C12Q&A・豆知識

化粧品グレードとは?分類が示すもの

公開日 2024年9月13日|文=mofuwa編集部

明るく片づいた部屋で、白いクッションの上に落ち着いて伏せているクリーム色の毛の犬
化粧品グレードとは、その製品を何の物差しで作ったかを言う言葉で、できあがったものの働きを言う言葉ではありません。写真:https://kaboompics.com//Pexels

化粧品グレードとは、人の化粧品に使える基準で作られた、という意味の言い方です。成分表の下や商品説明のすみに、ほかの説明とは少し離れたところに小さく置かれていることがあります。この言葉が言っているのは、どの物差しで作ったかであって、できあがったものが何をするかではありません。つまり化粧品グレードとは、結果の証明ではなく、作り方の宣言に近い言葉になります。ここを読み違えると、書いてある製品と書いていない製品を、そのまま良し悪しの順に並べてしまいます。この記事では、化粧品グレードとは何を指す言葉なのか、なぜ人の物差しを借りることになるのか、そしてこの一行から何が言えないのかを、順番に書いていきます。最後の一つがいちばん長くなりました。

ラベルの端に置かれた一行|化粧品グレードとは何を言っている言葉か

犬や猫に使うものを裏返して、成分表を上から読んでいくと、いちばん下のあたりで手が止まることがあります。成分でも、内容量でも、使い方でもない一行がそこにあるからです。「化粧品グレードの原料を使用」「化粧品グレードの製法で製造」。書き方はいくつかありますが、どれも成分表の外にあります。成分表の中にある言葉なら、その成分が何かを調べれば済みます。外にある言葉は、調べる先が決まっていません。

定義から置きます。化粧品グレードとは、人の化粧品に使える基準を満たした原料や製法で作られている、という意味で使われる言い方です。「化粧品」は人向けの化粧品を指し、「グレード」は等級や水準を指します。つなげると、人の化粧品として通用する水準、という意味になります。法律で決められた表示の区分ではなく、作り手が自分の言葉で説明するときに使われている言い方だと考えたほうが、実際に近くなります。

ここでいちばん大事なのは、この言葉がかかっているのは入口の側だ、という点です。原料をどこから取っているか、どんな場所で、どんな管理のもとで作っているか。化粧品グレードとは、その入口についての宣言です。できあがったものが体の上で何をするか、という出口の話は、この言葉には入っていません。

化粧品グレードという言葉が、どこにかかっているか
どこの話かこの言葉が触れているか読み手が別に確かめること
原料の規格触れている場合が多い何の基準を指しているかが書かれているか
作る場所と管理触れている場合がある原料の話か製法の話かが書き分けられているか
容器や充填触れていないことが多い開封後の扱いが別に書かれているか
できあがった製品の働き触れていないこの言葉からは読めません
その子に合うかどうか触れていない使う側が、その子を見て決めることです

表の下の2行が、この記事の中心になります。化粧品グレードとは、作り方についての言葉であって、結果についての言葉ではありません。入口の水準が高いことと、出口で何が起きるかは、別々に確かめるものです。この2つを1本の線でつないでしまうのが、いちばん起きやすい読み違いになります。

もう1つ、言葉の形そのものについても書いておきます。化粧品グレードという言い方には、「化粧品」という単語が入っています。そのせいで、この製品が化粧品として売られている、という意味に読まれることがあります。ここは切り離しておいてください。人向けの化粧品として販売されているという話と、人向けの化粧品に使える水準の原料で作っているという話は、別のことを言っています。前者は売られ方の話で、後者は作られ方の話です。混ざりやすいのは、どちらの文にも「化粧品」という同じ単語が入っているからです。

Note成分表の中と外では、言葉の性質が違います

成分表の中に並んでいるのは、決められた書き方に従って書かれた名前です。順番にも決まりがあるとされていて、読み手はそのルールを前提に読めます。いっぽう、化粧品グレードのように成分表の外に置かれた言葉は、作り手が自分の言葉で説明している部分です。どちらが上ということではなく、読み方が違うだけです。外にある言葉を読むときは、その言葉のすぐ近くに、何を指しているのかの説明が添えられているかどうかを見ます。

なぜ人の物差しを借りることになるのか|化粧品グレードという言い方が生まれる理由

犬や猫に使うものには、動物用の分類が別に用意されています。分類が別だということは、そこで使われる物差しも別だということです。この記事では分類そのものの中身には立ち入りませんが、少なくとも「人の化粧品の分類がそのまま当てはまるわけではない」というところまでは、押さえておく必要があります。

そのうえで、作り手の側に立ってみます。ある原料について、「人の化粧品に使われているものと同じ規格のものを選んでいます」と伝えたい。そのとき、動物用の分類の言葉だけでは、その部分が言い表せないことがあります。動物用の分類は、その製品が何を名乗れるかを決めるものであって、原料をどこまで選んだかを説明する言葉ではないからです。

