C09シーン別・暮らし
子どものいる家庭、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?
保護犬を迎えて5日目の夜、その子が初めて自分から近づいたのは、床にあぐらをかいて本を読んでいた小学2年生のほうでした。大人は3人とも、部屋の反対側で息をひそめて見ていました。近づかないほうがいい、驚かせてはいけない、と思っていたからです。子どもはそんなことを考えていません。ただそこに座って、こちらを見もしないでいました。保護犬・保護猫を迎えた家で、いちばん先に距離が縮まるのは、たいてい子どものほうです。大人は正しくやろうとして体が固まり、子どもは何もしないでいる。その「何もしない」が、実際にはいちばん強い手になっています。この記事は、大人が子どものやり方をまねる、という順番で書きます。子どもとペットの安全も、触ってからではなく、触らない時間のほうから確かめられます。
近づかなかった大人より、何もしない子どもが先でした|保護犬・保護猫を迎えた家の5日間
迎えた日から5日間、大人がやっていたことを順番に書きます。玄関を静かに開ける。足音を立てない。目が合ったらすぐ外す。ケージの前を通るときは遠回りする。名前を小さく呼んでみて、反応がなければ引き下がる。どれも「近づかないための工夫」でした。迎えたばかりのペットがいる家の大人は、たいていこの5日間を過ごします。触られることに慣れていない子だと聞いているので、こちらから距離を詰めてはいけない、と考えます。
同じ5日間、小学2年生がやっていたことは1つだけです。居間の床に座って、本を読んでいました。ケージのほうを見てもいないし、話しかけてもいません。近づこうともしていない。ただ、そこにいる時間だけが長い。大人が部屋を出たり入ったりしているあいだ、子どもは同じ場所で30分でも1時間でも座っています。5日目の夜、その子が自分からその足元まで来ました。子どもは気づきませんでした。ページをめくる手を止めなかったからです。
ここで大事なのは、子どもが上手だった、という話ではないことです。子どもは何かをうまくやったのではなく、やっていないことの数が多かっただけです。呼ばない、見ない、伸ばさない、追わない、立って近づかない。大人が「気を遣って近づかない」でいるあいだも、体の向きはケージのほうを向いていて、視線は何度もそちらへ行っています。ペットの側から数えると、視線は近づく回数に入ります。近づいていないつもりで、視線と体の向きだけは近づいている。保護犬・保護猫の側から見ると、その2つは十分に近づく行為です。
- 呼んでいない:名前も、それらしい高い声も出していません
- 見ていない:顔も体もケージのほうを向いていません
- 手を伸ばしていない:おやつも、指も差し出していません
- 立って近づいていない:ずっと床に座ったままです
- 追っていない:その子が動いても、目で追っていません
- 終わりを決めていない:うまくいったかどうかを気にしていません
この6つは、大人がやろうとすると全部むずかしくなります。うまくいっているか確かめたくなるからです。大人には「この5日間を成功させたい」という目的があり、子どもにはありません。保護犬・保護猫を迎えた家で最初の距離を縮めているのは、たぶんこの差です。子どもが特別なのではなく、目的を持っていない人の座り方が、たまたまその子にとっていちばん読みやすいだけです。
保護犬・保護猫を迎えると、来た日の様子から前のことを想像したくなります。ただ、想像した内容は、こちらの手順を変える材料にはなりません。分かるのは、いま目の前で起きていることだけです。今日どこまで近づいたか、何秒でその場を離れたか、どの音で顔を上げたか。この記事で扱うのも、その日その場で観察できることだけにします。以前を推し量る作業は、こちらの側の落ち着きを削るわりに、その子には何も渡せません。
床に座る、目を合わせない、手を出さない|大人が子どものやり方をまねる5つの手順
ここからが手順です。やることを増やすのではなく、やっていることを削っていく5段です。1日に1段ずつでかまいません。5日で一巡します。迎えたばかりのペットがいる家では、こちらが何かを足すたびに、その子の側で確認する項目が増えます。減らすほうが早いのは、そのためです。
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1日目:椅子から床へ降りる
