C12Q&A・豆知識

猫はなぜ水を嫌がる?

公開日 2024年9月27日|文=mofuwa編集部

明るく静かな部屋で、窓のそばの淡い色のブランケットの上に落ち着いて横たわっているクリーム色の猫
猫が水を嫌いな理由を考えるとき、材料になるのは水の冷たさより、濡れてから乾くまでの時間の長さです。写真:Merve Bayar/Pexels

水に濡れた猫の毛は、乾くまでのあいだ体に貼りつき、走ることも高いところへ跳ぶこともしにくくなります。猫が嫌いだと示している理由として挙げられているのは、水そのものより、この乾くまでの時間の長さのほうだとされています。猫の被毛は水を含みやすく、いったん全身が濡れると、乾くまでにかなりの時間がかかります。だから、嫌いという反応を軽くしたいときに家で動かせるのは、水の温度や声のかけ方より、濡れている時間の長さになります。この記事では、猫が水を嫌いな理由をめぐる疑問を8つの問答に分けて、家で短くできるところまで書きます。

猫が水を嫌いな理由は、ひとことで言うと何ですか

濡れてから乾くまでの時間が長いこと。これが、猫が水を嫌いな理由としていちばん多く挙げられているものです。猫の毛は水を含みやすく、含んだ水はそのまま重さになります。その重さが抜けるまで、猫はいつもの歩き方も、いつもの跳び方もできません。水の冷たさや、水に触れる感触そのものより、この動けない時間のほうが猫にとっての中身だとされています。

だから答えは、条件で割れます。全身が濡れる場面では、多くの猫が強く嫌がります。足の先だけが濡れる場面では、平気な猫がかなりいます。雨の日に外へ出た猫が、足だけ濡らして帰ってきて、そのまま毛づくろいを始めるのを見たことがある人は多いはずです。同じ水なのに反応が分かれるのは、濡れた面積と、乾くまでにかかる時間が違うからです。

この見方には、家にとって都合のいいところがあります。水そのものが理由なら、家でできることはほとんどありません。けれど時間が理由なら、短くする手が残ります。濡らす面積を狭くする、水を取り始めるまでの間を詰める、流さずに済ませる。どれも家で選べることです。この記事のあとの問答は、その削りどころを1つずつ開いていきます。

Note同じ水でも、濡れた面積が変わると猫の反応が変わります

肉球の裏が濡れた、口のまわりが濡れた、背中の半分が濡れた、全身が濡れた。この4つは、猫にとってまったく別の出来事です。面積が広がるほど、乾くまでの時間が延び、そのあいだ動きにくい状態が続きます。「猫は水が嫌い」とひとまとめにすると、この差が見えなくなります。家で手を入れるときは、まず面積の話として考えてみてください。

濡れた猫の体では、乾くまでのあいだに何が起きているのですか

起きていることは、大きく3つに分けられます。毛が体に貼りつくこと、重さが増えること、体の熱が逃げやすくなることです。どれも、乾くまでのあいだだけ続きます。

この4つ目が、犬の場合より重く効いていると考えられています。猫は自分で毛づくろいをして、被毛の状態をいつも自分で整えている動物です。全身が濡れると、その整え直しがまるごと必要になります。洗ったあとの猫が、長い時間をかけて毛づくろいを続けるのは、乾かしているというより、自分の手で状態を作り直しているのに近い動きです。

濡れてから毛づくろいが終わるまでに、猫の側で進んでいること
段階体の側で起きていること猫の側の様子
濡れた直後毛が水を含んで重くなります体を低くして動きが止まります
水を取っている間表面の水が減っていきます身をよじって逃げようとします
乾いていく間毛が少しずつ立ち上がります落ち着かず、場所を移します
乾いたあと毛の向きが乱れたまま残ります長い毛づくろいが始まります
毛づくろいのあと毛の向きと空気の層が戻りますいつもの動きに戻ります

猫にとっての「終わり」は、乾いた時点ではなく、毛づくろいが終わった時点です。人が「乾いたから終わり」と思っている時間の外側に、猫の側の工程がもう1つ残っています。猫が水を嫌いな理由を時間で考えるなら、この最後の工程まで数に入れてください。全身を濡らすということは、この工程まで含めた時間を、その子に渡すということになります。

「猫の祖先が砂漠にいたから」という説明は、どこまで言えますか

この説明は、あちこちで見かけます。言えるのは「イエネコの祖先は乾燥した地域で暮らしていたという説があります」というところまでです。そこから「だから猫は水が嫌い」まで一本でつなぐのは、少し飛んでいます。由来の話は、そう考えられているという説明であって、目の前の猫の反応を決めている理由そのものではありません。

つながらない理由は2つあります。1つは、個体差が大きすぎることです。同じ祖先から来ているはずなのに、蛇口から落ちる水に前脚を差し込む猫もいれば、洗面台に張った水をのぞきこむ猫もいます。祖先の話だけでは、この差を説明できません。

