C05犬種・猫種別ケア
秋田犬はなぜ体のにおいが起きやすいのか。ダブルコートから考える
7月の朝、秋田犬が起き上がったあとの寝床に手のひらを置くと、そこだけ人肌よりあたたかく、湿っています。8時間、同じ面がずっと体の下にありました。カバーは前の晩に洗ったものです。汚れているわけではありません。それでも夜になると、本人より先に寝床のほうがにおう——秋田犬の体臭は、たいていこの形で気づかれます。この犬種の被毛は、雪の降る土地で体温を逃がさないためにできています。厚い下毛が空気をためこみ、外側の毛がその層を守る。その作りのまま、湿度の高い日本の夏を越すことになります。すると毛の中の空気が入れ替わらず、根元が乾ききらない時間だけが長くなっていきます。においは、汚れの量ではなく、この乾かない時間の長さのほうから立ちます。
先ににおうのは寝床のほう|秋田犬の体臭に気づいた7月の経験
その日は、朝の散歩から帰ってすぐ足と下腹を拭いていました。日中はエアコンをつけたまま外出して、夕方に短く歩いただけ。汚れるようなことは何もしていません。それなのに、夜、リビングに戻った瞬間ににおいが来ました。近づいてみると、においが強いのは犬の背中ではなく、その手前にある寝床のほうでした。秋田犬の体臭に気づく最初の経験は、こういう形をしていることが多いと思います。
背中に鼻を近づけても、思ったほど強くありません。ところが、毛を指で分けて根元に近いところで嗅ぐと、はっきりします。においは毛の表面ではなく、根元の側にありました。そして、根元がずっと触れていた面——寝床のカバーに、同じにおいが移っています。犬から寝床へ移ったのか、寝床から犬へ戻ったのかは、もう分けられません。8時間、同じ面が接していたからです。
翌朝、起き上がったあとの寝床に手を置いてみました。犬の体の形のまま、そこだけあたたかく、湿っている。秋田犬は体が大きく、寝ているあいだ体重で毛が押しつぶされるので、下側になった面には風がまったく通りません。その面が乾き始めるのは、犬が起き上がってからです。1日のうちで、いちばん長く乾かない時間が、そこにありました。
この経験から分かるのは、においの出どころが「今日ついた汚れ」ではないということです。拭いた日でも、洗った翌日でも、条件がそろえば同じように立ちます。秋田犬の体臭を考えるときに数えるべきなのは、汚れの量ではなく、根元が湿ったまま過ごした時間のほうです。そして、その時間の大半は、散歩中ではなく家の中にあります。
- においは根元の側にある:毛の表面を嗅いでも、強さが分かりません
- 接している面に移る:寝床、ラグ、ソファの座面に同じにおいが残ります
- 体重で毛がつぶれる:下側になった面には、寝ているあいだ風が通りません
- 拭いた日でも立つ:汚れの量とにおいの強さが、必ずしも一致しません
- 夜に気づく:日中に留まった湿りが、時間をかけてにおいに変わります
秋田犬の体臭は、本人の背中で判断しようとすると弱く感じます。毛が厚いぶん、表面まで上がってこないからです。寝床のカバー、ラグ、いつも寄りかかっている壁ぎわ。犬が長く接していた面のほうが、その週の状態をよく表します。週に一度、カバーを外すときに嗅ぐと決めておけば、思い出さなくても記録が取れます。
雪の中で働く被毛のまま、日本の夏を越す|秋田犬の体臭が立ちやすい理由
秋田犬は、東北の山あいで、雪の中を歩いて大きな獣を追うために作られた犬です。そのための被毛は、外側の硬い毛と、内側にびっしり詰まった下毛の二層でできています。下毛の役割は、空気をためこむことです。ためた空気が体のまわりに層を作り、外の冷たさを体まで届かせない。冬の秋田で一日じゅう外にいられるのは、この空気の層があるからです。
ここまでは、寒さに対しての話です。問題は、同じ作りのまま夏を越すことにあります。空気の層は、外の空気が冷たく乾いているときには入れ替わりますが、外の空気そのものが水を含んでいる季節には入れ替わりません。日本の夏は、気温だけでなく湿度が高い。毛の中にためこまれた空気は、外へ出ていく先がなくなります。秋田犬の体臭が夏に強くなる理由は、まずここです。
皮脂は、季節に関係なく毎日出ています。乾いた毛の上では薄く広がって、においとしては弱いままです。ところが根元が湿ったままだと、皮脂はその場に留まります。留まった皮脂と、皮膚から出た水分と、動かない空気。この3つがそろった場所は、雑菌が働きやすい条件になります。においは、汚れが増えたから強くなるのではなく、留まっていた時間だけ強くなります。
| 作られた土地の冬 | 日本の夏 | |
|---|---|---|
| 外の空気 | 冷たく、乾いている | あたたかく、水を含んでいる |
| 毛の中の空気 | 動いて入れ替わる | 動かず、その場に留まる |
| 下毛の働き | 空気をためて体温を守る | 同じ働きで、熱と湿りもためる |
| 根元が乾く速さ | 短い時間で戻る | 半日かかる日がある |