ソファにも椅子にも座りません。その子の高さと、子どもの高さと、大人の高さを同じにします。立っている大人は、その子から見ると視界の上半分を占めます。座ると、それが胸から下に収まります。壁を背にして、脚を投げ出して座ってください。あぐらでも、脚を伸ばしてもかまいません。すぐ立てる姿勢だと、体のどこかに力が残ります。子どもの座り方が読みやすいのは、いつでも立てる姿勢をしていないからです。
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2日目:顔を向けない、目を合わせない
座る向きを、その子から45度ずらします。正面を向かず、横顔を見せる形です。目が合ったら、勝ったつもりにならずに、まばたきして視線を落とします。大人は「見守っている」つもりで見ますが、その子には見られている時間としてそのまま届きます。手元に本かスマートフォンを1つ持っておくと、視線の置き場所ができるので楽になります。子どもがやっているのは、まさにこれです。
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3日目:手を出さない、名前を呼ばない
指を差し出す、手のひらを向ける、おやつを置く。この3つを全部やめます。名前も呼びません。差し出された手は、その子から見ると「反応を求められている」形です。反応を返す準備がまだできていない段階では、差し出すほど間合いが遠くなります。おやつも、置いた時点でこちらが待っていることになります。何も置かずに座っているほうが、その子の側の手番が減ります。
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4日目:その子が来たら、動かない
ここがいちばんむずかしい段です。近づいてきた瞬間、大人はほぼ必ず何かをします。手を伸ばす、名前を呼ぶ、写真を撮ろうとする、家族を呼ぶ。1つもやらないでください。においを嗅がれているあいだも、体をこすりつけられたあとも、姿勢を変えません。子どもが最初に近づかれたのは、来られたことに気づかなかったからです。動かないというのは、無視することではなく、その子が始めた1回をその子が終えられるようにする、という意味です。
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5日目:5分で切り上げる。終えるのはこちらから
座る時間を5分に決めます。タイマーを見えないところで鳴らしてもいいです。その子がまだそばにいても、5分たったら静かに立って部屋を出ます。長くいるほど良い、と考えると、その子が離れたい時刻に人が残ることになります。5分で切り上げる形にしておくと、1日に何回でも置けます。朝に1回、夕方に1回。回数はあとから増やせますが、1回の長さは増やさないでください。
| 手順 | 大人がやめること | その子の側で減るもの |
|---|---|---|
| 床へ降りる | 立ったまま見にいく | 視界を占める面積 |
| 目を合わせない | 様子を確かめる視線 | 見られている時間 |
| 手を出さない | 指・手のひら・おやつ | 返事を求められる回数 |
| 来たら動かない | 手を伸ばす、家族を呼ぶ | 近づいたあとに起きること |
| 5分で切り上げる | 長く粘って待つ | 離れたいのに人がいる時間 |
5つのうち1つだけ選ぶなら、4日目の「来たら動かない」です。ここだけは、こちらが動いた瞬間に、その日の1回が終わります。逆に、いちばん後回しでいいのが1日目の高さです。床に座れない事情のある方は、椅子に座ったままでも、視線と手のほうを先に減らせば同じ向きに進みます。保護犬・保護猫を迎えた家で、5つを完璧にそろえた日はうちにもありませんでした。
まねているつもりで外れる3か所|子どもとペットの安全を、触る前に確かめる順番
手順どおりに座っているつもりでも、大人の側は3か所で外れます。どれも「うまくいきそうだ」と感じた瞬間に出ます。保護犬・保護猫の家で最初の2週間に起きるつまずきは、ほとんどこの3つでした。
| 外れる場所 | 何が起きているか | その場での戻し方 |
|---|---|---|
| 声が出る | 小さな声でも、返事を求める合図になります | 口を閉じて、次の呼吸まで何もしない |
