C05犬種・猫種別ケア
グレートデーンはなぜ皮膚の乾燥が起きやすいのか。短毛から考える
グレートデーンが立ち上がると、背中がこちらの腰の高さに来ます。ソファに顎を乗せれば、頭は座っている人の顔と同じ高さです。そして伏せたときには、その同じ体の腹が床に接しています。グレートデーンの乾燥を考えるとき、この上下の幅がそのまま条件の差になります。冬の部屋で私たちが見るのは、壁にかけた湿度計の数字です。けれどその数字は、その子の背中の高さでも、床の上でも測られていません。この記事では、背中と腹が別々の空気に触れているという一点から、短い被毛の下で何が起きているのかを書きます。
立てば腰の高さ、伏せれば床の上|グレートデーンと暮らす人の経験
冬の朝、ソファの前に伏せているグレートデーンの背中に手のひらを置くと、じんわりと温かい。そのまま手を下ろして、床と体のあいだへ指を差し入れると、今度はひやりとします。同じ一頭の、同じ時刻の体なのに、上と下で手ざわりが違います。グレートデーンと暮らしている方の多くが、一度は経験している場面だと思います。
この犬と暮らしはじめて最初に驚くのは、体重や食器の大きさよりも、その体が部屋の中で占めている「高さ」のほうだという話をよく聞きます。立てば背中が人の腰にあり、顔を上げれば台所の作業台をのぞける。伏せれば、腹と胸が床に広く接する。犬という生きものの中でも、一日のあいだに体の位置がこれだけ上下する子は多くありません。
そこへ、この犬種の被毛の作りが重なります。グレートデーンの被毛は短く、密でなめらかで、下毛の層がほとんど育ちません。ブラッシングをしても、指を毛の奥へ沈める必要がありません。手を置けば、毛越しではなく、ほとんど地肌の温度がそのまま返ってきます。毛のあいだに空気をためて条件をやわらげる余地が、はじめから少ない被毛です。だから、その子が触れている空気の条件が、そのまま皮膚に届きます。
つまりグレートデーンの乾燥は、「体が大きいから起きる」という話ではありません。体が大きいことによって、一頭の中に条件の違う場所が同時にできてしまうという話です。背中と腹を同じ皮膚として扱っているあいだは、片方に手が届いていても、もう片方は手つかずのまま残ります。
- 立ったときの背中が、人の腰の高さにある:エアコンの風が通る高さと重なりやすくなります
- 伏せたときの腹が、床に広く接する:接している面は、床の温度をそのまま受け取ります
- 被毛が短く、下毛が薄い:毛のあいだに空気をためて条件をやわらげる層がありません
- 体表の面積が広い:同じ条件でも、うるおいが逃げていく面が単純に広くなります
- 腹側の毛は、背中よりさらに薄い:床の側に近いほうが、地肌がむき出しに近い状態です
体が大きいことを理由にすると、次にできることが「加湿器をもう一台増やす」しか残りません。グレートデーンで見たいのは、大きさそのものではなく、その体が上下のどこに置かれているかです。背中と腹で条件が違うと分かれば、動かせるものが増えます。床の側と、背中の高さの側。手を入れる場所が2つになります。
暖められた空気は上へ集まります|グレートデーンの乾燥が上下で分かれる背景
部屋の空気は、どこも同じ状態で止まっているわけではありません。暖房を入れると、暖められた空気は軽くなって上へのぼり、冷たい空気は下に残ります。同じ部屋の中で、天井の近くと床の上とでは、温度が数度ちがうことがあります。厚手の靴下を履いたときに足元だけ楽になるのは、この差が実際に体で感じられる大きさだからです。
温度が違うと、湿度の数字も違ってきます。空気が含んでいる水分の量が同じでも、その空気を温めるほど、湿度計が指す割合は下がっていきます。たとえば5℃で湿度60%だった空気を、そのまま20℃まで温めると、含んでいる水分は1滴も減っていないのに、湿度の数字は20%台まで落ちます。温めるという操作だけで、空気は乾いた側へ動きます。暖房を入れた部屋の上のほうで起きているのは、これと同じことです。
ここにグレートデーンの体を置いてみます。立っているとき、背中と肩は、暖められて湿度の下がった層の中にあります。同じ瞬間、脚の下のほうと腹は、冷たいまま残っている層の中にあります。一頭の体が、条件の違う2つの空気を同時にまたいでいます。小型犬なら、体全体が床に近い一つの層におさまります。グレートデーンでは、それが成り立ちません。