| 皮脂の行き先 | 乾いた毛に薄く広がる | 湿った根元に留まる |
| においの出方 | 弱いまま推移する | 留まっていた時間だけ強くなる |
つまり、秋田犬の体臭は「この犬種がにおう」という話ではありません。寒い土地の条件に合わせてできた体が、湿った土地の夏に置かれているという、条件のずれの話です。同じ子でも、乾燥した冬にはにおいが引きます。同じ夏でも、雨が続いた週と晴れた週では強さが変わります。犬の側が変わったのではなく、まわりの空気の側が動いています。
空気の層が問題なら刈ればいい、と考えたくなります。ただ、この二層の被毛は日ざしと外気の両方から皮膚を守っている面でもあります。下毛を刈り込むと、そのあと生えそろうまでのあいだ、守るものがない状態が続きます。秋田犬の体臭で先に動かせるのは、毛の量より、毛の中の空気を入れ替える時間のほうです。刈るかどうかは、その手を尽くしたあとで、トリマーや動物病院と相談してください。
洗った回数ではなく、乾いていた時間で数える|秋田犬の体臭の考え方
においが気になると、まず洗う回数を増やしたくなります。ただ、この犬種は毛の量があるぶん、根元まで乾かしきるのに時間がかかります。乾かしきれないまま1日が終わると、洗った日そのものが「湿っていた時間」に加算されます。回数を増やすほど、においの条件が増えるという逆転が起こる。ですから、秋田犬の体臭で数えるのは、洗った回数ではなく、1日のうち根元が乾いていた時間のほうです。
1日を並べてみると、乾いていない時間がどこにあるかが見えてきます。散歩中だと思われがちですが、実際に長いのは家の中で止まっている時間です。とくに、寝ているあいだの数時間は、体の下側にまったく風が通りません。次の表は、その並びを書き出したものです。
| 時間帯 | 濡れる、または湿る原因 | そのあとの乾き方 |
|---|---|---|
| 早朝の散歩 | 草の露で、下腹と内股が濡れる | 室内が涼しければ2〜3時間 |
| 日中の水飲み | 口のまわりと胸元の毛が濡れる | 飲むたびに戻るので、乾ききらない |
| 昼寝のあいだ | 体の下側が寝床に接したまま | 起き上がるまで、そこは乾かない |
| 夕方の散歩 | 気温と湿度がいちばん高い時間帯 | 夜まで残る日がある |
| 夜の就寝 | 同じ面が、もう一度接する | 翌朝まで動かない |
この表を見ると、家で動かせる条件は4つに絞れます。寝床の面、部屋の換気、拭き取りの場所と順番、そして食器まわりです。どれも洗う回数とは関係のないところにあります。順に見ていきます。
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寝床は2枚用意して、毎朝入れ替える
犬が起きたら、その日使った面を外して干し、乾いているもう1枚を敷きます。洗う頻度を上げるより、乾いた面と交代させるほうが確実です。できれば、床に直接置かず、すのこや脚のあるベッドで下に空間を作ってください。下から風が入る形にするだけで、体の下側になっている面の条件が変わります。夏場は、犬が自分で移動できるように、涼しい床とベッドの両方を用意しておくのも手です。
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換気は、部屋ではなく犬の高さでする
エアコンで部屋の温度が下がっていても、床から30センチのところの空気は動いていないことがあります。秋田犬が過ごしているのは、その高さです。サーキュレーターを床に近い位置に置いて、直接風を当てるのではなく、部屋の空気が回るように向けてください。犬に風を当て続ける必要はありません。動かない空気の塊を作らないことが目的です。
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拭き取りは、乾きにくい順に、上から下へは進めない
背中から始めると、いちばん乾きにくい場所へ行き着く前に手が止まります。内股、胸元、脇の下、首の下。この4か所を先に、乾いた布で押さえるように拭きます。こすらず、押し当てて水分を移すだけで足ります。背中は最後で、多くの日はやらなくて構いません。においの出どころは、風が通らない場所の側にあります。
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食器まわりは、飲んだあとの胸元まで含めて見る
秋田犬は口が大きく、水を飲んだあとに胸元の毛が濡れます。毛が厚いので、その水は表面ではなく根元に残ります。1日に何度も飲めば、そのたびに胸元だけがふりだしに戻る。水皿の高さを少し上げる、飲み口の広さを変える、器の下に吸水するマットを敷く。食器の側を変えると、拭く回数を増やさずに濡れる量が減ります。器そのものも、毎日洗って乾かしてください。
