C14トリマー/獣医師視点

シャンプーができない子に、獣医師は何を勧めるか

公開日 2024年6月2日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色のブランケットの上に白い猫と並んで落ち着いて休んでいる、淡い毛色の犬
洗えていない場所は、体のあちこちではなく、たいてい足先とお尻まわりに偏ります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

シャンプーできない、と診察室で言われるとき、その中身はたいてい4つのうちのどれかに分かれています。立っていられる時間が15分もたない。シャワーの音で体がこわばって足が止まる。仕事から帰って乾かすまでの1時間が取れない。地肌に赤みがあって、その週は濡らしたくない。獣医師がこの4つを分けて聞くのは、どれに当たるかで勧める形が変わるからです。洗う回数を減らす話にはなりません。足先とお尻まわりという狭い範囲から、洗い方の形そのものを組み直していきます。

立っていられる時間から数える|シャンプーできない理由が4つに分かれるところ

診察室でシャンプーできないと言われたとき、獣医師が次に聞くのは、どのくらいの間隔で洗っているかではありません。どこまでやって止まったのかです。浴室の前まで連れていけたのか、濡らせたのか、途中でやめたのか、洗い終わってから止まったのか。止まった場所が分かると、シャンプーできない理由はほぼ自動的に4つのどれかに落ちます。飼い主の頑張りの量では分けません。分けるのは場所です。

シャンプーできないと言われるとき、止まっている場所が違う
止まる場所そのとき起きていることプロが見ているもの
浴室に入る前シャワーの音で体がこわばり、足が止まる音が鳴りはじめてから何秒でこわばるか
濡らしたところ立っていられる時間が15分もたない後ろ足に体重が残っているか、前に寄っているか
洗い終わったあと乾かす手順に1時間かかり、その日のうちに終わらない地肌が乾ききる前に寝床へ行っていないか
濡らす前の判断地肌に赤みがあって、その週は濡らしたくない赤みの範囲が先週より広がっているか

4つに分けると、打てる手がそれぞれ違うことがはっきりします。音で止まっている子に、洗う回数を月1回へ減らす話をしても、音は1回目からそのまま鳴ります。体力で止まっている子に、シャンプーの種類を替える話をしても、立っている時間は変わりません。シャンプーできないという一言のままでは、どの手も外れます。

この4つのうち、家で組み直せるのは上の3つです。体力と音と時間は、洗い方の形を変えれば数字が動きます。4つめの地肌だけは形の問題ではないので、あとのセクションで別に扱います。シャンプーできない状態が続いているとき、動かせるところと動かせないところを先に分けておくと、次の1回の見当がつきます。

全部やるか何もしないかの二択になる背景|シャンプーできないと言われるまでの数か月

はじめから洗えなかった家は、そう多くありません。最初にあるのは「今週はやめておこう」という1回の判断です。その週は正しい判断だったのに、次の週も同じ条件が続き、3週目には間隔のほうが気になりはじめます。そして空いたぶんを取り戻そうとして、1回の中身が重くなります。全身を洗って、しっかりすすいで、乾かしきる。所要時間が90分に伸びた時点で、始める踏ん切りは前よりつきにくくなっています。

空いた週数と、1回の中身がどう変わっていくか
空いた期間家の側で起きることその子の側で起きること
1〜2週予定を組み替えるだけで戻せる前回と同じ手順が通る
3〜4週1回で全身を終わらせようとしはじめる押さえられている時間が伸びる
6週以降始める前に所要時間を計算するようになる浴室の前で足が止まる回数が増える
3か月以降足先とお尻まわりの汚れだけが残って目立つ同じ場所をなめる回数が増えてくる

この表の右下が、シャンプーできない期間が長引いた家に共通して出てくるところです。全身が均一に汚れていくのではなく、洗えていない場所が2か所に偏ります。足先とお尻まわり。地面に近くて、毛が密で、かつ自分でなめて届く場所です。トリミングと診察のどちらの現場でも、間隔が空いた子の体で先に見るのはこの2か所だという考え方が共有されています。

獣医師が「もう洗わなくていいです」と言わないのも、ここに理由があります。洗う機会は、地肌をまとめて見られる数少ない機会でもあります。濡らすと毛が寝るので、乾いているときには毛の下に隠れていた赤みやかさつきが見えます。洗うことを丸ごと外すと、その子の地肌を年に何回見たか、という数字がそのまま減ります。だから相談の向きは、頻度を落とすほうではなく、1回の負荷を下げるほうへ寄せます。

Note回数の話にすると、そこで会話が止まってしまう

「週1回」「月2回」という数字は比べやすいので、相談はどうしても回数の話になります。ところが回数からは、止まっている場所が読めません。音で止まっている子と体力で止まっている子が、同じ「月1回」に見えてしまいます。シャンプーできないと感じている段階では、回数ではなくどこまでやって止まったかを先に伝えてください。伝える言葉が変わると、返ってくる手も変わります。

