C09シーン別・暮らし
共働きで時間がない人が新幹線・飛行機で困ること、その手当て
金曜の夜23時に切符を取り、翌朝6時20分の新幹線に乗ることが決まったのは、休みが土日しかなかったからです。休みが取れる日が先に決まり、そこへ行き先と時刻を合わせました。共働きの家でペットを連れて遠出するときは、たいていこの順番になります。早い便か、仕事を終えたあとの夜の便か。どちらを選んでも、その子がいつも寝ている時間帯にキャリーへ入って動くことになります。準備にあてられるのも前日の夜だけで、朝は自分の支度で埋まります。時間がないなかで、何を前の晩に寄せ、何を当日に残し、何を着いた先まで持ち越すか。この記事では7つの問答に分けて並べます。最後の1つは「省いていいこと」です。
新幹線に乗る時刻が早朝か夜になるのは、なぜですか
行き先が決まってから時刻を選んでいるようで、実際には逆です。共働きの家では、まず休みが取れる日が決まり、その日をいちばん長く使おうとするので、往路は早い便、復路は遅い便になります。金曜の夜に出るか、土曜の早朝に出るか。新幹線でも飛行機でも、この2択に落ちます。その結果、出発の時刻はその子のふだんの時間帯から外れます。朝6時台なら、いつもならまだ寝ている時間です。夜の便なら、いつもなら人が帰ってきて落ち着いている時間に、家を出ることになります。
ここが、時間がない家の遠出でいちばん効いてくる条件です。移動そのものの長さより、その子にとって「いつもと違う時刻に動く」ことのほうが先に来ます。ペットの側から見ると、キャリーに入る時刻が3時間ずれるというのは、家の中の順番が全部ずれるということです。ごはんの時刻、トイレの時刻、寝ていた場所から出る時刻。準備の話に入る前に、ここを前提として置いておきます。
| 便の時刻 | その子のふだん | ずれるもの |
|---|---|---|
| 早朝(6〜8時台) | まだ寝ている時間帯 | 起きる時刻・朝のごはん・朝のトイレ |
| 午前(9〜11時台) | 人が出かけたあとで落ち着いている | 留守番に入る時刻が早まる |
| 夕方(17〜19時台) | 人が帰ってくる時間帯 | 夜のごはんが移動中にかかる |
| 夜(20時以降) | 寝る場所へ移っている時間帯 | 寝る時刻と寝る場所の両方 |
この表を見て変えるのは、便の時刻ではありません。仕事の休みは動かせないので、ずれるものが分かっていれば、そこだけ前の晩に寄せておけるという読み方をします。早朝の便ならごはんとトイレが問題になり、夜の便なら寝る場所が問題になる。同じ「新幹線に乗る日」でも、手を打つ場所が変わります。
前日の夜しか時間がないとき、まず何から手をつけますか
前の晩に使える時間が20分だとして、ペットのためにその20分を何に使うかという話です。結論から言うと、体に触るケアではなく、荷物とキャリーのほうに使ってください。理由は単純で、体に触るケアは翌朝でも5分あればできますが、荷物を詰める作業は朝には絶対に終わらないからです。時間がないときは、朝にできないほうを前の晩に置きます。
- キャリーを出して、床に置いておく。扉は開けたまま、その子が通る場所に置きます。当日の朝に初めて出すと、変化が1つ増えます
- 敷き布を、その日のうちに入れておく。家で使っていた布をそのまま入れます。新しい布を当日に入れないでください
- 持ち物を1つの袋にまとめる。器・敷き布の替え・拭くための布。3つで足ります
- ごはんの時刻を、当日ぶんだけ紙に書く。誰が見ても分かる形にしておくと、朝の判断が消えます
- 爪の先だけ見ておく。長さが気になるときは前の晩に済ませます。移動の朝に切ると、その子にも人にも余裕がありません
5つ書きましたが、20分しかないなら上の2つで十分です。キャリーを床に出して、家の布を入れておく。これだけで、当日の朝にその子が受け取る変化が1つ減ります。時間がない日の準備というのは、当日にやることを増やさないための作業だと考えると、優先順位が決まります。
