C12Q&A・豆知識

断水時に必要な水の量

公開日 2024年9月20日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床で、白い水の器のそばに落ち着いて座っている淡い色の猫
断水の備えで先に決まっているほうがいいのは、ペットが飲む水の量です。体に使う水は、あとから組み替えられます。写真:Huy Phan/Pexels

断水のときにペットへ何リットル用意すればいいか、という数字を、この記事では書きません。1つの数字にまとめた時点で、その家では使えない数になるからです。ペットに要る水は、飲む水と、体に使う水の2つに分かれます。この2つは、量の決まり方も、必要になる順番も違います。比べる相手はお互いです。体に使う水には代わりがありますが、飲む水には代わりがありません。だから断水の備えは、まず飲む水の側から決まります。この記事では、2つの水を並べて比べ、最後に、その家の数字を1週間で出す方法まで書きます。

断水で必要な水の量は、何を数えたかで変わる|ペットの水を2つに分ける

「断水のときにペットに必要な水の量」という数字を見かけたら、先に確かめておきたいことがあります。その数字が、何を数えた数字なのかということです。飲む分だけを数えた数と、器を洗う分や体を拭く分まで入れた数では、同じ言葉で呼ばれていても中身がまったく違います。数え方が違う数字を、そのまま自分の家に持ち込むと合いません。

同じ「断水でペットに必要な水」でも、何を数えたかで中身が変わる
何を数えたか入っているもの抜けやすいもの
飲む分だけ器に入れる水器を洗う水、食器まわりの水
飲む分と食事の分ウェットフードや水分の多い食事体に使う水すべて
1日ぶんで数えたその日に使う量何日続くかという条件
頭数でかけ算した多頭の家の合計体の大きさの差、季節の差
家族の分と一緒に数えた家全体の総量ペットの分がどこまでかという線

表を見ると、数字が動く理由が2つあると分かります。1つは「何を数えたか」、もう1つは「何日ぶんで数えたか」です。この2つが書かれていない数字は、どこかの家では正しくても、別の家では足りないか、多すぎるかのどちらかになります。断水の備えでいちばん困るのは、足りないことより、合っていない数字を信じて確かめなくなることのほうです。

Noteこの記事では、リットル数の目安を書きません

「体重◯kgなら1日◯リットル」という形の数字は、この記事では出しません。理由は3つあります。ペットの飲む量は体の大きさ・季節・食べているものの水分量で動くこと。体に使う水は、その家の床材や被毛の状態で変わること。そして、何日ぶん備えるかは、住んでいる場所の事情で決まることです。この3つが分からないまま1つの数にまとめると、どの家にも当てはまらない数になります。代わりに、この記事の最後で、その家の数字を1週間で出す方法を書きます。よそから借りた平均より、自分の家で数えた数のほうが当たります。

そのうえで、数え方によらず共通していることが1つあります。ペットに要る水は、飲む水と、体に使う水の2つに分かれるということです。この2つは、量の決まり方が違い、代わりがあるかどうかも違い、断水の何日目に効いてくるかも違います。分けずに合計だけを見ていると、備えの順番を決められません。ここから、2つを別々に見ていきます。

軸1・飲む水|断水でペットのために代わりが用意できない水

1つめの軸は、飲む水です。この水の特徴は、代わりが用意できないという一点に尽きます。体に使う水は別の手で置き換えられますが、飲む水を置き換える手はありません。だから断水の備えを組むときは、この軸から先に決めます。

飲む量そのものは、思っているより動きます。同じ体重でも、その日の気温、運動の量、食べているものによって変わります。とくに大きいのが食事の水分です。水分の多いウェットの食事をしている子と、乾いた食事をしている子では、器から飲む量が変わってくると説明されています。よその家の数字が当てにならないのは、ここが家ごとに違うからです。

ここで、書けない話にも線を引いておきます。「ペットは水なしで何日もつか」という問いには、この記事では答えません。体の大きさ、年齢、そのときの体調によって変わるうえ、判断そのものが獣医療の側にあるからです。飲む水については「削れる日数」という考え方をしない、と決めておくのがいちばん安全です。削れないものとして、最初に確保する。それだけで足ります。

断水の初日から、この軸はそのまま効いてきます。体に使う水は初日に削れますが、飲む水は初日から必要です。だから備蓄の中で、いちばん先に置き場所と量を決めておくのが飲む水になります。家で分かるのは、ふだんどれだけ器に足しているか、という補充の量です。それが、その家の飲む水の数字になります。

もう1つ、器の側の話も添えておきます。断水のあいだは器を洗う水も止まります。飲む水を確保していても、器が洗えないと、水を入れる先がなくなります。器をもう1つ用意しておく、あるいは使い捨ての浅い容器を数枚入れておく。これは飲む水の量とは別枠の備えですが、飲む水の軸に付いてくる条件です。

