C09シーン別・暮らし
水が苦手な猫と暮らす人のためのいっしょに寝る|5分で終わらせるケア
夜中の1時ごろ、布団の上でその子が毛づくろいを始める音で目が覚めます。後ろ足を上げて脇腹をなめて、10分ほど続いて、また丸くなる。朝になると、シーツの同じあたりに短い毛が集まっています。うちの子は水が嫌いで、体を濡らすケアは一度もできていません。だから、体についたものを動かしているのは、その子の舌だけです。ペットと一緒に寝るという選び方をしたとき、水が嫌いな猫の家では、寝具は毛が移る場所であると同時に、その子が自分でやったケアの結果が毎晩落ちてくる面になります。この記事は、シーツを替える間隔と、その子のケアの間隔をつなげるという話です。
毛づくろいが長くなるのは、いつも布団の上でした|水が嫌いな猫とペットが一緒に寝る夜の背景
うちの子と一緒に寝るようになって2年になります。夜10時ごろに布団へ上がってきて、こちらの膝のあたりで丸くなり、そこから朝まで動きません。ただ、一晩に2回か3回、必ず毛づくろいが始まります。だいたい深夜1時と、明け方の5時前。後ろ足を上げて脇腹をなめて、次に前足をなめて、その前足で顔をこする。時間を測ったことがありますが、長いときで12分続いていました。
同じ子が、フローリングの上で毛づくろいをすることもあります。ただ、そちらは長くて2分ほどです。テレビ台の下や、廊下や、窓ぎわのキャットタワー。どこでも始まりますが、どこでも短く終わります。12分続くのは、布団の上だけでした。ペットと一緒に寝る家では、その子がいちばん長く毛づくろいをしている場所が、そのまま人の寝具になっています。
そして、うちの子は水が嫌いです。子猫のころに一度だけ体を濡らしたことがあって、それ以来、洗面所の前を通るときですら早足になります。水の音がすると部屋を出ていきます。洗うという手は、この家では最初から選べません。だから、体についた毛と皮脂とほこりを動かしているのは、その子の舌と、こちらが週に何度か布で拭くぶんだけです。舌が動かしたぶんは、そのまま下へ落ちます。落ちる先が布団だった、というだけの話でした。
- 毛づくろいが始まる時刻:深夜1時前後と、明け方5時前。人が寝返りを打ったあとに多い
- 続く時間:布団の上で6〜12分、床の上で1〜2分。同じ子でこれだけ差があります
- なめている場所:脇腹、前足、後ろ足のつけ根。あごの下は自分では届きません
- 朝のシーツ:膝から腰にあたる幅30cmほどの帯に、短い毛が集まります
- 枕の側:毛はほとんど落ちません。頭の近くまでは上がってこない子です
- 週の後半:拭いた日から日が空くほど、朝に集まる量が増えます
夜中に毛づくろいが始まると、眠りが浅くなるのは事実です。ただ、水が嫌いな猫にとって、毛づくろいは体についたものを動かせる唯一の手です。ペットの側から見れば、こちらが取り上げてよい行動ではありません。止めると、動く先がなくなります。この記事で扱うのは、その毛づくろいが起きる場所と、こちらが寝具に手を入れる間隔をどうつなげるか、というところだけです。ペットと一緒に寝ることをやめる、という結論にも向かいません。
寝具の上で毛づくろいが長くなる3つの条件|水が嫌いな猫と一緒に寝る家で、布団に毛が集まる理由
なぜ布団の上だけ長いのか。観察して分かったのは、条件が3つ重なっていることでした。ひとつ目は姿勢です。毛づくろいは、体をひねって後ろ足のつけ根や脇腹へ口を持っていく動きなので、下の面が沈むほど体が安定します。フローリングでは片側に体重を預けられず、途中で崩れて立ち上がります。布団と毛布は沈むので、同じ姿勢を10分保てます。
ふたつ目は温度です。人が寝ている布団は、体温で温まっています。猫は温かい面の上で長く落ち着くので、そこにいる時間そのものが長くなります。滞在時間が長い場所は、毛づくろいが起きる回数も自然に多くなります。みっつ目は、人の動きです。寝返りを打つと、その子は一度起きます。起きたあとの数分で毛づくろいが始まる、という順番が何度もありました。
| 場所 | 1回の長さ | 落ちたものの行き先 |
|---|---|---|
| 人の布団の上 | 6〜12分 | シーツと掛け布団の表面。繊維のあいだに入る |
| フローリング | 1〜2分 | 床。掃除機で表面ごと取れる |
| キャットタワーの布 | 3〜5分 | 布の内側。目に見えにくい |
| 窓ぎわの日なた | 2〜4分 | 床とカーテンの裾 |
| こちらの膝の上 | 4〜8分 | 人の服。着替えとして家から出ていく |
| 段ボールの中 | 3〜6分 | 箱の底。捨てるときに一緒に出る |
