C14トリマー/獣医師視点
シャンプー台の高さが仕上がりを変える
同じ子を、同じシャンプーで、同じ手つきで洗ったのに、台を1段上げた日だけ、背中の真ん中の毛が寝たまま乾きました。変えたのはシャンプー台の高さだけで、70センチから85センチへ、15センチ分です。その15センチで、手のひらの当たり方が変わり、泡の残る場所が変わり、乾かしたあとの毛の立ち方まで変わっていました。シャンプー台の高さは、人の腰に合わせるための数字だと思われがちですが、現場が見ているのはそこではありません。この記事では、高さが仕上がりに出てくる仕組みと、台のない家でその考え方をどう置き直すかを書きます。
同じ子の背中の真ん中だけ、毛が寝たまま乾いた日|シャンプー台の高さで最初に気づいた経験
気づいたきっかけは、仕上がりの差が体の一か所に限られていたことでした。首と腰はいつもどおり立っているのに、背中の真ん中だけ、毛が寝たまま乾いている。シャンプーを変えたわけでも、乾かす時間を短くしたわけでもありません。その日にいつもと違ったのは、シャンプー台を1段上げたことだけでした。
上げた理由は人の側の都合です。前の子が大きかったので台を下げてあり、そのまま戻さずに小さい子を乗せました。高さが合っていないと、人はまず手首で調整します。肘が上がった状態で背中の真ん中に手を届かせようとすると、手のひら全体ではなく指の付け根から先だけが当たります。当たっている面が狭くなったぶん、同じ回数動かしても、根元まで水が入っていない場所ができます。
- 首のうしろ:人の手が上から下りるので、高さが多少ずれていても面で当たります。差が出にくい場所です
- 背中の真ん中:人の体からいちばん遠く、肘の角度がそのまま出ます。高さの影響が最初に出ます
- 腰からうしろ:手を引く向きに動かすので、力が抜けやすい代わりに押さえつけにくい場所です
この並びを一度見てしまうと、仕上がりの差を腕のせいにできなくなります。差が出た場所が、人の体からの距離の順に並んでいたからです。手つきの問題なら、差はその子の体の癖のある場所に出ます。高さの問題なら、人の肘から遠い場所に出ます。同じ日に同じ人が洗って、遠い場所だけが崩れているときは、シャンプー台の高さを疑うほうが早く片づきます。
もうひとつ、その日に起きていたことがあります。乾かす工程でも同じ差が出ていました。台が高いと、ドライヤーを持つ手はその子の背中よりさらに上に来ます。上から風を当てると、毛は上から押さえられる向きに倒れます。洗うときに寝てしまった毛が、乾かす工程でもう一度寝る向きに押されて、そのまま固定される。背中の真ん中だけが寝ていた理由は、洗いと乾かしの2工程で同じ向きの力を受けていたからでした。
手のひらが面で当たるか、指先で点になるか|シャンプー台の高さが仕上がりに出る背景
シャンプー台の高さが変えているのは、人の楽さではなく、手のひらが体に当たる形です。面で当たっていれば、毛の根元に水と空気が入る隙間を残したまま動かせます。点で当たっていると、当たった場所だけに力が集まり、そこの毛は根元から倒れます。同じ人が同じ手つきで洗っても、当たり方が変われば仕上がりが変わります。高さが仕上がりの話になるのは、ここを通ってです。
| 台の高さ | 人の姿勢 | 手の当たり方 | 洗い上がりに出ること |
|---|---|---|---|
| 低すぎる | 前に傾いて背中が丸まる | 体重が手のひらに乗る | 毛を押さえつけたまま動かすので根元に泡が残る |
| やや低い | 肩が前に出る | 手首から先だけが動く | 同じ場所を往復する回数が増える |
| 合っている | 肘が90度で止まる | 手のひら全体が面で当たる | 根元まで水が入り、すすぎの残りが出にくい |
| やや高い | 肩が上がる | 指の付け根から先が当たる | 人の体から遠い場所だけ洗い足りない |
| 高すぎる | つま先に体重が移る | 腕全体を持ち上げて支える | 腕が持たず、乾かす時間のほうが短くなる |
表の真ん中の行が、現場がそろえている位置です。肘が90度で止まる高さ。この角度になると、手首から先ではなく肩から先が一本の動きになり、手のひらは自然に面で当たります。力を入れているつもりがないのに泡が根元まで届くのは、当たっている面積が広いぶん、同じ力が薄く分かれているからです。シャンプー台が上下する作りになっているのは、この90度をその子ごとに取り直すためです。
乾かす工程では、高さがもう一度効いてきます。風を上から当てるか、体の横から入れるかは、立っている面の高さで決まります。その子の背中が人の肘より下にあれば、風の出口は上から下を向きます。背中が肘の高さにあれば、風は横から根元へ入ります。毛が立つかどうかは、乾かす時間の長さよりも、この向きで決まります。タオルで水気を取る順番も同じで、上から押さえる形になるほど毛は寝ます。
金属の台は、水の落ちる音とドライヤーの音を面全体で返します。同じ音量でも、その子の足の裏に振動として伝わるので、動きが増えます。動きが増えれば、そのぶん洗う時間が延び、手が当たる回数も増えます。現場が台の上に1枚敷いているのは、滑り止めのためだけではありません。音の返りを止めるためでもあります。高さを合わせたあとに動きが減らないときは、音のほうを疑ってください。
