C08季節・行事
トイレを増やすか、寝床を近づけるか|間に合わない距離
寝床を窓ぎわから部屋の奥へ移した翌朝、その子はトイレまであと3歩のところで止まり、そこで済ませていました。夏のあいだは11歩だった寝床からトイレまでの距離が、夜が涼しくなって寝る場所を暖かい側へ寄せたことで、19歩に延びています。年を取った子がトイレに間に合わない朝は、失敗した回数より、寝床からの歩数を数えたほうが、次に動かすものがはっきりします。トイレを1か所増やす手と、寝床をトイレに近づける手は、同じ歩数の物差しで比べられます。どちらが合うかは、その子が寝床から何歩もつかで決まります。
寝床から何歩目で止まったか|トイレの距離と、間に合わない歩数の見分け方
数えるのは2つの歩数です。寝床からトイレまでの歩数と、寝床から、間に合わなかった場所までの歩数です。メジャーで測った距離は使いません。年を取った子は、同じ3メートルでも床材によって歩幅が変わり、フローリングの上では足を小刻みに出します。その子の足で何歩かかるかが、その子にとってのトイレまでの距離です。数え方は、朝起きてトイレへ向かうところを後ろから見て、前足の片方が床に着くたびに1つ数えるだけです。
夜の室温が下がりはじめる時期は、この歩数が大きく動く時期です。夏のあいだ窓ぎわや廊下の冷たい床に置いていた寝床を、暖かい部屋の奥へ移す。移した側は寝床の場所を変えたつもりでいますが、その子の側では、トイレまでの距離が一晩で延びています。日の出が遅くなって朝の散歩が後ろへずれると、夜のあいだにたまったぶんを家のトイレで済ませる朝も増えます。敬老の日の連休で家族が3日続けて家にいるなら、その子が起きてから歩き出すところを、いちばん多く見ていられる3日間になります。
| 見るところ | 夏の寝床(窓ぎわ) | 秋の寝床(部屋の奥) |
|---|---|---|
| 寝床からトイレまでの歩数 | 11歩 | 19歩 |
| 途中の床材 | ラグの上だけで着く | ラグを降りてフローリングを渡る |
| 途中で向きを変える回数 | 1回 | 3回 |
| 途中の扉 | 開けたまま | 夜は冷えを嫌って閉めることがある |
| 朝いちばんの排泄 | 散歩で済む日が多い | 家のトイレに回る日が増える |
もう1つの歩数、寝床から間に合わなかった場所までを1週間ぶん書き出すと、その子が何歩もつかが見えてきます。16歩、17歩、15歩。並んだ数のいちばん小さいものが、いちばん調子の悪い朝のその子の歩数です。この記事では、これを「もつ歩数」と呼びます。寝床からトイレまでが19歩で、もつ歩数が15歩なら、足りないのは4歩。この4という数が、トイレを増やすか寝床を近づけるかを決めます。
もつ歩数が減っていくのは、歩くのが遅くなったからだけではありません。頭を上げてから4本の足で立ち、1歩目を出すまでの秒数が延びています。若い頃は2秒で済んでいたところに、10秒、15秒とかかるようになる。起きてからがまんできる時間の中から、この立ち上がりの秒数が先に引かれるので、残りで歩ける歩数が減っていきます。間に合わない距離は、トイレの遠さと、立ち上がりの秒数の両方から縮んでくる、ということです。立ち上がりの秒数は家の配置では動かしにくいので、この記事では歩数の側を動かします。
軸1・トイレを1か所増やす|もつ歩数の内側に置く、トイレの距離の選び方
トイレを増やす手は、足りない歩数がいくつあっても、一度で埋められます。新しいトイレを、寝床から数えてもつ歩数より手前に置けば、間に合わない朝がある子でも、朝の距離はそこで決まります。置く位置の目安は、もつ歩数の半分です。15歩もつ子なら、寝床から7歩か8歩。立ち上がりに手間取った朝でも、残りの半分がそのまま余白になります。