この表で言いたいのは1点です。行き先のうち、こちらが日ごとに入れ替えられるのは寝具だけです。ペットと暮らす部屋には落ちる先がいくつもありますが、面ごと交換できるのはここです。床は掃除の話になり、キャットタワーの布は毎日は外せず、段ボールは月に一度替わるかどうか。ところがシーツは、洗濯機を回せばその日のうちに新しい面に替わります。ペットと一緒に寝る家では、いちばん量の集まる場所が、いちばん入れ替えやすい場所と一致しています。
もうひとつ、水が嫌いな猫の家に固有の事情があります。洗える家では、体についたものは月に一度まとめて水で流れます。水を使わない家では、その一度がありません。だから、体から離れていくものは、毛づくろいで浮いて落ちるぶんと、人が布で拭き取るぶんの2つに限られます。前者の落ち先が寝具です。つまり寝具は、汚れがたまる場所というより、その子のケアがどこまで進んだかが出てくる面になっています。
実際、拭いた翌朝と、拭かないまま4日たった朝では、シーツに集まる毛の量が目で分かるほど違いました。毎日の観察としては、これで足ります。量が増えていたら、体の側に手を入れる日が来ている、という読み方ができます。被毛の状態を直接評価しようとすると難しくなりますが、寝具に落ちたぶんを見るだけなら、朝の10秒で済みます。
シーツを替える日を、曜日ではなくケアの間隔から決める|水が嫌いな猫と一緒に寝る毎日の考え方
ここからが、変えられる条件の話です。多くの家では、シーツを替える日は人の生活で決まっています。週末に洗濯をするから土曜、雨が続いたから来週、といった決め方です。この決め方だと、その子のケアの間隔とは無関係に、寝具だけが動きます。提案したいのは順番を逆にすることで、体に手を入れた日を起点にして、その2日後にシーツを替えるという並べ方です。
理由は単純で、拭いた直後の2日間は、毛づくろいで落ちるぶんがいちばん多くなるからです。布で拭くと、毛の表面で浮いていたものが動きます。動いたぶんの一部はその場で布に移りますが、残りは毛のあいだに残り、その夜と翌日の毛づくろいで落ちます。ケアの2日後にシーツを替えると、いちばん集まった状態のものを、まとめて洗濯機へ持っていけます。逆に、ケアの前日にシーツを替えると、新しい面が1日で元に戻ります。
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水を使わない日のケアを、5分で組む
あごの下に1分、胸に1分、背中に1分、脇腹に左右で1分、尾のつけ根に1分。合計5分で、その子が自分の舌で届かない場所だけを回ります。前足は本人がやるので、こちらは触らなくてかまいません。使うのは、猫のために容器をチューチューボトルに変えたmofuwa グルーミングウォーターです。水が嫌いな猫に長く触ろうとすると、途中で離れていって、次の日に近寄ってこなくなります。5分は、その子の側が許す上限として決めた数字です。
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布に含ませてから使う。直接吹きかけない
グルーミングウォーターは指で押し出す容器なので、プシュッという音が出ません。それでもこの家では、いったん布へ含ませてから当てています。水が嫌いな子は、濡れること自体より、いきなり体に当たる感触を嫌がります。布を一枚はさむと、当たり方がなでる動きに近くなります。あごの下と尾のつけ根は、この5分のあと本人がなめ直す場所です。猫は自分で毛づくろいをするので、口に入るものであることが先に決まっている必要があります。清涼飲料水の規格基準をクリアした水でつくられているから、なめ直される前提の場所に使えます。毛の流れに沿って一往復。ここでこすらないことが、そのまま次回に近寄ってくるかどうかにつながります。
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やった日を、カレンダーに1文字だけ書く
「ケ」でも「○」でもかまいません。書くのは日付だけで、内容は書かないでください。内容を書こうとすると続きません。この1文字が、シーツを替える日を決める起点になります。水が嫌いな猫の家では、ケアの間隔が空きやすく、しかも空いたことに気づきにくい。文字が並ぶと、間隔が目で見えます。
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その2日後に、シーツと枕カバーを替える
ケアの日を起点に、2日後を替える日にします。曜日は動いてかまいません。週末に固定するのをやめると、寝具の交換がその子の状態に連動して動くようになります。掛け布団のカバーは、その子が乗る側の面だけ確認して、集まっていれば同じ日に外します。毎回全部を替える必要はありません。
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替えた朝、集まっていた幅を見ておく
