C12Q&A・豆知識
忌避剤(きひざい)とは?犬猫の虫よけで殺さずに遠ざける考え方
犬の虫よけを選ぼうとして、パッケージの裏に「忌避剤」という言葉を見つけることがあります。忌避剤とは、近づかせないことを目的として作られた製品の呼び名です。読み方は「きひざい」。殺すことは目的に入っていません。だから「使ったのに虫が減らない」は、忌避剤にとって失敗ではありません。数を減らすための道具ではないからです。ここが分かると、犬に使ったときの効きめの見方も変わります。見るのは「いなくなったか」ではなく、散歩から帰ったあとに「体に付いたか」のほうになります。この記事では、忌避剤とは何を指す言葉なのか、そして犬や猫と暮らす家で何を見て判断すればいいのかを、8つの問答に分けて書きます。
忌避剤とは、何を指す言葉ですか
忌避剤とは、近づかせないことを目的として作られた製品の呼び名です。読み方は「きひざい」。「忌避」という言葉が、いやがって避ける、という意味を持っています。虫の側に「ここは居心地がよくない」と感じさせて、その場から離れてもらう。それが目的として置かれているものを、まとめてこう呼んでいます。
呼び名である、というところが大事です。忌避剤という言葉は、中に何が入っているかを表していません。表しているのは、何を目的に作られたかのほうです。だから、成分がまったく違う製品が、どちらも忌避剤と呼ばれることがあります。植物からとった成分のものも、合成された成分のものも、目的が同じならこの呼び名に入ります。
犬や猫と暮らす家では、この呼び名は2つの場面で出てきます。1つは、その子の体や被毛に使うもの。もう1つは、家の中や庭で、近づいてほしくない場所に使うものです。どちらも忌避剤ですが、対象が違うので、選ぶときに見る表示も変わります。この記事では主に前者、犬や猫に使う側の話をしていきます。
製品の言葉には、性能を表すものと、目的を表すものがあります。忌避剤は後者です。「どれくらい強いか」を語る言葉ではなく、「何をしようとして作られたか」を語る言葉になります。だから、忌避剤という表示があるからといって、それだけで強い弱いは読めません。強さのほうは、成分と濃度と使い方の表示を別に見ることになります。
殺虫剤とは、目的がどこで分かれるのですか
分かれるのは1点だけです。忌避剤は、虫にその場から離れてもらうことを目的にしています。殺虫剤は、虫の数を減らすことを目的にしています。どちらが優れているという話ではありません。解こうとしている問題が最初から違います。だから、置き換えて使うと、期待していた結果が出ません。
この違いは、使ったあとに起きることの違いとしても出ます。忌避剤を使った部屋でも、虫はそのあたりを飛んでいます。近づかないだけで、いなくなってはいません。逆に、数を減らす側の製品を使った場所では、しばらく数が下がりますが、外から入ってくれば元に戻ります。どちらも「ずっと続く」ものではない、というところは共通しています。
犬や猫と暮らす家で忌避剤という言葉がよく出てくるのは、対象が体だからです。体の上で数を減らそうとすると、その子の皮膚と被毛にも同じものが載ることになります。だから、体に使うものは「近づかせない」という目的の側に設計が寄っていきます。これは思想の話ではなく、使う場所が体である以上そうなる、という順序の話です。
言葉の使われ方として、もう1つ書いておきます。忌避剤という表示がない製品でも、目的が同じなら中身としては忌避剤にあたることがあります。パッケージの表側に「虫よけ」とだけ書かれ、裏の用途欄で目的が分かる、という形はよくあります。呼び名を探すより、用途の欄を読むほうが早いことが多いです。
使っても虫が減らないのは、忌避剤が働いていないということですか
減らないこと自体は、失敗にあたりません。忌避剤は、数を減らすための道具ではないからです。虫がまわりを飛んでいる、庭に相変わらずいる、というのは、忌避剤を使った結果として当たり前に起きます。数が変わらないまま、体に近づく回数だけが変わる。それが、この種類の製品が目指している形です。
ここを取り違えると、判断がまるごとずれます。「まだいるから効いていない」と考えて、量を増やしたり、体に使うものを場所に使うものへ替えたりする。どちらも、目的の違う道具に、目的の違う仕事をさせようとしていることになります。増やしても、数の側は動きません。
