C05犬種・猫種別ケア

イタリアングレーハウンドはなぜ日ざしによる肌の負担が起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2024年2月6日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、やわらかいクッションの上に丸くなって眠っている淡い色の犬
丸まると、外に出ている面はぐっと小さくなります。光が当たるのは、そのとき外側にあった面だけです。

イタリアングレーハウンドがクッションの上で丸まると、体はひとつのかたまりになって、外に出ている面が急に小さくなります。背中の上側から腰へ続く帯と、たたんだ後ろ脚の外側。空気に触れているのは、だいたいこの2か所です。腹も、内ももも、胸の内側も、そのかたまりの中に入っています。昼過ぎに光が差し込む時間、当たっているのは体の全部ではありません。外側に残っていた、その帯だけです。イタリアングレーハウンドの日焼けを考えるとき、最初に見るのは日ざしの強さでも、外にいた時間の長さでもなく、その子がどんな形に丸まっていたかです。丸まり方が同じなら、外に出る面も毎日同じ場所になります。この記事では、その形がどう決まっているのかと、毎日のケアで何を見ればいいのかを書きます。

丸めた体で外に出るのは2か所|イタリアングレーハウンドの日焼けに気づいた経験

イタリアングレーハウンドが眠るときの形を、一度ゆっくり見てください。前脚を胸の下へ折りたたみ、後ろ脚を腹の側へ引き寄せ、背中を弓なりに丸めて、鼻先を後ろ脚のあいだに入れます。できあがった輪郭は、円に近い形です。この形になったとき、外側にあるのは背中の上側から腰へ続く帯と、たたんだ後ろ脚の外側。それ以外の面は、ほとんどが自分の体の内側へ入っています。

この姿勢は、10分や20分では終わりません。イタリアングレーハウンドは一度この形になると、そのまま1時間でも2時間でも眠っている子が多い犬種です。形を変えないということは、外に出ている面が、そのあいだずっと同じだということです。光が入る時間帯にこの形で眠っていれば、当たっているのはいつも同じ帯になります。日焼けの話が、姿勢の話から始まるのはこのためです。

気づくきっかけは、目より先に手であることがほとんどです。抱き上げようとして背中に手のひらを当てたときに、腰から背中にかけての帯だけ、手ざわりが他と違う。少し乾いた感じがする、あるいは他の面より温かい。その帯が、まさに丸まったときに外に出ていた場所です。そこで初めて、この子の日焼けはどこに出るのかという見方が始まります。

Note長さの話ではなく、面の話です

外にいた時間や日ざしの強さだけで考えると、答えは「外に出す時間を減らす」になってしまいます。けれどイタリアングレーハウンドの場合、家の中で丸まっている時間のほうが圧倒的に長い犬種です。見るべきなのは合計の時間ではなく、そのあいだ外に出ていたのがどの面か、という一点です。同じ2時間でも、丸まり方が変われば当たる場所は変わります。

細い体格と薄い被毛で、丸まると外側だけが残る|イタリアングレーハウンドが日焼けしやすい背景

イタリアングレーハウンドは、胸が深く、腰が細く絞られていて、脚が長い体格を持っています。地中海の沿岸で、視界の開けた場所を軽い体で走るためにつくられた形です。この体格だと、丸まったときに背骨が大きく弓なりになります。背中の側が外周になり、腹の側が円の内側に入る。骨と皮膚のあいだに厚みが少ないぶん、丸まった外周は一枚の面のようにぴんと張ります。日焼けの条件を考えるうえで、これが1つ目の背景です。

2つ目は被毛です。イタリアングレーハウンドの被毛は非常に短く、下毛の層を持ちません。手のひらを当てるとほとんど毛の厚みを感じず、指を沈める余地もありません。毛でできた層がないということは、光も外気も、地肌のすぐ近くまで届くということです。換毛期に毛が入れ替わっても、もともとの量が少ないので層の厚みは変わりません。厚い被毛を持つ犬種で起きる「毛が光を受け止める」という段階が、この犬種にはほとんどありません。

3つ目は皮脂の広がり方です。毛が長い犬では、地肌から出た皮脂が毛の根元から毛先へ運ばれ、被毛全体に薄く広がります。毛が短いイタリアングレーハウンドでは、運ばれる距離が短く、皮脂は毛の上ではなく、地肌の上に薄くのった状態になります。だから触ったときに、毛ではなく肌そのものの状態が指に返ってきます。手ざわりの変化が早く分かるのは、この作りのおかげでもあります。