伏せたときには、条件がもう一段はっきりします。腹と胸が床に接すると、そこは空気ではなく床そのものに触れることになります。フローリングやタイルは温まりにくく、体温は接している面から静かに逃げ続けます。背中は暖かく乾いた空気に、腹は冷たい床に触れている。この状態が、暖房を入れているあいだじゅう続きます。
被毛が長く、下毛の詰まった犬種なら、この差は毛の層の中でいくらか和らぎます。グレートデーンの被毛は短く、下毛が薄い。やわらげる層がないぶん、上下の条件の差がそのまま地肌に届きます。背中のつやが先に落ちて見え、腹側のかさつきは少し遅れて気づかれる、という順番になりやすいのはこのためです。
湿度計は、その子の背中の高さでは測っていません|グレートデーンの乾燥で数字が合わない理由
ここで、部屋の湿度計がどこに置かれているかを思い出してみてください。壁にかかっている、テレビ台の上にある、本棚の段に立てかけてある。多くの家で、床から1メートル前後の高さにあります。それは、人が立ったまま目線を落として読める高さとして選ばれた場所です。犬の体に合わせて決めた高さではありません。
小型犬と暮らしているなら、この問題は湿度計を床の近くへ下ろせば片づきます。その子の体はほぼ一つの高さにおさまっているので、床から20センチの空気を測れば、その子が過ごしている空気を測ったことになります。グレートデーンでは、これが成り立ちません。床へ下ろせば背中の高さが測れず、腰の高さへ上げれば床の上が測れない。体が高さをまたいでいるので、どこへ置いても片方だけの数字になります。
| 高さ | その子の体のどこ | 起きていること | 先に気づく変化 |
|---|---|---|---|
| 床の上 | 伏せたときの腹・胸・肘 | 床へ体温が逃げ、冷えた空気が残る | かさつき。触って気づく |
| 床から30〜50cm | 立ったときの腹・内もも・脚 | 冷たい層と暖かい層の境目にあたる | 毛の流れが乱れて見える |
| 床から80cm前後 | 立ったときの背中・肩・首 | 暖められて湿度の下がった空気が通る | つやの落ち方。目で気づく |
| 床から1m以上 | 顔を上げたときの頭・耳 | 暖房の吹き出し口と重なることがある | 耳のふちの手ざわり |
この表を見ると、湿度計の数字と実感がずれる理由がはっきりします。壁の湿度計が50%を指していても、それは床から1メートルの一点の話です。その子の背中はもっと乾いた空気の中にあり、腹はもっと冷たい面に触れている。数字が悪くないのに乾燥が続いているとき、加湿器の設定を上げる前に、まず測っている場所を疑ってみてください。
湿度計を1つ買い足すだけでも、見え方が変わります。1つを床の上に、もう1つを背中の高さに置いて、同じ時刻の数字を並べる。2つの数字の開きが、その子の体がまたいでいる幅です。差が小さい日は、部屋全体の条件がそろっている日です。差が開いている日は、背中と腹に別々のことが起きている日になります。
湿度の数字を上げにいくより、上下の差そのものを小さくするほうが先です。サーキュレーターを上向きに回して空気を混ぜる、暖房の設定温度を1度だけ下げる、寝床を吹き出し口の真下から外す。どれも湿度計の数字を大きく動かすものではありませんが、背中と腹の条件の差は縮みます。グレートデーンの乾燥では、数字より差のほうを見てください。
背中と腹で、当てる手を分ける|グレートデーンの乾燥に対する毎日の考え方
ここからは、毎日の中で動かせる条件の話です。全身を一度にどうにかしようとしないでください。グレートデーンの乾燥では、背中側と腹側を別の場所として扱うほうが、結果として手数が減ります。触る順番も、使う道具も、見る時間も分けます。次の4つを、上から順に回してみてください。
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床の側を先に変える
いつも伏せている場所に、厚みのある敷物を1枚入れます。毛布でもマットでも構いません。床に直接触れているあいだ、体温は接している面から逃げ続けます。敷物を挟むと、腹と床のあいだに空気の層ができます。グレートデーンは体が重いので、薄い敷物は沈んで意味がなくなります。指で押して、底を感じないくらいの厚みを選んでください。
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背中が風の通り道に入っていないかを、立たせて確かめる
