C04悩み解決
耳垢の多さのケアで、実は逆効果になっている3つのこと
綿棒も洗浄液も一度も使っていないのに、耳垢の量だけが先月から増えている。そういう相談は珍しくありません。耳の中に何も入れていないなら、やってはいけないことはしていない。そう考えるのが自然だからです。ただ、手が触れているのは耳の中だけではありません。耳を持ち上げる、ふちを拭く、においを確かめるためにめくる。この3つは全部、耳の外でやっていることです。この記事では、耳の中の手順ではなく、耳の外に加えている力のほうを3つ取り上げます。
耳の中をさわっていないから安全、という思い込み
耳の掃除で気をつけることとして広く知られているのは、綿棒を奥まで入れない、洗浄液を入れすぎない、といった耳の中の話です。そのぶん、耳の外に加えている力は「ケアではない」と思われていて、数にも入っていません。ここが抜けていると、耳の中の手順をどれだけ丁寧にしても、耳垢の量が動かないということが起きます。
耳のつけ根には、耳を動かすための筋肉が集まっています。犬は音のするほうへ耳の向きを変えますが、あの動きをつくっているのがここです。そして、つけ根の皮膚は、そのまま耳の中へ続いています。外側の皮膚と中の皮膚は別のものではなく、一枚でつながっています。だから、外から繰り返し力をかけると、中の状態も一緒に動きます。
| 場所 | 何があるか | 外から力をかけたときに起きること |
|---|---|---|
| 耳のつけ根 | 耳を動かす筋肉、中へ続く皮膚 | こすれで赤くなる。耳を動かす回数が減る |
| 耳のふち | 薄い皮膚、短い毛 | 乾いてかさつく。頭を振る回数が増える |
| 耳を持ち上げたときの折れ目 | 軟骨と、その上の皮膚 | 毎日めくると折れ目に負担がかかる |
| 耳の中の入口 | 耳垢が出てくる出口 | 外側の変化が、そのまま出口に届く |
垂れ耳の子は、この関係がはっきり出ます。耳が下りているあいだ、中の通気は耳の位置で決まっています。その耳を人が持ち上げたりこすったりするたびに、通気の条件も湿気の抜け方も変わります。1日1回なら差は出ませんが、毎日となると話が変わります。
耳垢とは、耳の中の皮膚から出た分泌物と、はがれた皮膚が混ざったものです。耳の中の皮膚はゆっくり外へ向かって動いていて、耳垢はその流れに乗って出口へ運ばれます。つまり、入口の近くに見えている耳垢は、たまっているのではなく、出てきている途中のものです。この前提を置くと、耳の外に加える力が何に効いているのかが見えやすくなります。
犬の耳垢で毎日やってはいけない3つは、耳の外にある
犬の耳垢のケアで毎日やりがちな3つを挙げます。どれも耳の中には何も入れていません。それでも、やってはいけないほうに入ります。3つとも、良かれと思ってやっている点で共通しています。
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やってはいけない1|耳を持ち上げて、根元をこする
マッサージのつもりで、耳のつけ根を指の腹でぐるぐるとこする。気持ちよさそうにするので毎日やってしまいます。ただ、つけ根は皮膚が薄く、そこに毎日こすれが加わると赤みが出ます。赤くなった皮膚は分泌が増えやすく、耳垢の量としては増える方向に動きます。かゆがるからこする、こするから赤くなる、という往復に入りやすい場所です。
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やってはいけない2|耳のふちを、強く拭く
耳のふちは毛が短く、皮膚がいちばん薄い場所です。汚れが目に見えるので、つい力が入ります。ここを強く拭くと乾いてかさつき、その違和感で頭を振る回数が増えます。頭を振る動作そのものは耳垢を外へ出す助けになりますが、回数が急に増えるのは違和感のサインです。ふちは、拭くなら押さえるだけにしてください。
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やってはいけない3|においを確かめるために、毎日めくる
心配だからこそ、毎日耳をめくってにおいをかぐ。これがいちばん見落とされます。めくるたびに折れ目に力がかかり、そのうえ、めくった直後の状態を基準にしてしまうので、変化に気づけなくなります。さらに、毎日触られた子は耳を見せるのを嫌がるようになります。本当に見たい日に見せてもらえなくなるのが、この3つ目のいちばんの損失です。
3つに共通しているのは、耳の中に何も入れていないのに、耳の中の条件を毎日変えていることです。通気も、湿気の抜け方も、皮膚の状態も動きます。そして、動かしている本人にその自覚がないので、耳垢が増えても原因の候補に入りません。
この3つは、週に1回なら問題になりません。やってはいけないのは、行為そのものではなく、毎日という頻度のほうです。耳のつけ根やふちに毎日手が触れているなら、まず1週間だけ、いっさい触らないでやめてみてください。触らない週の耳垢の量が、その子の本来の量にいちばん近い数字です。
耳垢のケアで家でできるのは、週1回めくることだけ
代わりに置くのは、ひとつだけです。耳をめくるのは週に1回。そして、そのとき何をどう見るかを先に決めておきます。順番が逆になると、めくってから何を見るか考えることになり、結局においだけを頼りにして終わります。