肘の高さから背中の高さを引く|犬のシャンプー台の考え方を、洗面台と浴室の床へ移す
家にシャンプー台はありません。それでも、使うのは高さの数字そのものではなく、引き算の考え方です。人の肘の高さから、その子の背中の高さを引く。残った数字が、立たせる面をどこに置けばいいかを教えてくれます。犬のシャンプー台が上下する意味を家に移すというのは、この引き算を一度だけやっておくということです。
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自分の肘の高さを測る
腕を体の横に下ろし、肘を90度に曲げて手のひらを下に向けます。その手のひらの床からの高さを測ります。身長160センチの人なら、だいたい100センチ前後です。
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その子の背中の高さを測る
四本の足で立たせて、背中のいちばん高いところまでを測ります。小型犬で25センチ前後、中型犬で45センチ前後が目安です。猫は20センチ前後に収まります。
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引き算して、置く面の高さを出す
100センチから25センチを引けば75センチ。45センチの子なら55センチです。この数字が、その子を立たせる面の高さになります。洗面台は80〜85センチ、風呂いすは20〜40センチ、浴室の床は0センチ。手持ちの中からいちばん近いものを選びます。
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踏み面を滑らないものにする
高さが合っていても、面が滑ると足が開いて重心が前に出ます。ゴム製のマットを1枚敷くだけで足ります。水を含んで動くタオルは、踏み面には向きません。
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濡らす前に、1分だけ立たせておく
新しい高さの面に乗せた直後は、どの子も足の位置を探します。1分待つと四本の足が落ち着くので、そこから濡らします。この1分を省くと、洗いはじめの数十秒がいちばん動く時間になります。
引き算で出た数字に合う面が家にないときは、人の側の肘を下げます。浴室の床に立たせるなら、風呂いすに座って洗う。そうすると人の肘の高さが60センチ前後まで下がるので、背中25センチの子には35センチの面が必要になり、洗面器を伏せて使うといった調整で届きます。高さを合わせるというのは、台を買う話ではなく、人とその子のどちらかを動かす話です。
水を使う日の手順が決まったら、洗う日と洗う日のあいだが軽くなります。毎日きれいにしておきたいと思っても、シャンプーを毎日はできません。ペットは体から脂を出すので、昨日きれいにした子が今日また汚れます。mofuwa グルーミングスプレーは吹きかけてブラシを通すだけなので、立たせる面の高さを取り直す必要がありません。床でも、膝の上でも、その子が落ち着いている場所でそのまま使えます。舐めても差し支えない基準でつくられているので、量を気にせず使えます。
ブラッシングスプレーでもあるので、静電気の起きにくい状態で梳かせます。高さをそろえないといけないのは、水を使う日だけです。そこを分けておくと、グルーミングスプレーで毎日ケアする工程は天気にも時間にも縛られなくなります。なお、新しい高さに慣れたあとでも、台に乗せたときに片方の足だけ体重をかけない、同じ場所を洗うときだけ体をひねる、が3回続けて同じ側で出るときは、高さの話ではありません。いつから、どちらの足か、何回のうち何回かを書いて、動物病院で受診の枠を取ってください。
翌日の毛の向きに出てくるもの|シャンプー台の高さを変えたあとの変化
高さを合わせたあとの変化は、洗ったその日ではなく翌日に出ます。洗い上がりの直後は、どんな洗い方でも毛が持ち上がって見えます。判断できるのは一晩たってからで、根元まで水が入っていた場所は翌日も立ち、押さえつけられた場所は寝たまま戻ります。前の日の手つきを思い出せなくても、翌日の背中を見れば、当たっていた面が広かったかどうかは分かります。
変化はもう1つあります。手が疲れる場所が変わります。肘が90度で止まる高さで洗うと、終わったあとに張るのは肩ではなく背中側です。手首と肩だけが痛むときは、まだ高さが合っていません。タオルで水気を取るときも、上から押さえる形が減って、毛の流れに沿って当てる形に自然と変わります。乾かす時間も、同じ子で3分ほど短くなります。
現場と家で違うのは道具の数だけで、見ている場所は同じです。人の肘と、その子の背中。この2つの高さの差を一度測っておけば、あとは面を選ぶだけになります。仕上がりを決めていたのは腕ではなく、手のひらが当たる面積でした。紙の端に、自分の肘の高さとその子の背中の高さを書いておいてください。次に洗う日に、迷う時間がなくなります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