膝から腰にかけての30cmなのか、もっと広いのか。幅が広がっていたら、毛づくろいの時間が延びています。時間が延びる理由はいくつかあり、季節の変わり目で抜ける量が増えたこと、前回のケアから日が空いたこと、その子が同じ場所を気にしていること。3つのうちどれなのかは、次の1週間の記録で分かります。
| 日 | その子にすること | 寝具にすること |
|---|---|---|
| 月曜 | 5分のケア(あご・胸・背中・脇腹・尾) | 何もしない |
| 火曜 | 何もしない | 何もしない。落ちるのはこの夜が多い |
| 水曜 | 何もしない | シーツと枕カバーを替える |
| 木曜 | あごの下だけ30秒 | 何もしない |
| 金曜 | 何もしない | 掛け布団の、その子が乗る面を見る |
| 土曜 | 5分のケア | 何もしない |
| 日曜 | 何もしない | 必要なら2回目の交換。集まっていなければ飛ばす |
ペットと一緒に寝る寝具は、その子の皮膚と被毛に何時間も当たります。香りの強い柔軟剤に替えたあと、布団へ上がってこなくなった、という話は珍しくありません。水が嫌いな猫は、においの変化にも敏感な子が多い印象です。洗剤や柔軟剤を替えたときは、その週だけ布団へ来る回数を数えてみてください。減っていたら、その子が乗る側のシーツだけ元の洗い方に戻す、という分け方ができます。全部を戻す必要はありません。
3週間で、朝に集まる量が読めるようになる|水が嫌いな猫と一緒に寝る家に出てくる変化
この並べ方を3週間続けて、変わったことが3つありました。ひとつ目は、シーツを替える日が自分で決まるようになったことです。ケアの日から2日後、という決め方にしたので、迷う時間がなくなりました。ふたつ目は、ケアの間隔が空いたことに、寝具の側で気づけるようになったことです。朝のシーツに集まる幅が広がると、前回から日が空いています。カレンダーを見ると、たいてい5日以上たっていました。
みっつ目が、いちばん大きい変化でした。その子が布団の上で毛づくろいをする時間が、少し短くなりました。12分だったものが、7〜8分になった夜が増えています。こちらが背中と尾のつけ根に手を入れているぶん、その子が自分でやる量が減ったのだと思います。水が嫌いな猫の家では、人が代わっている範囲がそのまま毛づくろいの時間に出てくる、ということかもしれません。ペットと一緒に寝る家では、その変化が朝のシーツにも出ます。
| 1週目 | 3週目 | |
|---|---|---|
| 朝、毛が集まる帯の幅 | 30〜45cm | 25〜30cm |
| 夜の毛づくろい1回の長さ | 6〜12分 | 5〜8分 |
| シーツを替えた回数 | 週2回(曜日で固定) | 週1〜2回(ケアの日から2日後) |
| ケアの間隔 | 3〜7日でばらついた | 3〜4日でそろってきた |
| ケアの途中で離れていった回数 | 週2回 | 週0〜1回 |
| こちらが迷った時間 | 毎回「今日替えるべきか」を考えた | 考えなくなった |
水が嫌いな猫と暮らしていると、洗えないことが引け目になりがちです。ただ、洗えないという条件は、毎日のケアを組み直す出発点にもなります。洗える家では月に一度でリセットされるので、そのあいだの毎日は見えにくい。水を使わない家では、そのあいだの毎日しかありません。だからこそ、寝具という毎日入れ替えられる面が、そのまま目盛りとして使えます。ペットと一緒に寝ることを続けるなら、この目盛りは手放さないほうが得だと思っています。
最後に、寝具では説明がつかない変わり方について書いておきます。毛づくろいの時間が急に延びた、同じ一か所だけをなめ続けている、なめている場所の毛が薄くなってきた、地肌が赤い、フケが増えた、体をなめたあとに何度も口を気にする、逆に毛づくろいをまったくしなくなった。こうした変わり方は、シーツを替える間隔やケアの回数の話ではありません。ペットの皮膚と被毛の側で、別のことが動いている可能性があります。拭き取りの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。水が嫌いな猫は診察台の上でも力が入りやすいので、朝のシーツの写真と、毛づくろいが長くなった日付を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
ペットと一緒に寝るという選び方は、水が嫌いな猫の家でも取り上げなくていい選択肢です。むしろ、その子が自分でやったケアの結果がいちばん集まる場所を、毎晩そばに置いているということでもあります。寝具を替える間隔を、曜日ではなくその子のケアの間隔から決める。それだけで、朝の10秒が、被毛と皮膚の状態を毎日見る唯一の観測点になります。5分のケアと、2日後の交換。水が嫌いな猫と一緒に寝る家で回せるのは、このくらいの大きさのものでした。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