それでも、洗う日は来ます。秋田犬の場合、その日にいちばん時間がかかるのは洗うところではなく、泡を流しきるところです。下毛がびっしり詰まっているぶん、シャワーの湯は表面ではね返り、根元まで届くのに時間がかかります。そして流しきるまでのあいだ、体はずっと濡れています。ここまで数えてきた乾いていない時間は、洗う日にいちばん長くまとめて発生します。だから、洗う日に決めておくのは回数ではなく、流しきるまでを何分で終えられるかのほうです。mofuwa モイストシャンプーは、アミノ酸系の洗浄成分を、量も抑えて使っています。それでも泡が立つのは、原料に使う水を精製水で薄めず、特許電解水(特許第5253483号)のまま入れているからです。泡立ちを洗浄成分の量で作るのではなく、シャンプーのなかでいちばん量のある水の側に持たせている、という組み立てです。洗浄成分の量が少なければ、すすぎで流しきるものも、そのぶん少なくて済みます。秋田犬のように毛の量がある子では、この差がそのまま、浴室で濡れたままでいる時間の長さに出ます。流し終わったら、内股・胸元・脇の下・首の下の4か所から先に水を押し出してください。この4か所は、拭き取りのときに先に手をつける場所と同じです。順番を体の側で覚えておけば、洗う日も、洗わずに終わった日も、手が同じところから入ります。
同じ夏でも週ごとに強さが動く|秋田犬の体臭で見ておきたい変化
4つの条件を動かしても、においがゼロになるわけではありません。皮脂は毎日出ますし、空気の湿り気は季節が決めています。ただ、週ごとの強さは動きます。雨が5日続いた週、部屋干しをした週、留守のあいだエアコンを切っていた週。そういう週に強くなり、乾いた風の入る週にはゆるみます。秋田犬の体臭は、その週の家の湿り気を映していると考えると、記録する意味が出てきます。
記録は、細かくしないほうが続きます。週に一度、寝床のカバーを外すときに、においの強さを3段階でメモするだけで足ります。そこへ、その週の天気と、部屋干しをしたかどうかを添えます。3か月ぶんたまると、その子のにおいがどの条件で動いているのかが見えてきます。ひと夏を越えれば、翌年の6月に何から手をつけるかが決まります。
- 雨が続いた週:外の空気が乾かないので、家の中の湿りも抜けません
- 部屋干しをした週:犬の高さの空気が、いちばん先に湿ります
- 留守中に空調を切った日:戻ったときの寝床の湿りで分かります
- 夕方に長く歩いた週:帰宅時の湿りが、そのまま夜まで残ります
- 寝床を交代しなかった週:同じ面が、何日も乾かないまま使われます
ここまでは、湿りと時間で説明のつくにおいの話でした。条件を動かしても、涼しくなっても引かないにおいがあるときは、別のものとして見てください。次のような変化は、被毛や気候の話として片づけないほうが安全です。
- 気温と湿度が下がった時期にも、においが同じ強さで残る:季節の動きと合いません
- 体全体ではなく、一か所だけが強い:耳、口のまわり、指のあいだ、しっぽの付け根
- においの質が変わった:甘い、すっぱい、鼻に刺さるなど、いつもと種類が違うとき
- その場所をなめる、かく、床にこすりつける:においより先に、皮膚のほうを見てください
- 毛を分けたときの地肌が赤い、じくじくしている:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 拭くと嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においの質が変わった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、耳や口のまわりだけが強くにおう、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭く回数を増やす前に動物病院にご相談ください。秋田犬は毛が厚く、地肌の変化が外から見えません。迷ったら早いほうを選んでください。
相談の前には、においが強いと感じた場所、気づいた時間帯、その週の天気と部屋干しの有無の3つをメモしていってください。3週ぶんあれば、湿りで説明のつくにおいなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の日に念入りに洗ってしまうと、もとの状態が分からなくなるので、そのまま連れて行くほうが助かります。
秋田犬と暮らすうえで、厚い被毛が空気をためこむこと自体はなくなりません。雪の中で体温を守るためにそなえた作りで、この犬種がこの犬種である理由そのものだからです。動かせるのは毛の量ではなく、その空気が入れ替わらないまま止まっている時間のほうです。寝床の面を交代させ、犬の高さの空気を回し、乾きにくい4か所から拭き、飲んだあとの胸元まで見る。秋田犬の体臭で家の側が手を出せるのは、乾いている時間を1日のうちに何時間つくれるか、という一点です。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