- 曜日を決める:週のどの日でも構いませんが、毎週同じ曜日にします。ブラッシングの日と重ねると忘れません
- 色を見る:耳垢が茶色か、黒っぽいか、黄色みがあるか。先週と同じかどうかだけを見ます
- 量を見る:入口の見える範囲に、どのくらいついているか。多い少ないではなく、先週との差です
- 左右を比べる:片耳だけ違うかどうか。左右差は、家で見つけられるいちばん有力な手がかりです
- ふちの皮膚を見る:赤み、かさつき、毛の薄い場所がないか。ここは触らずに、目で見るだけにします
- 写真を1枚撮る:同じ角度、同じ明るさで。記憶では先週と比べられません
この6つを、毎週2分でやります。家でできることの範囲は、ここまでです。拭き取りは、耳の入口の見えている範囲だけ。奥へ向かって指やコットンを入れないでください。見えていない場所は、家では扱いません。
コツは、においを最後に回すことです。においは印象に残りやすく、先に嗅ぐとそのあとの観察が全部そこへ引っぱられます。色・量・左右差・ふちの皮膚を見終わってから、最後に嗅ぐ。この順番にするだけで、週ごとの記録がぶれにくくなります。もうひとつのコツは、写真を撮る手を先に用意しておくことです。片手で耳を持ち、もう片手で撮ろうとすると、耳を持つ手に力が入ります。
めくった耳をぱっと離すと、耳が勢いよく戻って折れ目に力がかかります。見終わったら、持ち上げた向きのまま、ゆっくり元の位置に戻してください。湿気がこもりやすい子ほど、この折れ目の皮膚に負担が集まります。週1回でも、戻し方が乱暴なら意味が薄れます。
耳垢の頻度が動かないときの記録
触らない週をつくり、週1回の観察に切り替えて、それでも耳垢の量が同じか増えている。その場合は、耳の外の力の話ではありません。頻度を上げて掃除で追いかけるのはやってはいけない方向で、ここから先は動物病院の領域です。
- 片耳だけ多い:左右の条件はほぼ同じなので、片側だけの差は構造では説明がつきません
- においが変わった:甘いにおい、すっぱいにおいなど、質そのものが変わったとき
- 耳垢の色が変わった:黒っぽい、黄色みがある、赤みが混じっている
- 頭を振る・耳をかく回数が増えた:1日に何度も続くとき
- 耳を触られるのを急に嫌がる:これまで平気だった子の変化は、痛みのサインのことがあります
- 耳のふちや、つけ根の毛が薄くなってきた:こすれと湿気が重なった場所で起こることがあります
いずれかに当てはまるときは、自己判断せず動物病院にご相談ください。耳は、家で様子を見ていられる日数がとくに短い場所です。皮膚の変化なら2週間ほど記録して判断することもありますが、耳のにおいや色が変わったときは、その週のうちに受診してください。
受診のときは、週1回撮っていた写真を持っていってください。「いつから、どちらの耳が、どう変わったか」が写真の日付で分かるので、口で説明するより早く伝わります。加えて、耳のつけ根やふちに毎日触れていた期間があるなら、それも伝えてください。診察の前に耳をきれいにしてしまうと、耳垢の色や状態が見えなくなるので、拭かずに連れて行ってください。
経過を見ているあいだ、耳のまわりの毛を清潔に保っておくことはできます。耳を持ち上げるのが週1回になると、その日にまとめて済ませたいことが出てきます。耳の外側の毛と、つけ根のまわりの毛です。ここは頭を振っても飛ばず、耳が下りるたびに入口のそばへ戻ってきます。mofuwaスキンケアミストは、中身が電解水100%の水だけでできています。拭いたあとの毛に、通気の妨げになるものが乗りません。コットンへ2〜3滴落として、めくって見る手順の最後に一度だけ当ててください。耳の中には使いません。ふちとつけ根は押さえるだけにして、こすらないでください。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 耳のマッサージは、犬にとって気持ちいいと聞きました。それもやってはいけないのですか?
- 短時間で、力を入れずに耳を包むように触れるぶんには問題になりません。避けたいのは、つけ根を指の腹でこするような動きを毎日続けることです。気持ちよさそうにするかどうかは、皮膚への負担とは別の話になります。回数を週2〜3回までにして、耳のふちの色が変わっていないかを見ながら続けてください。
- 立ち耳の子でも、同じことが当てはまりますか?
- 3つのうち、根元をこするのとふちを強く拭くのは同じように当てはまります。毎日めくって確かめる分だけは、立ち耳の子には起こりにくい行為です。ただし立ち耳の子は耳の中が見えるので、代わりに何度も覗き込んでライトを当てることがあります。回数が増えている点は同じなので、週1回にまとめてください。
- トリミングで耳の毛を抜いてもらっています。続けていいですか?
- その子に必要かどうかは、耳の状態を見ている人が判断することです。家で判断せず、いつも見てもらっているトリマーと、かかりつけの動物病院の両方に、いま抜いている頻度を伝えて相談してください。抜いたあとに赤みが出る、頭を振る回数が増えるといった変化があるときは、その場で伝えてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
