C05犬種・猫種別ケア
スコティッシュテリアと暮らすなら知っておきたい、皮膚の乾燥の話
水を飲み終えたスコティッシュテリアの口ひげをつまむと、指のあいだに水がたまるほど濡れていました。床には点々としずくが落ちています。この子は同じことを、1日に何度も繰り返しています。飲む、食べる、においを嗅ぐ。そのたびに顔の下半分が濡れて、10分か20分かけて乾いていきます。スコティッシュテリアの乾燥を考えるとき、体を1つのものとして見ると話が合わなくなります。1日に何度も濡れて乾く場所と、ほとんど濡れないまま1日を終える場所が、同じ一頭の中にあるからです。この記事では、その2つを並べて、手の入れ方がどこで分かれるのかを書きます。
1日に何度も濡れて、そのつど乾く|スコティッシュテリアの口ひげと眉に乾燥が出る場所
スコティッシュテリアの被毛は、外側に硬くてまっすぐな毛があり、その内側に細かく密な下毛がある二層の作りです。硬い毛は水をはじきます。ところが顔だけは事情が違います。口のまわりの毛と眉の毛は長く伸びていて、この犬種の顔立ちをつくっている部分です。長く伸びているぶん、この毛は水に触れる面がとても広くなっています。
水を飲むとき、器に入るのは舌だけではありません。口ひげが先に水面に触れ、そのまま水の中を通ります。食べるときも同じです。飲む・食べるという行為のたびに、口ひげは根元から毛先まで一度ずつ濡れます。1日に水を飲む回数を思い出してみてください。食事の回数より、ずっと多いはずです。眉の毛も、地面のにおいを嗅ぐときに草や土の湿りを拾います。
濡れた毛は、そのままにしておけば乾きます。問題は乾く途中で起きていることのほうです。水が蒸発するとき、毛の表面だけでなく、その下の地肌からも水分が一緒に持っていかれます。1回の濡れ乾きで持っていかれる量はごくわずかですが、スコティッシュテリアの口ひげはそれを1日に何度も繰り返します。回数が積み上がるので、うるおいが戻る時間が取れません。
一方で、首のうしろ、背中、腰のあたりはどうでしょうか。雨の日と洗う日を除けば、この場所は1日じゅう乾いたままです。硬い外側の毛が空気を通し、下毛が湿りを抱えます。同じ一頭の中に、1日に何度も濡れて乾く場所と、何日も濡れない場所が同居している。スコティッシュテリアの乾燥は、この差を無視すると読み違えます。
- 口ひげは長い:水面に触れる面が広く、根元まで水が回ります
- 飲む回数は数えていない:食事より回数が多く、記憶に残りません
- 眉は地面の湿りを拾う:においを嗅ぐ姿勢のたびに草と土に触れます
- 乾くときに地肌の水分も動く:1回は少なくても、回数で積み上がります
- 背中側は濡れない:同じ日に、同じ体の中で条件がまったく違います
空気が乾いていることと、地肌のうるおいが減っていることは別の話です。部屋の湿度が同じでも、濡れる回数が多い場所ほど、乾く回数も多くなります。スコティッシュテリアの顔で起きているのは、空気の乾燥というより、濡れて乾くという往復の回数のほうです。加湿器を1台置いても顔の条件があまり動かないのは、動かしているものが違うからです。
何度も濡れて乾く顔と、ずっと乾いたままの体|スコティッシュテリアで乾燥の出方が分かれる違い
2つの場所を、同じ項目で並べます。比べるのは面積でも毛の長さでもなく、1日に何回濡れるかと、そのあと何分で乾くかです。この2つがそろうと、同じ「乾燥」という言葉でも中身が違うことが見えてきます。手の入れ方が分かれるのも、ここからです。
| 口ひげ・眉・あご | 首のうしろ・背中・腰 | |
|---|---|---|
| 1日に濡れる回数 | 水を飲む回数ぶん。数回から十数回 | 雨の日と洗う日だけ |
| 濡れる深さ | 毛の根元から地肌まで | 外側の毛の表面で止まる |
| 乾くまでの時間 | 10〜20分。何度も繰り返す | 濡れた日は数時間かかる |
| うるおいが戻る時間 | 次に濡れるまでの数時間 | 何日もある |
| 出方 | 口の下の地肌がかさつく | 冬に全体が粉っぽくなる |
| 手を入れる向き | 濡れている時間を短くする | 洗う回数と湿度を見る |
この差が効いてくるのは、家庭でできることを選ぶときです。体の側で効く手は、たいてい「回数を減らす」と「湿度を保つ」です。洗いすぎると、硬い毛の内側で下毛が抱えていた皮脂まで落ちます。部屋の湿度が下がれば、被毛全体の水分も下がります。どちらも、時間をかけてゆっくり動く話です。
顔の側は、動く速さがまったく違います。水を飲めば数秒で濡れ、20分で乾きます。湿度を上げても、飲む回数は減りません。だから顔で動かせるのは、濡れたあとに何もしない時間をどれだけ短くできるかという一点です。同じ乾燥という言葉でも、体には環境の手を、顔には時間の手を当てることになります。
