C14トリマー/獣医師視点
獣医師が日常ケアに求めること
「家では何をしていますか」と聞かれて、シャンプーの回数だけを答えて終わる。診察室でいちばん多いやりとりが、これです。獣医師がその質問で確かめたいのは、使っているものの名前でも、洗う頻度でもありません。この1週間で、飼い主の手がその子の体のどこまで届いたか。日常ケアの話は、いつも範囲の話として聞かれています。届かなかった場所が毎週同じなら、そこには理由があります。この記事では、獣医師が日常ケアの何を見ているのかを4つに分けて、家で埋められる順番まで書きます。
手が入った場所を、体の地図に塗ってみる|獣医師が日常ケアで見ているのは範囲のほうです
診察室で日常ケアの話になったとき、返ってくる答えはだいたい決まっています。「週に1回洗っています」「ブラッシングは毎日しています」。どちらも回数の答えです。獣医師が頭の中で組み立てたいのは、回数ではなく地図のほうです。その子の体を4つに割って、この1週間で飼い主の手が入ったところを塗っていく。塗れた面積と、白く残った場所。日常ケアの話は、そこから始まります。
なぜ範囲で見るのか。皮膚と被毛に起きる変化は、手が入っていない場所から順に出てくるからです。背中の上は毎日ブラシが通るので、変化があればその日に気づけます。耳のふち、口のまわり、内股、四本の足の先。ここは触られるのを嫌がる子が多く、しかも人の目からも隠れています。トリミングに出している子でも、サロンに行くのは月に1回。残りの29日は家の手だけで持たせることになります。
| 場所 | 1週間で手が入る回数の例 | 触られる側の反応 | そこで最初に出る変化 |
|---|---|---|---|
| 背中の上・肩 | 7回 | ほとんど動かない | 毛の手ざわりが硬くなる |
| 耳のふち・口のまわり | 2回 | 顔をそらす | 地肌の粉が細かく出る |
| おなか・内股 | 1回 | 体をひねる | 皮膚の色が濃く見える |
| 四本の足の先 | 0回 | 足を引っこめる | 指のあいだが湿ったままになる |
回数の列を見ると、上から下へきれいに減っていきます。この並びは、その子の体の都合ではなく、人の手の都合で決まっています。触りやすいところから触り、嫌がるところは後回しになり、後回しにしたまま1週間が終わる。日常ケアが続かないと言われる場面のほとんどは、全部やめてしまったのではなく、下2行だけが抜け落ちた状態です。獣医師が知りたいのは、その抜け落ちがどこかという1点です。
届かない場所には理由がある|獣医師の見分け方は、道具より先に人の手を見ます
白く残った場所が毎週同じなら、偶然ではありません。理由は4つに分かれます。その子が嫌がる/人の手の時間が足りない/道具がその場所に合っていない/そこを見る習慣がない。獣医師の見分け方は、使っているものを尋ねる前に、この4つのどれなのかを聞き分けるところから入ります。道具の話から始めると、嫌がっているだけの子に新しい道具が増えて終わります。
| 理由 | 聞き分けのしかた | 現場での打ち手 |
|---|---|---|
| その子が嫌がる | その場所だけ体が逃げる。ほかは平気 | 触る前の3秒を変える。触れる時間を1秒ずつ足す |
| 人の手の時間が足りない | 嫌がらないのに回数が0。曜日で偏る | 工程を分割して、日をまたいで1か所ずつにする |
| 道具が合っていない | やろうとして途中でやめている | その場所に入る大きさのものに替える |
| 見る習慣がない | 聞かれて初めて思い出す。反応も分からない | 1週間だけ、その場所の様子を2行書く |
4つのうち、上の3つは家で動かせます。動かせないのは4つめだけで、これは道具でも技術でもなく、見る場所を知っているかどうかの差です。トリミングの現場で最初に教わるのも、手順ではなく見る場所の順番だと言われます。地肌、指のあいだ、耳の入り口のふち。触る前に目で確かめておけば、触っている最中に判断しなくて済みます。日常ケアで手が止まるのは、たいてい触りながら考えているときです。
足の先は嫌がるから届かない、おなかは時間がなくて届かない、というように、1頭のなかで理由が混ざります。だから「この子はケアを嫌がる子です」とひとまとめにすると、打ち手が1つしか出てきません。場所ごとに理由を割り当てると、今週は手をつけられる場所と、来月まで待つ場所に分かれます。獣医師への飼い主への説明も、この割り当てがあるだけで具体になります。
その場で結論を出さなくていい条件|獣医師が様子見にしてよいと考えるときの線
