくと、道の状態が戻ります。

時期によって、道のどこが詰まりやすくなるか
時期何が変わるか手をつける場所
春と秋の換毛期抜けた毛が飾り毛に残る耳の下。毛先の側からほぐす
湿度の高い時期皮脂が毛にまとわりつきやすい首の付け根。下流を先に空ける
乾燥する時期静電気で毛が広がり、砂を拾う頬。散歩から戻った直後に1回
換毛が終わった時期飾り毛の量が落ち着く耳の入口をひと当てで足ります

皮脂も、道の通りに関わります。皮脂そのものは毛と皮膚を守っているものなので、落としきる相手ではありません。ただ、多く出ている時期は、毛のあいだで汚れをまとめる働きをします。耳のふちで浮いたものが、皮脂の多い頬でまとまり、そこで道が細くなる。毎日のケアで見る場所を、耳から頬へ移す時期です。皮脂を全部落とせば耳の汚れがなくなりますという向きには寄らないでください。

「毎日のケアで防ぐ」という言い方をするなら、防ぐ相手は耳の汚れそのものではありません。汚れが道を下って顔まで届く前に、下流を空けておく。それが毎日のケアでできることです。耳の汚れが出ること自体は、外の空気に触れている以上なくなりません。動かせるのは、留まる時間と、移る距離のほうです。

ここまでは、毛の続き方で説明のつく耳の汚れの話でした。道を通して2週間ほど手を入れても、耳の状態が同じか、悪くなっていくときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、毎日のケアの話として片づけないほうが安全です。

Caution早めに動物病院へ相談したいサイン

耳の汚れの色や量が急に変わった、においがある、片耳だけ様子が違う、耳をかき続ける、頭を振る、耳のふちや入口が赤い、触ると痛がる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。パピヨンの耳は立っていて外から見えるぶん、家で見えている範囲だけで判断しがちです。見えているのは入口までです。迷ったら早いほうを選んでください。

相談のときは、指が止まる位置・いつからか・その週に拭いた回数と使った布の3つをメモしていってください。パピヨンの耳の汚れは毎日のケアと重なって出るので、この3つがあると、毛の道で説明のつく汚れなのかどうかを切り分けてもらえます。前の晩に念入りに拭いてから連れて行くと、もとの状態が分からなくなります。そのままの耳で行ってください。

パピヨンと暮らすうえで、耳の飾り毛が顔の毛へ続いていること自体は変えられません。この犬種の被毛の作りそのものだからです。動かせるのは汚れの量ではなく、汚れが道のどこで留まっているかと、下流がどれだけ空いているかのほうです。毎日は耳を、週に一度は道を。下流から先に拭き、布の面を替える。換毛期は毛を外へ出し、皮脂の多い時期は頬を見る。パピヨンの耳の汚れで手を入れられるのは、この4つです。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

よくある質問

パピヨンの耳は、綿棒で奥まで拭いたほうがいいですか?
家で手を入れるのは、外から見えている範囲までにしてください。綿棒を差し込むと、浮いた汚れを奥へ押し込むことになります。見える範囲を湿らせた布でそっと当てるだけで、毎日のケアとしては足ります。奥が気になるとき、においや色が変わったときは、回数を増やす前に動物病院にご相談ください。
耳を拭いているのに、顔の毛のほうが黒くなります
耳の飾り毛が頬から首の毛へ続いているので、耳で浮いた汚れが道を通って下流へ移ります。拭く順番を、首の付け根から頬、耳の下、耳のふちへと変えてみてください。下流を先に空けてから上流に戻ると、行き先ができます。布は面を替えながら使うと、下流の色を上流へ戻さずにすみます。
飾り毛が絡んでいるときは、先にほぐすべきですか?
先にほぐしてください。絡んだ場所は道が細くなっていて、汚れがそこで留まります。ほぐすときは根元からではなく、毛先の側から少しずつ。パピヨンの毛は細いので、根元から力をかけると切れます。ほぐしてから拭くと、同じ回数でも運び出せる量が変わります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。