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飼い主が自宅のにおいに慣れる時間

公開日 2024年5月17日|文=mofuwa編集部

明るく風の通る部屋で、開いた窓のそばに落ち着いて座っている淡い色の猫
自宅のにおいが分かるのは、玄関を開けた最初のひと呼吸だけです。そのあとは、思い出すほうに切り替わります。写真:大 董/Pexels

玄関のドアを開けた瞬間に、自分の家のにおいが分かる。そして、靴を脱いで手を洗っているあいだに、もう分からなくなっている。飼い主が自宅のにおいに慣れる時間は、たいていこのくらいの短さで過ぎていきます。ただ、慣れるまでの時間より、鼻が戻る時間のほうが短い。外で何十分か過ごして帰ってくれば、最初のひと呼吸で、また分かるようになります。自宅のにおいは、そのつど測るものというより、前に嗅いだときと比べて思い出すものです。この記事では、外出前の鼻と帰宅直後の鼻を並べて、分かること・分からないこと・打てる手を比べます。分や秒の数字は書きません。その理由も、本文のいちばん最初に書きました。

自宅のにおいに慣れる時間に、平均を書かない理由|数えるものが家ごとに違う

この記事では、飼い主が自宅のにおいに慣れる時間について、何分・何秒という平均を書きません。数字が分からないからではなく、数字を1つ置いた瞬間に、読んだ人の家では使えなくなるからです。理由をきちんと書いておきます。ここが分かると、あとの比較がぜんぶつながります。

そもそも、においに慣れる時間を測ろうとすると、先に決めなければならないことが6つ出てきます。どれか1つ変えるだけで、出てくる数字が変わります。つまり、平均という形にした時点で、その6つの条件が見えなくなります。

「においに慣れる時間」を数えようとすると、先に決まっていないといけないこと
決めること変わると、どうずれるか
何をもって慣れたとするか分からなくなった瞬間か、気にならなくなった瞬間か
どのにおいを対象にするか部屋全体か、寝床か、トイレの周りか
どのくらい外にいたか外にいた時間が短いと、戻り方も浅くなります
外がどんな場所だったか屋外か、他人の家か、においの強い店か
その日の鼻の状態花粉の時期や体調で、感じ方が変わります
家の換気の直前の状態窓を開けたあとかどうかで、出発点が違います

6つのうち、家の外から借りてこられるものは1つもありません。だから、においに慣れる時間の平均を覚えても、自分の家では使えないままになります。言えるのは、方向だけです。玄関を開けた直後に分かって、そのあとごく短いあいだで分からなくなる、という順番。時間としては数秒から十数秒くらいとされますが、その幅も条件しだいで動きます。

そして、この記事で扱いたいのは、その短さそのものではありません。においに慣れる時間より、鼻が戻る時間のほうが短い、という向きのほうです。家にいるあいだに一度慣れると、その日はもう戻りません。ところが、外に出て何十分か過ごせば、帰ってきた最初のひと呼吸で戻ります。慣れるのには一度で足りて、戻すのにも一度で足りる。この非対称が、家で使える唯一の道具になります。

Note「慣れてしまう」は、鼻が悪くなったという話ではありません

同じにおいの中にいると、そのにおいを感じにくくなっていきます。これは、変化のないものより変化のあるもののほうに気づけるようにできている、という性質だとされています。においに慣れることそのものは、不都合ではありません。家の中で暮らすうえでは、むしろ助かっています。困るのは、慣れた状態のまま、においの強さを判断しようとしたときだけです。だから、直すのは鼻ではなく、判断する時刻のほうになります。

軸1・外出前の鼻|家にいるあいだ、においについて分かることと分からないこと

1つめの軸は、家にいるあいだの鼻です。朝起きてから出かけるまでのあいだ、飼い主の鼻はすでに自宅のにおいに慣れる過程を終えています。これは寝ているあいだに済んでしまうので、起きた時点でもう終わっています。だから、朝の時点で「今日は少しにおうな」と思うことは、ほとんどありません。