日常ケアの話をすると、飼い主の側は「今すぐ何かを変えたほうがいいのか」を知りたくなります。獣医師が様子見という言い方をするのは、待つあいだに情報が増えると分かっているときです。逆に、待っても情報が増えないなら様子見にはなりません。この線は、その場で決まるものではなく、次の1週間に何を数えられるかで決まります。
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数えるものを1つに決める
かゆがる回数でも、粉が出る場所の数でも、足を上げる本数でもかまいません。1つに絞ると、増えたか減ったかが分かります。2つ以上にすると、どちらも曖昧になります。
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数える場所を、届いていない側に置く
背中の上はすでに毎日見ているので、数えても新しい情報が出ません。足の先や耳のふちのように、白く残っていた場所を選びます。
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1週間だけ続けて、日付と数字だけ書く
感想は書かなくてよいです。日付、場所、数字の3つで足ります。書くことが増えると、先に書くのをやめます。
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増えたか、減ったか、動かなかったかで分ける
減ったか動かなかったなら、その手順は続けて問題ありません。増えたときだけ、次の手を考えることになります。
この4段を踏むと、様子見が「何もしないで待つこと」ではなくなります。待っているあいだに数字が1列たまるので、次に話すときの材料になります。数字がないまま2週間過ぎると、前と比べてどうかという話ができません。日常ケアで獣医師がいちばんありがたいと言うのは、きれいに整った記録ではなく、同じ形で並んだ数字のほうです。
前の日にはなかった赤みが、翌日には手のひらほどの広さになっている。片側の耳だけ、1日で持ち上げ方が変わった。食べる量が2日続けて落ちている。こういう変化は、数えて比べる前に動くほうの形です。ゆっくり進むものは数えて分けられますが、速いものは数えているあいだに進みます。獣医師が様子見と言うのは、進み方がゆっくりだと確かめたあとの話だと考えてください。
口が届く場所に何を置くか|犬でも猫でも、獣医師の受診とは別に家で続く形にする
白く残りやすい場所を並べると、ある共通点が出てきます。耳のふち、口のまわり、内股、足の先。どれもその子の舌が届く場所です。ここに何かを塗ると、たいていの子は数分のうちになめます。だから飼い主は手が止まる。止まったまま1週間が過ぎて、地図の下半分が白く残ります。日常ケアの範囲が広がらない理由の多くは、やる気ではなく、なめられても困らないものが手元にないことでした。
mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、原料の成分を清涼飲料水の規格基準に照らして確かめています。だから使う場所を体の一部に限らなくて済みます。地肌の乾いているところ、耳の入り口のふち、口のまわり、肉球。なめられる前提の場所でも、手を止めずに続けられます。水の浸透力は精製水の35倍という自社の検証があり、毛の上にとどまらず地肌の側まで届きます。べたつかないので、気にして同じ場所をなめ続けることも起きにくくなります。
スキンケアミストのように場所を選ばないものが1本あると、日常ケアの組み方が変わります。場所ごとに別のものを用意していた分が1本にまとまるので、棚の本数が減り、続く確率が上がります。本数が増えるほど、どれをどこに使うかを毎回思い出すことになり、そこで手が止まります。獣医師が家でのケアに求めているのは強さではなく、同じ手順が来週も回っていることのほうです。
地図の上半分は、これとは工程そのものが違います。背中の上と肩は乾いた毛の上をブラシが通る場所で、水分を足すよりも、汚れとにおいを動かして毛を整えるほうが手数が少ない。現場でスプレーしてからブラッシングするという組み方が定着しているのは、そのためです。日常ケアを2本で組むと、上半分は毛の側、下半分は地肌となめられる場所の側、という分担になります。1本で全部を持たせようとすると、どちらかの場所が毎週抜けます。
使ってくださっている獣医師の近藤先生から、グルーミングスプレーについてこんなご感想をいただきました。