口ひげの毛そのものは硬いので、乾いているかどうかが手ざわりでは分かりません。見るのは毛ではなく、その下の地肌です。あごを持ち上げて、口ひげの根元を左右に開いてください。地肌が白く粉をふいたように見える、指でなでるとかさつく、といった変化はここに先に出ます。背中を見て何もなくても、あごの下だけ条件が違っていることがあります。
水皿の前と、寝床の上|スコティッシュテリアの乾燥で手を変える使い分け
条件が2つに分かれるなら、手も2つに分かれます。どちらが正しいかという話ではなく、場所ごとに違う手を当てる、という使い分けです。顔には「濡れたあと」の手、体には「日ごと・週ごと」の手を当てます。順番に書きます。
-
顔の手:飲んだあと、乾いた布であごの下を一度だけ押さえる
こする必要はありません。四つ折りにした乾いた布を、口ひげの根元とあごの下に当てて数秒置きます。これだけで、乾くまでの20分が数分に縮みます。毎回やる必要もありません。朝と夜の食事のあと、2回だけと決めておけば続きます。濡れたままとかすと毛が裂けるので、ブラッシングはこのあとにしてください。
-
顔の手:眉の下を、指で開いて空気を通す
眉の毛は目にかぶさる向きに伸びるので、下に空気が入りません。指の腹で眉を左右に開いて、5秒そのままにするだけで、その下の地肌に空気が触れます。ドライヤーを顔に当てる必要はありません。スコティッシュテリアの顔は面が狭いので、風より手のほうが速く終わります。
-
体の手:洗う回数を、乾燥の時期だけ1回ぶん減らす
背中側の乾燥に効くのは、拭くことではなく回数のほうです。洗いすぎると、下毛が抱えていた皮脂も一緒に落ちます。ふだん2週間に1回なら、空気が乾く時期は3週間に1回でも構いません。減らしたぶん、ブラッシングで毛の流れを整えて、地肌に空気を通してください。
-
体の手:寝床のまわりの湿度だけを見る
部屋全体の湿度を管理しようとすると続きません。その子が1日でいちばん長くいる場所、つまり寝床のまわりだけを見てください。湿度計を寝床の高さに置きます。床に近いほど数字は下がるので、棚の上の数字は当てになりません。40%を下回る日が続くようなら、加湿の置き場所を寝床の側へ移します。
1日に何度も濡れて乾く面には、こちらから足すものを選ぶことになります。飲んだ回数は、その子の側では出来事として数えられていません。あごの下がその日何回濡れたかを知っているのは、床のしずくを拭いている人のほうです。mofuwaスキンケアミストは、アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリーの処方です。濡れて乾くを繰り返している面に、油の膜も香りも足さずに置けます。使うのは、乾いた布で水分を引き取ったあとです。手のひらに取ってから、あごの下と口ひげの根元へ。顔へ向けて直接吹きかけず、目と口には入れないでください。
口のまわりがかさついていると、汚れているように見えることがあります。ここで洗う回数を増やすと、濡れて乾くの回数がさらに増えます。スコティッシュテリアの顔で減らしたいのは回数のほうなので、向きが逆になります。汚れが気になるときは、洗うのではなく、固く絞った布で一度拭いて、そのあと乾いた布で水分を引き取ってください。
器の深さと置く高さ|スコティッシュテリアの口ひげが水に入る回数を減らす選び方
ここまでは、濡れたあとをどうするかという話でした。もう一段さかのぼると、そもそも口ひげが水に入る回数と深さを変えられます。変えるのは、その子の飲み方ではなく、器のほうです。スコティッシュテリアは脚が短く胴が低いので、器の高さと深さが顔の入り方をそのまま決めます。
| 見るところ | 口ひげが深く濡れやすい | 濡れる範囲が狭くなる |
|---|---|---|
| 器の深さ | 深くて、水面が底のほうにある | 浅めで、水面が縁の近くにある |
| 器の口径 | 口より小さく、顔ごと入る | 口より広く、あごが縁に当たらない |
| 置く高さ | 床置きで、顔を下げて飲む | 胸の高さで、あごが下がりにくい |
| 水の量 | 半分以下で、底まで顔が入る | 多めで、縁の近くまである |
| 形 | 内側がすぼまっている | 内側がまっすぐ立っている |
深い器に水が少ししか入っていないと、その子は顔を器の中まで入れて飲むことになります。水面が縁から遠いほど、口ひげは深く入ります。水を多めに入れておくだけで、顔を入れる深さが浅くなります。1日に何度も繰り返すことなので、1回あたりの差が小さくても、日の終わりには差になります。
置く高さも同じです。床に置いた器では、あごを下げて飲むので、口ひげが先に水面へ届きます。胸の高さに上げると、あごの角度が変わって、口ひげより先に舌が届きます。スタンドを買わなくても、安定した台に載せるだけで足ります。ただし、高さを変えたあとは飲む量が減っていないかを数日見てください。飲む量が減るくらいなら、床置きのままのほうがよい選択です。
