C12Q&A・豆知識
薬機法とは?書いていいことの線引き
犬や猫のケア用品を選んでいて、箱に書かれている説明がどれも短いことに気づいたなら、その短さをつくっているのが薬機法です。薬機法とは、医薬品や化粧品などの品質と表示のルールを決めている法律です。この法律が線を引いているのは、誰が何を書いてよいか、という表示の側です。効き目があるかどうかという事実そのものは、この法律の外側にあります。つまり「書いていない」と「働きがない」は、まったく別の話になります。この2つを重ねて読んでしまうと、書ける立場の商品ばかりが強く見え、書けない立場の商品が弱く見えます。この記事では、薬機法という法律が何をしている法律なのか、その線がなぜ表示の側に置かれているのか、そして読み手の側で何ができるのかを、順番に書いていきます。
薬機法とは、何を決めている法律ですか|品質と表示のルールという役割
定義から置きます。薬機法とは、医薬品や化粧品などの品質と表示のルールを決めている法律です。正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と呼ばれています。長い名前ですが、中に入っている言葉を見ると、この法律が何を引き受けているのかが見えてきます。品質、有効性、安全性。この3つを、国が確かめられる形にしておくための枠組みだと考えると、輪郭がつかみやすくなります。
もう少し具体的に言うと、この法律が扱っているのは次のようなことです。ものを分類して、その分類ごとに、作る側と売る側が守るべきことを決めています。ここでいう分類とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器といった区分のことです。分類ごとに、国の確認をどこまで受けているかが違い、そのぶん書いてよいことの範囲も変わります。分類が先にあって、書けることが後から決まる、という順番になっています。
- 品質:どういう作り方をして、どういう管理をしているか
- 有効性:うたっている働きが、確かめられた手順を通っているか
- 安全性:使ったときに起きうることが、確かめられた形で押さえられているか
- 表示:容器や箱、説明書に、何をどう書いてよいか
- 広告:宣伝の中で、どこまでの言い方をしてよいか
この記事でずっと見ていくのは、下の2つです。表示とは、容器や箱に印刷されている言葉のことで、広告とは、その外で商品について語られる言葉のことです。どちらも、書いた人の意図とは関係なく、読んだ人が受け取る内容のほうで判断されます。「そういうつもりで書いていない」は通りません。だから、書く側は自然と言葉を短くしていきます。箱の説明が短いのは、書くことがないからではなく、書ける範囲が決まっているからです。
ここで、この記事が扱わないことも決めておきます。分類ごとの細かい違いや、何がどの区分に当たるかという判断は、この記事では扱いません。また、条文の番号や、違反したときにどうなるかといった話も書きません。個別の商品がどの分類なのかは、その商品の表示を見なければ分からず、一般論として書くと必ず外れるからです。この記事で書くのは、薬機法という法律が、そもそも何に対して線を引いているのか、という一点だけです。その一点が分かれば、目の前の箱の読み方は変わります。
効き目の有無を決めていない|薬機法の考え方と、その線が置かれた背景
この法律のいちばん大事なところを、短く書きます。薬機法が決めているのは、誰が、何を書いてよいか、です。効き目そのものがあるかどうかは、この法律の判断の外にあります。言い換えると、確かめられた手順を通っていない働きについては、たとえ実際に何かが起きていたとしても、書いてはいけない、という決め方をしています。事実の側を裁いているのではなく、名乗りの側を管理している、という構えです。
| 決めていること | 決めていないこと |
|---|---|
| どの分類なら、どこまで書いてよいか | 書けない分類のものに、働きがあるかどうか |
| 確かめる手順を、誰がどう通るか | 手順を通っていない働きが、実在するかどうか |
| 表示と広告の言葉の範囲 | その商品が、その家の子に合うかどうか |
| 作り方と管理の基準 | 使ってみたときの、その子の感じ方 |
| 名乗ってよい区分の呼び名 | 呼び名の外にあるものの、良し悪し |
