C04悩み解決
シニア期のドライヤー嫌い|若い頃と同じケアでは追いつかない
ドライヤーを当てはじめて3分、後ろ足が小刻みに震えて、その子が座り込みました。去年までは10分立っていられた場所です。シニア期に入ってから嫌がるようになった、という相談でよく聞くのがこの形です。音や風に今さら慣れなくなったわけではありません。嫌がっている中身は、乾かされることそのものより、その姿勢のまま立ち続けることのほうにあります。だからシニアでは、嫌がりはじめるタイミングが開始時から途中へ移ります。この記事は、立っている時間という一点から、乾かし方を組み直す話です。
3分たってから嫌がる、という変化
若い頃、ドライヤーを嫌がる子は、たいていスイッチを入れた瞬間に逃げました。音が鳴った時点でもう決まっている。飼い主のほうも、そこさえ乗り切れば最後までいけると分かっていました。シニア期に入ると、この形が崩れます。始まりはおとなしい。むしろ以前より落ち着いて見える。そのまま2〜3分たったころ、急に体をひねる、後ろ足を踏みかえる、その場に座り込む。飼い主から見ると「途中で急に嫌がるようになった」となります。
この違いは、慣れの問題として片づけられがちです。年をとって我慢がきかなくなった、頑固になった、という説明です。けれど若い頃と今とで、嫌がりはじめる場所が10秒目から3分目へ動いているなら、それは我慢の量の話ではありません。3分までは平気だったという事実のほうを見てください。
| 若い頃 | シニア期 | |
|---|---|---|
| 嫌がりはじめる場所 | スイッチを入れた瞬間 | 始めて2〜3分たったころ |
| きっかけになっているもの | 音と風そのもの | 同じ姿勢が続くこと |
| 嫌がり方 | その場から逃げる、後ずさる | 足を踏みかえる、体を片側に預ける、座り込む |
| こちらが止めたとき | すぐに元の様子に戻る | しばらく伏せたまま動かない |
| 翌日の様子 | とくに変わらない | 立ち上がりがゆっくりになる日がある |
この表で見てほしいのは、いちばん上の行です。嫌がりはじめる場所が後ろへずれたときは、シニア期のサインとして扱ってください。下の3行は、そのあとに続いて起きることです。逃げるのではなく座り込む、止めても戻りが遅い、翌日に持ち越す。どれも「音が怖い」では説明がつきません。
猫は犬ほど長く立ったままにされませんが、シニア期に体をひねる姿勢が続くと、途中で身をよじって抜け出そうとします。開始時ではなく途中で嫌がるようになったかどうかという見方は、犬猫のどちらにも使えます。
立っている時間から見た、嫌がる背景
ドライヤーをかけているあいだ、飼い主の手は両方ふさがっています。片手に本体、もう片方にブラシか、毛をかき分ける手。そのあいだ、その子は自分の四本足で立っています。ここが見落とされます。乾かす作業を数えるとき、私たちは風を当てた時間を数えますが、その子の側では立っていた時間が過ぎています。
立ったままでいることは、それ自体が仕事です。後ろ足とこしの筋肉が、体重を支え続けています。若い頃に10分立っていられたのは、その仕事に余裕があったからです。シニア期になると余裕から先に減ります。3分で後ろ足が震えるなら、いまのその子の持ち時間は3分だということです。これがドライヤーを嫌がる背景にあるものです。
- 後ろ足を踏みかえる回数が増える:同じ場所に体重をかけ続けられず、左右に振り分けています
- 体を飼い主のほうへ預けてくる:甘えているように見えますが、支えを探している動きでもあります
- こしが落ちて、背中が丸くなる:後ろ足で支えきれなくなったときに、いちばん先に出ます
- 頭が下がり、鼻先が床に近づく:前足側へ体重を逃がしています
- 床の上で足がすべる:フローリングの上では、立っているだけで余分な力が要ります
音・風・熱に対する慣れは、たいてい若いうちに済んでいます。10年一緒に暮らして毎月ドライヤーを使ってきた子が、いまになって音だけを怖がりはじめると考えるより、立っていられる時間が短くなったと考えるほうが、起きていることの順番に合います。この見方に立つと、やることが変わります。音を小さくする工夫より先に、姿勢を変える工夫が来ます。
次に乾かすとき、スマートフォンのタイマーを回したまま始めて、最初に足を踏みかえた時間だけを覚えておいてください。1回で構いません。3分なのか、6分なのか、この数字が分かると、以降の組み立てが全部そこから決まります。ドライヤーを嫌がるシニアの子について、家で取れるいちばん役に立つ数字がこれです。
10年分の経験でできた手順を、姿勢からほどく
厄介なのは、飼い主の手のほうが先に手順を覚えていることです。洗って、タオルで拭いて、立たせて、上から風を当てる。この順番を10年続けていれば、考えなくても体が動きます。その経験がそのまま、シニア期の負担になります。手順は変わっていないのに、その子の側の条件だけが変わったからです。
ほどく場所は一か所です。立っていることを前提にした工程を、横になったまま・伏せたままでできる工程に置き換えます。全部を置き換える必要はありません。実際にやってみると、どうしても立ってもらう必要がある工程は多くありません。
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乾かす場所を、立たせない場所に移す
フローリングの上で立たせるのをやめて、いつも寝ている場所か、滑らないマットの上に移します。移動はドライヤーを持つ前に済ませてください。音が鳴ってから移動させると、その移動まで嫌がる工程の一部になります。