食器の側もひとこと書いておきます。水分の多い食事では、あごの下が食事のたびに濡れます。器を替えるより、食べ終わったあとに乾いた布を一度当てるほうが確実です。選び方の話でできるのは、回数と深さを少し減らすところまでです。ゼロにはできませんし、する必要もありません。スコティッシュテリアの乾燥で動かせるのは、回数そのものではなく、濡れている時間の合計のほうです。
口ひげが濡れるからといって、水を飲む回数や量を減らそうとしないでください。飲む量は、その子の体にとって必要なぶんです。ここで選び方を変えるのは、同じ回数飲んでも濡れる範囲が狭くなるようにするためです。水の量がふだんより明らかに増えた、または減ったというときは、器の話ではなく、動物病院にご相談ください。
暖房が入る時期に、スコティッシュテリアの口ひげだけ乾燥が戻らないとき
1年の中で条件が動くのは、濡れる回数ではなく、乾く速さのほうです。暖房が入る時期になると、同じ回数濡れても、1回あたりの乾く速さが上がります。夏に20分かかっていたものが、冬は10分で乾く。往復の回数は同じでも、1回ごとの落差が大きくなります。スコティッシュテリアの顔で、秋の終わりから急に変わったように見えるのはこのためです。
| 動くもの | 動かないもの | |
|---|---|---|
| 春・秋 | 換毛で下毛の量が変わる | 水を飲む回数 |
| 夏 | 冷房で室内の湿度が下がる | 口ひげが水面に触れること |
| 冬 | 暖房で乾く速さが上がる | 眉が地面の湿りを拾うこと |
この時期にやることは増えません。飲んだあとに布を当てる回数を、1日1回ぶん増やすだけです。洗う回数は1回ぶん減らす。寝床のまわりの湿度計を見る。この3つを冬のあいだだけ足して、春に戻します。うるおいは、足すより、失われる往復を1回減らすほうが手が届きます。
- あごの下の地肌が赤い、じくじくしている:乾燥の話として続けないでください
- 同じ場所を前足でこすり続ける、床にこすりつける:かゆみがあるときのしぐさです
- 口ひげの根元の毛が、まとめて抜けている:濡れて乾くの繰り返しでは説明がつきません
- においが出てきた:湿った時間が長く続いた場所で起こることがあります
- 時期と関係なく、真夏に同じ変化が出た:暖房の話では説明がつきません
- 触ると痛がる、顔を強く背ける:手を止めて構いません
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、同じ場所をなめ続けている、毛がまとめて抜けている、触ると痛がる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭き方や湿度を変える前に動物病院にご相談ください。スコティッシュテリアは被毛が黒く、地肌の色の変化が外から見えにくい犬種です。あごを持ち上げて根元を開いて見る、というひと手間が、気づく時期を早くします。
相談の前に、あごの下を開いて見た日の記録、いつからか、その時期に変えたことの3つをメモしてください。器を替えた、暖房を入れ始めた、洗う間隔を変えた。この3つがそろっていると、乾燥の条件で説明がつく範囲なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。
スコティッシュテリアと暮らすうえで、長い口ひげと眉はこの犬種の顔そのものです。短く詰めてしまえば濡れる面は減りますが、それはこの子の顔を変えることでもあります。変えられるのは毛の長さではなく、濡れたあと何もしない時間のほうです。飲んだあとに一度布を当てる。眉を開いて空気を通す。冬だけ回数を足す。スコティッシュテリアの乾燥で、家庭の手が届くのはそこです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 加湿器を置けば、顔の乾燥も落ち着きますか?
- 部屋の湿度は、背中側のように何日も濡れない場所には効きます。顔は水を飲むたびに濡れて乾くので、湿度を上げても往復の回数そのものは変わりません。加湿は寝床のまわりに置いて体の側に効かせ、顔には濡れたあとに布を当てる手を当てる。役割を分けて考えると、どちらも無駄になりません。
- 口ひげを短くカットしてもいいですか?
- 短くすれば水に触れる面は減りますが、スコティッシュテリアの顔立ちそのものが変わります。長さを残したまま、濡れている時間を短くする手のほうが先です。どうしても気になるときは、家庭でハサミを入れず、トリマーに顔まわりの整え方を相談してください。目のきわは家庭で扱わないでください。
- 顔と体で使うものは、分けたほうがいいですか?
- 使うものより、当て方を分けてください。顔は濡れたあとに水分を引き取る場面が中心で、体は洗う回数と湿度が中心です。布は顔とおしりまわりで分けてください。同じ布を使い回さない、というだけで足ります。迷ったときは、その日いちばん濡れた場所から先に手を入れてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
