C05犬種・猫種別ケア

甲斐犬のケア|皮膚の乾燥を減らす3つの習慣

公開日 2024年4月9日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床で、犬が落ち着いて寝そべっている
毛の表面がどれだけ整って見えても、地肌の状態は指を沈めるまで分かりません。

甲斐犬の背中に手のひらを当てても、指先が触れているのは硬い上毛の表面だけです。その内側には密な下毛の層があり、地肌はさらに奥にあります。手のひらを何往復させても、届いているのは毛の上のほうまでです。甲斐犬の乾燥が見つけにくいのは、皮膚が毛の奥深くにあるからです。はがれた皮膚のかけらが出ても、密な下毛に引っかかって表面まで上がってきません。つやの変化も、硬い上毛が返す光にまぎれます。目で乾燥のサインを探しているかぎり、気づくのはかなり進んでからになります。この記事は、なぜそうなるかを先に置いて、そのあとに指を沈めるやり方を書きます。見るのではなく、指を入れる。甲斐犬では、乾燥の見つけ方そのものが違います。

上毛と下毛の奥に地肌があります|甲斐犬の乾燥を探す順番が変わる理由

甲斐犬の被毛は二層でできています。外側にあるのが上毛で、硬く、まっすぐで、指で送ると張りが返ってきます。その内側にあるのが下毛で、細く、密に生えていて、つまむとつぶれます。この二層の、さらに下に地肌があります。手のひらでなでているとき、触れているのは上毛の表面だけです。地肌までの距離が、そのまま乾燥に気づくまでの距離になります。

この作りは、この犬種が担ってきた仕事から来ています。山梨の山あいで、斜面を上り下りしながら獲物を追う。硬い上毛が雨と藪を受け止め、密な下毛が空気をためて体温を保つ。役割が分かれているので、毛の性質も二つに分かれました。どちらかが余分なのではなく、二層そろって一つの作りです。甲斐犬の被毛を考えるときは、まずこの二層を前提に置いてください。

問題は、地肌で起きた変化が外へ伝わりにくいことです。皮膚の表面がはがれても、細かいかけらは密な下毛の層に引っかかります。うるおいが減って地肌がざらついても、その手ざわりは上毛には出ません。甲斐犬の乾燥は、毛の表面ではなく、毛の奥で進みます。外から見えるのは、層を抜けて上まで上がってこられたぶんだけです。少なく見えることと、少ないことは別です。

だから探す順番が変わります。多くの犬で先に行われるのは、毛づやを見る、フケが落ちていないか床を見る、という手です。甲斐犬ではこの順番が働きません。先に指を地肌まで入れて、そこで分かったことを起点にする。目で見て気になったから触る、ではなく、触って分かったことを目で確かめる。順番を入れ替えるだけで、気づくまでの時間がまるごと変わります。

Note乾燥は皮膚の話で、被毛の話ではありません

乾燥という言葉を毛のことだと思って読むと、答えは「毛にうるおいを足す」に寄っていきます。けれど乾燥しているのは地肌のほうです。甲斐犬では、その地肌が毛の奥にあるので、毛に手を入れているだけでは状態が分かりません。被毛を整えることと、地肌の乾燥を見ることは、別の作業だと分けて考えてください。分けておくと、次にどこへ手を伸ばすかで迷わなくなります。

目で探すのをやめる|甲斐犬の地肌に指を沈めるやり方

ここからが具体的なやり方です。道具は要りません。使うのは人差し指と中指の、腹の側だけです。甲斐犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手で確かめます。寝ている姿勢だと下になった側の毛がつぶれて、層の厚みが分からなくなります。次の順で回してください。1日で全身をやろうとしないほうが続きます。

  1. 毛の流れと直角に、指を2本まっすぐ沈める

    上毛を左右にかき分けるのではなく、指を差し込むように入れます。かき分けると毛が寄って、地肌の面が変わってしまいます。まっすぐ沈めて、指の腹が地肌に当たるところまで下ろす。途中で押し返されるなら、そこは下毛が詰まっている場所です。詰まりをほぐすのが先で、乾燥の話はそのあとです。

  2. 指の腹を地肌に当てたまま、3秒そのまま置く

    動かさずに待ちます。見ているのは温度と湿りです。周りの皮膚より冷たい、あるいは指の腹に湿り気がまったく移ってこない。この二つが、地肌のうるおいが減っているときの手ざわりです。3秒待つのは、指の温度と地肌の温度が近づくまでの時間を取るためです。すぐ抜くと、差が分かりません。

