C08季節・行事
去年と同じ道なのに、草が膝の高さまで伸びている
去年の秋に通ったときは足の甲までだった草が、4月の2週目には膝の高さまで来ていて、歩いているその子の足元が見えなくなりました。道そのものは変わっていません。幅も、曲がる場所も、途中のベンチも去年のままです。変わったのは、草の丈と、その子の体が草に触れている高さだけでした。草むらでノミが待っているのは地面のきわなので、足元が隠れた日から、こちらが見ている景色と、その子の皮膚が受け取っているものがずれはじめます。この記事は、去年と同じ道で何が変わったのかを、高さで数え直した話です。
去年と同じ道で、草が足の甲から膝の高さに変わる|足元が見えなくなった日の経験
散歩の道の草は、4月に入ると週ごとに丈が変わります。3月の終わりにはまだ地面が見えていた道の端が、2週間で足の甲を隠し、そのまた2週間で膝の高さになります。人の目線からは、緑が濃くなったという程度の変化にしか見えません。ところが、地面に近いところを歩いているその子にとっては、体のどこが草に触れるかがまるごと入れ替わっています。
去年と同じ道を歩いているときほど、この変化は見落とされます。曲がる場所も、すれ違う人も、途中で立ち止まる電柱も同じなので、足元だけが変わっていることに気づくきっかけがありません。気づく合図は、その子の足元が草に隠れて見えなくなった日です。その日から、こちらは足の裏がどこを踏んだかを見られなくなっています。
| 草の丈 | 犬の体で草が触れる場所 | こちらから見えるもの |
|---|---|---|
| 地面が見える | 肉球と、指のあいだ | 足の裏まで見える |
| 足の甲まで | 指のあいだ、足首 | 足元は見えている |
| すねの半ば | 足首から前足のつけ根 | 足の裏が見えない |
| 膝の高さ | 内もも、おなかの下 | 足元がまるごと隠れる |
| おなかを超える | 胸、脇、しっぽの付け根 | 体の下側が見えない |
数えるものを1つ決めます。草がその子の体のどこまで来ているか、その高さです。センチで測る必要はありません。足の甲、足首、内もも、おなか、胸の5段階で足ります。散歩のあいだに一度だけ立ち止まって、草の先が体のどこに当たっているかを見て、帰ってから紙に書く。それだけで、翌週に何が変わったのかが数字として残ります。
猫を庭に出している家では、同じことが低い位置で起きます。塀ぎわの草は刈られずに残りやすく、猫の体は犬よりさらに地面に近いので、草の丈が20センチ伸びただけで、おなかの毛が草の中を通ることになります。体の高さが低い子ほど、同じ草の丈で触れる面積が広くなります。小型犬と大型犬で、同じ道の同じ日が別の日になるのも、この高さの違いによるものです。
草むらの中で、体のどこが草に触れているか|ノミが待っている高さの背景
ノミが多いとされるのは、草むらのどこでも一様にではなく、日の当たらない草の根元と、湿った地面のきわです。刈られた芝の真ん中よりも、刈り残された道の端、塀の足元、落ち葉が溜まった木の下。春に気温が上がってくると、その地面のきわで動きが出てくると言われています。つまり、ノミのいる高さは、草がどれだけ伸びても地面の近くのままです。
一方で、草の丈が伸びると、その子の体はその地面のきわに近づいていきます。足元だけが草に入っていた時期には、触れるのは肉球と指のあいだでした。草が膝の高さになると、内ももとおなかの下が同じ層を通ります。ノミの高さは動かず、その子の体の側が下りていく――草むらの季節に起きているのは、この2つのすれ違いです。だから、去年と同じ道が、今年の同じ日には別の道になります。
草むらから持ち帰るものは、ノミだけではありません。前の日に降った雨が根元に残っていれば、その水と一緒に土の粒が毛に入ります。細い草の実は、指のあいだの毛に絡んで、歩いているうちに皮膚の側へ押し込まれていきます。足元が見えないというのは、こうしたものが今日どれだけついたのかを、こちらが目で確かめられないという意味です。だから手で探すことになり、探す順番が必要になります。
ここまでが背景です。歩く道を変えられるなら、それがいちばん早い手ですが、毎日の散歩の道は、その子の習慣とこちらの生活時間でできています。変えられるのは、同じ道の中のどこを歩くか、家を出る前に何をしておくか、帰宅後にどこから拭くかの3つです。
道の端から30センチ内側へ寄せる|草むらとノミに向き合う足元の考え方
同じ道でも、歩く線を端から30センチ内側へ寄せるだけで、体に触れる草の量は目に見えて減ります。刈り残された草がいちばん深いのは道の端で、そこから内側へ入るほど丈は低くなります。リードを短く持ち直して、その子の歩く線を自分の足のすぐ横に置く。これが、草むらの季節にいちばん効く一手です。