この状態でも、分かることはあります。強さは分かりませんが、種類は分かります。いつもと違う質のにおい、たとえば急に酸っぱい感じが混じった、湿った感じが加わった、という差には気づけることがあります。慣れているのは「いつものにおい」であって、新しく加わったものには、まだ慣れていないからです。

外出前の鼻で有効なのは、近づいて嗅ぐ、という使い方です。部屋の空気ではなく、物に鼻を寄せます。寝床の布、食器の底、爪とぎの土台、いつも寝ている場所のラグ。全体に慣れる状態になっていても、物に顔を寄せれば、そこだけは新しい情報として入ってきます。これは、慣れの外側に出る唯一の方法です。

ここが、においの出どころを考えるうえでの手がかりになります。皮脂は毛から布へ移り、布の上で時間が経つと、そこで雑菌が増えてにおいの質が変わっていくとされています。だから、部屋の空気ではなく布に鼻を寄せたときにだけ強く感じるなら、出どころは空気ではなく物のほうです。外出前の鼻は、この切り分けには使えます。

逆に、外出前の鼻でやってはいけないのは、「今日はにおわないから大丈夫」と全体を判断することです。その判断だけは、この鼻ではできません。慣れる過程を終えた鼻は、強さの目盛りを持っていないからです。目盛りが戻るのは、次の項の条件がそろったときだけになります。

軸2・帰宅直後の鼻|ひと呼吸のあいだだけ、においの比較ができる

2つめの軸は、外から帰ってきた直後の鼻です。玄関を開けて、最初に吸った一回。そこだけが、自宅のにおいを外から見られる時間になります。そのあとは、また慣れる方向に進みます。ドアを閉めて、荷物を置いて、手を洗う。それだけで、もうさっきの感覚は戻ってきません。

この一回が使えるのは、比べる相手がいるからです。外の空気と、家の空気が、ひと呼吸のあいだだけ隣り合っています。強さそのものを測っているのではなく、直前まで嗅いでいたものとの差を見ています。だから、外にいた時間が短いと差が小さくなり、外がにおいの強い場所だったときも、差の読み方が変わります。

帰宅直後のひと呼吸で、実際に読み取れるもの
読み取れること読み方
前回の帰宅と比べて強いか同じ条件で帰ってきた日どうしを比べます
どの部屋から来ているか玄関で分かるのか、居間に入って分かるのか
空気か、物か動いたときだけ強くなるなら、物の側です
質が変わっていないかいつもと違う種類が混じっていないか
換気の直後かどうか窓を閉めて出たか、開けて出たかで変わります

1行目の「前回の帰宅と比べて」というのが、この記事の核になります。自宅のにおいは、その場で測るものというより、前に嗅いだときと比べて思い出すものです。絶対の強さを言い当てられる人はいません。言えるのは、この前より強いか、同じか、弱いか。だから比較の相手を持っていない日のひと呼吸は、ほとんど何も教えてくれません。

そして、このひと呼吸には期限があります。荷物を置くころには、もう慣れる方向に進んでいます。思い出そうとして立ち止まったときには、たいてい手遅れになっています。だから、感じたことを頭の中にとどめておくのではなく、その場で外に出す必要があります。次の項で、その出し方を書きます。

ひとつ補足しておきます。ここで言う「強い」は、良い悪いの話ではありません。犬や猫と暮らしていれば、家ににおいがあるのは当たり前のことです。見ているのは、いつもの状態から動いたかどうかだけです。動いていないなら、それが今の家の基準になります。