- 虫が見えている:忌避剤を使っても、そのあたりを飛んでいる数は変わりません
- 音がしている:耳のそばで羽音がすること自体は、止まりません
- 近づいてくる:近づいたところで離れる、という形になるので、接近そのものは起きます
- 体に止まらない:ここが、忌避剤が担当している範囲です
- 時間がたつと戻る:切れれば元の条件に戻ります。持続の長さは製品ごとに違います
上から3つは、忌避剤の担当ではありません。担当は4つめの1行だけです。この1行に絞って見ると、使ったことに意味があったかどうかが判断できます。逆に、1つめから3つめを判断材料にしているかぎり、どの製品を使っても「効いていない」という結論にたどりつきます。見ている場所が、最初から外れているからです。
もう1つ、減らないことには実用上の意味もあります。数を減らそうとすると、対象は虫のいる場所全体になります。犬や猫が過ごしている場所は、たいていその中に入っています。体に近づかせないという形にしておけば、手を入れる範囲がその子の体の上だけで済みます。範囲が狭いほうが、量も回数も抑えられます。
では、忌避剤の効きめは何を見て判断するのですか
見るのは「体に付いたか」です。いなくなったかどうかではなく、その子の体の上に虫が止まったかどうか。ここだけを数えます。忌避剤とは何をする製品かという定義から、そのまま出てくる測り方です。目的が「近づかせない」なら、確かめるのは「近づいたか」になります。
| 見ているもの | そこから言えること | 忌避剤の判断に使えるか |
|---|---|---|
| まわりを飛んでいる数 | その日そこにいた虫の量 | 使えません。数は担当外です |
| 体に止まった回数 | 近づかせられたかどうか | 使えます。ここが担当範囲です |
| 散歩から帰ったあとの体 | 屋外で体に付いたかどうか | 使えます。帰宅後に見ます |
| 刺された跡があるか | 止まったあと、何が起きたか | 参考になりますが、跡は遅れて出ます |
| その子のかゆがり方 | 体に起きている変化 | 使えません。忌避剤の担当範囲の外にあります |
表の下2行は、判断の材料として扱いが違います。跡やかゆがり方は、忌避剤の効きめではなく、その子の体に起きていることです。忌避剤という言葉の範囲を超えているので、ここを製品の善し悪しの話に混ぜないほうがいいです。体の変化が続くときは、使うものを替える前に、最後の囲みに書いた相談の話になります。
測り方が変わると、比べ方も変わります。忌避剤どうしを比べるときも、比べるのは数ではなく回数です。同じ場所を同じ時間帯に歩いて、体に止まった回数がどうだったか。条件をそろえないと比べられないので、道と時間帯を1つに決めておくと判断しやすくなります。
そして、時間の側の条件があります。忌避剤には持続の目安が書かれていることが多く、その時間を過ぎれば元の条件に戻ります。戻ったあとに体に止まったことを「効かなかった」と数えると、記録が壊れます。数えるのは、使ってから目安の時間内のあいだだけにします。
「体に付いたか」は、家でどうやって数えるのですか
細かい記録は要りません。散歩から帰ったあとに、体を見る場所を3か所に決めて、そこだけを見ます。全身を探すと続かないので、場所を絞ります。決めた3か所を毎日同じ順番で見る、というだけの形にすると、1週間で自分の家の数字が出ます。
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見る場所を3か所に決める
毛が薄くて皮膚が見えるところが向いています。耳のふち、腹側、内ももの3か所を基本にします。被毛が厚い場所は見えないので、最初から数える対象に入れません。
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帰ってきたらすぐ、その3か所だけを見る
時間をおくと、付いていたものが落ちてしまいます。玄関で足を拭くついでに済ませると、工程が増えません。1か所5秒で足ります。
