C04悩み解決
シニア期の毛穴の角栓|若い頃と同じケアでは追いつかない
14歳の猫が窓辺で前足をなめはじめたので、時計を見てから最後まで見ていたら、40秒で終わりました。去年の同じ窓辺なら、2分たってもまだ背中のあたりを回っていたはずです。シニア期に短くなるのは毛づくろいの回数ではなく、1回あたりの長さです。始めるところまでは今までどおりなので、飼い主の側からは減ったことが見えません。角栓が残る場所は、その子の舌が最後に到達していた場所と、きれいに重なります。
毛づくろいが終わるまで見ていた、という経験
猫が毛づくろいを始めるところは、毎日何度も目に入ります。ところが、終わるところを見た記憶はほとんどありません。始まりは目を引くのに、終わりは静かだからです。途中でこちらが目を離すので、いつ終わったのかを誰も知りません。
ある日、あごの下に黒い点が並んでいるのを見つけて、その足で窓辺に戻り、次に毛づくろいを始めたところで時計を見ました。前足の甲を4回なめて、口のまわりを拭いて、肩まで進んで、そこで顔を上げて外を見て、そのまま丸くなりました。40秒でした。
去年までなら、この続きがありました。肩からわきへ回って、おなかを起こして、後ろ足を持ち上げて、最後に背中の後ろ半分としっぽの付け根まで舌が届いていた。2分近くかかっていたはずです。それが40秒で終わっている。減っていたのは回数ではなく、1回の長さでした。
この日の前後で、その子の1日の見え方は何も変わっていません。食欲も、水を飲む量も、寝ている時間も、去年と大きくは違わない。毛づくろいを始める回数も、感覚としては同じです。だから角栓が増えたときに、原因を毛づくろいの側に探そうとは思いません。探しに行くのは、たいてい食べ物か、季節か、シャンプーの回数です。
シニア期の角栓でつまずくのは、ここです。変化が起きているのは毛づくろいの中身なのに、その中身を最後まで見た人がいない。1回だけ、終わるまで見る。それだけで、去年との差が数字になって出てきます。
角栓は、毛穴の出口に皮脂と古い角質が留まって固まったものです。皮脂は年をとっても毎日出ています。出る量が急に増えたわけではないのに角栓が目につくようになったなら、動いているのは出す側ではなく、留まったものを毎日動かしていた側です。猫の場合、それが毛づくろいです。
回数ではなく1回の長さが縮む、という背景
猫の毛づくろいには、だいたい決まった順番があります。口のまわりを前足で拭き、前足の甲と指のあいだをなめ、肩、わき、胸、おなか、後ろ足、そして体を折りたたんで背中の後ろ半分としっぽの付け根へ進む。個体差はありますが、前から後ろへ、届きやすいところから届きにくいところへ進むという流れは共通です。
この順番が、シニア期の角栓を理解する背景になります。1回の毛づくろいが途中で終わるとき、落ちるのは順番の後ろ半分です。前半はいつもどおり行われ、後半だけが毎回抜けます。抜ける場所が毎回同じなので、そこにだけ角栓が残ります。
| 若い頃 | シニア期 | |
|---|---|---|
| 始め方 | 前足と口のまわりから始まる | 同じ |
| 1回の長さ | 1分半から2分ほど続く | 30秒から1分で終わることが増える |
| どこまで進むか | 背中の後ろ半分、しっぽの付け根まで | 肩からわきのあたりで止まる |
| 終わり方 | 全身を一巡してから休む | 顔を上げて外を見る、そのまま丸くなる |
| 1日の回数 | こまめに何度も | 大きくは変わらない |
| 飼い主から見た印象 | よく手入れしている | よく手入れしている(変わらない) |
表のいちばん下の行が、この話の要点です。1日の回数が変わらないので、飼い主の印象も変わりません。始め方も同じ、回数も同じ。変わったのは長さだけで、その長さは誰も測っていない。だから、減ったことが誰にも見えないまま数か月が過ぎます。
長さが縮む背景そのものは、特別なことではありません。体を折りたたむ姿勢を保つ時間が短くなり、後ろ足を持ち上げてからの一連の動きに使う力が減り、そこまでたどり着く前に一度休みたくなる。年をとれば起きることで、それ自体は困った変化ではありません。困るのは、そのぶんの手入れが誰にも引き継がれないことのほうです。
皮脂は、その間も毎日同じように出ています。あごの下は食器に当たり、背中の後ろ半分は寝床に当たり、しっぽの付け根は毛が密で風が通りにくい。皮脂が出ることと、毎日動かされることは、若い頃までつり合っていました。片方だけが40秒に縮んだので、つり合いが崩れます。角栓は、その差が形になったものです。
角栓が、いつも同じ3か所に残る理由
シニア期の猫で角栓が見つかる場所は、たいてい決まっています。背中の後ろ半分、しっぽの付け根、あごの下。この3か所に集まる理由は、それぞれ少しずつ違います。
- 背中の後ろ半分:毛づくろいの順番でいちばん後ろにあります。1回が途中で終わると、まっさきに落ちる区間です。毛が厚く、皮脂が毛のあいだに留まりやすい場所でもあります
- しっぽの付け根:順番としては最後、しかも体を大きく折りたたまないと舌が到達しません。長さが縮んだとき、ここまで来る回数が最初にゼロになります
- あごの下:順番の問題ではなく、そもそも舌が回らない場所です。若い頃は、前足を湿らせて顔を拭く工程がこれを補っていました。その工程は毛づくろいの中ほどにあり、1回が短くなると回数が減ります
あごの下だけ、理由が1段ずれているところが重要です。ここは舌ではなく前足で手入れされていた場所で、しかも食器と水皿に毎日当たります。皮脂が足される回数はいちばん多く、動かされる回数はいちばん減りやすい。シニア期にあごの角栓から気づく家が多いのは、この重なりのためです。
ここまで来ると、確かめ方はひとつに決まります。角栓の数を数えるのでも、色を見るのでもありません。毛づくろいを1回、最後まで見て時間を測る。これだけです。始まったところで時計を見て、その子が顔を上げて別のことを始めたところで止めます。