そして4つ目が、丸まるという姿勢そのものです。体脂肪が少なく毛の層も薄い体は、熱を抱えこみにくい作りをしています。だからこの犬種は、自分から体を折りたたんで、外に出る面を減らします。丸まるのは、内側の面を守るための姿勢です。言いかえると、イタリアングレーハウンドの日焼けは、その子が守ろうとした結果、外に残った面の話ということになります。

丸まったとき、体の面がどちらに入るか
体の面丸まったときの位置光と外気の当たり方
背中の上側から腰外周のいちばん上上から来る光を正面から受けます
肩の上外周背中の帯と続けて当たります
後ろ脚の外側外周の側面斜めから当たります
腹・内もも円の内側ほとんど当たりません
胸の内側・脇折りたたんだ内側当たりませんが、湿りがこもります
鼻先・耳後ろ脚のあいだへ入る当たらないことが多い場所です
Point被毛が薄いことは、弱さの説明ではありません

毛の層が薄いという作りは、この犬種が走るために持っている軽さと同じ由来です。薄いから問題があるのではなく、薄いぶん条件が地肌に直結するというだけです。厚い被毛を持つ犬種では毛の中で起きていることが、イタリアングレーハウンドでは肌の上で起きます。だから飼い主の手のひらが、そのまま観察の道具になります。毎日のケアで触っておく価値が、他の犬種より高い体だと考えてください。

日ざしの量は面積ではなく丸まり方で決まる|イタリアングレーハウンドの日焼けが場所で違う理由

ここが、この記事でいちばん書きたいところです。イタリアングレーハウンドの日焼けは、体の表面積のうち何割が光に向いていたかで決まります。そして、その割合を決めているのは日ざしの側ではなく、その子の丸まり方の側です。同じ部屋の、同じ時間、同じ強さの光でも、体を伸ばして横向きに寝ている日と、きつく丸まっている日では、当たる場所も濃さもまったく違います。

横向きに脚を伸ばして寝ているとき、外に出ているのは体の側面です。肩から胴、腰、そして上になっている側の脚。面としては広くなりますが、光に対して斜めに向くので、一点に集まりません。反対にきつく丸まっているときは、外に出る面は狭くなるのに、背中の帯だけが真上を向いて、そこに集中します。面積が減ったぶん、当たる場所が絞られる。これが、狭い帯にだけ変化が出る理由です。

この見方には、飼い主にとって都合のいい面があります。丸まり方は、その子の体格や被毛と違って、変えられる条件だからです。正確に言えば、丸まり方を直接指示することはできませんが、丸まる場所を用意すれば、形のほうが場所に合わせて変わります。クッションのくぼみが深ければ体は縦に丸まり、平らなら横に広がる。壁ぎわなら背中を壁に向け、開けた場所なら背中が上を向く。姿勢は、置かれた場所の形に従います。

  1. 1週間、丸まっている場所と形を書き出す

    写真を撮る必要はありません。「リビングのソファの右端/きつく丸まる/背中が上」のように、場所・形・背中の向きの3つだけをメモします。3日も続ければ、その子の定位置と定型の形が見えてきます。イタリアングレーハウンドは寝る場所を自分で決める犬が多いので、たいてい2〜3か所に集まります。

  2. そのうち1か所だけ、寝床の形を変える

    全部を変えないでください。1か所だけ、くぼみの深さや向きを変えます。浅く平らな面を用意すると、体は伸びる方向に開き、外に出る面が背中の帯から側面へ移ります。反対に、深く囲われた場所を足すと、きつく丸まって背中の帯が上を向きます。変えたい向きに合わせて、どちらかを選びます。

  3. 丸まる場所を、もう1つ増やす

    同じ場所で同じ形が続くことが、面が固定される原因です。選択肢を1つ足すだけで、外に出る面は日によって入れ替わります。新しい場所をすぐには使わない子もいますが、既にあるクッションを部屋の別の側へ移すだけでも構いません。同じ寝床の向きを90度変えて置き直せば、背中が向く方向も変わります。

  4. 週に1回、背中の帯を手のひらで確かめる

    毎日のケアの一部として、抱き上げるついでに背中から腰へ手のひらを滑らせます。見るのは色ではなく、乾き方と温度です。他の面と差があるか、先週と比べて差が広がっているか。ブラッシングをするなら、その前後どちらかに決めて、同じタイミングで触ると比べやすくなります。