「mofuwaグルーミングスプレーを日常のケアとして使用してもらうことにより、毛玉予防や被毛を清潔に保つことができます。スプレーしてブラッシングするだけなので、体力低下によりなかなかシャンプーができないシニア犬やシャンプーが苦手な猫ちゃんなどにもおすすめです。清涼飲料水の基準をクリアしているという安全性も高く評価できるポイントです。」
そのうえで、家の手だけで持たせないほうがよい形もあります。同じ場所を3日以上なめ続けている。地肌の赤みが先週より広い範囲に出ている。かゆがる回数が1週間で増えている。このうち2つが同時に出ているときは、数を数え直す前に動物病院で地肌と耳の中を見てもらってください。犬でも猫でも、獣医師の受診でいちばん時間を食うのは、いつから始まったかが分からない場合です。日付と場所の2行があれば、その場で決まることが増えます。
2行の記録が、話す時間を10分短くする|獣医師へ日常ケアを伝えるときの目安
最後に、伝え方の話をします。獣医師へ日常ケアを伝えるとき、役に立つのは製品名の列ではなく、場所と日付の2行です。「先週、足の先は0回、耳のふちは2回。金曜に右の後ろ足だけ引っこめた」。これだけで、地図のどこが白いかと、いつ何が変わったかが同時に伝わります。製品名を並べても、手が届いた範囲は伝わりません。
| 伝え方 | そこから読めること | 読めないこと |
|---|---|---|
| 場所と回数を書いた2行 | 手が届いた範囲と、抜けている場所 | その子が何を嫌がっているか |
| 変わった日付を1つ添える | 始まりの時期。進む速さの見当 | 原因そのもの |
| 使っているものの名前だけ | 選び方の好み | どこに何回使ったか |
| 調子が悪いという言葉だけ | 困っていること | 比べる相手がない |
下2行が悪い伝え方だという話にはなりません。材料が1つ少ないので、その場で聞き返す時間が増えるというだけです。日常ケアの目安として持っておくとよいのは、地図の4か所のうち3か所に週1回以上手が入っていれば、家の側はひととおり回っているという線です。1か所だけが毎週0のままなら、そこが次に手をつける場所になります。
地図を塗って、白い場所の理由を4つから選び、1週間だけ数を書く。この3つはどれも道具を増やしません。獣医師が日常ケアに求めていることを一言にすると、家でできる範囲を正しく知っておいてほしい、に近いと思います。範囲が分かっていれば、次に何かが起きたときの話が早くなります。地図の白い1か所から、毎日続けてみてください。
近藤 竜太 先生/白金高輪動物病院 院長・獣医師(麻布大学卒/比較眼科学会所属)
東京都港区白金1-2-2 白金ザ・スカイ西棟1階
※実際にお使いいただいている獣医師のご感想であり、本記事の監修を受けたものではありません。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 地図の4か所に毎日手を入れるのは、うちでは無理そうです。どこから削ってよいですか。
- 毎日である必要はありません。削るなら、すでに毎日見えている場所から削ってください。背中の上は毛の手ざわりでも、抜け毛の量でも、目で分かる情報が多い場所です。逆に足の先や耳のふちは、触らないかぎり情報が出てきません。週に2回でも、白かった場所に手が入れば地図は埋まります。毎日の背中を7回から3回にして、その分を足の先に回すほうが、1週間で得られる情報は増えます。
- 猫と犬で、見る場所の順番は変わりますか。
- 変わるのは順番ではなく、白く残る場所です。犬は足の先と耳のふちが残りやすく、散歩で地面に触れる回数が多いぶん、指のあいだが湿ったままになりやすい。猫は自分で毛づくろいをするので背中から腰までは自分で届きますが、あごの下と後ろ足のつけ根は舌が届きにくく、そこが残ります。4か所に割るという枠は同じで、割り方をその子の届く範囲に合わせてください。
- 記録を続ける自信がありません。1週間でやめてしまいそうです。
- 1週間で終わらせる前提で始めてください。日常ケアの記録は、ずっと続けるものではなく、迷ったときに1週間だけ取るものです。書くのは日付、場所、数字の3つだけ。感想や理由を書き始めると、その日の気力に左右されて続きません。1週間ぶんの数字が並んだら、そこでいったんやめてかまいません。次に気になることが出てきたときに、また1週間取れば比べる相手ができます。
掲載しているご感想は個人の感想であり、効果を保証するものではありません。本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。気になる変化が続く場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