置く場所は、間に合わなかった跡が並んでいる線の上です。跡は、その子が寝床からトイレへ向かう線の上に出ています。その線の寝床寄りに置くと、その子は朝いつもと同じ向きに歩き出して、いつもより早くトイレに着きます。線から外れた部屋の隅に置くと、歩数は減っても、向きを変える動作が1つ増えます。年を取った子にとって、その場で向きを変えるのは、まっすぐ2歩進むより時間のかかる動作です。
- 寝床から近すぎない位置にする:寝床の縁から、その子の体の長さ2つぶんは空けます。寝床のすぐ横に並べると、寝床で寝なくなる子がいます
- 元のトイレは片づけない:日中に過ごす場所からは、元のトイレのほうが近いことがあります。起きた直後は新しいほう、日中は元のほう、と使い分ける子もいます
- トイレの手前の床材を変える:乗る直前の1歩が滑ると、トイレを目の前にして間に合わない朝になります。フローリングの上に置くなら、手前に滑りにくいマットを1枚敷きます
- 猫はふちの低いものを選ぶ:ふちをまたぐ1動作に、平らな床の数歩ぶんの時間を使う子がいます。歩数を減らしても、またぐ時間で取り返されます
引き受けることになるのは、においの出どころが家の中に1つ増えることです。新しいトイレは、たいてい家族が過ごす部屋か、その子の寝床の近くに来ます。元のトイレのように、洗面所の奥に置いて扉を閉めておく、という逃がし方ができません。拭き取りの場所も、トイレ2か所と、そのあいだの床に広がります。トイレを増やすかどうかは、足りない歩数と、この手間のつり合いで決めることになります。
軸2・寝床をトイレへ寄せる|秋に延びた距離を、寝床の側で何歩戻せるか
寝床を寄せる手は、においの出どころが1つのままで済みます。そのかわり、縮められる歩数には上限があります。寝床を動かせるのは部屋の中の数メートルで、しかも秋に寝床を移したのは、暖かい場所へ寄せるためでした。トイレに向けて戻すほど、寝床は窓や廊下の冷えに近づきます。
寄せる歩数は、足りない歩数に2歩足した数にします。足りないのが4歩なら、6歩ぶん寄せて13歩にする。足した2歩は、いちばん調子の悪い朝のための余白です。足りない歩数ちょうどだけ寄せると、1週間のうちの悪い1日で、また間に合わない朝が来ます。夏の寝床の位置まで戻さなくても、この余白が残れば足ります。
| 一緒に動くもの | 起きること | 手当て |
|---|---|---|
| 途中の床材 | フローリングを渡る区間が長くなると、歩幅が縮んで歩数が戻る | 寝床からトイレまでの線の上に、細長いラグを1本敷く |
| 寝床の下の冷え | 窓や廊下に近づいたぶん、床からの冷えが上がる | 寝床の下に厚手の敷物を1枚足す |
| 寝床の向き | 頭の向きと反対側にトイレがあると、起きてから向きを変える | 頭をトイレの側へ向けて寝られるように、寝床を回す |
| トイレの見え方 | 寝床からトイレが正面に見えると、落ち着かない子がいる | あいだに家具を1つはさみ、寝床から直接見えない角度にする |
犬は、寝床の向きを変えるだけで、実際の歩数より早く着くようになることがあります。起きて最初に顔が向いている側へ歩き出しやすいので、頭をトイレの側へ向けて寝られるように寝床を回しておくと、1歩目がそのままトイレのほうへ出ます。猫は、寝る場所とトイレを離しておきたがる子が多く、寄せすぎると寝床ではない場所で寝るようになります。猫で寝床を寄せるなら、足りない歩数が3歩以内のときだけにして、それより多いときはトイレを増やすほうへ回します。
足りない歩数で決める|トイレを増やす手と寝床を寄せる手の、距離の違い
2つの手は、どちらも歩数を減らしますが、減らしたあとに家の中に残るものが違います。トイレを増やせば、においの出どころと拭き取りの場所が増えます。寝床を寄せれば、においの出どころは増えないかわりに、寝床のほうがにおいに近づきます。表の右の2列を、行ごとに見比べてください。