遠出の前だからきれいにしておこう、と前日の夜に洗いたくなります。ただ、夜に洗うと乾ききるまでに時間がかかり、寝るまでに間に合いません。被毛が完全に乾いていない状態でキャリーに入ると、翌朝までに毛が寝たまま固まります。洗うのは3日前までに済ませてください。前の晩にきれいにしておきたいなら、mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、背中と足先を毛の流れに沿って一往復させる1分で足ります。余分な皮脂と、その日に外で付いた汚れが乳化して布のほうへ移ります。毛は濡れないので、そのまま敷き布の上で寝てもらえます。舐めても問題のない基準でつくられているので、キャリーの中で毛先をなめる子でも、量を気にせず使えます。
出発前の朝に、5分だけ使う価値はありますか
あります。ただし使いどころは1か所です。朝の5分は、足先に使ってください。理由は、家を出てから駅や空港に着くまでのあいだに、いちばん多くのものが付く場所だからです。キャリーに入る前に足先を拭いておくと、移動中にキャリーの中でその子が足をなめても、家の外のものを口に運ぶ量が減ります。体全体を拭こうとすると5分では終わらないので、足先だけに絞ります。
逆に、朝にやらないほうがいいのがブラッシングです。時間がないときほど手が急ぎ、力が入ります。移動の直前に急いだブラシを入れると、その子は「この時間は嫌なことが起きる」という順番で覚えます。遠出が年に数回でも、その数回が全部そうなると、キャリーを出しただけで隠れるようになります。毛の乱れは着いてからでも戻せますが、キャリーへの印象は戻すのに時間がかかります。
| やること | かかる時間 | 朝にやる価値 |
|---|---|---|
| 足先を拭く | 1〜2分 | 高い。家を出たあとに付くものを減らせます |
| 口のまわりを拭く | 1分 | 高い。朝ごはんのあとなら、においの出どころが1つ減ります |
| キャリーの敷き布をたたみ直す | 30秒 | 中。前の晩に入れてあれば、形を整えるだけです |
| 全身のブラッシング | 10分以上 | 低い。急ぐと力が入ります。着いてからで足ります |
| 体を洗う | 30分以上 | なし。乾ききらないままキャリーに入ることになります |
朝ごはんについては、便の時刻で変わります。早朝の新幹線なら、家を出る1時間前までに済ませられるかどうかで決めてください。間に合わないなら、着いてから最初のごはんにします。移動の直前に量をいつもどおり食べさせるより、時刻を1回ずらすほうが体には軽いという考え方です。ただし水は別で、出発前にも着いた先でも、飲める場所を必ず作ってください。
新幹線に乗っているあいだは、何もしなくていいのですか
基本的には、何もしないほうが楽に済みます。移動中にできることは、キャリーの中の空気を動かすことと、置いている面を変えることの2つだけで、それ以上は手が入りません。時間がない家ほど、移動の2時間を「準備し直す時間」に使おうとしますが、車内は手を広げられる場所ではありません。ペットの側から見ても、動いているあいだに触られるのは休む時間が削られるということです。
- やること:置いている面を1時間に1回変える。同じ面が長く当たり続けると、そこだけ被毛が寝ます
- やること:上面の開きを少し作る。空気が動かないと、中に体温がこもります
- やらないこと:キャリーから出す。移動中に出すと、戻すときにいちばん力が要ります
- やらないこと:ブラシを入れる。毛の乱れは着いてから戻せます
- やらないこと:新しいおやつを出す。ふだん食べていないものを、いつもと違う時刻に足すことになります
移動中にいちばんやりたくなるのが、鳴いたときに開けて確かめることです。ここは、開けずに手だけ入れて背中に手のひらを当てるにとどめてください。扉を全部開けると、次に閉めるときにその子が出ようとします。乗り物の中で1回そこがもつれると、残りの時間ずっと出たがるようになります。手のひらだけなら、人がそばにいることは伝わります。
移動の日にやることを増やそうとすると、準備は無限に伸びます。共働きの家で現実的なのは、やらないことを先に3つ決めることです。「洗わない」「移動中にブラシを入れない」「新しいものを足さない」。この3つを決めておくと、前の晩に何を詰めるかも、朝の5分をどこに使うかも自動的に決まります。持ち物が減るので、荷造りの時間そのものも短くなります。