| 手が出る | 近づかれた喜びで、無意識に指が動きます | 手を膝の上か床につけて、置いたままにする |
| 5分を超える | もう少しで触れそう、と感じて粘ります | 時間で終える。その日の結果では決めない |
3つのうち、いちばん多いのは「手が出る」です。近づかれた側の反射なので、意志では止まりません。最初から手を床につけておくか、手の中に本かカップを持っておくと、物理的に出せなくなります。子どもが手を出さないのは我慢しているからではなく、手が本でふさがっているからです。まねるべきなのは、そこまで含めた形のほうです。
4つ目として書いておきたいことがあります。うまくいった子どもに、役割を持たせないでください。「あなたが座っていると近づいてくるから、毎日座っていてね」と頼んだ時点で、子どもの側に目的が生まれます。目的が生まれると、確かめる視線が出て、待つ姿勢になり、大人と同じ座り方に変わります。保護犬・保護猫にとって読みやすかった座り方は、そこで消えます。子どもがやっていることは、子どもの都合でやめてもいい、という前提のままにしておいてください。
そのうえで、子どもとペットの安全は、大人の側で確かめる順番を決めておきます。安全を「触っていいか」で測ろうとすると答えが出ないので、場所と人と時間の3つで測ります。順番は3つです。①その子が逃げられる場所があるか、②その場に大人がいるか、③終わりを大人が決められるか。触っていいかどうかを先に決めようとすると、判断の材料が足りません。ペットの側の安全も、この3つがそろっている時間帯かどうかで決まります。逃げ場と、居合わせと、終わり方。この3つがそろっている時間帯だけ、子どもと同じ部屋で過ごす形にしておくと、触る・触らないをその日ごとに決めなくて済みます。
- 逃げられる場所:ケージ、家具の下、部屋の隅。人が入っていかない場所を1つ決めておきます
- 大人が居合わせる:見張るのではなく、同じ部屋で座っている状態を指します
- 終わりを決める:5分で終える人が大人の側にいる、ということです
- 子どもの手の高さ:床に座ると、子どもの手と顔はペットと同じ高さに並びます。安全を確かめる順番は、この高さから決めます
- 食事と寝る場所:この2か所は、近づく練習の場所にしません
- 玄関とベランダ:出入りの瞬間だけは、子どもの位置を先に決めておきます
座って待つ日が続いているあいだに、同じ場所をなめ続けている、触れていないのに体をかき続ける、食べる量が減ったまま戻らない、水を飲む量が急に増えた、歩き方が変わった、体をこすりつける回数が増えた。こうした変化が出たときは、慣れていく途中だからと様子を見ずに、動物病院にご相談ください。保護犬・保護猫を迎えた直後は、環境が変わったせいなのか、体の側の話なのかを家では切り分けられません。迷ったら早いほうを選んでください。何日目に何があったかを書いた紙が1枚あると、その場で話が早く進みます。
5分を毎日の同じ時刻に置く|保護犬・保護猫と子どもがいる家で続けるコツ
続けるコツは1つです。5分を、毎日同じ時刻に置いてください。回数でも、長さでもなく、時刻です。保護犬・保護猫を迎えた家では、その子の側に予定が何もありません。人の帰宅、食事、就寝。生活の音だけが手がかりになります。そこへ「毎日この時刻に、人が床に座って何もしない5分がある」を1つ足すと、手がかりが1つ増えます。うちは夕食のあと、片づけが終わった時刻に置きました。
記録は3行で足ります。日付、その子が部屋のどこにいたか、こちらまでの距離。距離はメートルでなくて構いません。「ケージの中」「部屋の反対側」「テレビの前」「足元」の4段階で十分です。2週間ぶん並べると、進んだかどうかではなく、どの曜日と時刻が近いのかが見えます。子どもが座っていた日と、大人だけの日を分けて書いておくと、まねているつもりで外れている日も分かります。
- 時刻を決める:生活の音がいちばん静かな時間帯を選びます
- 場所を決める:毎回同じ場所に座ります。座る位置を近づけていく必要はありません
- 3行だけ書く:日付・その子の位置・距離の4段階
- 子どもの参加は任意にする:来た日は来た日として書き、来ない日を問題にしません
- 近づかれた日は何も変えない:翌日に時間を延ばさず、同じ5分を置きます