右の列を見ていくと、共通していることが1つあります。どれも、確かめようと思えば確かめられるけれど、確かめ方を決めなければ比べられないものです。だから法律は、確かめ方のほうを先に決めました。手順を決めて、その手順を通ったものにだけ、その言葉を名乗らせる。こうしておくと、同じ言葉が使われているとき、その裏に同じ確かめ方があることになります。この法律の考え方は、言葉の意味をそろえておく、という一点に集まっています。
この線が表示の側に置かれている背景も、書いておきます。もし事実の側で線を引こうとすると、誰かが一つひとつの商品について、実際に働くかどうかを判定しなければなりません。それは現実には終わりません。数が多く、条件が違い、使う相手も違うからです。そこで、確かめ方の手順を決めて、その手順を通したかどうかで区切ることにしました。手順を通っていないものを「働かない」と決めているのではなく、「まだ確かめられていない」という位置に置いている、というのが正確なところです。
この置き方には、読み手にとっての利点があります。強い言葉が書いてある商品は、その言葉を名乗るための手順を通っている、と読めることです。言葉の裏に手続きがあるので、言葉が信用の目印になります。ただし、その代わりに起きることが1つあります。手順を通っていない商品は、実際に何が起きていても、そのことを書けません。読み手の目には、書けない立場の商品が、何も持っていない商品のように映ります。ここが、この法律の考え方がつくり出す、いちばん大きな読み違いの場所です。
犬や猫のケア用品で、書ける言葉はどう変わるか|薬機法の考え方が生む表示の変化
犬や猫のケア用品を手に取ると、この読み違いが起きやすい場所にすぐ行き当たります。ペット用のケア用品の多くは、動物用の医薬品や医薬部外品としての承認を受けていません。受けていない以上、承認を受けたものだけが名乗れる言い方は使えません。だから箱の説明は、原材料、容量、使う場所、使い方といった、事実の記述に寄っていきます。読んでいて素っ気なく感じるのは、そのためです。
- 使う場所は書ける:足のうら、口のまわり、耳のまわり。どこに使うものかは事実です
- 使い方は書ける:布に取ってから当てる、毛の流れに沿ってなでる。手順も事実です
- 入っているものは書ける:何を使っていて、何を使っていないか。これも事実です
- 確かめた条件は書ける:どんな試験を、どこで、どういう条件で行ったか
- 体に起きることは書けない:確かめる手順を通っていないかぎり、働きの言い切りは使えません
この5つを並べると、書けることの輪郭が見えてきます。書けるのは、物と手順と条件です。書けないのは、その結果として体に起きることです。だから、まじめに作られた商品ほど、箱の説明が地味になります。使い方の説明が丁寧で、成分の説明が細かく、そのわりに「これでどうなるのか」がどこにも書かれていない。そういう箱を見つけたら、書けない立場でていねいに書こうとした跡だと読むこともできます。
この記事でいちばん伝えたいのは、この一行です。薬機法は、書いてよい人を決めている法律であって、働きの有無を判定している法律ではありません。だから、次のような読み方は、どちらの向きにも外れます。効き目が書いていないのだから、何も起きないのだろう、強い言葉が書いてあるのだから、うちの子にも効果があります。前者は、書けない立場を働きの不在と読み違えています。後者は、確かめられた手順を、その子への保証と読み違えています。言葉の強さは、確かめ方の段階を示しているだけで、その子との相性までは示しません。
この構図は、時期によっても少しずつ変化してきました。以前より、確かめた条件のほうを細かく書く商品が増えています。どんな試験を、どの機関で、どういう条件で行ったか。結果そのものは言い切れなくても、条件は事実なので書けます。読み手にとっては、こちらのほうが手がかりが多くなります。結果の言葉は誰が書いても同じ形になりますが、条件の書き方には、その会社がどこまで確かめたかが出るからです。
mofuwaのケア用品も、この枠の中にあります。短い説明の裏に何があるのかは、読んだだけでは見えません。見えるようにできるのは、書く側だけです。だから、結果の言葉を1つ足すかわりに、条件のほうを書くことにしています。