着いてから最初にやることは、何ですか
着いた先の玄関でキャリーを開ける前に、その子が寝る場所を1か所だけ決めてください。これが最初です。実家でもホテルでも、着いてすぐは荷ほどきに手が回りますが、その子の側は「どこにいればいいか」が決まらないまま部屋を歩くことになります。家から持ってきた敷き布を、部屋のいちばん人の通らない角に広げる。それだけで、その子の位置が決まります。
そのあとで、足先を拭きます。駅や空港からここまでの経路で、いちばん多くのものが付いているのが足先だからです。ペットの体全体を拭こうとすると、着いた日はまず時間がありません。足先と口のまわりの2か所で切り上げてください。背中や腰の毛が寝ているのは移動中に面が当たっていたからで、翌日に戻せば足ります。移動の日は、その子も人も休むほうが先です。
| 順番 | やること | なぜここか |
|---|---|---|
| 1 | 敷き布を広げて寝る場所を決める | 位置が決まらないと、その子は部屋を歩き続けます |
| 2 | 水の器を置く | 移動中は飲めていないことが多く、場所が分かることが先です |
| 3 | 足先を拭く | 経路で付いたものが、そのまま部屋の床に移ります |
| 4 | トイレの場所を見せる | 見せるだけで、使うのを待ちます |
| 5 | そこで終わりにする | ごはんとブラッシングは、落ち着いてからで足ります |
ここまでで30分かかりません。時間がない旅ほど、着いた日に予定を詰めがちですが、着いた最初の30分だけは、その子の側に使うほうが結果として早く済みます。位置と水とトイレが決まっていれば、そのあと人が出かけているあいだも落ち着いていられます。逆にここを飛ばすと、夜になって落ち着かない時間が長くなり、翌朝の予定にまで響きます。
帰りの新幹線でも、行きと同じことをやりますか
帰りは、行きより1つ増えます。行きは家から出るだけでしたが、帰りは滞在先で付いたものを持って帰ることになるからです。実家の畳、ホテルのカーペット、外を歩いた分。それが被毛と足先に乗ったまま、キャリーの布に移り、そのまま自宅の部屋へ入ります。だから帰りは、乗る前に足先を拭くところを1回増やします。
もう1つ、帰りの便で変わるのが時刻です。復路は遅い便になることが多く、着くのは夜になります。夜に帰り着いた日は、その日のうちにケアを終わらせようとしないでください。玄関で足先を拭いて、キャリーの敷き布だけ外して、寝る場所へ行くのを見届ける。ここまでで終わりにします。時間がないなかで無理にブラッシングまでやると、その子にとっては起きている時間がさらに伸びます。翌日の朝に回してかまいません。
| 行き | 帰り | |
|---|---|---|
| 乗る前 | 足先を拭く | 足先を拭く(滞在先で歩いた分があります) |
| キャリーの布 | 家の布をそのまま入れる | 滞在先で使った面を外側にしない |
| 着いたあと | 寝る場所を決める | いつもの寝る場所へ行くのを見届ける |
| ケアの時刻 | 着いた日の30分 | 翌日の朝に回す |
| 洗う | 3日前までに済ませる | 帰宅から2〜3日たって、食べる量が戻ってから |
ペットの側で帰宅した翌日にやるのは、移動でつぶれた面を戻すことだけです。背中と腰、キャリーの床に当たっていた側。グルーミングスプレーの持ち場は、この「寝た毛を起こす」ほうです。布に含ませて毛の流れに沿って一往復させると、乾いた毛に櫛を入れたときの静電気が起きにくくなり、つぶれていた面が立ち上がります。汚れを落としきるためではなく、毛の向きを戻すための一往復です。皮膚に赤みやかさつきが見えるときは、そこには触れずに動物病院で相談してください。
時間がないとき、省いていいのはどれですか
省いていいものは、はっきりしています。移動の前後に体を洗うこと、移動中のブラッシング、遠出のために新しい道具を買うこと。この3つは、やらなくても遠出は成立します。時間がない家がここに手を出すと、準備の総量が倍になり、結局どれも中途半端になります。