2つの鼻を並べる|においはどっちで確かめるほうが早いか

2つの軸を並べます。外出前の鼻と、帰宅直後の鼻。使える場面がはっきり分かれます。どちらが優れているという話ではなく、答えられる問いが違います。

外出前の鼻と、帰宅直後の鼻の比較
外出前の鼻帰宅直後の鼻
状態すでに自宅のにおいに慣れる過程を終えている外の空気と比べられる状態に戻っている
使える時間家にいるあいだずっと玄関を開けて最初のひと呼吸だけ
分かること物に近づいたときの、局所の差部屋全体の、前回との差
分からないこと全体の強さ、昨日との差どの物から出ているかの特定
向いている問い出どころはどこかいつもより動いていないか
打てる手寝床・食器・拭き取りの手当て記録を1行残す
失敗しやすい使い方「今日はにおわない」と全体を判断する立ち止まって思い出そうとする
においを確かめる2つの鼻と、それぞれが答えられる問い 外出前の鼻と帰宅直後の鼻について、使える時間と読み取れることを左右に並べた比較カードです。 どちらか一方だけでは、においの話は組み立てられません 外出前の鼻 家にいるあいだ使える 物に寄せると差が分かる 全体の強さは分からない 出どころ探しに向く 毎日くり返して使える 帰宅直後の鼻 ひと呼吸だけ使える 前回との差が分かる どの物からかは分からない 強さの確認に向く その場で記録が要る 右で気づいて、左で探す。この順番だと手戻りが出ません
強さを見るのは右、出どころを探すのは左。役割を分けると迷いません。

使い方の順番は決まっています。帰宅直後の鼻で気づいて、外出前の鼻で探す。逆にすると、探す先が決まらないまま家じゅうを拭くことになります。においに慣れる仕組みを味方にするというのは、この順番を守ることとほぼ同じ意味です。

  1. 玄関を開けたら、ひと呼吸だけ意識する

    荷物を置く前です。吸い込んだ最初の一回で判断します。深呼吸をする必要はありません。むしろ、いつもどおりに吸ったほうが、前の日と比べやすくなります。

  2. 3段階だけで判定する

    「前より強い」「同じ」「弱い」の3つです。数字にしないほうが、続きます。迷ったら「同じ」でかまいません。

  3. その場でメモに1行残す

    日付と、3段階のどれか。スマートフォンのメモでも、玄関に置いた紙でも構いません。10秒で終わる形にしておかないと、3日でやめます。

  4. 「強い」が2回続いたときだけ、探しにいく

    1回だけなら、外にいた時間や外の場所の影響かもしれません。2回続いたら、外出前の鼻を使って、寝床・食器・ラグ・トイレの周りに顔を寄せます。

  5. 手を入れたら、次の帰宅で答え合わせをする

    拭き取りや洗濯をした翌日、同じように玄関でひと呼吸します。ここで初めて、やったことが効いたかどうかが分かります。その日のうちには分かりません。

この5つを回すと、においの話が感覚から記録に変わります。1か月続けば、自分の家の「いつも」がどこにあるかが分かるようになります。そこまでくれば、来客の前に慌てて手を打つ必要もなくなります。においに慣れる鼻を持ったまま暮らしていても、記録があれば判断はできます。

戻り方が変わる時期|においの条件が動く季節と、記録の続け方

最後に、時期の話をしておきます。同じ家でも、季節によって、帰宅直後に分かる量が変わります。鼻の側が変わるからではなく、家の側の条件が動くからです。ここを知らないと、記録の「強い」が増えた月に、原因を取り違えます。

時期によって、においの出方と気づき方がどう動くか
時期家の側で変わること帰宅直後の鼻への影響
換気の少ない時期窓を開ける時間が短くなる出発点が高くなり、強く感じやすい
湿度の高い時期布が乾ききらない時間が延びる質のほうが変わって感じられる
換毛期抜けた毛が布と床に増える掃除の直後だけ弱くなる
皮脂の出やすい時期寝床に移る量が増える近づいたときの差が大きくなる
花粉や乾燥の時期鼻の側の感度が落ちる差そのものが読み取りにくくなる