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3日つづけて、1回ずつ測る
1日1回で足ります。測るのは、たまたま目に入った回ではなく、最初から最後まで見られた回だけです。途中で声をかけると、そこで終わってしまいます。見るだけにしてください。
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秒数と、止まった場所を書く
「50秒、肩まで」「35秒、前足だけ」。2つだけ書きます。何を書くか迷う項目を作ると、3日そろいません。紙をソファの脇に置いておくのが確実です。
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3日ぶんを見て、止まる場所をそろえる
3日とも同じあたりで止まっていれば、そこから後ろが毎日落ちている区間です。その区間と、角栓が見つかった場所が一致するかを確かめてください。一致すれば、見立ては合っています。
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一致しないときは、別の理由を探す
最後まで到達しているのに角栓が残る、あるいは1回が30秒を切っていて全身のどこにでも出ている。そういうときは、毛づくろいの長さでは説明がつきません。皮膚そのものの変化として、動物病院にご相談ください。
去年の秒数は、測っていないので分かりません。それでも構いません。比べるのは去年ではなく、止まった場所と角栓の場所です。この2つが重なるかどうかだけで、いま起きていることが毛づくろいの側の話かどうかが決まります。
足すのは手入れではなく時間、という考え方
短くなったぶんを、人の手で足します。ここで方向を間違えると、かえって遠回りになります。足すのは「取る手」ではなく、その子の舌が最後に到達していた場所に触れる時間です。角栓を落とす作業ではありません。
この違いは、やってみると分かります。取ろうとすると、目の細かい櫛を押し当てたり、爪の先でひっかいたり、洗う回数を増やしたりする方向へ進みます。シニア期の皮膚は薄く、うるおいが落ちていて、そこに力が加わると赤みが出ます。角栓は押し出せば取れますという考え方から入ると、翌週には角栓の話ではなくなっています。
触れる時間を足すというのは、こういうことです。1日3分、背中の後ろ半分、しっぽの付け根、あごの下の3か所に、手か柔らかい布で触れる。力は入れません。毛の流れに沿って、同じ面を往復させず、一方向に動かします。毛づくろいでやっていたのは、留まりかけたものを動かして、毛の外へ運び出すことでした。人の手で足すのも、同じ動きです。
| 取ろうとする手 | 触れる時間を足す手 | |
|---|---|---|
| 目的 | いまある角栓を落とす | これから留まる分を減らす |
| 力の入れ方 | 押し当てる、こする | 毛の流れに沿ってなでる |
| 1回の時間 | 見つけた点の数だけ、長くなる | 3分で切り上げる |
| 続けたときの皮膚 | 赤みが出て、もとの状態が分からなくなる | 変わらない |
| やめどき | 点が消えるまで、と決めがち | 毎日3分。点の数では決めない |
3か所のうち、あごの下だけは器の話も一緒に見てください。ここは皮脂が足される回数がいちばん多い場所です。器を毎日洗って乾かす、水皿も同じように扱う。触れる時間を足すのと、当たる面を替えるのを、同時に進められるのはここだけです。
ここで一度、年齢の話にしてはいけない変化を挙げておきます。1回の毛づくろいが1週間のうちに急に半分以下になった、まったく始めなくなった、角栓のあった場所が赤く腫れている、さわると嫌がる、毛が抜けて地肌が見えている、体重が落ちている、水を飲む量が変わった。いずれかに当てはまるときは、毛づくろいの長さの話ではありません。動物病院にご相談ください。年をとることで縮む長さは、月の単位でゆっくり縮みます。週の単位で動いたものは、年齢では説明がつきません。
背中の後ろ半分としっぽの付け根は、去年まで舌が届いていて、いまは届かなくなった場所です。触れる時間で毎日動かしていても、毛の奥に入り込んだぶんは、季節の変わり目に一度は洗って流すことになります。ここから先は、人が代わるしかない場所です。
mofuwa モイストシャンプーは、アミノ酸系の洗浄成分を少なくして、そのぶん原料の水を電解水にすることで泡立ちを補っています。少ない洗浄成分でも余分な皮脂が乳化して落ち、落としすぎないので洗い上がりがごわつきません。トリートメントの工程が要らないのは、そのためです。
シニアの猫にとっては、工程が1つ減ることが、そのまま浴室にいる時間の短さになります。毛づくろいを40秒で切り上げる子に、すすぎと仕上げで20分は長すぎます。泡は背中の後ろ半分から置いて、あごの下は最後に、指の腹で。無香料にしてあるのは、猫が自分のにおいを好むからで、洗ったあとに戻ってくるのはその子のにおいです。
続けるあいだ、月に一度は同じ3か所の写真を撮っておいてください。同じ窓辺、同じ時間帯で撮ります。見るのは点の数ではなく、面の広さです。広がっていなければ、いまのやり方でつり合いが取れています。3分を5分に増やす必要はありません。
3日ぶん測った秒数は、半年たつともう一度使えます。同じ窓辺で、同じように1回だけ測って、止まった場所が前と同じなら、つり合いは崩れていません。3か所に触れる3分は、角栓を数えるための時間ではなく、その子の舌がどこまで戻ったか、どこまで下がったかを先に知るための時間です。シニア期の1年を通して続けると、角栓が出る季節がその子ごとに決まっていることまで見えてきます。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