  3. 指の腹を、1センチだけ横に滑らせる

    地肌に当てたまま、ごく短く動かします。滑るのか、細かく引っかかるのか。引っかかりがあるときは、はがれかけた皮膚のかけらが地肌に残っています。そのあと指を抜いて、腹の側を見てください。細かい白い粉がついていれば、層の中に留まっていたものです。床に落ちていなくても、そこにあります。

  4. 首の後ろ・背中の真ん中・腰・内股の順に、同じことをする

    甲斐犬は場所によって下毛の厚みが違います。首の後ろと腰は厚く、内股と脇は薄い。薄い場所は目でも分かりますが、厚い場所は指を入れないと分かりません。薄い場所だけを見て「乾燥していない」と判断すると、いちばん厚い場所を見落とします。4か所を一度に回さず、今日は首と背中、明日は腰と内股で足ります。

指を沈めて分かることと、目で見て分かること
目で見て分かること指を沈めて分かること
届く深さ上毛の表面まで下毛の層を抜けて、地肌まで
乾燥のサイン床や服に落ちた白い粉地肌の温度と、指に移る湿り
見つかる時期層からあふれてから層に留まっているあいだ
場所による差下毛の薄い内股や脇だけ首の後ろや腰など、厚い場所も
かかる時間見た瞬間1か所あたり10秒ほど
向かないこと厚い場所を見落とす全身を一度に回すのは続かない
毛の表面で分かることと、地肌に触れて分かること 甲斐犬は硬い上毛と密な下毛の奥に地肌があります。乾燥のサインは表面まで上がってこないので、見つけ方そのものが分かれます。 同じ体の、届く深さが違う二つの手 目で探す 届くのは上毛の表面まで 層からあふれた粉だけ見える 下毛の薄い場所に偏る 気づくのは進んでから 指を沈める 地肌に指の腹が当たる 温度と湿りで分かる 厚い場所も同じ手で見られる 留まっているうちに気づける 触って分かったことを、目で確かめる順番にします
甲斐犬の乾燥では、見る手より、指を沈める手のほうが先に届きます。
Point手ざわりの差は、同じ日のうちに比べてください

地肌の手ざわりは、部屋の湿度や、その子が寝ていた場所でも変わります。昨日の記憶と比べようとすると、差なのか気のせいなのか分かりません。同じ日のうちに、下毛の厚い場所と薄い場所を続けて触って、その差を覚えてください。比べる相手を体の中に置くと、基準が要らなくなります。数日続ければ、指のほうが先に気づくようになります。

洗う頻度から決めない|甲斐犬の乾燥を減らす3つの習慣

地肌の状態が分かるようになったら、次は毎日の話です。3つ挙げますが、3つとも毎日やること、にはしていません。1日の中で決めることが1つ、部屋の側で一度だけ決めることが1つ、季節の単位で決めることが1つ。粒度をずらしてあるので、忙しい週でも全部が同時に止まりません。甲斐犬の乾燥で動かせるのは、この3つです。

  1. 習慣1:1日に1か所だけ、指を沈める場所を決める

    全身を回そうとすると、たいてい三日で止まります。抱き寄せたついでに首の後ろへ指を2本沈める、と1か所だけ決めてください。10秒で終わります。曜日で場所を変えてもいいですし、ずっと同じ場所でも構いません。同じ場所を続けると、その場所の平常の手ざわりが基準になるので、変わった日にすぐ分かります。ブラッシングのついでにするより、触るついでにするほうが回ります。

  2. 習慣2:部屋の湿度を、一度だけ測って置き場所を決める

    地肌のうるおいは、その子が長い時間いる場所の空気に引っぱられます。寝床のある高さで湿度を測ってください。人が立って感じる空気と、床から30センチの空気は別ものです。暖房の風が直接当たる場所に寝床があると、そこだけ乾いた空気が動き続けます。測るのは一度でよく、そのあとは寝床を風の通り道から外す、それだけです。毎日やる作業ではありません。

  3. 習慣3:季節ごとに、洗う頻度と乾かす時間をセットで決める

    洗う頻度を上げると、皮脂と一緒に地肌のうるおいまで減ります。かといって洗わないままだと、下毛の層に留まったものが動きません。甲斐犬で決めるべきなのは、洗う頻度そのものより、洗った日に乾かしきる時間を確保できるかどうかです。下毛が厚いので、表面が乾いてからも内側には水分が残ります。乾かす時間が取れない週に洗う予定を入れない、という決め方にしてください。頻度は季節が変わるときに見直せば足ります。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1指を沈める場所を1か所1日の中。10秒
習慣2寝床の位置と、測る高さ一度だけ。季節の変わり目に見直す
習慣3洗う頻度と、乾かしきる時間季節の単位