いちばん効くのは、いちばん上の行です。換気が少ない時期は、出発点が上がっているだけで、においそのものが増えたとはかぎりません。帰る前に窓を開けて出るだけで、帰宅直後の読み取りが安定します。5分でも構いません。空気を入れ替えるためというより、毎回同じ条件で比べるためです。

出どころの側では、毎回同じ3か所を見るだけで足ります。寝床の布、食器の周り、いつも寝ている場所の床。皮脂が移るのは、体が長く触れている場所からです。布は洗い、食器は毎日ぬるま湯で洗い、床は拭き取りで済ませる。3か所を回すのに、5分もかかりません。手を広げるより、同じ3か所を続けるほうが、記録との対応が取りやすくなります。

3か所を回しても、記録の3段階が戻らないことがあります。皮脂は毛から布へ移るので、布だけを洗っても、移す側が同じなら翌週にまた同じ場所が挙がります。そして、耳のふちや口のまわりが先週とどう変わったかは、その子の側からは出てきません。記録を持っているのは人のほうです。

mofuwa スキンケアミストには、香料が入っていません。香りを足さないぶん、翌日の帰宅でひと呼吸したときに、前の週と比べる材料が濁りません。中身は電解水100%で、当てた直後だけ塩素に近いにおいをわずかに感じる子もいますが、数分で消えます。使うのは、記録で「近づくと分かる」が2回続いた1か所だけです。口のまわりや耳の外側など、体の側の出どころに少量を直接。乾いた面で押さえて終わりです。部屋じゅうへ広げるより、1か所に絞るほうが、次の帰宅での答え合わせがはっきりします。洗える布は洗う。体の側は体の側で1か所ずつ。分けておくと、記録がそのまま読めます。

Cautionにおいの質が急に変わったときは、掃除より先に動物病院にご相談ください

甘いような、酸っぱいような、これまでと質の違うにおいが出てきた。特定の場所(耳・口のまわり・足の指のあいだ・お尻の周り)に近づいたときだけ強い。掃除をしても翌日に同じ強さで戻る。同時に、なめる回数が増えた、地肌が赤い、食べる量が変わった。こうした変化があるときは、拭き取りや消臭の回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。においの質の変化は、家の掃除では説明がつかないことがあります。いつから、どこに近づいたときか、記録の3段階がいつ動いたか。この3つを持っていくと、そのまま話が進みます。

この記事を1文に畳みます。自宅のにおいに慣れる時間を数えても使えませんが、帰宅の最初のひと呼吸は毎日戻ってきます。戻ってくるものは、記録にできます。においは測るものというより、前の自分と比べて思い出すものです。3段階を1行書くだけで、その比較は成り立ちます。慣れる鼻を持ったまま、判断だけを外に置いておく。それが、この記事でいちばん伝えたかった形です。

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よくある質問

外に出る時間が短いと、においの判定には使えませんか
使えますが、読み方が変わります。外にいた時間が短いほど、外の空気との差が小さくなり、戻り方も浅くなります。ゴミ出しだけで戻ってきた日と、2時間出かけた日を同じ列に並べると、比較になりません。記録をつけるときは、いつも同じくらいの外出(通勤や散歩など)の帰りだけを使ってください。条件をそろえるほうが、回数を増やすより効きます。
家族に聞けば、においの強さは分かりますか
同居している人の鼻も、同じように自宅のにおいに慣れる状態になっています。だから、家の中にいる人どうしで聞き合っても、判定にはなりません。外から来た人の反応は使えますが、たいていは言ってもらえません。自分の帰宅直後のひと呼吸を記録に変えるほうが、確実で、毎日手に入ります。
犬と猫のいる家では、においの見る場所は変わりますか
見る順番が変わります。犬では、寝床と、口のまわりが触れた布、外から帰った足元が上位に来ます。猫では、トイレの周りと、爪とぎの土台、よく寝ている場所のラグが上位になります。どちらの場合も、帰宅直後の鼻で「強い」が2回続いてから探しにいく、という順番は同じです。気になる変化が体の側に出ているときは、掃除の前に動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。