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付いていたかどうかだけを、その日の欄に書く
数を数える必要はありません。付いた/付かなかったの2つで足ります。手帳でもスマートフォンでも、あとから並べて見られる形にしておきます。
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1週間ためてから、使った日と使わなかった日を並べる
1日では何も分かりません。同じ道を歩いた日を7日ぶん並べると、その子の条件での差が見えてきます。差が出なければ、道か時間帯を変えて、もう1週間続けます。
この記録は、忌避剤を選ぶためだけのものではありません。その子の体を毎日見る習慣が、そのまま残ります。虫の話とは別に、皮膚の色、かさつき、被毛の絡み、においの変化も、同じ3か所を見ていれば気づけます。ケアの入り口としては、こちらのほうが長く役に立ちます。
記録をつけていると、判断に迷わなくなる場面が出てきます。たとえば「今年は虫が多い」という感覚は、記録がないと製品の側のせいに見えます。付いた日が去年と同じくらいなら、変わったのは数のほうで、忌避剤の担当範囲は動いていない、という読み方ができます。
忌避剤として作られたものかどうかは、表示のどこで分かりますか
見るところは3つあります。用途の欄、対象の欄、使い方の欄です。この3つがそろっていると、その製品が何を目的に、誰に向けて、どう使う前提で作られたかが読めます。忌避剤という言葉そのものが書かれていないこともあるので、言葉を探すより欄を読むほうが確実です。
- 用途の欄:近づかせないことが目的か、数を減らすことが目的か。ここに目的が書かれています
- 対象の欄:人用か、犬猫用か、場所用か。体に使えるかどうかは、ここでしか読めません
- 使い方の欄:どこに、どのくらい、どの間隔で。持続の目安もここに書かれています
- 成分の欄:何が入っているか。濃度まで書かれているかどうかで、読める情報が変わります
- 注意書きの欄:使わない場所、使わない相手。目や口のまわりの扱いはここに出ます
犬や猫に使うものを選ぶときは、対象の欄が最優先になります。人に向けて作られた忌避剤は、なめられることを前提にしていません。これは中身の善し悪しではなく、設計している前提の違いです。犬や猫は塗ったところを口で確かめるので、体に使うものは、その前提が入っているかどうかで選ぶことになります。
用途の欄については、書かれていない場合の読み方も決めておくと迷いません。目的がどこにも書かれていない製品は、目的が読めない製品として扱います。強いか弱いかを推測するより、そのほうが早く済みます。読めないものは選ばない、という線の引き方が、家でできる範囲の判断としては現実的です。
忌避剤という言葉から言えないことは、何ですか
忌避剤という呼び名から読めるのは目的だけで、強さも、続く長さも、犬に使えるかどうかも読めません。言えないことを先に置いておくと、この言葉は使いやすくなります。ここを独立させて書いておきます。呼び名を見た瞬間に付け足してしまいがちな情報が、いくつかあるからです。
| 読みたくなること | この言葉から読めるか |
|---|---|
| 何を目的に作られたか | 読めます。それがこの呼び名の中身です |
| どのくらい強いか | 読めません。成分と濃度の欄を別に見ます |
| どのくらい続くか | 読めません。使い方の欄に書かれています |
| どの虫に向けたものか | 読めません。対象の欄で確かめます |
| 犬や猫に使えるか | 読めません。対象の欄でしか判断できません |
| 体に起きることが減るか | 読めません。体の側で起きていることは、この言葉の外側です |
最後の行を、もう少し書いておきます。忌避剤は、虫が体に近づく回数の側を扱うものです。その子の皮膚に起きている変化は、別の話になります。かゆがり方が続く、同じ場所をなめている、赤みが引かない。こうしたことを忌避剤の側で解こうとすると、時間だけが過ぎます。使うものを替える前に、相談する順番になります。