- 端の草が深い場所を3つ覚える:同じ道の中で、草が深いのはたいてい決まった場所です。塀ぎわ、木の下、側溝のふた。この3つを覚えておけば、そこだけ内側を歩けば済みます
- 草に入る時間を短くする:においを嗅ぐために草へ入るのは、その子にとって散歩の中身そのものです。止めるのではなく、入る場所を丈の低いところに寄せます。同じ5分でも、通る草の層が浅くなります
- 帰り道は別の線を通る:行きに草の深い端を歩いたなら、帰りは反対側の舗装の上を通ります。同じ道を2回通るあいだに、草に触れる回数が半分になります
家を出る前の一手として使っているのが、mofuwaにおいがしない虫よけスプレーです。草むらの季節に毎日出る家では、散歩のたびにかけるものになります。虫よけには一般にディートやイカリジンといった成分が使われ、これらは医薬部外品にも使われています。効きめは確かでも、においが強い、べたつくという声があり、そこが毎日かけるものとしては引っかかる。つくり手が自分の子どもに使いたいものを見つけられず、そこから形にしたのがこの1本です。
この1本には、人は気にならないけれど蚊が嫌がるとされる香りの成分が入っています。ディートは使っていません。散歩から帰って車に乗ったときに、後部座席からにおいが上がってこないというのは、毎日かけるものでは大きな違いです。べたつかないので、かけた足元に土や草の粉がまとわりつくこともありません。ここは草むらを歩く季節に、そのまま効いてきます。
かけるのは玄関で、リードをつける前です。mofuwaにおいがしない虫よけスプレーは、散歩のたびに手に取るものなので、置き場所がリードの隣でないと続きません。草の丈が上がっていく4月は、家を出るまでの動線に一手を足すだけで、その日に足元が通る草の層が変わります。かけ終えてから外に出るまでの30秒で毛は乾き、においが残らないので、帰ってきてからの家の空気も変わりません。
かける場所も、高さで決めます。草が足の甲までの時期は足元だけ、膝の高さになったら内ももとおなかの下まで。草が体のどこまで来ているかを数えていれば、かける範囲は自動的に決まります。その子は、かけたところを舐めに来ます。舐めることを前提に成分を選んである1本なので、範囲を広げる日も、量のほうを気にせずに済みます。
歩く線を内側に寄せて2週間たっても、帰宅後に同じ足先だけを舐め続けている/拭き取りのときに、指のあいだの毛が前の週より薄くなっている/内ももやおなかの下に、拭いても取れない小さな黒い粒が残る/草に入った日だけ、夜になって体をかく回数が増える。ここまで来ると、歩く場所と拭き取りの組み替えでは追いつきません。草の丈がいつから体のどこまで来ていたか、その紙を持って動物病院に行く日を決めてください。何週目から、体のどの高さで何が起きたのかが、そのまま伝わります。ノミやダニそのものの扱いは、そこで相談する話になります。
帰宅後の拭き取りは足元から上へ|去年からの変化を1枚に残す
帰宅後の拭き取りは、足元から始めて上へ向かいます。上から拭くと、おなかの下についた土が足へ落ちて、拭いたばかりの場所をもう一度拭くことになります。足先、足首、内もも、おなかの下、胸。この順に手を上げていけば、拭き残しはいちばん最後の1か所に集まります。
| 草の丈 | 拭く場所 | 所要 |
|---|---|---|
| 足の甲まで | 足先と指のあいだ | 1分 |
| すねの半ば | 足先・足首 | 2分 |
| 膝の高さ | 足先・足首・内もも | 3分 |
| おなかを超える | 足先から胸まで通し | 5分 |
拭くものは、毛と皮膚の両方に使えるものを1つに決めておくと、場所が増えても手が止まりません。mofuwaグルーミングスプレーを毛に吹きかけてから手ぬぐいで拭くと、土の粒が毛の表面に残らず落ちます。足元まわりは、その子がいちばん口を持っていく場所です。舐めることを前提につくられた中身なので、指のあいだのように、拭いたそばから舐められる場所にも使えます。
最後に、紙の使い方を1つだけ。草の丈と日付を書いた紙は、その年の散歩が終わっても捨てないでください。4月のどの週に、草が足の甲から膝の高さへ変わったか。去年の紙が残っていれば、来年は同じ週の前に歩く線を内側へ寄せられます。草むらとノミの季節は毎年くり返しますが、毎年ゼロから気づき直す必要はありません。
今日の帰り道は、その子の足元が見えているかどうかだけを見てください。見えていれば、拭くのは足先で足ります。隠れていたら、内ももまで手を上げる日です。数えるのは草の高さ1つ、変えるのは歩く線1本。去年と同じ道は、今年も同じ場所で草が深くなります。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