もう1つは、経験で変わることです。子猫のころに水に触れる機会があった猫と、まったくなかった猫では、反応が違うことが知られているとされています。生まれつきだけで決まっているなら、経験で動く余地は残らないはずです。実際には動きます。

Point由来の説明は、明日の手を変えません

祖先の話が面白いのは確かですが、その説明を採用しても、家でやることは1つも増えません。一方、「乾くまでの時間が長いから」という理由を採用すると、短くするという手が出てきます。同じ疑問への答えでも、家で動かせる部分を持っている答えのほうを選んでください。猫が水を嫌いな理由を調べているときは、そこが分かれ目になります。

同じように濡れても、犬があまり嫌がらないのはなぜですか

まず、犬にも水を嫌がる子はたくさんいます。種の差として置くと、この問いはすぐに外れます。見るなら、物としての条件のほうです。毛が含む水の量、乾くまでの時間、濡れる経験の回数、人の手が入る頻度。この4つが、犬と猫で平均的に違っています。

反応が分かれるときに効いている、物としての条件
条件多くの猫の場合多くの犬の場合
濡れる機会室内にいるので年に数回散歩や雨で日常的に起こります
濡れた経験の数慣れる材料がほとんどありません回数があるぶん慣れる余地があります
被毛の整え方自分の毛づくろいで整えます人の手で整えることが多いところです
人が触る量体に触れる時間が短めです毎日どこかしら触られています
洗われる理由汚れが乗ったときだけです散歩後など予定として入ります

この表で効いているのは、2行目です。年に数回しか起きないことには、慣れの材料が足りません。猫にとって全身が濡れるのは、めったに起きない出来事で、しかも起きるときは人が始めて人が終わらせます。予測が立たず、自分で終わらせられない出来事は、回数が少ないほど強い記憶になります。

つまり、猫が水を嫌いな理由には、体の側の条件だけでなく、その出来事がその子の生活の中で何回起きたか、という数の側の条件も混ざっています。ここも家で動かせる部分です。回数を増やすという意味ではなく、1回あたりを短くして、終わりが読める形にするという意味で動かせます。

蛇口の水は触るのに、洗われるのだけ嫌がるのはなぜですか

この2つは、猫の側から見るとまったく違う出来事です。蛇口の水は、前脚の先だけが濡れて、自分で始めて自分でやめられます。全身を洗われるほうは、体のほとんどが濡れて、人が始めて人がやめます。水があるという一点だけが同じで、残りの条件は全部違っています。

最後の足場は、見落とされやすいところです。濡れた面は滑ります。猫は爪を立てて体を支える動物なので、滑る面の上では踏ん張りが効きません。動きの自由が奪われている状態で、さらに体が濡れていく。水を嫌いだと示している反応のうち、かなりの部分がここから来ている可能性があります。

逆に言えば、「自分でやめられる」と「足がしっかり着く」の2つが保たれていれば、同じ水でも受け入れられることがあります。洗う必要が出たときに、滑らない敷物を1枚置くだけで様子が変わる子がいるのは、この理由です。水の量を減らすより先に、足元を見てください。

濡れている時間を短くするには、どこを削ればいいですか

削れるところは3つあります。濡らす面積、すすぎの工程、水を取り始めるまでの間です。この3つはどれも家で選べます。反対に、いくら工夫しても短くならないものが1つあります。毛が水を手放す速さそのものです。ここは道具でも順番でも動きません。

  1. 濡らす面積を、必要なところだけに絞る

    汚れが乗ったのが足先なら、足先だけを濡らします。全身を濡らす理由がその日にあるのかを、先に1回確かめてください。面積が半分になれば、乾くまでの時間も、猫が我慢する時間も一緒に短くなります。

  2. 道具を全部そろえてから始める

    途中で取りに行くと、その時間はまるごと濡れている時間になります。猫の側から見ると、人が席を外している時間がいちばん長く感じられます。始める前に手の届く範囲にそろえてください。

  3. 水を止めたら、すぐに水を取り始める

    止めてから拭き始めるまでの数十秒が、そのまま乾くまでの時間に足されます。乾かす工程は、風を当てるところではなく、水を取るところから始まります。先に水を取っておくほど、あとの時間が短くなります。

  4. 流さない方法が使えないかを考える

    全身を濡らして流す手順のかわりに、布に含ませて拭き取る形にできる場面があります。濡れる面積が小さく、すすぎがないので、猫が濡れている時間そのものが短くなります。

全身を濡らす日と、部分だけを濡らす日で、猫に渡す時間が変わる 同じ水を使うケアでも、濡らす面積を変えると、乾くまでの時間と猫が我慢する時間が一緒に動きます。左右で、その日の工程がどう変わるかを並べました。 汚れが乗った場所だけを見て、面積を決めてください 全身を濡らす日 体のほとんどが濡れます すすぎの工程が入ります 乾くまでの時間が延びます 毛づくろいのやり直しが長い 終わりを人が決めます 部分だけを濡らす日 濡れるのは一部だけです すすぎが要りません 乾くまでの時間が短い 毛づくろいも短く済みます 途中で離れられます どちらを選ぶかは、その日に汚れが乗った面積で決まります
濡らす面積は、そのまま猫が我慢する時間の長さになります。