ブラッシングについても書いておきます。甲斐犬の乾燥に効いてくるのは、上毛をきれいに通すことより、下毛の層に空気が通っているかどうかのほうです。毛先だけをとかしていると、層の中は詰まったまま残ります。指を沈めて押し返された場所は、そこから先に手を入れてください。層がゆるむと、地肌に留まっていたかけらが外へ出てくるので、指の腹につく粉の量も変わります。回数を増やすより、届く深さを変えるほうが先です。

甲斐犬の地肌は、硬い上毛と密な下毛の、その下にあります。毛の上から吹きかけたものは上毛の表面ではじかれて、地肌までは下りません。だから甲斐犬で見るのは、香りでも使い心地でもなく、水そのものがどこまで入るかのほうです。mofuwa スキンケアミストの原料になっている電解水は、水分浸透力が精製水の35倍という数値が出ています(自社検証。比べた相手は精製水)。手のひらにとってから、指を沈めた場所へ、地肌の側からなじませてください。毛の上に置くのではなく、開いた谷の底に置く、という順番です。習慣1で決めた1か所だけで足ります。地肌が赤い場所や、傷になっている場所には使わないでください。

Caution洗う回数を増やすほうへ、先に動かないでください

地肌に粉が残っていると、まず洗いたくなります。ただ甲斐犬は下毛が厚いぶん、乾かしきるまでの時間が長く、内側が湿ったまま時間が過ぎると、地肌の状態はかえって分かりにくくなります。洗う頻度を上げる前に、指を沈める習慣と、寝床の空気の2つを先に動かしてください。この2つは、変えても元に戻せます。

指が沈まない日に力をかけないコツ

毎日やっていると、指が地肌まで下りない日が出てきます。下毛が詰まっている、毛が湿っている、その子が緊張して毛を立てている。理由はいくつもあります。ここでのコツは、下りない日に押し込まないことです。力をかけて入れると、指先が地肌をこすって、乾いた皮膚をさらに削ります。今日は下りなかった、という結果もひとつの情報です。翌日に持ち越してください。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、かさぶたができている、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを足す前に動物病院にご相談ください。甲斐犬は地肌が毛の奥にあるぶん、変化が進んでから外に出てきます。迷ったときは、早いほうを選んでください。

相談に行くときは、指が押し返された場所、指の腹に粉がついた場所、それがいつからかの3つをメモしてください。この3つがあると、被毛の作りで説明のつく乾燥なのか、そうでないのかを、その場で切り分けてもらいやすくなります。前の晩に念入りにブラッシングしないでください。層に留まっていたものが落ちてしまうと、もとの状態が分からなくなります。

甲斐犬と暮らすうえで、地肌が毛の奥にあるという条件は変わりません。二層の被毛は、山の斜面を歩く犬としてそなえた作りだからです。減らせるのは乾燥そのものではなく、気づくまでにかかっている時間のほうです。見るのをやめて、指を沈める。1日に1か所、10秒でいい。順番を入れ替えて、やり方を変えて、洗う頻度は最後に決める。甲斐犬の乾燥で動かせるのは、そこです。

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よくある質問

甲斐犬の乾燥は、フケが落ちていなければ気にしなくていいですか?
落ちていないことは、地肌が乾燥していない証明にはなりません。密な下毛が層になっているので、はがれた皮膚のかけらは層の中に留まって、床まで落ちてこないことがあります。毛の流れと直角に指を2本沈めて、抜いたときに指の腹へ細かい粉がつくかどうかで見てください。目に入る量ではなく、指につく量のほうが早く動きます。
甲斐犬の乾燥が気になるとき、ブラッシングの回数を増やすべきですか?
回数より、届く深さのほうを先に変えてください。毛先だけを何度もとかしても、下毛の層は詰まったまま残ります。指を沈めて押し返された場所から手を入れて、層に空気が通るところまで進めるほうが変わります。嫌がる、体を固くするというときは、その日はそこで止めて、翌日に少しずつ進めてください。
部屋の湿度は、どのくらいを目安にすればいいですか?
数字を1つに決めるより、測る高さを合わせるほうが先です。人が立って感じる空気と、寝床のある床から30センチの空気は別ものです。まず寝床の高さで測って、暖房の風が直接当たっていないかを見てください。乾いた空気が動き続ける場所に寝床があると、そこだけ条件が変わります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。