もう1つ、書き方の線も引いておきます。この忌避剤を使えば虫が来なくなりますという形の言い方は、目的を結果に置き換えています。忌避剤について言えるのは、近づかせないことを目的に作られている、というところまでです。その目的がその子の環境でどう働くかは、使ってみて、上で書いた記録の形で確かめるほかありません。
忌避剤とは何かを、3つの文に畳む|犬の散歩から帰ったあとに見る場所
ここまでを畳みます。忌避剤とは何かは、3つの文で足ります。
| 畳んだ文 | そこから決まること |
|---|---|
| 近づかせないことを目的にした製品の呼び名です | 殺すことは目的に入っていません |
| 数を減らす道具ではありません | 虫が減らないことは失敗にあたりません |
| 効きめは、体に付いたかどうかで見ます | 帰宅後に3か所だけを見て記録します |
この3つを持っていれば、棚の前で迷う時間がかなり減ります。見るのは、用途の欄と対象の欄。判断するのは、家に帰ってからの体の上。言葉の意味と、測り方が対になっているので、片方だけを覚えても働きません。
毎日のケアとの関係も書いておきます。虫が多い時期は、散歩のあとに犬の体を見る回数が自然に増えます。そのついでに、皮膚と被毛の状態も一緒に見ておくと、記録が二重に使えます。mofuwa においがしない虫よけスプレーは、ディートを使わず、人は気にならないけれど蚊が嫌がるとされる香り成分を選んでつくりました。化粧品に使われる原料でつくっています。散歩のたびにかけるものなので、においが部屋や車に残らないことに意味があります。犬も猫もかけたところを舐めるので、そこを前提に設計されているかどうかで選ぶことになります。
同じ場所をかき続ける、なめ続けている、赤みやふくらみが引かない、被毛が抜けた場所がある、皮膚のにおいが変わった、元気の出方が違う。こうした変化が続くときは、忌避剤の種類を替えたり量を増やしたりする前に、動物病院にご相談ください。忌避剤は近づく回数の側を扱うもので、体に起きていることを判断する道具ではありません。いつから、どこが、どう変わったかと、その週に歩いた場所をメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
忌避剤という言葉を覚える意味は、棚の前より、家に帰ってからのほうにあります。散歩から帰ったら、決めた3か所を5秒ずつ見る。この記録が1週間たまると、虫よけスプレーを使った日と使わなかった日の差が、うちの犬の条件で見えてきます。差が見えるようになると、製品を替えるかどうかを、その日の感覚ではなく記録で決められます。次の夏も、同じ3か所から始めてください。
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よくある質問
- 忌避剤の読み方は何ですか
- 「きひざい」と読みます。いやがって避けるという意味の「忌避」に、薬剤の「剤」がついた言葉です。近づかせないことを目的として作られた製品の呼び名で、中に何が入っているかまでは表していません。
- 犬に使っても虫が飛んでいます。効いていないのでしょうか
- まわりを飛んでいる数は、忌避剤の担当ではありません。数を減らすための道具ではないからです。見るのは、散歩から帰ったあとに犬の体へ止まっていたかどうかで、そこだけを数えます。
- 犬や猫に使えるかどうかは、どこを見れば分かりますか
- 対象の欄です。人に向けて作られたものは、塗ったところを舐めない前提で設計されています。犬や猫は塗った場所に口が届くので、犬猫用と書かれているか、使わない場所の注意書きがあるかを先に確かめます。
- 効いているかどうかは、何日くらいで分かりますか
- 1日では分かりません。同じ道を同じ時間帯に歩いた日を7日ぶん並べて、体に付いた日と付かなかった日を比べます。差が出なければ、道か時間帯を変えて、もう1週間続けます。
- 忌避剤と殺虫剤は、どう使い分ければいいですか
- 困っていることがどちらかで決まります。犬の体に近づかせたくないなら忌避剤、その場所の数を減らしたいなら数を減らす側です。体の上で数を減らそうとすると、同じものが皮膚と被毛にも載ることになります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