軸2・体に使う水|断水のあいだ、ペットのケアで置き換えられる水

2つめの軸は、体に使う水です。洗う、すすぐ、足を洗う、口のまわりを流す、排泄のあとを流す、器を洗う。ふだん蛇口から出している水のうち、飲む以外の部分が全部ここに入ります。量としては、こちらのほうが多くなる家がほとんどです。

この軸の特徴は、飲む水と逆です。体に使う水には、置き換えの手がいくつもあります。洗うのをやめて拭くに変える。全身をやめて部分だけにする。水を使わないケアに切り替える。ブラッシングで済ませる。どれも、断水のあいだだけなら成り立つ手です。だから、断水の初日にいちばん先に削れるのが、この軸になります。

ただし、この軸もゼロにはできません。口のまわりと、排泄のあとの始末は、断水でも残ります。ここを削ると、においと汚れが積み上がって、断水が明けたあとの手間が跳ね上がります。置き換えられる、というのは「使う量を減らせる」という意味であって、「使わなくていい」という意味ではありません。

もう1つ、この軸には家ごとの差があります。床材、被毛の長さ、頭数、トイレの形。吸う床材の家は拭き取りに時間がかかり、長い被毛の子は部分ケアの範囲が広くなります。だから、体に使う水の量も、よその家の数字は当てになりません。ただしこちらは、足りなければ手を組み替えられるぶん、飲む水ほど神経質にならなくて済みます。

2つの水を並べて比べる|断水のとき、ペットにどちらを先に確保するか

2つの軸を並べます。同じ「ペットに必要な水」でも、性質がここまで違います。この表のどちら側の話をしているのかが決まると、必要な水の量という問いは、そのまま答えの出る形に変わります。

飲む水と、体に使う水の比較
飲む水体に使う水
量の決まり方体の大きさ・季節・食事の水分量床材・被毛の長さ・頭数・トイレの形
代わりがあるかないある。拭く・部分だけ・水を使わないケア
削れるか削らない前提で組む断水の初日から削れる
断水の何日目に効くか初日から。ずっと同じだけ要る2日目以降に、におい側で効いてくる
ゼロにできるかできないできないが、大きく減らせる
家で数えられるか数えられる。器への補充量で出る数えにくい。手の組み替えで吸収する
備えの順番先に決めるあとから組み替える
ペットに要る2つの水は、備え方が逆になる 飲む水と体に使う水について、代わりの有無・削れるかどうか・備える順番の違いを左右に並べた比較カードです。 量が多いのは体に使う水のほうです 飲む水 代わりが用意できない 断水の初日から要る 削れる日数を考えない 器への補充量で数えられる 先に量と置き場所を決める 体に使う水 置き換えの手が複数ある 初日から減らせる 全身から部分へ絞れる 床材と被毛で家ごとに違う あとから組み替えられる だから断水の備えは、飲む水の側から先に決まります
どちらが大事かではなく、どちらを先に決めるかの話です。

どちらを先に確保するか。答えは飲む水です。量としては体に使う水のほうが多くなりますが、多いほうから決めると、足りなくなったときに削れなくなります。先に決めるのは、量の大きいほうではなく、代わりのないほうです。これが、この記事でいちばん覚えておいてほしい順番になります。

順番が決まると、備蓄の置き方も決まります。飲む水は、封を切っていない状態で、頭数ぶんをまとめて1か所に置く。体に使う水は、別枠で少しだけ置いて、あとは拭くための布と、スキンケアミストのような水を使わないケアの道具で埋めます。水を増やすより、水を使わない手を増やすほうが、置き場所も軽くなります。

人の分の備えと混ぜないほうがいい、という点も添えておきます。家族の分と一緒に数えると、断水が長引いたときに、ペットの分から先に削られます。削る判断はその場でしなければならないので、分けて置いておくほうが迷いません。器と、飲む水と、拭くための布。この3つを1か所にまとめておくだけで、断水の初日の動きが変わります。

その家の数字を1週間で出す|断水の備えをペットの実測に置き換える

最後に、数字の出し方です。やることは、器に足した水の量を1週間書き出すだけです。難しい計測は要りません。よそから借りた平均より、この7日ぶんのほうが、その家では確実に当たります。

  1. 器の容量を1回だけ測る

    いつも使っている器に、計量カップで水を入れて、いっぱいになる量を書いておきます。1回測れば、あとは「何杯足したか」で数えられます。器が複数あるなら、それぞれ測ります。