そこで、人の側の物差しを借りることになります。化粧品グレードという言い方は、説明のために外から借りてきた物差しです。借りているとはっきり分かっていれば、読み手はそれを正しい重さで受け取れます。借りていることが見えなくなると、動物用の審査を通ったという意味に読まれてしまいます。この差が、この言葉のいちばん危ないところです。

理由を並べると、この言い方が使われる背景が見えてきます。化粧品グレードとは、便利な言葉です。短く、伝わりやすく、そして作り方の話にとどまっているので、書いても言い過ぎになりにくい。作り手が使いたくなる条件がそろっています。だからこそ、読む側は、その便利さがどこから来ているのかを知っておいたほうがいい、ということになります。

ここ数年で、この言い方を見かける機会そのものが増えました。変化しているのは基準の側ではなく、書く側の姿勢のほうです。以前は成分表だけを載せていた製品が、原料の選び方や作る場所についても短く添えるようになってきています。読み手が成分表を読むようになったので、書き手も成分表の外を書くようになった、という順番だと考えると分かりやすくなります。

ただし、増えたぶんだけ、意味の幅も広がりました。同じ「化粧品グレード」でも、原料だけを指している場合と、作る場所まで含めている場合があります。言葉の側に統一された定義があるわけではないので、どちらなのかは、その製品の説明を読まないと分かりません。だから次の章では、この言葉から何が言えないのかを、先に決めておきます。

この一行から言えないこと|化粧品グレードとは結果を保証する言葉ではありません

この章を独立させている理由は単純です。この言葉から言えることより、言えないことのほうが、実際に製品を選ぶときには効くからです。先に外側の線を決めておくと、書いてある製品を読むときにも、書いていない製品を見たときにも、判断がぶれません。化粧品グレードという言葉について、言えないことは大きく4つあります。

1つめは、その子に合うかどうかです。物差しは製品の作り方にかかっていて、使う相手の体にはかかっていません。同じ製品でも、その子の皮膚や被毛の状態によって、合う合わないは変わります。ここは作り手が決められる範囲の外にあるので、どんな水準で作られていても、使ってみるまで分からない部分が残ります。

2つめは、できあがった製品が何をするかです。原料を高い水準で選んだことと、その組み合わせが体の上でどう働くかは、別々に確かめるものです。原料の話から結果の話へ、線を1本引いて渡してしまうのが、いちばん多い読み違いになります。化粧品グレードだから安全です化粧品グレードなので効果があります。どちらも、この言葉が確かめた範囲を超えています。

3つめは、使い方の量や頻度です。どれだけ使ってよいか、どのくらいの間隔で使うか。これは製品ごとの説明に書かれていることで、化粧品グレードという言葉からは読めません。水準の高い原料でも、量と頻度は別に決まっています。

4つめは、動物用として審査を受けたということです。借りているのは人の物差しなので、動物用の分類のなかで何かの審査を通った、という意味にはなりません。ここは、この言葉のいちばん誤解されやすいところだと思います。借りた物差しは、借りたままの重さで受け取る。それだけのことですが、書いておかないと自然に膨らみます。

化粧品グレードという言葉が、言っていることと言っていないこと この一行から読み取れる範囲と、この一行だけでは読み取れない範囲を、左右のカードに並べた比較図です。 同じ一行の内側と外側を分けています 言っていること 原料を選ぶときの水準 作るときの管理の水準 人の物差しを使ったこと 作り方についての宣言 入口の側の話であること 言っていないこと その子に合うかどうか できあがったものの働き 使う量と使う間隔 動物用として審査されたこと 使ったあとに起きること 左右をひとつの文にまとめないことが、この言葉の読み方そのものです
右側は否定されたという意味ではなく、この言葉では触れていないという意味です。

「安全」という言葉との距離についても、はっきりさせておきます。作り方の水準の話と、その子の体で起きることは、最初から別の話です。だから、水準を根拠にして体のほうを言い切ることはできません。書けるのは、「人の化粧品に使える基準の原料を選んでいます」という、作り方についての事実までです。そこから先を言いたいときは、別の確かめ方が要ります。

Caution水準の話を、体の上の話に置き換えないでください

この言葉でいちばん起きやすいのが、主語の入れ替えです。作り方について書かれた一行を、体について書かれた一行に読み替えてしまう。化粧品グレードなら肌トラブルが起きません、人の化粧品と同じだから犬にも安心です。どちらも、この言葉が言っている範囲の外にあります。書けるのは「その水準で作られている」という作り方の事実までで、その先は、その子を見て決めることになります。皮膚の状態に気になることがあるときは、どの製品を選ぶかを考える前に動物病院にご相談ください。