| 内容 | 理由 | |
|---|---|---|
| 省いていい | 出発前に体を洗う | 乾ききらないままキャリーに入ることになります |
| 省いていい | 移動中のブラッシング | 着いてからでも、翌日でも戻せます |
| 省いていい | 遠出用に道具をそろえる | 使い慣れていない道具は、当日に変化を増やします |
| 省いていい | 着いた日のごはんの時刻をそろえる | 1回ずらすほうが、無理に食べさせるより軽く済みます |
| 省かない | キャリーを前の晩に床へ出す | 当日の朝に受け取る変化が1つ減ります |
| 省かない | 家の敷き布を入れる | その子が知っているものが、移動中に1つ手元に残ります |
| 省かない | 乗る前と着いたあとに足先を拭く | 経路で付いたものが、そのまま部屋の床に移ります |
| 省かない | 着いた先で水の器を置く | 移動中は飲めていないことが多く、場所が分かることが先です |
省かない4つは、合計しても10分かかりません。時間がないことを前提に組むなら、この10分だけを毎回同じにしてください。同じにしておくと、2回目からは考えずに手が動きます。共働きの家で遠出が続かない理由の多くは、1回目に全部やろうとして疲れることです。10分に固定すると、次の遠出の心理的な重さが下がります。
遠出から帰って2〜3日たっても、食べる量が戻らない、水を飲む量が明らかに変わった、いつもの寝る場所へ行かない、同じ場所をなめ続けている、触ると声を出す、便やトイレの回数が変わったまま。こうした変化が続くときは、家でのケアを増やす前に動物病院にご相談ください。移動の日は時刻も場所も一度に変わるので、家では何が原因かを切り分けにくくなります。出発と帰宅の日付、移動にかかった時間、着いた先で食べた量をメモにして持っていくと、その場で見てもらえます。
前の晩・当日の朝・着いた先に割り振り直す|ペットと新幹線で遠出する共働きの家に残る疑問
ここまでの7つを、時間の順に並べ直します。共働きの家で動かせるのは、便の時刻ではなく、どの作業をどこに置くかだけです。前の晩に置けるもの、当日の朝の5分に置けるもの、着いた先の30分に置けるもの。この3つの箱に振り分けると、時間がないなかでも抜けが出なくなります。
| 箱 | 入れるもの | かかる時間 |
|---|---|---|
| 前の晩 | キャリーを床に出す/家の敷き布を入れる/持ち物を1袋にまとめる | 5分 |
| 当日の朝 | 足先を拭く/口のまわりを拭く | 3分 |
| 移動中 | 1時間に1回、置いている面を変える/上面を少し開ける | 0分(ついでにやる) |
| 着いた先 | 敷き布を広げる/水の器を置く/足先を拭く/トイレの場所を見せる | 10分 |
| 帰りの便 | 乗る前に足先を拭く/滞在先で使った布の面を外側にしない | 2分 |
| 帰宅の翌日 | つぶれた面をケアで起こす | 3分 |
この表のうち、1回目でうまくいかないのはたいてい「着いた先」です。荷ほどきと予定に押されて、寝る場所を決めるところが後回しになります。2回目からは、着いてすぐ敷き布を広げるのが先になります。そこさえ固定できれば、あとの3つは順番に流れます。新幹線でも飛行機でも、この並びは変わりません。移動の手段よりも、着いた部屋でその子の位置が決まっているかどうかのほうが大きく響きます。
遠出は、時間がない家ほど回数が少なくなります。少ないぶん1回ごとが手探りになり、毎回ゼロから考えることになる。それを止めるのが、この10分の固定です。やることを増やすのではなく、毎回同じ10分に減らす。そうすると、遠出のたびに考える量が減り、次の休みに連れて行くかどうかを迷わなくなります。ペットと新幹線に乗る日は、休みの取り方で時刻が決まる日です。時刻が動かせないなら、動かせる10分のほうを毎回同じにしておく。それがいちばん現実的な形です。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