たとえば mofuwa スキンケアミストなら、書けるのは中身が電解水100%だというところまでです。その電解水については、16の菌種を対象にした試験で、30秒から60秒のあいだに生菌が検出されなかったという結果が出ています。調べたのは、江東微生物研究所や日本食品分析センターといった検査機関です。この一文には、結果の言葉が入っていません。入っているのは、何を、どれだけの時間で、どこが調べたかの3つだけです。次の節で並べる5つのうち、上の3つがそのまま埋まっている形になります。
毎日のケアで置く場所も、書けるところまでで言えば、口のまわりや耳のまわりです。そこに置いてから、その子の皮膚や被毛に何が起きるかは、この記事では書きません。書ける範囲を守ると、説明は短くなります。短さは手抜きではなく、線の位置を守った結果です。
うたい文句より、書かれ方を見る|薬機法を知ってから変わった読み方の経験
この法律の考え方を知ってから、商品の見え方が1つ変わりました。強い言葉を探すのをやめて、書かれ方のほうを見るようになった、というのがその変化です。言葉が強いか弱いかは、その商品がどの分類にいるかで先に決まっています。同じ強さの言葉を並べても、立場が違えば意味が違う。だとすれば、比べるべきは言葉そのものではなく、その言葉の支え方のほうになります。
| 見るところ | 書かれていれば | 書かれていなければ |
|---|---|---|
| 確かめた条件 | どこまでを確かめたのかが追える | その一行がどこまでを指すのか決められない |
| 確かめた相手 | 何と比べたのかが分かる | 比較の相手が読み手の想像に委ねられる |
| 確かめた場所 | 誰が確かめたのかが読める | 確かめた人と書いた人が同じかどうか分からない |
| 言い切りの形 | 結果の言葉のまま置かれている | どこかで言葉が一段飛んでいる可能性がある |
| 使う場面の説明 | どんな日に使うものかが決まっている | 何にでも使えるように読めてしまう |
この5つは、どれも法律の知識がなくても見られます。読み手にできるのは、言葉の中身を判定することではなく、言葉の支え方を確かめることです。支えが書いてある商品は、その支えの範囲までを言っています。支えが書いていない商品は、それだけでは範囲が決まりません。良し悪しの話ではなく、読み取れる範囲の広さの話です。薬機法とは、書き手を縛る法律であると同時に、読み手に見るべき場所を教えてくれる法律でもあります。
もう1つ、経験として書いておきたいことがあります。この見方に慣れると、商品を選ぶ時間が短くなりました。以前は、書いてあることの強さを並べて比べていたので、いくつ見ても決まりませんでした。書かれ方を見るようにしてからは、条件が書いてあるものだけを残して、そこから使う場面で選ぶ、という2段になりました。毎日のケアで使うものは、強い言葉より、使う場面がはっきりしているもののほうが、結局は続きます。
そのうえで、この法律が答えてくれないことを、はっきり書いておきます。目の前の子の皮膚や被毛に何が起きているのかは、表示の読み方をどれだけ覚えても分かりません。薬機法とは、言葉のルールを決めている法律であって、その子の体を見てくれる仕組みではないからです。ここから先は、家で読むものではなく、見てもらうものになります。
地肌が赤い、かゆがる回数が増えた、フケが増えた、同じ場所をなめ続けている、においが日ごとに強くなる、脱毛が広がっている。こうした変化があるときは、商品の表示を読み比べたり、より強い言葉が書かれたものを探したりする前に、動物病院にご相談ください。どの分類の商品を選んでも、体の側で何が起きているかの切り分けは家ではできません。いつから、どこが、どう変わったかをメモして持っていくと、その場で見てもらえます。表示の読み方は、選ぶときの道具であって、判断の代わりにはなりません。
最後に、この記事を3つの文に畳んでおきます。薬機法とは、医薬品や化粧品などの品質と表示のルールを決めている法律です。この法律が線を引いているのは、誰が何を書いてよいかという表示の側で、働きの有無そのものは外側に置かれています。だから、書いていない商品を「持っていない」と読まず、書いてある商品を「保証された」と読まない。読み手にできるのは、うたい文句の強さを比べることではなく、その言葉が何に支えられているかを確かめることです。箱の説明が短いと感じたときは、短くしている理由のほうを思い出してみてください。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