光の側でできることも、もちろんあります。ただ、部屋の中の光は季節と時刻で位置が動くので、遮る場所を決め打ちしても、数週間で条件が変わります。光の位置を追いかけるより、その子が外に出す面を1つに固定させないほうが、長く成り立ちます。イタリアングレーハウンドの日焼けを毎日のケアで扱うなら、光ではなく寝床の側に手を入れるほうが現実的です。

Point取り上げるのではなく、選択肢を足します

気持ちよさそうに丸まっている場所を、突然使えなくしないでください。この犬種にとって、体を折りたたんで暖かい場所にいることは、体の作りに沿った行動です。減らすのではなく、増やす。行き先を2つにしておけば、同じ帯だけが外に出続ける日が減ります。飼い主が変えられるのは、その子が選べる場所の数のほうです。

毎日のケアで見るのは色ではなく手ざわり|イタリアングレーハウンドの日焼けと肌の変化

イタリアングレーハウンドの被毛は薄いので、地肌の色が見えます。ただ、色そのものはもともと個体差が大きく、部分的に濃い子も珍しくありません。色を基準にすると、生まれつきの模様と、あとから出た変化の区別がつきません。だから毎日のケアで拾うのは、色ではなく手ざわりのほうです。手のひらの下で、乾き方と厚みと温度がどう変わったかを見ます。

手ざわりで比べるときは、必ず2つの面を比べてください。丸まったときに外に出る背中の帯と、内側に隠れる腹の側。同じ日、同じ手で、続けて触ることが条件です。時間をあけて別々に触っても、部屋の温度や自分の手の冷たさで印象が変わります。背中がざらつくのに腹はなめらか、という差がはっきりしてきたら、それが記録すべき変化です。

背中の帯と腹の側で、何を比べるか
比べること外に出ている面(背中から腰)隠れている面(腹・内もも)
乾き方指の腹が少し引っかかる日があるなめらかなことが多い
厚み薄く硬くなった感じが出ることがある変わりにくい
温度他より高いことがある室温に近い
毛の流れそろいにくくなることがあるそろっている
変化の速さ週の単位で変わるほとんど動かない

起き上がったあと、どの面が外に出ていたかを覚えているのは、その子ではなく見ていた人のほうです。丸まっているあいだ、背中の帯は本人の視界にも、後ろ足の届く範囲にも入っていません。だからその帯に何かを置くかどうかは、飼い主の側だけで決まります。イタリアングレーハウンドには毛の層がないので、置いたものは毛の上ではなく地肌の上に残ります。mofuwa スキンケアミストに入っているのは、電解水100%だけです。清涼飲料水の規格基準を通った水なので、この体で地肌に残るのは水だけになります。イタリアングレーハウンドの日焼けは、外に出ていた面の話でした。だから置く場所も、その帯だけです。週に1回、背中の帯を手のひらで確かめる日に、手のひらへ一度とってから、背中から腰へ毛の流れに沿って一往復。指の腹で湿りが残っていないかを見て、残っていたらそのぶんは拭き取ってください。丸まる体は、湿りごと内側へ折りたたまれます。

ブラッシングについても書いておきます。被毛が短いので、毛を分けて中に入る作業はほとんど要りません。柔らかいラバー製のもので、背中から腰へ短くなでる程度で足ります。ここでのブラッシングの役目は、毛を整えることより、同じ面に毎日手を当てる口実をつくることです。換毛期には抜けた毛が肌の上に残りやすくなるので、その時期だけ回数を少し増やします。強くこすると、外に出ていた面ほど負担がかかります。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、皮膚が広く薄くなって見える、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、寝床の置き方を工夫する前に、動物病院にご相談ください。イタリアングレーハウンドは被毛が薄く、肌の変化が外から見えやすい体です。見えやすいということは、記録して持って行きやすいということでもあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行くときは、気づいた日、その面がどこか、その子がふだんどこでどんな形に丸まっているかの3つをメモしてください。丸まる形と場所は、飼い主にしか分かりません。この3つがあると、姿勢から説明のつく変化なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。写真を1枚撮っておくと、色の変わり方も一緒に伝わります。

イタリアングレーハウンドと暮らしていて、丸まる姿勢そのものをやめさせることはできません。細い体を折りたたんで外に出る面を減らすのは、この犬種が地中海の風の中で走るためにそなえた体格の、裏側にある行動だからです。変えられるのは、その形の数と、外に出る帯が毎日同じ場所になるかどうかのほうです。寝床を1つ足す。向きを変えて置き直す。週に一度、背中の帯と腹の側を続けて触る。イタリアングレーハウンドの日焼けを毎日のケアの中で扱うなら、動かせるのはそこです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。