| 見るところ | トイレを1か所増やす | 寝床をトイレへ寄せる |
|---|---|---|
| 縮められる歩数 | 置く場所しだいで、もつ歩数の半分まで | 部屋の広さのぶん。たいてい数歩 |
| においの出どころ | 2か所になる | 1か所のまま、寝床に近づく |
| 拭き取りの場所 | トイレ2か所と、そのあいだの床 | トイレのまわりと、寝床の縁 |
| 途中の床材 | 新しいトイレの手前だけ整える | 寝床からトイレまでの線を整える |
| 冬に寝床がまた動いたとき | 新しいトイレの位置だけ動かす | 寄せた歩数を数え直す |
| 犬で起きやすいこと | 元のトイレと行き来して迷う朝がある | 頭の向きで歩数が変わる |
| 猫で起きやすいこと | 新しいほうを使いはじめるまで数日かかる | 寝床以外の場所で寝るようになる |
| 向いている場合 | 足りない歩数が犬で6歩以上、猫で4歩以上 | 足りない歩数が犬で5歩まで、猫で3歩まで |
表の最後の行が、選ぶときの目安です。犬なら、足りない歩数が5歩までは寝床を寄せ、6歩を超えたらトイレを増やします。猫は3歩までが寝床、4歩からがトイレです。寝床を寄せて縮められるのは、暖かさとのつり合いの中で、たいてい数歩までにとどまります。足りない歩数が境目のあたりにあるときは、寝床を寄せるほうを先に試して、1週間たっても間に合わない朝が0にならなければ、トイレを足します。順番を逆にすると、置いたトイレを片づけるときに、その子がまた覚え直すことになります。
どちらを選んでも、寝床とトイレのあいだは縮まります。19歩あった距離が、13歩か8歩になる。縮めたのは歩数ですが、同時に、トイレのにおいが寝床まで届く距離も、拭いた床からその子の口までの距離も縮んでいます。間に合わなかった朝、その子は済ませたあと寝床へ戻り、横になって前足をなめます。拭いたばかりの床から、あごを乗せる場所までが、もう数歩しかありません。
寝床の近くに来たトイレのまわりと、間に合わなかった床の拭き取りには、mofuwa 瞬間消臭スプレーを置いておきます。中身を電解水だけに絞ってあるのは、かけた床をその子がなめることを、つくる段階で最初の条件にしているからです。距離を縮めた家では、トイレのトレー、そのあいだの床、寝床の縁が、どれもその子の舌と前足の届く範囲に入ります。1本でその全部を拭けるので、場所ごとに持ち替えずに済みます。年を取った犬や猫を預かる老犬老猫ホームでも、預かっている子のケージや床の手入れに使われています。間に合わない日のある子を何頭も見ている場所で、床に使うものとして選ばれている1本です。
香りを足していないことも、距離を縮めた家では意味が変わります。トイレのまわりにかけた香りは、13歩先、8歩先の寝床まで届きます。寝床は、その子が自分のにおいで寝る場所だと確かめているところです。そこが別の香りに変わると、寝床を使わずに床で寝るようになる子もいます。寝床を寄せた手が、香りのせいで寝床そのものを遠ざけてしまう。瞬間消臭スプレーは、においを上から別の香りで覆わずに、におっているもとの側に電解水を当てて、においを感じにくくするための1本です。
間に合わなかった朝の拭き取りは、跡のまわりだけで終えません。跡にかけて少し置き、フローリングなら板の目に沿って一方向に、ラグならこすらずに押さえて拭き取ります。そのあと、跡から寝床の縁までの数歩も同じように拭きます。済ませたあとの前足で歩いた線が、寝床のすぐ手前まで続いているからです。寝床の縁まで拭いておくと、その子が次に横になる場所の手前で、においの線が切れます。