エアコンの吹き出し口の高さと、その子が立ったときの背中の高さは、しばしば重なります。人の顔には当たらない風が、その子の背中には当たり続けている、ということが起こります。確かめるときは、自分がしゃがむのではなく、その子を立たせて背中に手を置いてください。風を感じたら、寝床ではなく風向きのほうを変えます。
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ブラッシングを、背中と腹で分ける
背中は毛の流れに沿って、短いストロークで数往復。ここは表面のうるおいを毛先まで運ぶのが目的です。腹側と内ももは、道具を持たずに手のひらで押さえるように当てます。腹側の被毛は背中よりさらに薄いので、道具の歯が地肌に当たりやすい場所です。毎日やる必要はありません。背中は毎日、腹側は数日に一度で足ります。
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洗う回数を増やす方向へ寄せない
かさつきが気になると、きれいにすれば戻ると考えたくなります。けれど洗いすぎは、地肌に残っているうるおいまで一緒に流します。グレートデーンは体表の面積が広いぶん、洗ってから乾かしきるまでの時間も長くなります。その濡れている時間そのものが、体温の逃げる時間でもあります。洗う回数を増やす前に、床の側と風の向きを先に動かしてください。
| 背中・肩・首 | 腹・胸・内もも | |
|---|---|---|
| 触れている相手 | 暖められて乾いた空気 | 床の面、または冷たい空気 |
| 先に出る変化 | つやの落ち方。目で気づく | かさつき。手で気づく |
| 確かめ方 | 立たせて、手のひらを流れに沿わせる | 伏せたところへ、指を差し入れる |
| 手の入れ方 | 毛の流れに沿って短く数往復 | 道具を持たず、押さえるように当てる |
| 動かせる条件 | 風の向き、暖房の設定温度 | 敷物の厚み、寝床の場所 |
| 回す間隔 | 毎日、数十秒でよい | 数日に一度でよい |
背中と腹で別のことが起きていても、その子にとっては一つの体です。上下に分けて手を入れられるのは、こちら側だけになります。分けた手のうち、腹側にはブラシを持ち込めません。道具の歯が、薄い被毛の下の地肌にそのまま当たる場所だからです。
腹側に道具を使わずに置けるものとして、mofuwa スキンケアミストがあります。中身は特許電解水で、水分の浸透力は精製水の35倍とされています。グレートデーンの被毛は短く、毛のあいだに空気の層がありません。地肌までの距離が最初から近い体なので、届き方の話がそのまま置く理由になります。
使うのは、伏せていた場所からその子が動いた直後です。手のひらに取ってから、床に接していた面を押さえるように当てて、当てたあとに湿りを残さないでください。濡れている時間は、そのまま体温が逃げる時間です。背中側は、毛の流れに沿って手のひらをすべらせる、あの数十秒の中に入れてください。回す間隔も表のままで、背中は毎日、腹側は数日に一度で足ります。
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、部屋の条件を動かす前に動物病院へご相談ください。背中と腹で条件が違うという話は、左右で違う、一か所だけ違う、という変わり方までは説明しません。暖房を止めた季節にも同じ場所が戻ってくるときも、同じです。迷ったら早いほうを選んでください。
相談に行くときは、気づいた場所が背中側か腹側か、いつからか、そのあいだ寝ていた床の材質の3つをメモしていってください。グレートデーンの体は高さをまたいでいるので、上下のどちらで起きたかという情報だけで、切り分けられる範囲がずいぶん変わります。写真を撮るときも、背中と腹の両方を撮っておくと話が早くなります。
グレートデーンと暮らすうえで、背中と腹が違う高さの空気に触れているという条件はなくなりません。この体の大きさは、この犬種がそなえている作りだからです。動かせるのは高さの差そのものではなく、その差を受け取ったまま過ごす時間のほうです。床の側に一枚挟む。背中に当たる風を外す。触る手を上と下で分ける。湿度計の数字を追いかける前に、その子の体がいまどの高さにあるかを見てください。グレートデーンの乾燥で毎日動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