図の左右で違うのは、水の種類でも道具でもありません。濡らすと決めた面積だけです。猫が水を嫌いな理由を時間として捉えると、家の判断はここに集まります。全身を濡らす必要が本当にあるのかを、洗う前に1回だけ考えてみてください。獣医師から指示があるときは、その指示が優先です。

水を使わない日には、猫に何をしておけばいいですか

水を使わない日にやることを決めておくと、全身を濡らす日そのものが減っていきます。猫が水を嫌いなら、いちばん確実なのは、水を使う回数を必要な分まで下げることです。そのために、乾いた手でできることを積んでおきます。

  1. ブラッシングで、浮いた毛を先に外へ出す

    毛が絡んだまま残ると、いざ濡らしたときに乾くまでの時間が延びます。水を使わない日の一手が、水を使う日の時間を短くします。1回は短くて構いません。

  2. 水を使わないケアで、毛の流れに沿って一往復させる

    乾いた布に吹きつけて、毛の流れに沿って一往復させます。布を当てるだけの手なら、猫はいつでも離れられます。濡らして流す工程が入らないので、乾かす時間そのものが発生しません。ここで使う mofuwa スキンケアミストには、香料を入れていません。全身が濡れると自分のにおいが薄まる、というのがs2で挙げた4つ目でしたから、上に別のにおいを重ねないことが、そのまま条件を1つ満たします。一往復が終わったら、猫が離れなくてもそこでやめてください。短い、同じ場所、猫の側で終われる。この3つがそろっている手だけが、毎日積める手になります。

  3. 汚れが乗りやすい3か所だけを拭く

    口のまわり、前脚の先、尾のつけ根。全身をやろうとせず、3か所に絞ります。絞ると毎日続き、続くと全身を濡らす必要が出にくくなります。

  4. 触られることそのものを、短い時間で積んでおく

    水と関係のない場面で、体に手が触れる時間を短く積んでおきます。押さえられる形にならないよう、猫が離れたらそこで終わりにしてください。

この4つは、どれも猫が自分で離れられる形でできます。それが、洗う工程との最大の違いです。猫が水を嫌いな理由の中に「自分で終われないこと」が混ざっている以上、終われる形の手を積んでおくことに意味があります。

汚れの種類によっては、水で流したほうが早いこともあります。油分の多い汚れや、量が多いときは、拭き取りだけでは残ります。そのときは面積を絞り、s6の順番で時間を詰めてください。どの方法を選んでも、乾くまでの時間はゼロにはなりません。そこを前提に予定を組むのが、いちばん外れない組み方です。

猫が水を嫌いな理由を、3つの時間に畳む

ここまでを畳みます。猫が水を嫌いな理由は、3つの時間の合計として読めます。この3つを短くできれば、同じ水を使っても負担が変わります。

猫に渡している3つの時間と、家で短くできるかどうか
時間中身家で短くできるか
濡れている時間水を止めるまでの時間です面積とすすぎで短くできます
乾くまでの時間毛が水を手放すまでです先に水を取ると短くなります
整え直す時間毛づくろいが終わるまでです面積が狭いほど短くなります

3つのうち、真ん中の時間だけは限界があります。毛が水を手放す速さそのものは、家では変えられません。だから手を入れるのは、両端の2つになります。濡らす面積を決めるところと、水を取り始めるところ。この2か所を意識するだけで、猫が我慢する時間は目に見えて変わります。

最後に、猫が水を嫌いな理由を調べている人に残りやすい疑問を1つ書いておきます。「嫌がり方が前より強くなった気がするけれど、性格なのか、体の側の変化なのかが分からない」というものです。この切り分けは家では難しいところです。次の項目に当てはまるときは、洗い方を工夫する前に相談してください。

Caution触られ方が変わったときは、動物病院にご相談ください

前は触らせていた場所を避けるようになった、抱き上げると鳴くようになった、同じ場所をなめ続けている、毛づくろいが急に減った、または急に増えた、皮膚が赤い、フケが増えた。こうした変化があるときは、水を嫌いになったという話とは別に、体の側で起きていることがあります。家では切り分けられないので、動物病院にご相談ください。いつからか、どこを触ったときかをメモして持っていくと、その場で見てもらえます。

明日からやることは、この節の4つのうち1つで足ります。口のまわり、前脚の先、尾のつけ根。この3か所を、猫が離れたらそこで終わりという形で、毎日1回だけ。猫が水を嫌いな理由が3つの時間の合計なら、家で削れるのはいちばん長い最初の時間で、それを削るのは洗う日の工夫ではなく、洗う日を減らしていく毎日のほうです。半年続けたころ、全身を濡らした日が何回あったかを数えてみてください。数えられる回数まで減っていれば、その子にとって水は、めったに来ない出来事ではなくなっています。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。