借りた物差しでも、書いてあるほうが読める|化粧品グレードとはどう付き合うか

ここまで、言えないことを長く書いてきました。それでも、この言葉は書いてあるほうが読める、というのがこの記事の結論です。理由は1つで、書いてあると、次の質問ができるからです。書いていない製品には、質問の入口がありません。

たとえば「化粧品グレードの原料を使用」と書いてあれば、それは原料の話なのか、作る場所の話なのか、と聞けます。「化粧品グレード」とだけ書いてあれば、何を指しているのかと聞けます。書いてあるということは、作り手がそこについて説明する用意がある、ということでもあります。うたい文句としてではなく、質問の足がかりとして読むのがいちばん実用的です。

書いていない製品を落とす読み方にも、気をつけたいところがあります。この言い方を使っていないからといって、原料の水準が低いということにはなりません。説明の書き方は作り手ごとに違い、同じことを別の言葉で書いていることもあれば、そもそも成分表の外に何も書かない方針の製品もあります。化粧品グレードとは、書いてあれば1つ質問が増える言葉であって、書いていないことが減点になる言葉ではありません。製品を並べるときは、この言葉の有無ではなく、その製品について何がどこまで書かれているかの総量で見るほうが、読み違えが減ります。

手元の製品で、家で確かめられる3か所
見るところ書かれていれば書かれていなければ
何の基準を指しているか原料か製法か、どちらの話かが決まる言葉の範囲が決められない
その一行のすぐ近くの説明作り手が説明する用意があると分かるうたい文句として置かれている可能性がある
用途と対象の表示誰に、どこに使うものかが決まる使う側が判断を持たされます
使う量と間隔の記載使い方の側が別に決まっている水準の話だけで量が読めません

3つめの用途表示は、化粧品グレードという言葉とセットで見ておきたいところです。人の化粧品の物差しを借りている製品でも、用途としては動物用として書かれているはずだからです。物差しは借りていても、使う相手は借りていません。ここがずれていない製品は、言葉の使い方としても整っていることが多くなります。

この言葉を知ったあとで変わることを、1つだけ挙げておきます。うたい文句そのものではなく、その言葉の隣に何が書いてあるかを見るようになります。強い言葉が単独で置かれている製品と、控えめな言葉のそばに説明が添えられている製品。並べてみると、後者のほうが読める情報は多くなります。化粧品グレードとは、そういう読み方に切り替えるきっかけとして使える言葉です。

Point言葉の水準ではなく、その子の様子で決めてください

どの物差しで作られた製品であっても、使ったあとに見るのは、その子の皮膚と被毛のほうです。使った場所が赤い、同じところをなめ続けている、フケが増えた、においが変わった、いつもと違うところをかいている。こうした変化があるときは、製品の説明にどんな言葉が書かれていたかを確かめる前に、使うのをやめて動物病院にご相談ください。いつから、どこに、何を使っていたかを一行メモにして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。言葉は選ぶときの材料で、決めるのはいつもその子の様子のほうです。

実例として、手元の製品の書き方を1つ挙げておきます。mofuwa スキンケアミストは、中身が高機能性電解酸化水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。この2行から読めるのは、何でできているかと、どの基準で確かめたかまでで、そこから先はこの記事に書いたとおりです。ただ、この記事の物差しでいうと、ここには1つだけ性質の違う情報が混じっています。清涼飲料水の規格基準は、人の化粧品の物差しではなく、口に入るものの側の物差しです。犬と猫は塗った場所をなめるので、借りてくる物差しとしては、こちらのほうが実際の使われ方に近いところにあります。使うのは、毛をかき分けないと届かない根元です。そこはその子が自分では届かない場所で、人が代わるしかありません。地肌の乾きが気になる日に、ブラシを入れる前に分け目をつくって、根元に直接吹く。分け目をつくるのは、被毛の上で液を止めずに、確かめた物差しが届く場所まで届かせるためです。

最後に、この記事を3つの文に畳んでおきます。化粧品グレードとは、人の化粧品に使える基準で作られた、という意味の言い方です。言っているのは作り方であって、できあがったものの働きや、その子に合うかどうかではありません。それでも、書いてあるほうが次の質問ができるので、読み手にとっては書いてあるほうが有利です。この3つを持っていれば、ほかの製品でこの言葉に出会ったときにも、同じ読み方がそのまま使えます。

そのうえで、家に残る手のほうを書いておきます。ラベルの一行をどれだけ丁寧に読んでも、その言葉が確かめてくれるのは棚の上までで、分け目をつくって根元の色を見るところからは、こちらの仕事になります。毎日でなくて構いません。ブラシを入れる日に、背中の1か所だけ分け目をつくって、地肌の色を見る。それを続けていると、次にこの言葉に出会ったときに読み比べるものが、ラベルの文言ではなく、先月の地肌のほうに変わります。

Product

mofuwa スキンケアミスト

mofuwa スキンケアミスト

200ml / 3,300円(税込)

アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。