  2. 1日に足した回数を数える

    その日に何杯足したかを、紙かスマートフォンに書きます。残っている量ではなく、足した量を数えるのがコツです。残りを測ろうとすると続きません。

  3. 7日続けて、いちばん多い日を採る

    平均ではなく、最大の日を採ります。備えは、いちばん多い日に合わせておくものだからです。暑い日や、運動の多かった日が上に来ます。

  4. 何日ぶんにするかを決めて、かけ算する

    いちばん多い日の量に、備える日数をかけます。日数は住んでいる場所の事情で決めてください。ここで初めて、その家の断水用の数字が出ます。

  5. 体に使う水は、量ではなく手で埋める

    こちらは数えなくて構いません。拭くための布を何枚置くか、水を使わないケアの道具を何本置くか、という置き換えで組みます。量で持とうとすると、置き場所が足りなくなります。

1週間、足した量だけを書き出す(記入例)
日足した回数その日の条件
月器2杯ふだんどおり
火器2杯ふだんどおり
水器3杯散歩が長かった
木器2杯ふだんどおり
金器3杯気温が高かった
土器4杯気温が高く、遊びが長かった
日器2杯雨で外に出ていない

この例なら、採るのは土曜の4杯です。器の容量が分かっていれば、そこから断水用の数字がそのまま出ます。頭数が複数なら、器ごとに同じことをして足します。1週間だけの記録ですが、季節をまたいでもう一度やると、夏と冬でどれだけ違うかも見えてきます。断水の備えを見直すのは、季節が変わるときで足ります。

体に使う水の側は、道具のほうで埋めます。断水でも残ると書いた2か所は、口のまわりと、排泄のあとの始末でした。どちらも、その日のうちに手が行かないと、翌日にそのまま持ち越されます。この記事は水を数える記事なので、そこへ置くものの中身についても書いておきます。mofuwa スキンケアミストは、電解水だけでできています。清涼飲料水の規格基準をクリアした水なので、口のまわりのように、その子が自分でなめてしまう場所にそのまま使えます。断水の日のための道具ではなく、ふだんから口のまわりや耳のふちに使っているものが、蛇口が止まった日にも同じように動く、という置き方になります。ただし、これを飲む水の欄に数えないでください。飲む水は代わりの用意できない側で、そこは水でしか埋まりません。数える先は、体に使う水の欄のほうです。スキンケアミストを布に取ってから、足の裏・口のまわり・尾のつけ根を一往復。すすぎも、乾かす時間も出ません。器と、飲む水と、拭くための布を1か所にまとめる話を先に書きましたが、そこへ一緒に入れておくと、非常時に初めて封を切る道具にならずに済みます。

備えの話をまとめます。断水でペットに必要な水の量は、1つの数字ではなく、2つの数字です。飲む水は、その家で数えて決める。体に使う水は、量ではなく手の組み替えで埋める。この2本立てにしておくと、備蓄の量が増えすぎず、いざというときに削る順番も迷いません。よそで見たリットル数を覚えるより、器の容量を1回測るほうが早く終わります。

Caution飲む量の変化そのものは、断水の話とは別に見てください

器の水が急に減るようになった、逆にほとんど減らなくなった、飲み方が変わった、食べる量と一緒に落ちた。こうした変化があるときは、備えの計算に組み込む前に動物病院にご相談ください。飲む量は体の状態を映すことがあるとされていて、家では原因を切り分けられません。1週間の記録を取っている途中で気づいたときは、その記録をそのまま持っていってください。いつから、どのくらい変わったかが書かれた紙は、その場で見てもらえる材料になります。断水の備えは、その相談が済んだあとで続ければ足ります。

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よくある質問

断水のとき、ペットの水は人の分と一緒に数えてもいいですか
分けて数えるほうが、あとで迷いません。家族の分と合計にしておくと、断水が長引いたときに、どこから削るかをその場で決めることになります。ペットの飲む水は代わりが用意できないので、削る候補に入れない前提で、別の場所にまとめて置いておくのがおすすめです。器と、飲む水と、拭くための布を1か所にしておくと、初日の動きがそのまま決まります。
断水のあいだ、ペットを洗わなくても大丈夫ですか
体に使う水は置き換えの手がいくつもあるので、洗う工程そのものは後ろに回せます。全身を洗うのをやめて、足の裏・口のまわり・尾のつけ根の3か所を拭くだけに絞る、ブラッシングで抜けた毛を先に外へ出す、スキンケアミストのようにすすぎの要らないもので拭く手に替える。この3つで、断水の数日はしのげる家がほとんどです。ただし、皮膚に赤みやべたつきなどの変化があるときは、洗う洗わないの判断より先に動物病院にご相談ください。
備える日数は、何日ぶんで考えればいいですか
住んでいる場所の事情で決まるので、この記事では日数の目安を書きません。お住まいの自治体が出している案内に日数の考え方が載っていることが多いので、そちらを先に確かめてください。日数が決まれば、あとは1週間の記録から出した「いちばん多い日の量」にかけ算するだけです。ペットの分は、人の分の日数と同じでそろえておくと、置き場所も管理も1つで済みます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。