寝床を寄せて足りない歩数を埋めたのに、2週間のうちにもつ歩数がさらに3歩以上減った/寝床から1歩も出ないうちに、寝床の上で出てしまう朝がある/頭を上げてから1歩目を出すまでの秒数が、1か月前の倍になった/夜中に起きてトイレへ向かう回数が、ひと晩に3回を超える日が続いている。こうした縮み方は、家の中の距離を動かしても追いつきません。朝、頭を上げてから止まるまでを後ろから撮った動画を1本と、1週間ぶんのもつ歩数を用意して、動物病院で診察を受ける日を決めてください。立ち上がりの秒数も、どこで歩幅が縮んだかも、動画の中にそのまま残っています。
冬にもう一度動く寝床|トイレと寝床の距離を季節ごとに使い分ける
寝床は、冬にもう一度動きます。暖房の風が届く場所や、昼に日の当たる窓ぎわへ。そのたびに、寝床からトイレまでの歩数は変わります。間に合わない朝がまた出はじめたら、先に寝床が動いていないかを見ます。寝床を寄せる手を選んだ家は、寝床が動くたびに歩数を数え直します。トイレを増やす手を選んだ家は、寝床が動いた先に合わせて、置き足したトイレの位置だけを動かします。どちらの家でも、数えるのは同じ2つの歩数です。
| 寝床が動く週 | 寝床の行き先 | 数え直すもの |
|---|---|---|
| 冷房を止めた週 | 窓ぎわから部屋の奥へ | 寝床からトイレまでの歩数 |
| 暖房を入れた週 | 暖房の風が届く場所へ | 置き足したトイレまでの歩数 |
| 暖房を止めた週 | 部屋の奥から窓ぎわへ | 途中の床材と、向きを変える回数 |
| 冷房を入れた週 | 冷たい床の近くへ | もつ歩数が変わっていないか |
今夜は、寝床からトイレまでを、その子の歩幅で一度だけ数えておきます。明日の朝、その子が歩き出したら、止まった場所までをもう一度。2つの数の差が、来週どちらの手を選ぶかを決めてくれます。
Product
mofuwa 瞬間消臭スプレー
500ml / 2,420円(税込)
香りでマスキングせず、においの元に働きかける無香料タイプ。舐めても安心な処方なので、床や家具にも場所を選ばず使えます。
商品ページを見るよくある質問
- 夜のあいだだけ、寝床のそばにペットシーツを1枚置いておくのはどうですか。
- トイレを増やす手の、いちばん軽い形として使えます。ただ、床にシーツが1枚あるだけだと、トイレとして扱わない子がいます。いつものトイレと同じトレーに入れて、同じ向きで置くほうが、夜中に起きたその子が迷いません。置く位置は、もつ歩数の半分より内側で、寝床の縁から体の長さ2つぶん空けたところです。1週間置いて、間に合わない朝が減らず、シーツを使った朝も1度もなければ、位置が線から外れています。跡の並んでいる線の上へ動かしてから、もう1週間見てください。
- トイレを増やしたら、元のトイレを使わなくなりました。片づけてもいいですか。
- 1か月は残しておくほうが安心です。寝床は冬にもう一度動くので、その先で元のトイレのほうが近くなることがあります。日中に過ごす場所からの歩数も、元のトイレのほうが短い家は少なくありません。片づけるなら、寝床が次に動いたあとで、2つのトイレまでの歩数を数え直してからにします。使われていないあいだも、トレーを週に1度拭いておくと、また使いはじめた朝にその子が戸惑いません。
- 寝床はそのままにして、トイレのほうを寝床の近くへ動かすのはどうですか。
- 歩数は同じだけ縮みますが、ほかの場所からの距離も一緒に動きます。元のトイレの位置は、日中にいる部屋や、ごはんを食べる場所から歩くことも含めて決まっていたはずです。そこを動かすと、寝床からは近くなっても、日中の居場所からは遠くなることがあります。年を取った子は、覚えている場所へ向かって歩き出すので、動かした最初の数日は、元の位置で済ませてしまうこともあります。動かすなら1日に数歩ずつ寝床の方向へ寄せていくと、覚えている場所と新しい場所がつながったまま移れます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