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横になっているあいだに、体の下側を先に済ませる
脇腹、内もも、おなか、前足の内側。立っている姿勢ではいちばん手が届きにくい場所から先に片づけます。その子が自分から横になっている数分は、そのまま使える時間です。声をかけて体勢を変えさせるより、なっている姿勢に合わせるほうが早く終わります。
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伏せたまま、背中の毛を横から起こす
伏せた姿勢でも、背骨の両側からブラシを入れて毛を起こせば、根元まで風が通ります。上から真下に当てるより時間はかかりますが、その子は立っていません。ここで稼いだ時間が、そのまま最後に効きます。
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立ってもらうのは、最後の30秒だけにする
背中の上側と、こしの上だけを立った状態で仕上げます。立っている時間の合計を、1回のケアで1分以内に収めるのが目安です。先に下側が終わっていれば、これで足ります。
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立った状態が要る工程を、実際に数える
紙に書き出してみてください。多くの場合、本当に立ってもらう必要があるのは2つか3つです。残りは、これまで立たせていただけの工程です。10年の経験でひとまとめになっていたものを、ここで分けます。
途中で座り込んだときに、体を抱えて立たせ直すことがあります。これを続けると、その子は逃げ場のない状態を学びます。次からは開始時点で嫌がるようになり、せっかく若い頃に済んでいた音への慣れまで戻ってしまいます。座り込んだら、そこで一度止めてください。
時間を分けるという、シニアのドライヤーの考え方
姿勢を変えても、乾かす総量は減りません。そこで二つ目の手が要ります。1回10分を、3分×3回に分けます。持ち時間が3分なら、3分で一度止める。風を止めて1分ほど休み、その子が自分で体勢を変えるのを待ってから再開します。合計の時間は同じか少し長くなりますが、立ち続ける時間は3分を超えません。
- タオルで水分を取る回数を1回増やす:乾いたタオルに替えてもう一度押さえるだけで、ドライヤーを当てる時間が目に見えて短くなります
- 3分で風を止めて、1分休む:休んでいるあいだは触らないでください。撫でると、休憩がケアの続きになります
- 1回で全部を乾かし切らない:おなか側を昼、背中側を夕方に分けても構いません。分けたほうが、その日のうちに乾きます
- 乾きにくい場所から始める:わきの下、内もも、しっぽのつけね。後半に回すと、いちばん時間のかかる場所を、いちばん疲れた状態でやることになります
- 風の当たる距離を、いつもより離す:近づけて早く終わらせようとすると、熱がこもって動きが増えます
姿勢を組み替えても時間を分けても、洗う日には必ず乾かす工程が来ます。そこで持ち時間を使い切らないように、洗う日の外側に手を入れておく方法があります。mofuwa グルーミングスプレーをガーゼに吹きつけて、口のまわり、しっぽのつけね、内もも。この3か所は、その子が横になっているあいだにそのまま届きます。立ってもらう必要がないので、3分の持ち時間をここでは使いません。汚れが積み上がらないぶん、洗う日にドライヤーを当てる時間も、短いところから始められます。
シニア期に続けやすいのは、1回を丁寧にやることより、短い手入れを何度も置けることです。グルーミングスプレーは舐めても差し支えのない基準でつくられているので、口のまわりに使ったあと、流したり拭き取ったりする工程が要りません。その子を動かさずに終われるということです。ブラッシングの前にひと吹きしておけば、毛が立たない状態で梳かせるので、根元まで風が通るのも早くなります。ドライヤーを嫌がるシニアの子には、当てる時間そのものを削れるこの順番が効きます。炎症や出血がある場合は使用せず、獣医師にご相談ください。
そのうえで、姿勢の話に収まらない変化があります。ドライヤーの前後に関係なく、立ち上がるのに時間がかかる。特定の側にばかり体重をかける。段差をためらう。伏せる姿勢が左右どちらかに崩れる。これらは乾かし方の工夫では動きません。動物病院で相談してください。関節やこしの状態は、家で見分けられるものではありません。
3分どころか30秒で足が震える/ドライヤーと関係のない場面でも立っていられない/片側の後ろ足だけを浮かせる/触られると声を出す/背中やこしを触ると体をこわばらせる/急に立てなくなった日がある。いずれかに当てはまるときは、乾かし方を変える前に動物病院にご相談ください。ドライヤーを嫌がることが、体のほうの変化に最初に気づくきっかけになることがあります。
最後にひとつ。「年だから仕方ない」で止めないでください。シニア期の変化には、家でのやり方を変えれば戻せるものと、戻せないものが混ざっています。立っている時間が短くなったこと自体は戻せません。けれど、立たせずに乾かすことはできます。ドライヤーを嫌がるようになったという一点から、その子の体が今どういう条件で動いているかが見えます。嫌がり方が変わった日を、記録の始まりにしてください。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