- 1週間まったく動かなくても続ける:距離が変わらない週は、記録の側だけ残します
触れるようになってからの話も、少しだけ書いておきます。5分のあいだに背中まで手が届くのは、その子が自分から来た日だけです。そしてその日に背中へ当てたものは、離れたあとで、その子の口が先に確かめます。同じ床には子どもの手もあるので、1回のケアを、口と手が2つずつ確かめている部屋だと考えてください。うちがここで使っているのは mofuwa スキンケアミストです。中身は電解水100%で、水のほかに足しているものがありません。湿らせた布を、背中の毛の流れに沿って一往復させるだけなので、この一往復は5分の中に収まります。触れた日に新しい道具を出すより、布が先に置いてある形のほうが、その子の側で変わるものが1つで済みます。
子どもが同じ床にいる家では、使うものの中身を説明できるかどうかも条件になります。mofuwaの中身は、特許5253483(3室ダブルイン型電解システム)でつくる電解水です。電解槽が3室に分かれる構造により、電解質由来の不純物が電解水に含まれません。そのため、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられています。各種の試験条件下では、30〜60秒後に生菌が検出されなかったという結果が出ています(江東微生物研究所ほか調べ)。浸透については、精製水の35倍という測定があります。子どもとペットの安全を家族に説明するとき、根拠のある言い方が1つあると話が短く済みます。安全という言葉だけを置くより、何をクリアした成分なのかを添えたほうが、家の中で話が通りやすくなります。
その子が初めて近づいた日、大人は子どもをほめたくなります。ほめるのは、その日のことにとどめてください。「この子はあなたになついている」「あなたじゃないとだめ」と続けると、子どもの側に役割ができます。保護犬・保護猫と子どものいる家庭で、翌週から近づかれなくなった、という話はここから始まることがあります。子どもは目的を持たない座り方をしていただけで、上手だったわけではありません。上手になってしまうと、その座り方は使えなくなります。
最後に、この記事の順番をもう一度書いておきます。保護犬・保護猫を迎えた家で最初に距離を縮めるのは、たいてい子どものほうです。そこで教わるのは大人の側です。床に座り、目を合わせず、手を出さず、来られても動かず、5分で切り上げる。やることを足すのではなく、やっていることを5つ削る。子どもとペットの安全は、そのあいだに逃げ場と居合わせと終わり方の3つで確かめておく。ペットの安全も、人の安全も、この順番で同じように確かめられます。触れるまでにかかる日数はその子ごとに違いますが、こちらが減らせる手数の数は、どの家でも同じ5つです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 子どもがまだ小さくて、床にじっと座っていられません。この手順は使えますか。
- 大人の側だけで成立します。手順は「大人が何をやめるか」で組んであるので、子どもが座っていなくても順番は変わりません。小さいお子さんがいる家庭では、その子の逃げられる場所を1つ決めておくことと、大人が同じ部屋にいる時間帯だけ一緒に過ごす形にしておくことのほうが先です。子どもとペットの安全は、その2つで足ります。子どもに座る係を持たせる必要はありません。
- 5分では短すぎる気がします。もっと長く座っていてはいけませんか。
- 長くしないほうが続きます。1回を長くすると、その子が離れたい時刻に人が残ることになり、翌日の近づき方が変わります。増やしたいときは、1回の長さではなく回数を増やしてください。朝と夕方に5分ずつ、というほうが、10分を1回よりも手がかりとして読みやすくなります。
- 保護犬・保護猫を迎えて2週間、まだ一度も近づいてきません。やり方が違うのでしょうか。
- 日数で判断しないほうが楽です。2週間で足元まで来る子もいれば、2か月かかる子もいます。見るのは近づいたかどうかではなく、部屋のどこにいるか、こちらが座っているあいだに姿勢が変わったか、という2点です。距離が変わらない週でも、記録の側だけ残しておいてください。体の側に変化があるときは、慣れの話と分けて動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