浸かるだけにして、擦る時間を0にする|シャンプーできない子のお手入れを組み直す考え方

ふつうのシャンプーは、泡を被毛の上にのせてから、手でかき分けて地肌まで届かせます。この「かき分けて擦る」時間が、負荷のほとんどを占めています。被毛が厚い子ほど時間がかかり、そのあいだその子は動けません。擦っている時間は、洗っている時間というより、じっと耐えている時間です。ここを短くするのではなく、0にできるかどうかで形が変わります。

mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして浸かるだけという形にしてあります。お湯そのものが洗浄液になるので、被毛をかき分けなくても、湯に浸かった範囲へ均一に行き渡ります。擦って泡を届かせる工程が、そもそも要りません。立っていられる時間が短い子でも、座ったまま、あるいは伏せたままで済みます。抗炎症作用のある天然成分と保湿成分を配合しているので、上がってから別のものを重ねる工程も増えません。すすぎが軽く終わるぶん、シャワーの音を鳴らしている時間そのものが短くなります。

全身を浸けられない子には、範囲を切ります。散歩から帰って、家に入る前に、桶に溶かして足先だけ洗う。これを実際にやっている飼い主がいます。玄関で終わるので浴室へ連れていく工程がなく、音も出ません。お尻まわりも同じで、その場所だけを狙って洗えます。部分洗いは全身洗いの縮小版ではなく、洗えていない場所が2か所に偏るという事実に対して、いちばん素直な形です。大容量なので、毎回少しずつ桶で使う運用に向いています。

乾かす側も同時に軽くなります。浸かる範囲を足先とお尻まわりに絞れば、水を含む被毛の量が減り、タオルで押さえる回数も減ります。乾かすまでを含めた所要時間が15分に収まると、平日の夜に置ける手順になります。90分の予定は月に1回も立ちませんが、15分の手順は週に2回立ちます。シャンプーできない状態から抜けるのは、気合いではなく、この所要時間の桁が変わったときです。

Voice入浴シャンプーについて、獣医師の近藤先生からいただいたご感想

実際にお使いいただいている獣医師の近藤先生から、入浴シャンプーについてこうご感想をいただいています。
「お風呂に浸かるだけで汚れを落とし保湿もできる、素晴らしい商品だと思います。楽にシャンプーできるので、足腰が弱って長時間立てないシニア犬や多頭飼いの方にもおすすめです。散歩後の足先やお尻周りなどの部分洗いにも使え、大容量でコスパも良く使い勝手の良い商品だと思います。」

Caution4つのうち地肌の1つだけは、形を組み替える前に見てもらう

地肌の赤みが先週より広がっている/同じ場所をなめる回数が増えている/かさつきが1か月たっても同じ範囲に残っている/毛が抜けた地肌が見えている。この4つのどれかに当たるときは、洗い方の形を組み替える前に、動物病院で地肌を見てもらってください。シャンプーできない期間がどのくらい続いているか、どの場所に汚れが残っているかをメモして持っていくと、その場で決まることが増えます。濡らしてよいかどうかの線は、家では引けません。

2回目に減ったのは、犬が耐えている時間でした|シャンプーできない経験が家に残していくもの

1回目で分かるのは、所要時間だけです。2回目に分かるのは、止まっていた場所が動いたかどうかです。浴室の前で足が止まっていた子が、玄関の桶では止まらなかった。濡らしてから10分でこわばっていた子が、浸かったまま15分いられた。この差は、その子が慣れたからというより、耐えている時間そのものが短くなったからです。犬のシャンプーできない経験は、こうして数字のほうから先にほどけます。

猫の場合は、全身を浸けるところから入らないほうが進みます。お湯に溶かして、後ろ足の先だけ。足先が終わったら、次の週はお尻まわり。1回に1か所だけにしておくと、押さえている時間が毎回2分か3分で終わります。猫がシャンプーできないという相談は、たいてい浴室ごと拒まれる形で来ますが、桶1つならその手前で終わります。

止まっている場所が分かると、シャンプーできないという一言はほどけます。足先とお尻まわりだけ、桶で。それが1回できたら、次の1回まで同じ手順を続けられます。

近藤 竜太 先生/白金高輪動物病院 院長・獣医師(麻布大学卒/比較眼科学会所属)
東京都港区白金1-2-2 白金ザ・スカイ西棟1階
※実際にお使いいただいている獣医師のご感想です。本記事の監修を受けたものではありません。

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掲載しているご感想は個人の感想であり、効果を保証するものではありません。本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。気になる変化が続く場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。